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経営者になるなら知っておきたい会社設立前後の資金調達方法17選

会社設立する際には、事業内容や経営戦略、定款など、とても多くの事柄を決定しなくてはいけません。決定すべき事項の一つに、「資金調達の方法」があります。しかし資金調達と一口に言っても、その方法は非常に多く存在します。資金調達の方法ごとに、仕組みやメリット・デメリットは異なるため、ご自身の会社にあった方法を選ぶことが大事なポイントになります。今回の記事では、会社設立前後に役立つ資金調達の方法を17個ご紹介しますので、ご参考ください。

目次

1 知り合いや親戚からの借り入れ

知り合いや親戚からの借り入れ

1-1 資金調達の仕組み

この方法は、文字通り友達や職場の同僚、親や兄弟など、親しい間柄の人からお金を借りる方法です。信用力のない若いうちに起業する場合などは、この方法で資金調達するケースが多いです。あくまで借り入れなので、事業が軌道に乗った段階などで返済を始めなくてはいけません。

1-2 この資金調達方法を用いるメリット

この資金調達の方法には、次の二つのメリットがあります。

一つ目のメリットは、返済計画について比較的自由に決定できる点です。銀行などの機関から借りる場合とは異なり、すでに親しい間柄でお金の貸し借りを行います。そのため、お金の返済期間については、けっこう自由に決定できる場合が多いです。また場合によっては、無利子で資金調達できる可能性もあります。

二つ目のメリットは、面倒な手続きなどを経ずに手軽に資金調達できる点です。他の資金調達方法とは異なり、事業計画や過去の経歴などを厳しく審査されることもなく、比較的簡単にお金を借りることができます。ケースバイケースですが、早ければその日中に資金調達できることもあるでしょう。

1-3 この資金調達方法を用いるデメリット

親しい人からの資金調達では、ここでお伝えする二つのデメリットに注意しなくてはいけません。

最も注意すべきデメリットは、相手との関係が悪化するリスクがある点です。快くお金を貸してくれる人がいる一方で、中にはお金を要求されることに不快感を示す人も少なくありません。お金を貸して欲しいと言っただけで、親しい友人関係が悪化するリスクは十分考えられます。また、たとえ当初は快く貸してくれても、事業がうまくいかずに計画通りに返済できないと、口論となり関係が悪化する可能性もあります。最悪の場合訴訟にまで発展する可能性もあるので、十分注意しましょう。

二つ目のデメリットは、資金調達できる金額が少ない傾向がある点です。これはその人の友人関係にもよりますが、基本的に一般人から借りることのできる金額は多くて100〜200万円程度です。大きなスケールで事業を行うとなると、このくらいの金額ではやや心もとないでしょう。会社設立当初から大規模なスケールで事業を行いたい方は、他の資金調達方法を選ぶのが得策です。

知り合いや親戚からの借り入れメリット/デメリット

2 日本政策金融公庫が行う創業融資

日本政策金融公庫が行う創業融資

2-1 資金調達の仕組み

これは、日本政策金融公庫が行なっている創業融資を受ける方法です。日本政策金融公庫とは、一般の金融機関が行う融資を補完することを目的として運営されている期間であり、設立されたばかりの会社や地域の活性化に資するビジネスを行う会社などを資金面から支援しています。

そんな日本政策金融公庫が会社設立を検討している経営者に向けて行なっているのが、創業融資(新創業融資制度)です。こちらの制度は、新しく事業を始める方、または事業開始から税務申告を二期終えていない方が活用できる制度であり、最大で3,000万円まで融資を受けることができます。

2-2 この資金調達方法を用いるメリット

新創業融資制度により資金調達する最大のメリットは、原則無担保・無保証人でお金を調達できる点です。銀行などから資金調達する場合、基本的には経営者自身が保証人となる必要があります。一方でこの制度を利用すれば保証人とならずに済むため、仮に会社が倒産してしまっても、経営者自身が借入金を返済する必要はありません。

また、申請してから比較的早く資金調達できる点もメリットです。一般的なケースだと、申し込みから約一ヶ月で融資を受けることができるため、すぐにお金が必要となる会社設立の前後ではとても魅力的な制度です。

