【2018年】法人・個人事業主におすすめの会計ソフト20選
法人や個人事業主が事業を行っていくうえで必ず必要なのが会計業務です。会計業務は複雑で作業量が多いため、できるだけ効率化したいところです。そのためには、会計ソフトの導入を考えている方も多いでしょう。
今回は法人・個人事業主におすすめの会計ソフトをご紹介します。会計業務を会計事務所などにすべて任せていたり、または、会計業務を紙の台帳に記帳して行っている、もしくはExcelを使用しているのであれば、コストや業務効率化の観点から会計ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
目次
会計ソフトを導入するメリット
株式会社MM総研の調査結果によると、2018年現在、会計ソフトを導入している中小企業は約55%、個人事業主では約30%にとどまっています。これだけ低価格なパソコンが普及し、様々な会計ソフトがリリースされているにもかかわらず、いまだに会計ソフトを導入していない事業者が多くいることが分かります。
まずは、法人や個人事業主が会計ソフトを導入するメリットを見ていきましょう。
コスト削減と業務効率化
企業や個人事業主が事業を行っている以上、確定申告が義務付けられているため、会計業務は必須の業務になります。会計業務を会計事務所などに任せてしまうこともできますが、その場合、当然のことながらそれ相応のコストがかかることになります。経営者であれば、毎月かかる固定費は極力おさえたいところです。会計ソフトを導入し、自社で会計業務を行えば、そのようなコストはかかりません。
また、会計事務所などに会計業務をお願いする場合、必要な資料を送り、取引の内容について説明する必要があります。会計事務所で会計ソフトの入力をするには、会計事務所側では書類だけでは取引内容が分からないことが出てきてしまいます。その場合、会計事務所からの複数の質問に回答し、不足している資料を再び送付するといったような対応が必要になり、かなりの時間を奪われてしまうこともあります。
会計ソフトを導入し、自社で入力をしていればこのような無駄な時間を取られることはなくなります。「会計ソフトの入力は難しくて複雑」という方もいますが、仕訳などの基本的な入力は簿記3級程度の知識があれば問題なくできます。また、近年では複式簿記の知識がなくても入力可能なクラウド型の会計ソフトも出てきています。会計ソフトを導入することで、時間コスト、作業コストを改善し、業務の効率化に大いに貢献できることでしょう。
入力・計算ミスの防止
会計業務を行っていて起こる「借方と貸方の金額が一致しない」「残高が合わない」といった間違いは、単純な仕訳の入力ミスが原因であることがほとんどです。会計ソフトを利用している場合、チェック機能が働いて仕訳の内容に矛盾がある場合には入力できなくなっており、このような単純なミスを未然に防ぐことができます。
入力した内容は総勘定元帳や残高試算表に自動集計されます。月末や期末に数字が合わないような場合でも、一覧表示した中から確認することができるため比較的簡単に原因の特定が可能です。また、検索機能も充実しており、勘定科目や金額など条件を絞って検索することで、抜け漏れなどを効率的に発見することもできます。帳簿やExcelを再計算して、ミスの原因を追究する必要もありません。作業の効率化という意味でも、会計ソフトは有用であると言えます。
経営状況をタイムリーに把握できる
会計ソフトは仕訳を入力するだけで総勘定元帳や損益計算書・貸借対照表といった帳簿類が自動的に作成されます。さらに、月別の推移表や前年対比表、予算を登録していれば予算実績対比表なども、ほとんどの会計ソフトで自動作成されます。さらに、機能性の高い会計ソフトであれば、経営分析表を自動作成できたり、売上推移や財務状況、損益分岐点などをグラフ化することも可能です。会計ソフトに仕訳を随時入力することで、売上や経費の増減や利益の状況、経営成績、財務状況などをタイムリーに把握することがでるのです。
会計ソフトを導入することで、数字を意識した経営を行うことができます。会計ソフトを使用していると、売上や経費の内容をいつでも確認することができ、今後の経営方針を検討するうえでも有効な情報を得ることができます。
