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業種別!会社設立のポイント(事業目的の書き方)

自分の夢を叶えるために、会社設立を行いたいと考える方は近年増えています。特に最近はインターネットが普及しているため、誰でも気軽に会社設立を行えるようになりました。会社設立する際には、あらかじめ業種(どのような事業を行うのか)を決めるのが一般的です。実は、どの業種で事業を行うかによって、会社設立の時に注意すべきポイントが変わってきます。会社設立と一口にいっても、全ての手続きを同じように行えるわけではありません。

特に業種によって異なるのが、事業目的の書き方です。会社設立する方が行う業種によって、事業目的に記載すべき内容は異なってきます。会社設立を経た上でビジネスを行いたい方は、前もって事業目的に何を記載すべきか考えておく必要があります。何も考えずになんとなく事業目的を記載してしまうと、後々の資金調達などの場面で損を被る恐れがあります。後悔しないためにも、事業目的は慎重に決定する必要があります。

この記事では、業種別の会社設立のポイントや事業目的の書き方についてわかりやすくお伝えします。今回は数ある業種の中から、特に会社設立で人気のある20業種およびNPO法人にフォーカスして解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

事業目的とは

そもそも事業目的とは一体どんなものなのでしょうか。まずは事業目的に関して最低限知っておくべき4つのことを解説します。

 

事業目的の意味

事業目的とは、会社設立を行う際に作成必須である「定款」の絶対的記載事項の1つです。定款とは、会社組織の運営に関連するルールを文章化したものであり、会社が守るべきルールを定めたものです。定款には、絶対に記載しなくてはいけない事項「絶対的記載事項」、定める場合には必ず記載する必要がある「相対的記載事項」、定めても定めなくても良い「任意的記載事項」の3つがあります。

絶対的記載事項には、商号や本店所在地といった事項を記載する必要があり、記載がされていないと定款全体が無効となります。この絶対的記載事項の一つに、事業の目的を記載するのです。つまり会社設立時には、必ず事業目的を明文化する必要があるわけです。

 

事業目的が満たすべき3つの要素

会社設立時に必須となる事業目的は、「営利性」、「明確性」、「適法性」の3要素をクリアしなくてはいけません。営利性とは、利益を得る目的の事業でなくてはいけないという条件であり、株式会社では必須となります。ボランティア活動や無償での奉仕活動は、営利性を満たしません。

明確性とは、一目見て事業を行う目的(内容)が明確にわかるようにするという条件です。たとえば不動産を販売する事業であれば、不動産を販売していることが一目見てわかる事業目的である必要があります。何をやっているか曖昧な事業目的は、明確性を満たしません。

そして適法性とは、事業目的は法律に違反していないことを条件としたものです。殺人や詐欺などの販売を事業目的にすると、当然ですが適法性を満たしません。

 

事業目的の数

会社設立する際、複数の事業を同時に行いたいと思う方もいると思います。その際、複数の事業目的を設定することはできるのでしょうか?結論から言うと、事業目的の数に制限はありません。極端な話、100個以上の事業目的を設定するのも可能です。

ただし事業目的をむやみやたらに増やすと、何をやっている会社か分からなくなり、銀行から融資を受ける際や取引先と商売を行うときなどに不利となる可能性があります。会社設立時に盛り込む事業目的の数は、多くても10件以内に抑えておくのが無難です。

注意していただきたいのが、事業目的の数が少なすぎるのはあまりオススメできない点です。会社が新しい事業を行う際には、原則事業目的にその内容が記載されている必要があります。事業目的を追加する際には登記費用がかかるため、前もって行いそうな事業については、事業目的を記載しておくのが無難です。

なお事業目的には、必ず「前各号に附帯する一切の業務」といった文言を記載しておきましょう。この文言を加えておくことで、既存の事業目的に関連していれば、比較的自由に事業を始めることができます。

 

事業目的の決定方法

会社設立が初めての方は、どのように事業目的を決定すれば良いか分からないかもしれません。その場合、自分がしたい事業内容を紙にでも書き出してみましょう。書き出した事業の内容を基に、それと類似していることを行なっている会社の事業目的を参考にすることで、比較的簡単に事業目的を決定することができます。ただし前述通り事業目的には3つの要素が必要となるので、実際に決める際は税理士や司法書士といった専門家に相談するのがオススメです。