加えて、実績がない会社設立前後でも融資を受けやすい点も、新創業融資に特有のメリットの一つです。

2-3 この資金調達方法を用いるデメリット

新創業融資制度にデメリットはないと言えるでしょう。強いて挙げるとすれば、融資なので返済が必要であること、地方自治体などが行う制度融資と比べると金利が若干高い点です。

とはいえ、銀行などから融資を受ける場合と比べると、はるかに有利な条件で資金調達することができます。この点は、会社設立前後の経営者をターゲットとしているからこその魅力でしょう。

日本政策金融公庫が行う創業融資メリット/デメリット

3 銀行による直接融資(プロパー融資)

銀行による直接融資(プロパー融資)

3-1 資金調達の仕組み

多くの経営者にとって馴染みのある資金調達の方法といえば、銀行による融資で間違い無いでしょう。なお銀行から融資を受けるといっても、信用保証協会を挟む場合と挟まない場合で、資金調達の仕組みが異なります。この章では、信用保証協会を挟まない形で行う融資(プロパー融資)について解説します。

3-2 この資金調達方法を用いるメリット

銀行による直接融資を受ける方法には、次にあげる二つのメリットがあります。

一つ目のメリットは、保証料が無料となる点です。信用保証協会を介して銀行から融資を受ける場合、年間で融資額の1%前後もの保証料を支払う必要があります。一方でプロパー融資であればこの保証料が不要となるため、支出を減らす効果が期待できます。

プロパー融資を受ける二つ目のメリットは、資金調達の金額に上限がない点です。信用保証協会を介した融資の場合、会社設立からの経過年度などにより、融資額に上限があります。銀行からの直接融資ではこの上限がないため、会社にとって必要なだけ資金を調達することができます。

3-3 この資金調達方法を用いるデメリット

一見するとメリットの多いプロパー融資ですが、致命的なデメリットがあります。そのデメリットとは、審査が非常に厳しくかなり信用力のある企業でなければ資金調達できない点です。

これほど有利な条件で資金調達できるのは、銀行側がその企業を信用しているからに他なりません。銀行から信用してもらうには、良い業績を出していたり、経営者に十分な実績がある必要があります。

よって、会社設立したばかりの時期は、プロパー融資を受けられる可能性はあまり高くないと考えた方が賢明です。事業が軌道に乗ってきて、ある程度業績が安定してきたらこの資金調達方法にチャレンジしてみても良いでしょう。

銀行による直接融資(プロパー融資)メリット/デメリット

4 信用保証協会による制度融資

信用保証協会による制度融資

4-1 資金調達の仕組み

会社設立前後に銀行から借り入れを行う場合、一般的には信用保証協会を介するケースがほとんどです。信用保証協会を介して行われる融資は「制度融資」と呼ばれます。信用保証協会を介した制度融資は、万が一資金を返済できなくなった場合に、信用保証協会がその返済を代わりに行う仕組みとなっています。

融資を行う銀行などの金融機関にとってはリスクが小さいため、会社設立したばかりの会社でも比較的この制度を利用しやすくなっています。

4-2 この資金調達方法を用いるメリット

会社設立前後の時期において、この資金調達方法を用いるメリットは次の三つです。

一つ目のメリットは、他の借り入れ制度と比べると低金利で資金調達できる点です。地方自治体などによる制度融資であれば、1%未満の金利で融資を受けられるケースもあります。

二つ目のメリットは、審査の基準が比較的ゆるい点です。確実な返済を重視するプロパー融資と比べると、事業内容の将来性や事業に対する姿勢も重視するため、会社設立したばかりの経営者でも資金調達できる可能性が高いです。

4-3 この資金調達方法を用いるデメリット

すぐにお金を事業に回したい会社設立前後の時期において、資金調達するまでに時間がかかる点は手痛いデメリットとなるでしょう。約一ヶ月で資金調達できる創業融資とは異なり、資金を受け取るまでに約二、三ヶ月かかると言われています。

今すぐ使える資金が欲しい場合には、別の方法で資金調達する必要があります。

信用保証協会による制度融資メリット/デメリット

5 ビジネスローン

ビジネスローン

5-1 資金調達の仕組み

ビジネスローンとは、中小企業や個人事業主を対象として作られたローンです。もう少し具体的に言うと、信用面や業績面などを理由に、プロパー融資や信用保証協会による制度融資を利用できない企業を対象としています。