会計事務所などに任せている場合はこのようにはいきません。請求書や領収書などの書類を月に1回、または3か月に1回といったペースで会計事務所に送り、その入力を代行してもらうことになるため、取引が帳簿に反映されるまで時間がかかってしまうのです。また、売上や経費などの取引内容についても、会計事務所にいちいち確認しなければ分からないということにもなりかねません。
一般的に、業績の伸びている事業者は、必ずといっていいほど会計ソフトを導入していると言います。事業を成長させるうえでも、会計ソフトは重要なツールのひとつであると言えると思います。
会計ソフトの種類
会計ソフトの種類には大きく分けてインストール型、クラウド型、ERP型の3種類があります。ここでは、それぞれの会計ソフトの特徴についてご紹介したいと思います。よく理解し、自社の会計業務にはどのタイプの会計ソフトが合っているのかを見極めて、会計ソフトを選定する際の参考にしてみてください。
インストール型会計ソフト
クラウド型会計ソフトの普及率は年々上がってきていますが、それでもまだまだインストール型会計ソフトの人気は安定しています。会計ソフトを導入している中小企業、個人事業主のうち75%以上がインストール型の会計ソフトを利用しています。日本初の会計ソフトが1980年代の後半に登場して以来、長年の実績があることから信頼性が高いと言えます。
インストール型会計ソフトというのは、その名の通りパソコンにインストールして使用するタイプの会計ソフトになります。オフラインで使用できるため、回線やインターネット環境による影響を受けることがなく、会計処理がパソコン内で完結することから入力や読み込みの動作も軽快です。また、インターネットに接続しなくても使用できることから、ウィルス感染やハッキングなどのリスクも抑えられます。
先に述べたように、インストール型の会計ソフトは歴史が長いことから、これまでの様々な事業者の要望を取り入れて進化しており、クラウド型の会計ソフトに比べて多機能であるものが多いのも特徴。経営分析に役立つ多くの帳票類が用意されていたり、ユーザーが使いやすい操作性の高さが考慮されていたりします。また、カスタマイズ可能な機能が用意されているソフトも多く、その事業者特有の処理や、オリジナルの帳票を作成することが可能です。
ただ、インストール型会計ソフトにもデメリットはあります。会計や税務に関する法令改正があった際には、その都度ソフトをアップデートする必要があります。基本的なアップデートはソフト業者のサポートの範囲内で対応可能ですが、大きな改正があったときは、場合によっては有償でアップデートすることになります。
また、会計処理したデータはパソコン内に保存されるため、そのパソコンのデータが破損してしまった場合には、これまでの会計データが消えてしまうことになります。そのため、外部のメディアにバックアップを取っておく必要があります。
クラウド型会計ソフト
クラウド型会計ソフトとは、個別のパソコンにソフトをインストールしなくても、インターネット上で利用できる会計ソフトになります。インストール型の会計ソフトはWindowsにのみ対応しているものが多いのですが、クラウド型会計ソフトならOSに関係なく利用できるので、Macを使っている方にも向いています。
インターネット環境があればいつでもどこからでも利用できるのが特徴で、事務所や自宅、さらには外出先からでもアクセス可能です。入力した会計データもクラウドサーバ上に保存されることから、万が一パソコンが壊れてしまった場合でも会計データが消失することはありません。
また、インストール型の会計ソフトと違い、クラウド型会計ソフトは自動的にバージョンアップされていくため、法令改正があった際にも、わざわざユーザーがアップデートの作業をすることなく、また、別途コストがかかることもなく、常に最新のソフトを利用できます。
クラウド型会計ソフトの最大の特徴は、金融機関やクレジットカード会社などのデータ連携にあります。ネットバンキングの入出金データやクレジットカードの利用履歴データを自動的に読み込むことができ、ユーザーはその内容を確認して保存するだけで仕訳の入力が完結します。勘定科目や摘要の内容も記憶してくれるため、電話料金や水道光熱費のような毎月必ずあるものは、クリック1つで仕訳登録ができるので、作業量を大幅に削減することが可能です。