各業種の事業目的の書き方

冒頭でもお伝えした通り、業種によって事業目的の書き方は異なります。事業目的を決定する際は、まずその事業が属する業界では、どのような事業目的が使われているのかを参考にするのがベストです。この項では、20業種それぞれの事業目的の書き方をご紹介します。

 

情報サービス業の事業目的

情報サービス業とは、市場調査や世論調査、ソフトウェアやハードウェア関連の事業を指します。非常に幅広い意味でいうと、ITやマーケティングに携わる業種であると言えます。情報サービス業は多岐にわたるので、自身の行う事業内容によって事業目的を使い分けるのが重要です。

そんな情報サービス業では、下記のような事業目的が活用されています。

  • 情報提供サービス業
  • 各種情報の収集および提供
  • 市場調査やマーケティング企画
  • ダイレクトマーケティングの企画や実施
  • 宣伝広告事業
  • ソフトウェアによる情報収集業
  • 情報処理に関する研究、開発

 

不動産業の事業目的

不動産業とは、土地や住居などの資産に関するビジネス全般を指します。不動産業と一口に言っても、売買や仲介、貸付、鑑定など、具体的な事業内容は様々です。

不動産業では、主に以下の事業目的が活用されています。

  • 不動産の売買、賃貸、仲介および管理業
  • 不動産の貸付業
  • 宅地造成、分譲および販売
  • 不動産鑑定評価業
  • アパート、マンションの管理
  • 不動産コンサルティング業
  • 宅地建物取引業

「売買」や「賃貸」、「仲介」など、複数の業務を総合的に取り扱いたい場合は、1つ目の事業目的のように、行う予定の業務を全て盛り込むのが良いでしょう。

 

人材派遣業の事業目的

人材派遣業とは、自社に登録している人材を他の会社に派遣して、その会社の指揮命令の下で労働してもらう事業形態です。通常の事業とは異なり、他の会社で働いてもらう点がこの業種の特徴です。

人材派遣業を行う際には、下記の事業目的を定款に盛り込むことが多いです。

  • 労働者派遣事業法に基づく人材派遣業務
  • 労働者派遣事業
  • 企業、各種団体への講師等人材派遣業務
  • 人材斡旋、人材紹介、人材派遣に関する業務
  • 幼児教育に関する講師の派遣業務
  • 技術者の派遣業
  • 学習塾講師等人材派遣業務

なお「労働者派遣事業」という文言の代わりに、「人材派遣業」という文言を活用することも一応問題ありません。ただし「労働者派遣事業」の方が正確な名称であり、場合によっては事業目的を修正するように求められる場合もあるので注意です。

 

金融業の事業目的

金融業とは、お金の取引を取り扱う業種であり、銀行や保険会社、貸金業者、証券会社などが該当します。ただしこれは広義の意味であり、狭義の意味では金融庁から認可を得た上で、金融業務を行う業者を指します。また、資金を活用して投資事業を行うことも、金融業に含まれると考えられます。

金融業の会社では、下記のような事業目的を活用するのが一般的です。

  • 第一種金融商品取引業
  • 第二種金融商品取引業
  • 投資運用業
  • 投資助言・代理業
  • 金銭の貸付業
  • 債務保証その他の金融業
  • 有価証券の投資、売買、保有

なお上から4つは、金融商品取引法に規定された金融商品を取り扱う業務で活用される事業目的です。有価証券の売買を行う場合は第一種、集団投資スキームなどの自己募集を行う場合は第二種、投資信託の運用を行う場合は投資運用業、そして投資顧問契約を結んだ上で投資の助言を行う場合は投資助言・代理業という事業目的を使います。

金融に関係するビジネスを始める際は、金融商品取引法に基づくと、どの事業目的が適しているかをあらかじめ調べておくのがポイントになります。

事業の内容によって、事業目的を使い分ける点には注意が必要です。

 

保険業の事業目的

損害保険や生命保険など、保険に関する業務を行う会社では、以下の事業目的を使用します。

  • 生命保険の募集
  • 保険代理店業務
  • 各種保険の代理業
  • 損害保険代理業務
  • 生命保険の募集に関する業務
  • 海上保険代理業
  • 自動車損害賠償保障法に基づく保険の代理業