ビジネスローンは、消費者金融や銀行が行なっているローンの一商品となります。なお申請してから資金調達できるまでの期間は基本的に1〜2週間程度ですが、消費者金融のビジネスローンの中には即日〜2日程度で資金を受け取れるものもあります。

5-2 この資金調達方法を用いるメリット

ビジネスローンには、主に三つのメリットがあります。一つ目のメリットは、無担保・無保証人で資金調達できる点です。創業融資と同様に、経営者の背負うリスクは小さくなります。

二つ目のメリットは、審査がプロパー融資や制度融資と比べると甘い点です。先ほどお伝えしたように、ビジネスローンは通常の融資を受けられない事業者を対象とした商品です。そのため、当然他の制度と比べると審査はゆるいわけです。

三つ目のメリットは、比較的短時間で資金調達できる点です。通常で1〜2週間、早くて即日からお金を受け取れるため、今すぐ事業で必要な資金が欲しいという場合にはとても役に立ちます。

以上のメリットがあるため、会社設立したばかりの時に借り入れを行いたい場合にはとても役立ちます。

5-3 この資金調達方法を用いるデメリット

会社設立したばかりの経営者にとって魅力的なメリットが並ぶビジネスローンですが、金利が他の融資よりも高い点は無視できないデメリットです。

これまでご紹介した融資制度では、金利が大体1〜3%程度でした。しかしビジネスローンの場合、3%〜9%程度と高金利です。中には15%程度もの金利が設定されているビジネスローンも存在します。

金利が高いということは、毎回元本の返済に加えて利子の支払いでかなり多額の支出が発生するということです。会社設立の直後は、たいていの場合まだ十分な収益が発生していません。にもかかわらずビジネスローンの利子支払いが発生してしまうと、資金繰りが急激に悪化し、事業の継続が困難となるおそれもあります。

すぐに有利な条件で借り入れできる点は魅力的ではありますが、デメリットも大きいので会社設立直後にこの方法を用いる際には十分注意しましょう。

ビジネスローンメリット/デメリット

6 ファクタリング

ファクタリング

6-1 資金調達の仕組み

ファクタリングとは、企業が所有している売上債権を売却する形で現金を得る資金調達の方法です。売上債権とは、商品やサービスを販売した際の代金を後から受け取れる権利を意味し、売掛金などが該当します。

通常商品を購入したら、その場で代金を支払う必要があります。しかしBtoBビジネスの場合、購入代金を後から支払うケースが多々あります。そのため、BtoBビジネスでは、商品やサービスを販売してから実際に代金を得るまでに時間のラグが発生するケースが少なくありません。

そんなタイムラグの要因となる売上債権を売却し、今すぐに資金を得る手段こそがファクタリングなのです。

6-2 この資金調達方法を用いるメリット

ファクタリングによる資金調達には、以下二つのメリットがあります。一つ目のメリットは、資金を最短即日から調達できる点です。資金調達までに何週間もかかる融資とは異なり、ファクタリングでは最短即日から現金を得ることが可能です。会社設立直後の時期は、急な出費で現金が必要となるケースが少なくありません。そんな時に即日で資金調達できる点は、ファクタリングの魅力的なメリットです。

二つ目のメリットは、厳格な審査を得ずに資金調達できる点です。ファクタリングは借り入れではなく「資産の売却」に分類される行為であるため、売掛金の回収可能性を証明できれば、その会社自体の業績が悪くても資金を調達できる可能性があります。

6-3 この資金調達方法を用いるデメリット

一方でファクタリングには二つデメリットがあります。一つ目のデメリットは、資金調達の際に手数料が発生する点です。すぐに売上債権を換金できる一方で、ファクタリング業者に対して比較的高い手数料を支払う必要があるため、満額手元に残すことはできません。

二つ目のデメリットは、そもそもファクタリング自体が絶対的な資本を増やす行為ではない点です。借り入れや後述する出資では、事業に活用できる資本の絶対量が増えます。一方でファクタリングは、あくまで売上債権を早期に現金化する手段であり、資本を増やす行為ではないので注意しましょう。

ファクタリングメリット/デメリット

7 私募債の発行

私募債の発行

7-1 資金調達の仕組み

ややマイナーな方法ではあるものの、私募債の発行も会社設立直後に活用できる資金調達の手段です。私募債の発行とは、社債(会社の債権)を発行・交付する形で行う資金調達の方法です。