クラウド型会計ソフトのデメリットとしては、インターネット環境に依存しているとことが1つあります。回線に何かトラブルが生じてインターネットが使えない状況になってしまうと、会計ソフトも使用できなくなってしまいます。また、データの1つ1つをインターネット上に保存していくため、インストール型の会計ソフトに比べるとサクサクと入力できないので動作が遅いと感じることもあるかもしれません。
もう1つのデメリットは、ランニングコストがかかることです。クラウド型会計ソフトは、毎月の利用料を支払うことで使用できるようになっています。インストール型会計ソフトの場合、一度ソフトを購入してしまえば、その後は大きなバージョンアップがない限り費用がかかりませんが、クラウド型会計ソフトはバージョンアップの必要がない代わりに、毎月の固定費がかかることになります。
ERP型会計ソフト
ERPとはEnterprise Resource Planning(エンタープライズ・リソース・プランニング)の略で、一般的には統合基幹業務システムと呼ばれているものです。企業が持つ経営資源を一元管理するための手法およびシステムをいい、製造管理、販売管理、顧客管理、人事管理などの業務システムをすべて1つに統合したもので、その中の1つとして会計システムが入っています。導入するには時間とコストを要することから、比較的大きな規模の企業向きのシステムになります。
ERP型会計ソフトを導入する最大のメリットは、組織全体の業務を一元管理できることにあります。例えば製造業の場合、受注してから材料を調達、製造管理、製品の在庫管理、出荷業務、請求業務、入金管理といった一連の業務の流れがありますが、これらの業務をそれぞれのシステムを使用して行うことで、会計ソフトにはそのデータを自動的に取り込むことができます。通常の会計データだけではなく、業務全体のデータが入るため、すべての商流を管理することが可能になります。
ERP型会計ソフトでは、業務全体のデータを管理できるためデータ分析も効率的に行うことができます。一般的なソフトを使用している場合、それぞれの業務システムのデータを集計、加工してデータ分析を行うため、相当の時間と労力を要することになりますが、ERP型会計ソフトなら各システムから生成されるデータを一元管理していることから迅速なデータ分析が可能であり、リアルタイムにデータを活用することができます。
おすすめ会計ソフト20選
会計ソフトと言っても、数多くのソフトが発売されていますが、実際にどの会計ソフトを導入したらいいのでしょうか。ここでは、法人と個人事業主に分けて、会計ソフトの種類ごとにそれぞれの特徴をご紹介します。
法人向け会計ソフト(インストール型)
・弥生会計
弥生会計は弥生株式会社が提供する会計ソフトです。1987年にリリースされて以来、20年以上に渡って多くの企業に利用されており、売上実績No.1、販売シェアも60%以上を誇っています。
インストール型会計ソフトでありながらクラウドの機能も兼ね備えており、金融機関やクレジットカード会社のデータを自動取り込みし、AIで自動仕訳する機能や、クラウド経由で会計事務所などと会計データを共有できる機能もついています。また、インストール型会計ソフトには珍しく、1つの製品でもう1台追加でパソコンにインストールすることができ、外出用のノートパソコンにインストールして持ち運ぶということも可能です。
弥生会計はサポートが充実しているのも特徴。セルフプラン、ベーシックプラン、トータルプランの3つのサポートプランがあり、ベーシックプラン以上のプランでは操作説明はもちろんのこと、仕訳相談や消費税の改正業務に関する相談にも乗ってくれます。
これまでの実績と手厚いサポート体制があり、安心感のある会計ソフトであるということができます。無料体験版も用意されているので、まずはこちらで試してみるといいかもしれません。
・勘定奉行
勘定奉行は株式会社オービックビジネスコンサルタントが提供している会計ソフトです。テレビCMでもおなじみの奉行シリーズの中の会計ソフトになります。導入実績56万社、顧客満足度No.1も通算11回取得という実績があります。なお、小規模事業者向けには奉行J-会計編-というソフトも用意されています。