保険業により会社設立する際には、自身が取り扱う保険の種類に応じて事業目的を記載するのがポイントです。一つの保険商品だけを販売するのであれば、「生命保険の募集」などと書けば良いですし、複数の保険商品を取り扱う場合は「各種保険の代理業」と記載すれば良いでしょう。

 

飲食業の事業目的

レストランをはじめとした食料品を提供するサービスは、一般的に飲食業と呼ばれます。飲食業の事業目的を決める際は、他の業種と同様に、飲食店のジャンルを考慮するのが一般的です。ただし「飲食店に経営」という風に、シンプルに事業目的を記載するのも可能です。

具体的に飲食店の会社設立では、下記のような事業目的が使用されます。

  • 飲食店の経営
  • レストランの経営
  • カフェバーの経営
  • 和食料理店の経営
  • 居酒屋の経営
  • フランチャイズによる飲食店経営
  • 飲食店の経営および食品の販売

 

製造業の事業目的

食品や金属製品、日用雑貨など、種類に関係なく何かを製造するビジネスは製造業に含まれます。製造業の事業目的を記載する際は、「製造」という文言と、製造する具体的な商品を記載するのがポイントとなります。

製造業の分野は多岐にわたるので、今回は代表的な事業目的をご紹介します。

  • 日用品の製造
  • 工業用プラスチック材料の製造
  • 化粧品の製造
  • 加工食品の製造
  • 繊維製品の製造
  • 金属加工機器の製造
  • プラスチック製品の製造

 

卸売業の事業目的

卸売業とは、商品流通のプロセスにおいて、製造と小売業の中間でビジネスを行うビジネスを指します。一般的には、製造業から商品を仕入れて、それを小売業に販売する会社が多いです。商品の種類は多岐にわたり、雑貨や食料品から、工業用の原材料などの卸売業で会社設立する方もいます。

卸売業の事業目的は、基本的には取り扱う商品を明示するのが一般的です。ただし複数の商品を取り扱う際は、「各種商品の卸売」と事業目的を記載するケースもあるようです。

  • 各種商品の卸売
  • 日用品雑貨の卸売
  • 加工食品の卸売
  • 繊維製品の卸売
  • 海外ブランド品の卸売

 

小売業の事業目的

小売業とは、メーカーや卸売業者から仕入れた商品を消費者に販売するビジネスです。日用雑貨や食料品など、販売する商品は多岐にわたります。小売業の事業目的は製造業や卸売業と同様に、取り扱う商品の種類と業種名(小売業の場合は「小売」)を明記するのが一般的です。

  • 各種商品の小売
  • 日用雑貨の小売
  • 食料品の小売
  • 衣料品の小売
  • 金属製品の加工機器の小売

なお会社設立する際に、製造から販売までを一貫して行うビジネスがしたい方もいると思います。そのような場合には、製造や卸売、小売という業種を一つの事業目的に複数記載します。たとえば食料品の製造と販売を行うのであれば、「食料品の製造および小売」という形で事業目的を記載します。

 

建設業の事業目的

建設業は、一人親方の形で会社設立するケースが多い業種です。建設業で会社設立する際には、建設業法で定められた業種名を用いるのが無難です。オリジナルの事業目的を記載してしまうと、後々建設業許可を取得する際に、事業目的の変更に手間がかかる恐れがあるからです。

建設業法に基づいた事業目的には、主に以下のものがあります。自身が行う事業内容に合わせて、会社設立時の事業目的を選びましょう。

  • 建築工事業
  • 土木工事業
  • 電気工事業
  • 塗装工事業
  • 解体工事業
  • 左官工事業
  • 機械器具設置工事業

 

運送業の事業目的

商品などを運ぶ仕事である運送業では、会社設立してビジネスを始める際に許可の取得が必要となります。運送業の許可をもらうには、自分が行う運送事業の種類に応じて適切な事業目的を記載する必要があります。

運送業で使われている事業目的には、主に以下のものがあります。

  • 一般貨物自動車運送事業
  • 貨物軽自動車運送事業
  • 一般乗用旅客自動車運送事業
  • 港湾運送事業
  • 航空運送事業

たとえばトラックを使う運送業であれば「一般貨物自動車運送事業」を使い、タクシー会社を営む場合は「一般乗用旅客自動車運送事業」を使います。事業の具体的な内容によって事業目的が変わるので注意しましょう。

 