会社設立した直後の場合は、「少人数私募債」と呼ばれる方法を活用するケースがほとんどです。この方法では、50人未満の相手に対して社債を発行し、合計で1億円未満の資金調達が可能です。

社債であるため、定期的に利息を支払う必要があるほか、最終的には元本を一括で返済しなくてはいけません。

7-2 この資金調達方法を用いるメリット

私募債の発行による資金調達のメリットは、融資とは異なり会社側が利息の利率や返済期間などを自由に設定できる点です。今後の事業計画などをもとに柔軟な設計ができるため、利子や元本の支払いで資金繰りが悪化するリスクを低減させることが可能です。

また、個人間による単なる貸し借りと比べると、法的な取り決めによって資金調達できる点もメリットとなります。個人間でのお金の貸し借りで起きがちなトラブルを回避できるでしょう。

7-3 この資金調達方法を用いるデメリット

一方で私募債による資金調達は、会社設立後の企業にとって二つのデメリットがあります。

一つ目のデメリットは、原則必ず決まった時期に元本を一括返済しなくてはいけない点です。銀行などからの借り入れの場合、業績が悪化した場合など返済時期を猶予してもらうことができます。一方で私募債を利用した場合、原則よほどのことがない限り、あらかじめ設定した時期に元本を全額返済する必要があります。会社設立から数年後に業績がどうなっているか予測できない以上、この点は手痛いデメリットに感じられます。

二つ目のデメリットは、私募債を引き受けてくれる人物を探す必要がある点です。創業融資や制度融資の場合、それぞれを取り扱っている機関に出向けば、条件を満たすことで資金調達を果たせます。ですが私募債の場合は、自身で私募債を引き受けてくれる相手を見つけなくてはいけません。とくに会社設立前後の時期は、まだ十分な実績や業績を出せていないため、旨味を感じて私募債を引き受ける人を探すのが難しいです。

私募債の発行メリット/デメリット

8 不動産を担保にしたローン

不動産を担保にしたローン

8-1 資金調達の仕組み

不動産担保ローンとは、所有している不動産(物件や土地)を担保にして資金調達を実施する方法です。

銀行の場合は、法人への融資の際に不動産を担保として設定するケースが一般的なので、わざわざ「不動産担保ローン」という名称は用いていません。一方で銀行以外の金融機関の中には、法人向けに不動産担保ローンを行なっているところが存在します。

不動産を担保にした場合、担保とする不動産の評価額の範囲内で資金調達することができます。具体的には、銀行ならば約50%、銀行以外の機関ならば約70%の割合を借り入れ可能です。

8-2 この資金調達方法を用いるメリット

不動産担保ローンを用いて資金調達するメリットは、担保とする不動産の評価額次第で多額の借り入れを行える点です。前述したように不動産評価額に応じて借り入れ限度額が決まるため、評価額次第では数千万円〜数億円の資金調達が可能となります。

また、不動産を担保とした場合は借り入れの期間を長期で設定できます。10〜30年ローンで資金調達できるため、元本返済で資金繰りが悪化するリスクを小さくできます。

8-3 この資金調達方法を用いるデメリット

不動産担保ローンを用いた資金調達には、次にあげる二つのデメリットがあります。一つ目のデメリットは、返済不能と判断された場合に不動産を売却されてしまう点です。当たり前ですがこの資金調達方法では不動産を担保とするため、返済できなくなった場合には、貸した側は不動産を売却して資金を回収します。

二つ目のデメリットは、会社設立直後はこの方法を使いにくい点です。会社設立したばかりの状況では、規模の大きな不動産を所有しているケースはほとんどありません。そのため、不動産を所有していない場合には、別の方法で資金を調達しなくてはいけません。

不動産を担保にしたローンメリット/デメリット

9 資本性ローン

資本性ローン

9-1 資金調達の仕組み

資本性ローンとは、日本政策金融公庫が取り扱っている「資本」の性質を持った融資です。どういうことかというと、資本性ローンにより調達した資金が、会計上は負債とみなされるものの、金融機関からは「自己資金」とみなされます。