分かりやすいユーザーインターフェースで使いやすさを追求した操作性の高さが特徴の1つです。また、Microsoft Officeとの連携機能を備えており、画面表示した集計表を直接Excelに出力し、編集することが可能。手間なく会計データを活用することができます。内部統制やIFRS(国際財務報告基準)への対応にも力を入れており、IPOを目指している企業にもおすすめできる会計ソフトであると言えると思います。
サポート体制も充実しており、電話、メール、FAXに対応している他、必要に応じてリモートサポートによりオペレーターが同じ画面を共有しながら操作説明をしてくれます。最新プログラムの提供や法令改正にも対応しており、後継の新シリーズがリリースされた場合にも無償で提供を受けることができます。ただ、他の会計ソフトと比較すると価格が少し高めではありますが、機能性の高さを考えるとそれだけの価値はあるでしょう。
・会計王
会計王はソリマチ株式会社が提供している会計ソフト。5年連続でお客様満足度No.1を獲得、販売シェアもランキング上位にランクインしている実力のあるソフトです。
インストール型でありながら、金融機関やクレジットカード会社のデータを自動取り込みし、自動で勘定科目に変更、確認ボタンを押すだけで仕訳登録することができます。以前は対応している金融機関が少なかったのですが、現在ではほとんどの金融機関に対応しており、他の会計ソフトと比較しても遜色ありません。
サポート面では電話での対応はもちろん、レスキュー王という訪問指導サービスもあり、ソリマチ認定のインストラクターがオフィスまで来てくれて、直接サポートを受けることもできます。また、会計ソフトとは直接的な関係はありませんが、ビジネスフォームダウンロードという、ビジネス文書作成に役立つ文例や書式、フォーム、デジタル素材など14,000アイテム以上を無料でダウンロードできるサービスも用意されています。
使いやすいインターフェイスと機能性の高さで、初心者からある程度大きな規模の企業まで対応可能なソフトです。
・MJSかんたん!法人会計
MJSかんたん!法人会計は株式会社ミロク情報サービスが提供する法人向け会計ソフトになります。株式会社ミロク情報サービスは、もともと税理士・公認会計士事務所向けのオフコンから始まり、会計事務所の顧客向けソフトから一般企業向けの会計ソフトへと展開していったという経緯があります。そのため、現在でも多くの会計事務所で採用されていて、会計事務所向けのシステムとデータ連動が可能になっているため連係が図りやすいという利点があります。
予算実績管理や部門管理などに対応しているほか、印刷できる帳票の種類が豊富にそろっています。入力方法は帳票入力が基本で、仕訳伝票のインポート・エクスポート機能はあるもののCSV形式のデータの取り込み機能に関してはあまり使い勝手がいいとは言えないため、中級者以上向けの会計ソフトと言えるかもしれません。経理経験があり、仕訳の入力になれている方であれば問題はないでしょう。
コスト面ではかなりパフォーマンスがよく、電話サポートは有償になりますが、メールでのサポートなら無料で対応してくれます。機能性は高いので、自分たちである程度できる方でコストを抑えたいという方に向いているソフトになります。
・わくわく財務会計
わくわく財務会計は株式会社ピクシスが提供する会計ソフトになります。こちらは小規模企業に向いているソフトになりますが、もう少し大きな企業向けに、ネットワークに対応したらんらん財務会計というソフトも用意されています。らんらん財務会計は1本のソフトでパソコン5台までインストール可能で、経理処理を複数のメンバーで行っている会社や、店舗ごとにソフトを入れたい場合など、色々なパターンに対応することができます。
メニュー構成がシンプルで使いやすいのが特徴で、機能は少ないものの「経営ツール」というメニューから売上推移や財務構成、損益分岐点などをグラフで簡単に出力できます。サポート料金は無料で、メール、FAXでの問い合わせに対応しています。
また、株式会社NTTデータが提供する税務申告ソフト「達人シリーズ」とのデータ連動が可能で、こちらのソフトを使用している会社や、顧問税理士・公認会計士が使用している場合には、確定申告の処理をスムースに行うことができます。