旅館業の事業目的

旅館業とは、ホテルや旅館などの宿泊施設の運営を行うビジネスです。旅館業で会社設立を行うには、都道府県知事からの許可を受ける必要があります。そのため、事業目的の欄には「旅館業」を明記するのが無難です。

ホテルや旅館運営のビジネスでは、主に以下の事業目的が使用されています。

  • 旅館業
  • 宿泊施設の経営
  • 簡易宿泊所の経営
  • ホテルの経営
  • 旅館の経営

 

広告業の事業目的

広告業とは、他の会社のために広告の企画立案やコンテンツ作成・掲載などを行い、集客などのマーケティング活動を支援するビジネスです。広告代理店と呼ばれる企業が広告業の代表とも言える存在です。インターネットの発展に伴い、近年注目を集めているビジネスモデルです。

広告業で会社設立する際には、主に以下の事業目的を記載します。

  • 広告宣伝の企画および制作
  • 広告代理店業務
  • 広告デザイン
  • 広告の制作および運用
  • 宣伝広告運用

広告の制作から運用までのプロセスにおいて、どの範囲までを行うのかを意識して事業目的を決定すると良いでしょう。

 

コンサルタント業の事業目的

コンサルタント業とは、企業から依頼されて、経営や業務改善などの分野を調査・分析し、適切なアドバイスを行う事業形態です。初期費用をあまりかけずに行えるビジネスであるため、コンサルタント業で会社設立する方も少なくありません。

コンサルタント業で会社設立する際には、以下のような事業目的が活用されます。自身がアドバイスする分野を明記するのが、事業目的を考える際のポイントです。

  • 経営コンサルタント業
  • マーケティングに関するコンサルタント業
  • 人材育成コンサルタント業
  • 営業コンサルタント業
  • 知的財産権に関するコンサルタント業

 

教育・スクール運営業の事業目的

学習塾やプログラミングスクール、音楽教室など、誰かに何かを教えるビジネスモデルで会社設立する方も近年は多いです。教育・スクール運営業で会社設立を行う場合は、何の教室を行うのかを明らかにするのが大切です。

具体的には、下記のような事業目的を記載します。

  • 学習塾の経営
  • 音楽教室の経営
  • 英語教室の経営
  • 幼児学習教室の経営
  • プログラミング教室の経営

 

アフィリエイト業の事業目的

アフィリエイト業とは、他の企業の商品を販売することで、その何割かを報酬として受け取るビジネスです。ブログやメディアサイトなどに広告を貼っておけば収益を得られるため、低リスクで収益を得られるビジネスモデルです。

アフィリエイト業で会社設立する場合、事業目的に「アフィリエイト業」と各ケースあまりありません。というのも、アフィリエイト業は比較的新しいビジネスモデルであり、かつ一般的にはあまり信頼されにくいためです。よってアフィリエイトの場合は、「インターネットによる広告業」などと事業目的を記載するのが一般的です。

 

貿易業の事業目的

貿易業とは、他の国から商品を仕入れて販売する事業です。貿易業で会社設立する場合は、事業目的に必ず「輸出」や「輸入」、「貿易業」などの文言を盛り込むのが大事です。さもないと、獲得した収益を営業外損益として計上する必要が出てくる可能性があるからです。

貿易業で用いられている具体的な事業目的には下記があります。複数の商品を輸出入する場合は、「総合輸出入貿易業」と記載したり、「附帯、関連する一切の事業」という文言を事業目的に盛り込むのがオススメです。

  • 貿易業
  • 食料品の輸入
  • 衣料品の輸出
  • 総合輸出入貿易業務

 

せどり・転売業の事業目的

せどりや転売と言われる商売は、インターネットなどで安く仕入れた商品を、他の消費者に高く販売して差額の利益を得るビジネスモデルです。パソコン一台あればできるビジネスなので、サラリーマンの方が副業で行うケースも多いです。

せどりや転売ビジネスで会社を設立する際には、以下の事業目的を定款に記載するのが一般的です。

  • 通信販売業
  • 小物営業法に基づく小物営業および小物競り斡旋業

 

介護業の事業目的

高齢化の進行に伴い、近年の日本では介護業に対するニーズが高まっています。ニーズの高まりに伴い、介護関連のビジネスで会社設立を検討する方も増えてきました。ただし介護業で会社設立する際には、定款に記載する事業目的に十分注意する必要があります。