資本性ローンは、通常の制度融資やプロパー融資、創業融資とは異なり、あらかじめ設定した時期(公庫のものでは原則18年後)に元本を一括で返済する仕組みとなっています。元本を返済するまでの間は、利息を返済するのみとなります。

また資本性ローンには、「他の債務に対して劣後する」という特徴もあります。簡単にいうと、法的倒産などに陥った場合に、資本性ローンの返済が後回しとなることを意味します。

9-2 この資金調達方法を用いるメリット

信用力のない会社設立直後において、資本性ローンが「負債」ではなく「自己資本」と見なされる点はとても大きなメリットです。

民間の金融機関(銀行など)から資金調達する場合、「自己資本比率」を判断基準の一つとして用いられます。簡単にいうと、負債が多い(自己資本が少ない)ほど倒産のリスクが高いため、融資を受けにくくなってしまうわけです。

しかし資本性ローンは、負債ではなく自己資本とみなされるため、自己資本比率が低くなるどころか高くなるため、かえって融資を受けやすくなります。

9-3 この資金調達方法を用いるデメリット

会社設立前後に絶大なメリットを発揮する資本性ローンですが、高金利である点は無視できません。状況次第では5〜6%もの高利率になるケースもあるので、今後の資金繰りも考慮した上で利用しなくてはいけません。

また、原則返済を前倒しすることが認められない点もデメリットとなります。特に必要であると認められれば前倒しして返済することも可能ですが、その際には手数料がかかってしまいます。

資本性ローンメリット/デメリット

10 自己資金(自分で貯金する)

自己資金(自分で貯金する)

10-1 資金調達の仕組み

普段の労働や他の事業などで得た資金を貯金するのも、立派な資金調達の方法です。一般的に資金調達の方法というと、銀行などの金融機関からお金を借りたり、第三者から出資してもらう方法が思い浮かぶでしょう。ですが会社設立したからといって、必ずしも他の人から資金調達する必要はありません。

自分の貯金や他の事業収入の範囲内で事業を行えるのであれば、わざわざ資金調達する必要はないのです。

10-2 この資金調達方法を用いるメリット

自分自身で資金を用意する最大のメリットは、資金の返済や利子の支払いが全く必要ない点です。資金返済や利子の支払いが不要であるため、元本返済や利子支払いによる支出が収入を上回り、資金繰りが悪化するリスクはありません。

また、VCや個人投資家からの出資とは異なり、経営権を握られる心配もありません。完全に自分の考え方に沿って会社経営ができるのは大きなメリットです。

10-3 この資金調達方法を用いるデメリット

リスクを限りなくゼロにできるものの、自分自身の稼ぎや貯金のみでは、事業のスケールが大きくなりにくいデメリットがあります。

事業規模をスケールさせるには、広告を運用したり従業員を増やす必要などがあります。しかし自己資金のみでは、こうした広告宣伝費や人件費を賄いきれないケースがほとんどです。

小さな規模で事業を行うのであれば、自己資金のみで問題ないでしょう。しかし起業家の中には、大きなスケールで事業を行うために会社設立した方も少なくありません。大きなスケールで事業を行いたいならば、第三者による出資や負債などの力も必要となってくるのです。

自己資金(自分で貯金する)メリット/デメリット

11 ベンチャーキャピタル(VC)からの出資

ベンチャーキャピタル(VC)からの出資

11-1 資金調達の仕組み

会社設立直後に活用できる資金調達の手法の中でも、とくに有名なのがベンチャーキャピタル(VC)からの出資です。ベンチャーキャピタルとは、会社設立から間もないスタートアップに対して、高いリターンを期待して投資活動を行う組織です。

ベンチャーキャピタルから資金調達を受ける場合、これまでご紹介した融資とは異なり、出資という形態で調達することになります。具体的には、会社の株式をVC側に渡す代わりに資金を受け取ります。ベンチャーキャピタル側は、出資した企業の価値(株価)が上がった段階で、その株式を売却することでリターンを得ます。

11-2 この資金調達方法を用いるメリット

VCからの出資により資金調達する最大のメリットは、やはり何と言っても資金の返済が不要である点です。

資金の返済も利息の支払いも発生しないため、会社が倒産した際に経営者が返済義務を負わずに済みます。また、元本返済や利子の支払いにより、資金繰りが悪化するリスクもありません