機能はシンプルでいいからコストを抑えたいという方に向いているソフトになります。特に、らんらん財務会計は、低コストでネットワーク対応型の会計ソフトを導入したい方には魅力的だと思います。
・財務応援
財務応援はプリンタなどでもおなじみのセイコーエプソン株式会社が提供する会計ソフトです。ベーシックな機能のLite+と任意で項目や帳票をカスタマイズでき、複数台のネットワークに対応したPremiumが用意されています。
振替伝票の入力画面がコクヨ形式になっていて、紙の帳簿に記帳するのと同じ感覚で仕訳入力ができるのが特徴。好みにもよりますが、特に昔ながらの経理を経験している方には慣れ親しんだフォームですので、新規に導入した場合でも抵抗なく入力できます。また、入力月をタブのクリックだけで変更できたり、現金出納帳の入力画面が用意されていたりと、入力のしやすさを追求したつくりになっています。
出力できる帳票類も豊富に用意されていて、財務状況や経営分析などに役立てることができるほか、Premiumになるとシミュレーション機能もあり、損益予測や決算シミュレーションも可能になっています。
サポートは電話、FAXに対応している以外にも、遠隔サポートにも対応しており、必要に応じて、専属のオペレーターとパソコンの画面を共有しながらサポートを受けることができます。
法人向け会計ソフト(クラウド型)
・会計freee
会計freee(フリー)はfreee株式会社が提供する会計ソフト。クラウド型会計ソフトの先駆け的な存在で、クラウド型会計ソフトシェアNo.1を誇っています。
クラウド型の特徴でもありますが、金融機関やクレジットカード会社のみならず、電子マネーやインターネット通販サイト、POSレジ、そのたビジネスサービスとのデータ連係が可能で、データ取り込みにより一括で自動仕訳することが可能。見積書、納品書、請求書の作成機能もあり、請求書を作成した場合には自動的に仕訳も作成されます。スマホアプリも用意されていて、金融機関等のデータの自動取り込みから一括仕訳登録までパソコンと同様の機能が備わっているので、外出中に空いた時間や電車での移動時間などでも簡単に仕訳入力ができます。
会計freeeの仕訳入力方法は、かなり独特な仕様になっています。もともと、簿記の知識がなくても経理処理ができるというのをコンセプトにしているため、借方・貸方を意識しなくても、数字のプラス・マイナスで直感的に入力することができ、経理初心者でも簡単に入力ができます。ただ、逆に言うと、通常の経理処理に慣れている方には使いづらいかもしれません。
経理のことがよく分からないフリーランサーや小規模事業者をターゲットに作られたソフトでしたが、会社設立に必要な法人登記やその後の手続きを行う「会社設立freee」や、給与計算や労務手続きを行う「人事労務freee」といったソフトもリリース。さらに、現在は機能性もアップしていて、中堅企業のバックオフィス全体をサポートするクラウドERP freeeというサービスの提供も開始しました。これから、ますます発展していくことが期待されるソフトです。
・弥生会計オンライン
弥生会計オンラインは弥生株式会社が提供する会計ソフト。インストール型会計ソフトでご紹介した弥生会計のクラウド版になります。
インストール型での実績に裏打ちされたインターフェイスで、これまでの会計ソフトに慣れている人には使いやすく、入力もスムースにできると思います。ただ、入力方法もいくつか用意されているものの、他のクラウド型会計ソフトにくらべると少なく、経理初心者の方には少し難しいと感じられるかもしれません。どちらかというと、経理経験者向けのソフトであると言えます。
「スマート取引取込」という機能を使用して、金融機関やクレジットカード会社のデータと連携して、データの自動取込、仕訳登録が可能です。しかし、弥生会計オンラインはクラウド型への参入としては後発組になるため、今のところ連係可能なデータがやや少なめとなっています。
会計ソフトとしては非常にオーソドックスなつくりになっているので、インストール型の弥生会計やその他の基本的な会計ソフトからクラウド型に乗り換える場合には、この弥生会計オンラインは違和感なく使いこなせると思います。クラウド型の中では経理経験者の方に最も向いているソフトかもしれません。
・MFクラウド会計