介護事業を実施するには、都道府県から「指定」を受けなくてはいけません。この指定を受ける際に、介護事業を行う旨や、介護保険法に基づいた適切な事業目的が定款に記載されている必要があるのです。

なお介護保険法に基づいた事業目的に関しては、具体的な事業目的によって記載すべき内容が変わります。今回は主要な事業内容に絞って、記載すべき事業目的をご紹介します。

⑴介護保険法に基づく居宅サービス事業

訪問介護や短期入所生活介護、訪問リハビリテーションなどの事業により会社設立する場合はこの事業目的を記載します。

⑵介護保険法に基づく介護予防サービス事業

介護予防訪問介護や介護予防通所リハビリテーション、特定介護予防福祉用具販売などの事業を会社設立後に行うのであれば、この事業目的を用いましょう。

⑶介護保険法に基づく施設サービス事業

介護老人保健施設などの運営を行うために会社設立する方は、この事業目的を定款に記載しましょう。

⑷介護保険法に基づく居宅介護支援事業

居宅介護支援の事業を実施したい方は、この事業目的を記載してください。

 

ネイルサロン・美容室の事業目的

専門性を活かして、ネイルサロンや美容室の事業により会社設立する方もいます。ネイルサロンや美容室を経営する場合は、下記のような事業目的を記載するのが一般的です。

  • 理容室の経営
  • 美容室の経営
  • ネイルサロンの経営
  • ネイルサロンおよび美容室の経営
  • ネイルサロンおよび理容室の経営

ネイルサロンや美容室・理容室を同時に行う場合は、一つの事業目的に記載しておきましょう。また美容用品をネットで販売する場合は、「美容・ネイルに関連する商品の販売」という事業目的も含めておくと良いでしょう。

各業種の会社設立のポイント

事業目的のみならず、業種によって会社設立時に意識すべきポイントも異なります。会社設立を行う際は、前もって自分が行うビジネスの業種において、どのような注意点があるのかを確認しておくのが鉄則です。この項では、各業種の会社設立のポイントをご紹介します。自身の行う事業と同じ業種の項目があったら、是非とも参考にしてください。

 

情報サービス業で会社設立するポイント

情報サービス業はITの発展に伴い、市場規模が右肩上がりに急上昇しています。そんな活気を見せている情報サービス業による会社設立では、スキルや技術を持った人材の確保がとても重要となります。IT機器やシステムへの理解や運用スキルはもちろん、マーケティングのスキルなども重要になります。

これらのスキルを持つ社員がいなければ、専門性の高い情報サービス業で十分な収益を得るのは難しいでしょう。ですが優秀なエンジニアやマーケターを確保するには、人件費が多くかかる傾向があります。そのため、会社設立当初はストックオプションや福利厚生の充実さなどのインセンティブ制度を活用するのが大事となります。

また情報サービス業では、案件獲得時の交渉や機密保持契約、瑕疵担保などの部分に関して特有のノウハウが求められます。そのため、営業を担当する人材にはIT業界での豊富な経験や知見が必要になります。

 

不動産業で会社設立するポイント

確実な需要が見込める不動産業ですが、その分業界内での競争が激化しやすい傾向があります。事業内容によっては宅建資格が必要となるものの、それを考慮しても参入しやすい業界です。

競争が激しい業界内で十分な収益を得るには、営業担当のスキルがとても重要となります。大きなお金が動く不動産取引であるだけに、営業の経験が豊富な人員を雇用するのが重要になります。一から営業人員を育成する場合は時間がかかるので、最初の半年~一年間は資金繰りに苦労する可能性が高いです。

以上の通り不動産業ではコストがかかるので、会社設立当初は融資を活用するのがおすすめです。国の公共機関や金融機関が行なっている融資制度を活用すれば、苦しい設立当初の状況に耐えられるでしょう。

 

人材派遣業で会社設立するポイント

人材不足が進行している昨今の日本において、人材派遣業は非常にニーズのあるビジネスモデルです。そんな人材派遣業ですが、会社設立により事業を行うには厚生労働省から許可を得なくてはいけません。許可を得るまでにもいくつか手続きが必要となるので注意が必要です。

まずは「派遣元責任者講習」に参加し、「派遣元責任者」という資格を取得する必要があります。また、人事雇用の管理に関連した経験が3年以上ある必要もあります。加えて、会社設立時の資本金は原則2,000万円以上持っている必要があります。