11-3 この資金調達方法を用いるデメリット

返済義務のない点で、一見すると会社設立後の経営者にとって魅力的な方法に見えるかもしれません。しかしこの資金調達方法には、いくつか注意すべきデメリットもあります。

一つ目のデメリットは、自由に経営活動をできなくなる点です。株式会社では、所持している株式の割合に応じて行使できる権限が変わります。そのため、VCが一定割合の株式を持つことで、経営陣は自由に重要な意思決定を行えなくなります。

また、M&Aなどによるイグジットの際に得られる利益が小さくなる点もデメリットです。せっかく頑張って事業売却しても、その何割かをVCに持っていかれてしまうので注意しましょう。

ベンチャーキャピタル(VC)からの出資メリット/デメリット

12 エンジェル投資家からの出資

エンジェル投資家からの出資

12-1 資金調達の仕組み

エンジェル投資家からの出資とは、個人で将来有望なビジネスに投資を行う人に株式を渡し、出資してもらう形で資金調達する方法です。あくまで出資であるため、融資とは違い返済義務はありません。

なおエンジェル投資家の多くは、実際に自分で起業を経験した人や、M&Aにより事業売却に成功した人です。まだ十分な業績を出してない企業に対して、まるで天使のように資金を出してくれることから「エンジェル」と呼ばれているのです。

12-2 この資金調達方法を用いるメリット

エンジェル投資家からの資金調達には、主に2つのメリットがあります。一つ目は、出資の形態を取るため資金の返済や利子の支払いが不要である点です。VCからの出資と同様に、元本返済や利子の支払いにより資金繰りが悪化するリスクはありません。

二つ目のメリットは、経営のノウハウを教えてもらったり、利益に直結するような会社や人物を紹介してもらえる可能性がある点です。すでにビジネスで成功している人からお金を出してもらうため、有益なアドバイスや情報を得られるわけです。会社設立直後で右も左も分からない方にとって、このメリットはとてもありがたいものです。

12-3 この資金調達方法を用いるデメリット

まさに会社設立直後の経営者にとって天使と呼べるエンジェル投資家ですが、いくつか注意すべきデメリットもあります。

まず最たるデメリットは、VCからの出資と同様に経営権を握られるということです。基本的にエンジェル投資家からの出資を受ける場合には、議決権の株式を渡す必要があります。そのため、完全に経営者のみで意思決定できなくなる可能性があります。

また、そもそも資金を出資してくれる個人投資家とつながりを持つのが困難な点もデメリットの一つです。よほど自分自身の人脈が広かったりすでに何かしらの分野で実績を出している訳でない限り、会社設立したての経営者がエンジェル投資家と接点を持つのは難しいのが現実ではあります。

エンジェル投資家からの出資メリット/デメリット

13 クラウドファンディング

クラウドファンディング

13-1 資金調達の仕組み

近年注目を集めている資金調達の方法がクラウドファンディングです。クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数の人から資金調達する方法です。

クラウドファンディングは、お返しの有無やお返しの方法などにより、主に四つの手法に分けることができます。まず一つ目は、寄付型クラウドファンディングです。こちらは、寄付してもらう形で資金調達する方法です。寄付なので、資金の返済義務や株式の交付も不要です。ただし寄付という性質上、社会貢献性の高い事業でないと資金調達できない可能性が高いです。

二つ目の方法は、融資型クラウドファンディングです。こちらは不特定多数の人から資金を融資してもらう形で行うクラウドファンディングです。3つ目の方法は、株式投資型クラウドファンディングです。こちらは不特定多数の人に株式を交付し、出資してもらう形のクラウドファンディングです。

そして四つ目の方法は、購入型クラウドファンディングです。こちらは、お金を出してもらう対価としてサービスや商品を対価として渡す方法です。

13-2 この資金調達方法を用いるメリット

クラウドファンディングのメリットは、インターネット上で不特定多数の人から融資や投資などにより資金調達できる点です。従来資金調達というと、銀行などの金融機関かVCや個人投資家から出資してもらうしかありませんでした。そのため、実績や人脈のない会社設立直後では、資金調達が困難でした。

しかしクラウドファンディングの場合、全国各地から資金調達を行えます。事業の理念や収益性に賛同してくれる人さえいれば、たとえ人脈や実績がなくても資金を調達できるのです。