MFクラウド会計は株式会社マネーフォワードが提供するクラウド型会計ソフトになります。前述の会計freeeと人気を二分しており、よく比較対象にされています。
MFクラウド会計の一番の強みは、データ連係機能の幅広さにあります。金融機関やクレジットカード会社、インターネット通販サイトなどとの連係は他のクラウド型会計ソフトでもできるのですが、MFクラウド会計は定番のサイトのほとんどを網羅しているのではないかというくらい色々なサイトとの連係が可能になっています。さらに、同じMFクラウドシリーズに給与計算ソフトのMFクラウド給与、経費精算ソフトのMFクラウド経費、入金管理ソフトのMFクラウド消込などがあり、それらのソフトとデータ連係することで業務を効率的に進めることができるようになります。
入力方法も色々なパターンが用意されていて、通常の仕訳入力をする「振替伝票入力」、取引内容を選ぶだけで仕訳入力できる「簡単入力」、帳票形式で入力できる「仕訳帳入力」など、経理初心者から経理経験者まで、どんな人でも使いやすいように設計されています。
使いやすさ、機能性の高さ、サポート体制など総合的な観点から実力の高いソフトであると言えると思います。
法人向け会計ソフト(ERP型)
・Dynamics 365
Dynamics 365はマイクロソフト社が提供するERPソフトになります。世界中の様々な業種の企業で導入されていて、ExcelやWordなどマイクロソフトの製品であるOfficeとの連係可能なシステムになっています。
Dynamics 365の中の会計機能に日本独自の商慣習に対応したアドオン機能が提供されていて、企業の要件に合わせたシステムの構築が可能になっています。ERPのメリットである業務の一元化による各システムからのデータ連動はもちろん、振替伝票形式による入力にも対応しています。
子会社や拠点間のデータ連動にもしており、グローバルでの複数拠点間による会計データの統合が可能。グローバル展開を目指す企業にも向いているERPシステムになります。
・NetSuite
NetSuiteはネットスイート株式会社が提供するクラウド型のERPシステムです。財務会計、顧客管理、Eコマースなどを含む主要な業務システムを一元管理できるソフトウェアで、
全世界で40,000社を超える企業に導入されています。
NetSuiteはすべてのシステムがクラウドで提供されるため、アカウントを取得するだけですぐに利用が可能になります。海外拠点で使用する場合でもアカウントを取得することで使用することができるため、現地でシステムスタッフを必要がありません。
従来の会計ソフトから移行した実績も数多くあり、また、国内外の税務管理可能なシステムを実現しているため安心感があります。企業の今後の成長を見据えて導入する企業も多いようです。
個人事業主向け会計ソフト(インストール型)
・やよいの青色申告
やよいの青色申告は弥生株式会社が提供する個人事業主向けの会計ソフトです。法人向け会計ソフトで紹介した弥生会計の個人事業主向けバージョンで、弥生会計と同様に販売シェアNo.1を誇っています。
機能面でも弥生会計と同様、クラウド機能を兼ね備えており、金融機関やクレジットカード会社とのデータ連係が可能で、データの自動取込やAIによる自動仕訳する機能があり、また、会計データをクラウドに保存、共有することもできます。簿記の知識がなくても仕訳入力ができる「かんたん取引入力」という入力方法が用意されていて、勘定科目が分からなくても仕訳入力ができるようになっています。
全国の青色申告会でも推奨されているソフトで、これまでの実績もあることから、確実なものを選びたい方におすすめの会計ソフトになります。
・みんなの青色申告
みんなの青色申告は、会計王を提供するソリマチ株式会社が販売している個人事業主向け会計ソフトです。
業種を選択するだけで、その業種の標準的な勘定科目が自動設定されるテンプレートが用意されており、当てはまる業種がない場合でも画面上の質問に答えていくだけで設定できる「らくらくエスコート」という機能も備えています。メニュー画面もアイコン形式のシンプルで直感的なインターフェイスになっていて、やらなければいけない順に時系列で整理された親切な画面設計になっています。