以上の通り、人材派遣業での会社設立はとてもハードルが高いです。人材派遣業で会社設立する際には、早い時期から入念に準備しておく必要があります。

 

金融業で会社設立するポイント

今回は金融業の中でも特にメジャーな「貸金業」についてお伝えします。第三者にお金を貸すビジネス(いわゆる貸金業)を行う場合は、会社設立の際に財務局超または都道府県知事からの登録を受ける必要があります。この登録を経ずに貸金業を営むと、懲役刑や罰金刑に課される恐れがあるので注意しましょう。

また、貸金業により会社設立を行うには、5,000万円以上の純資産を保有していることや、営業所ごとに貸金業務取扱主任者という資格を持つ人材がいることなども要件となっています。

このように非常に厳しい条件がいくつもあり、貸金業はとても参入障壁が高い業種であると言えます。どうしても貸金業で会社設立したいのであれば、こちらも早い時期からの着実な準備が求められます。

 

保険業で会社設立するポイント

大元となる保険会社を設立するのか、保険代理店を設立するのかでポイントは異なります。まず大元となる保険会社設立の場合ですが、最低でも資本金10億円が必要となる上に、金融庁長官による免許を得る必要があるため、新規参入は現実的ではありません。

なお通常の保険会社ではなく、少額短期保険会社を設立することも可能です。こちらの場合は、最低資本金が1,000万円となり、免許ではなく登録制となります。ただしこちらも、サラリーマンを辞めて会社設立するには難易度が高く現実的ではありません。

保険業で会社設立する際には、保険代理店の事業を行うのが一般的でしょう。保険代理店で会社設立する際には、生命保険募集人と保険代理店の資格取得が必要です。また、登記手続きを行ってから実際に保険商品を販売できるまでにはおよそ2~3ヶ月かかるので注意しましょう。

 

飲食業で会社設立するポイント

飲食店事業により会社設立する場合には、保健所から飲食店営業許可を得る必要があります。なお飲食店営業許可を得るには、食品衛生責任者の資格を持つ従業員が一店舗に一人以上いる必要があります。

このように他の業種と比べて手続きが面倒な飲食業ですが、競争が激しいため、会社設立した後も相応の努力が求められます。メニュー作りからSNSや自社サイトを用いた宣伝など、手間や費用をかけて事業を軌道に乗せなくてはいけません。

飲食業は会社設立しやすい一方で事業を軌道に乗せるのが難しいので、設立当初から融資や出資の制度を活用するのも一つの手です。

 

製造業で会社設立するポイント

製造業に関しては、食品などの一部商品を除いて基本的には許可や登録がなくても会社設立することが可能です。ただし製造業も比較的生き残りが難しい業種であるため、業界内で生き残るには創意工夫が必要です。

高い技術力や他社とは違うアイデア力などに加えて、資金繰りの能力も必要になります。製造業で会社設立する際は、あらかじめ生き残りが難しい業種である点を意識しておくのが大切です。

 

卸売業で会社設立するポイント

食料品や衣料品など卸売業で取り扱う商品はさまざまですが、会社設立の際に注意すべきポイントは基本的に変わりません。卸売業で注意すべきポイントとは、ずばり資金繰りです。

製造業などにも言えますが、卸売業では仕入れた商品を売り上げてから実際に代金が入ってくるまでにはタイムラグがあります。このタイムラグを意識せずに会社経営をしていると、資金繰りがみるみるうちに悪化し、倒産に追い込まれる恐れがあります。会社設立して本格的に卸売業に取り組む場合は、普段から多めに資金を保有しつつ、必要に応じて一時的な融資制度を活用するのが大事です。

 

小売業で会社設立するポイント

今回の記事ではいくつもの業種をご紹介していますが、小売業は特に会社設立後の生き残りが難しい業種です。基本的に特別な資格がいらないため、会社設立自体は簡単です。しかし大手チェーンの小売店が至る所にある上に、近年はネットショッピングやネットオークションなどが普及し、小規模な小売店にとっては圧倒的に不利な状況となっています。

加えて小売店の場合、備品や機械の購入などで初期費用がかかる上に、オフィス代などの固定費用も高くつきます。この点も、小売店事業の難易度を上げる要因となっています。

会社設立を行った上で小売店を始めたい方は、市場選定や経営戦略の策定を入念に行いつつ、まずはフランチャイズをはじめとした低リスクの事業モデルから始めるのがおすすめです。