13-3 この資金調達方法を用いるデメリット

一方でクラウドファンディングは、会社設立後の経営者にとって注意すべきデメリットが二つあります。

一つ目のデメリットは、事業内容や商品が競合他社に模倣される可能性がある点です。そもそもクラウドファンディングは、商品や事業内容をネット上で幅広く公開し、資金を集める仕組みです。そのため、商品やサービスの内容を真似されてしまうリスクがあります。

二つ目のデメリットは、会社の知名度が広がってしまうため、失敗した場合に社会的な信用力を失うリスクがある点です。注目されればされるほど、失敗した際には「失敗した」というイメージがついてしまうので注意です。

クラウドファンディングメリット/デメリット

14 補助金や助成金

補助金や助成金

14-1 資金調達の仕組み

次にご紹介する方法は、国や公的機関から補助金や助成金をもらう資金調達の方法です。融資とは違い、資金の返済は必要ありません。加えて議決権を握られる出資とは異なり、株式を交付する必要もありません。つまり一定の条件さえ満たせば、タダで事業に必要な資金をもらえる資金調達の方法であると言えます。

なお補助金と助成金は、返済不要である点では共通していますが、資金調達を行える可能性の面で異なります。助成金の場合は、受給条件さえ満たせばほぼ必ず資金をもらえます。一方で補助金の場合は、受給条件を満たしていても審査に通らずに資金調達できない可能性があります。

以上のように若干の違いがあるため、会社設立直後の資金調達では、補助金と助成金の違いを明確にしておきましょう。

14-2 この資金調達方法を用いるメリット

助成金や補助金を利用する最大のメリットは、経営権を失わずに返済不要の資金を得られる点です。

資金の返済が不要であるため、元本返済により資金繰りが悪化するリスクや、会社が万が一倒産した際に経営者が返済義務を負うリスクがありません。また経営権を握られずに済むため、資金調達後も引き続き自由に意思決定を行えます。

14-3 この資金調達方法を用いるデメリット

返済不要である点で魅力的な補助金・助成金ですが、資金を受け取るまでに多大な時間や労力を要する点がデメリットとなります。

くわしい手続きは助成金・補助金の種類によって異なりますが、事業計画書の作成や登記簿謄本の取り揃えなど、面倒な手続きをいくつも行わなくてはいけません。また審査にも時間がかかるため、今すぐ資金調達したい場合には不向きです。

補助金や助成金メリット/デメリット

15 売掛金の回収

売掛金の回収

15-1 資金調達の仕組み

とても基本的な部分ですが、取引先から売掛金を早めに回収するのも、即効性がある資金調達の方法です。たとえば売上から入金までに一ヶ月のタイムラグがある場合、入金までの期間を半月にしてもらうだけで、資金繰りが楽になる場合があります。

必ずしも売掛金を早期に回収できるとは限りませんが、今すぐ資金が必要な際には交渉してみてはいかがでしょうか?

15-2 この資金調達方法を用いるメリット

この方法を用いる最大のメリットは、交渉次第では即日資金調達できる点です。今すぐ資金を調達する必要があるケースでは、融資や補助金を利用するのはほぼ不可能です。ビジネスローンを使えば即日から資金調達できる場合もありますが、金利が高いためなるべく使いたくない手段です。

一方で売掛金の早期回収は、そもそも自社の売上を回収する行為であるため、何もリスクがありません。交渉次第ではありますが、最短即日からお金を調達できる点は魅力的です。

15-3 この資金調達方法を用いるデメリット

売掛金の早期回収は、ファクタリングと同様に自社の売上を早く回収する行為に他なりません。そのため、資産の絶対量を増やす手段ではないので注意が必要です。

また、交渉次第では取引先との関係が悪化するリスクも考えられます。あまりお金のことばかり言っていると、どうしても印象はよくありません。どうしても売掛金を早期回収する必要がある場合には、細心の注意を払って交渉に臨みましょう。

売掛金の回収メリット/デメリット

16 資産の売却

資産の売却

16-1 資金調達の仕組み

会社設立直後に資金調達が必要となった場合、思い切って不要な資産を売却するのも一つの方法です。たとえば事業で使っていない機械設備や利益をもたらさない在庫品など、売却する余地のある資産は少なくありません。