金融機関やクレジットカード会社とのデータ連係による自動仕訳にも対応。データのバックアップも自動でクラウド上に保存されるなど、インストール型でありながらクラウド機能も兼ね備えています。
経理のことが分からない人にもとても分かりやすいつくりになっており、電話でのサポートも低価格で提供しているので、経理初心者でも安心して使えるソフトになります。
・ツカエル青色申告+確定申告
ツカエル青色申告+確定申告はビズソフト株式会社が提供する個人事業主向け会計ソフトです。「使いやすい。見やすい。分かりやすい。」をコンセプトに、シンプルで分かりやすい設計になっています。
簿記の知識がなくても仕訳入力ができる「かんたん取引帳」という機能は、取引内容をクリックして日付を選択、金額を入力するだけで仕訳登録ができる便利な機能。勘定科目が分からなくても自動で処理してくれるので、経理に自信のない方でも安心です。
確定申告する際にも、所得税確定申告書の印刷が出来るのはもちろん、電子申告にも対応していて、国税庁の電子申告システムであるe-Tax用のデータを作成することができます。
部門管理や残高推移表といった集計機能がオプションになっているため別途料金がかかってしまいますが、オプションが不要ということであればコストを低く抑えられるソフトになっています。コストパフォーマンスと使いやすさを重視する方におすすめです。
・MJSかんたん!青色申告
MJSかんたん!青色申告は株式会社ミロク情報サービスが提供する会計ソフトです。MJSかんたん!法人会計の個人事業主向け版になります。
MJSかんたん!法人会計は、どちらかというと中級者以上の方に向いているソフトでしたが、MJSかんたん!青色申告は個人事業主向けに初心者でも入力がしやすいように工夫がされています。「らくらく仕訳ウィザード」という機能は取引の種類を選択し、その中から取引内容を選ぶだけで仕訳入力ができるので、簿記の知識がない方でも仕訳入力が可能になっています。
また、経費按分機能があり、自宅を事務所として兼用している場合には、あらかじめ家事消費割合を登録しておくだけで、家賃や水道光熱費などの費用を自動的に家事用と事業用に按分計算してくれます。
サポート体制は法人向けと同様に電話とメールに対応しており、メールでの問い合わせは無料、電話での問い合わせもスポット対応が可能なので、毎月のサポート料を払う必要がありません。
・Macの青色申告
Macの青色申告はマグレックス株式会社が提供する個人事業主向け会計ソフト。インストール型の会計ソフトは、Windows用のものがほとんどなのでMacで使えるソフトは貴重です。
入力方法は現金出納帳、預金出納帳などの帳簿形式と、振替伝票、仕訳帳などの伝票形式に対応しており、入力画面は用紙をイメージした手書き感覚のインターフェイスになっています。また、オリジナルのiPhone専用アプリの「iChoubo」と連係が可能になっており、外出先などでレシートや領収書の入力をすることが可能。アプリに入力したデータはiTunes経由でソフトに取り込むことができます。
サポートはメールとFAXのみになりますが無償で受けることができます。デザイナーやクリエイターという業種ではMacを使用している方も多いので、インストール型の会計ソフトを探している場合には、こちらのソフトを利用してみましょう。
・フリーウェイ経理Lite
フリーウェイ経理Liteは株式会社フリーウェイジャパンが提供する会計ソフトです。こちらのソフトの特徴はなんと言っても無料なところです。無料で使える期間に制限ははく、インストールはもちろんバージョンアップも無料です。
無料のソフトだからといって機能性が低いということはありません。入力形式は仕訳形式と出納表形式が用意されていて、検索機能も充実。経理初心者向けの入力形式はないものの、簿記の知識がある程度ある方ならキーボードのみで軽快に入力できる設計になっています。
帳票類も経営分析表やキャッシュフロー計算書などは有料版でないと出力できないものの、基本的なものはすべて出力可能なので、確定申告には十分対応することができます。また、同じフリーウェイシリーズのフリーウェイ給与計算やフリーウェイ販売管理といった無料ソフトと連係できるので、使いこなせれば大変便利です。
このソフト単体では確定申告できませんが、フリーウェイ確定申告という無料のクラウドソフトも用意されており、このソフトと連係することで所得税確定申告書を作成することができます。無料版ではサポートを受けることはできませんが、自分である程度できる方でしたらこのソフトを使ってみてはいかがでしょうか。
個人事業主向け会計ソフト(クラウド型)
・freee
freee(フリー)はfreee株式会社が提供する会計ソフト。もともとフリーランスで活躍する個人事業主向けに作られた会計ソフトのため、簿記の知識がなくても経理処理から確定申告までできるような設計になっています。
freeeの入力方法は、ほとんどがデータ連係でできるようになっています。金融機関やクレジットカード会社のデータと連携して入出金等のデータを自動で取りこみ、内容を確認して一括で仕訳登録ができるようになっています。また、レシートや領収書についても、スマホで撮影するか、スキャナーで取り込むことで金額や使用用途を自動で読み込み、仕訳を推測してくれるので、その内容を確認して登録するだけになります。
仕訳を手入力する場合でも借方・貸方といった一般的な仕訳入力をする画面がなく、金額のプラス・マイナスで直感的に入力ができるようになっています。簿記の知識がない方にはとても分かりやすい仕様ではありますが、一方で、経理経験者の方のように簿記になれている方には少し分かりづらいかもしれません。
確定申告についても、画面上で質問に答えていくだけで所得税確定申告書を作成することができます。簿記の知識がなくても日々の経理処理から確定申告書の作成まで一貫してできるように、よく考えられた会計ソフトだと思います。無料でお試しもできるので、一度試してみてもいいかもしれません。
・やよいの青色申告オンライン
やよいの青色申告オンラインは弥生株式会社が提供する会計ソフト。弥生会計オンラインの個人事業主向け版になります。
法人向けの弥生会計オンラインと同様に「スマート取引取込」という機能を使用して、金融機関やクレジットカード会社のデータと連携して、データの自動取込、仕訳登録が可能になっています。弥生会計オンラインとの違いは、簿記の知識がなくても仕訳入力できる「かんたん取引入力」という機能が用意されている点にあります。弥生会計オンラインでは、簿記の知識がある程度必要でしたら、やよいの青色申告オンラインでは初心者でも入力がしやすいように設計されています。また、他のクラウド型ソフトと同様にスマートフォンからの入力も可能になっています。
所得税確定申告書の作成も可能で、画面の案内に沿って入力していくことで完成するようにできています。ただし、第三表、第四表には対応していないため、事業以外の一定の収入がある方や、赤字申告をする必要が場合には他のソフトを選択するか、第三表、第四表にも対応しているインストール型のやよいの青色申告を利用するといいでしょう。
・MFクラウド確定申告
MFクラウド確定申告は株式会社マネーフォワードが提供するクラウド型会計ソフトで、法人向けのMFクラウド会計の個人事業主向け版になります。
MFクラウド会計と同様に、幅広いデータ連係機能に定評があり、金融機関やクレジットカード会社のほか、デビットカードやモバイルSuica、nanacoなどの電子マネー、AmazonやYahoo!ショッピング、楽天市場などのインターネット通販、PayPalやSquareのようなビジネスサービスにも対応。様々なデータを自動で取り込み、一括で仕訳登録することが可能になっています。
入力方法も、取引内容を選択することで仕訳入力ができる「簡単入力」、帳票形式で仕訳入力できる「仕訳帳入力」、通常の仕訳入力方式の「振替伝票入力」など色々なパターンが用意されていて、簿記の知識がない方から経理経験者まで対応可能となっています。
何名でもユーザー登録できるので、会計事務所などとデータを共有することもできます。法人向けのMFクラウド会計と同様に総合力の高いソフトであると言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ひと口に会計ソフトと言っても、インストール型、クラウド型、ERP型と種類があり、またソフトによって特徴がありました。多少コストがかかっても、会計ソフトを導入するメリットは大きいと言えます。事業の規模や業種、簿記に関する知識のレベルなどを検討して、ご自身に合った会計ソフトを選定する際の参考にしてください