また飲食店であれば食器など、業種によっても売却できる資産が変わってくるので、不要な資産がないか一度確認しておくと良いでしょう。

16-2 この資金調達方法を用いるメリット

資産の売却により資金調達する方法には、主に2つのメリットがあります。一つ目のメリットは、比較的すぐに資金調達できる点です。資産の種類にもよりますが、早いもので即日から現金化できるため、今すぐ事業にお金が必要なケースではとても役に立ちます。

二つ目のメリットは、不要な資産を保有することで発生する費用やスペースを削減できる点です。たとえば不必要な在庫を保有していると、在庫の保管や管理に費用がかかります。不動産であれば、税金などが費用として生じます。こうした費用やスペースは、利益に直結しないため完全に無駄なものとなっています。資産を売却すれば、資金を調達できるだけでなく、無駄なコストや場所の削減にもつながり、結果として効率的な経営が可能となります。

16-3 この資金調達方法を用いるデメリット

一方で無駄な資産を売却する方法には、下記2つのデメリットがあります。一つ目のデメリットは、会社設立直後だと無駄な資産がない可能性がある点です。長年事業を営んでいれば無駄な資産が増えてくるものの、会社設立したばかりの時期だと無駄な資産がそもそもない可能性があります。無駄な資産がないとこの方法を活用できないため、別の方法を模索しなくてはいけません。

二つ目のデメリットは、必ずしも希望する金額を調達できるとは限らない点です。一度使った資産を売却するため、思っていたよりも安値でしか買い取ってもらえないケースが多いです。そのため、一度に多額の資金調達を行いたいケースには向いていないと言えます。

資産の売却メリット/デメリット

17 M&A(事業売却・会社売却)

M&A(事業売却・会社売却)

17-1 資金調達の仕組み

最後にご紹介する資金調達の方法は、会社や事業を売却する方法、いわゆるM&Aです。

単なる資産の売却とは違い、M&Aでは会社の経営権や一事業部門の資産や権利義務を丸ごと売却する行為です。会社丸ごと売却する際には「株式譲渡」、事業のみ売却する場合には「事業譲渡」という手法が用いられています。

なおM&Aにより会社や事業を売却する際には、M&Aの仲介業者に買い手を探してもらうのが一般的です。

17-2 この資金調達方法を用いるメリット

M&Aにより資金調達する方法には、以下2つのメリットがあります。一つ目のメリットは、一度に多額の利益を得やすい点です。M&Aでは会社や事業丸ごと売却するので、優良なビジネスであれば数千万円〜数億円もの価格で売却できることもあります。

二つ目のメリットは、M&Aでイグジットしたという箔がつく点です。事業売却や会社売却は、ある程度実績がある会社でなければ行えません。そのため、M&Aにより資金調達すると、優秀な経営者として認識されるようになります。

17-3 この資金調達方法を用いるデメリット

一方で会社設立直後の経営者にとって、この資金調達方法には注意すべきデメリットが2つあります。

一つ目のデメリットは、事業売却や会社売却の実施に時間もコストもかかる点です。ご自身で買い手を探す場合は問題ないものの、仲介会社に買い手探しを依頼した場合、手数料として数百万円程度かそれ以上の手数料を請求されます。また買い手もすぐに見つかるとは限らず、買い手探しから売却までに数年かかることも少なくありません。

二つ目のデメリットは、そもそも初めて会社設立する経営者は、売却できるものがない点です。初めて会社設立したばかりだと、その会社はもちろん他に売れる事業や会社がありません。

以上の理由より、会社設立直後にこの方法で資金調達することは現実的には困難です。M&Aは、ある程度事業が軌道に乗った段階で活用する資金調達の方法であると言えます。

M&A(事業売却・会社売却)メリット/デメリット

18 まとめ

今回は、会社設立の前後で活用できる資金調達の方法を17種類ご紹介しました。お伝えしてきたように、資金調達の方法にはたくさんのものがあり、それぞれ使用に適している場面やメリット・デメリットが異なります。

会社設立前後に資金調達する際には、各方法の利点や問題点を十分比較検討し、ご自身の会社に最適の方法を活用することが大事です。

特に会社設立直後の場合、融資か出資のいずれかの方法を活用することがほとんどです。どちらも一長一短であるため、ビジネスモデルや事業計画を基に、リスクの低い方法を選択しましょう。

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