 

建設業で会社設立するポイント

一人親方として会社設立するケースが多い建設業ですが、会社設立の際には「建設業許可を取るかどうか」をきちんと考える必要があります。建設業許可とは、500万円以上の仕事を請け負う場合に必要な許認可です。ある程度大きな仕事を行いたいのであれば、会社設立の後に建設業許可も取得しましょう。

なお建設業許可の取得には、資本金や経営者、定款の事業目的などに関する条件を満たす必要があります。建設業許可を得たい方は、会社設立する前の段階から条件のクリアに努めておくのが無難です。

なお建設業を営む場合は、工事代金の未払いに注意する必要もあります。工事代金の未払いが発生すると、資金繰りが悪化してせっかく設立した会社が倒産に追い込まれてしまいます。特に大きな建設工事を行う際は、きちんと契約内容を契約書に記録しておくのが必須です。

 

運送業で会社設立するポイント

運送業で会社設立を行う場合、先ほどお伝えした通り許可の取得が必要になります。運送業の許可申請には、「資金」、「人」、「場所」、「車両」の計4つの要件を満たす必要があります。今回は運送業の中でも特に代表的な、一般貨物自動車運送事業の要件をお伝えします。

資金については、600~1200万円程度の資金が求められます。人については、5人以上のドライバーや運行管理者や整備管理者の確保などが条件になります。場所に関しては、都市計画法に反さない形で営業所と休憩室を確保しつつ、車庫の基準を満たすのが条件になります。車両については、少なくとも5台のトラックを準備することが条件となります。

以上が運送業での会社設立条件となります。要件が比較的厳しいので、実際に事業を始める際には早い段階からの準備が求められます。

 

旅館業で会社設立するポイント

旅館や民宿、ホテルといった旅館業を営む際には、都道府県知事からの許可取得が必要です。申請にあたっては、旅館業営業許可申請書や見取り図、配置図、登記事項証明書などが必要となります。旅館業を行う上で必要となる条件には、設備基準や欠格要件に当てはまらないこと、設置場所要件などのクリアが求められます。

詳しい要件は都道府県の条例によって異なるので、実際に旅館業で会社設立を行う際はあらかじめ確認したり、保健所に相談するなどしましょう。客室や寝具、採光・照明、排水など、一つ一つの設備ごとにクリアすべき条件が設定されているので入念な準備が求められます。

 

広告業で会社設立するポイント

広告業での会社設立にあたって、特段必要な許可や資格はありません。ただし広告を取り扱うにあたっては、関連する法律に反さないように注意しなくてはいけません。

たとえば景品表示法や消費者保護法、個人情報保護法など、広告業により会社設立する上では遵守すべき法律が多くあります。広告業を営む際はあらかじめ関連する法律を勉強したり、法律の専門家に都度アドバイスをもらうなどの対策を行うのがポイントです。

また、広告業は許可や資格が不要である分、他社との競争が激しい傾向があります。会社設立を成功させるには、適切な事業ドメイン(ターゲット)の設定や業界に対する幅広く深い知識、ハイレベルな提案力などが必要です。もしくはデザインやセールスライティングなどのセンスも必要となるでしょう。資格や許可が不要だからといって簡単に会社設立が成功する訳ではないので注意しましょう。

 

コンサルタント業で会社設立するポイント

弁護士や税理士といった資格があれば有利ではあるものの、コンサルタント業で会社設立を行う際に特別な資格や許可は原則不要です。そのため、顧客さえ確保できれば参入障壁は比較的低い業界です。

ただし顧客を早い段階で確保できないと、事業を軌道に乗せるのが難しいのも事実です。顧客を確保するには、高い専門性はもちろんのこと、これまでの実績や人脈も必要となるため、会社設立する際には相応の知識や実績が求められます。

コンサルタント業で会社設立する際には、従業員の雇用には慎重とならなくてはいけません。仮に大きな契約が一つ消えた場合、固定費として生じる従業員への給与支払いで資金繰りが悪化する可能性があるためです。

 

教育・スクール運営業で会社設立するポイント

学習塾やプログラミングスクール、英語教室などの事業は、顧客を増やせば増やすほど収益が増加するビジネスであり、人気があります。そんな教育・スクール運営業で会社設立を行う場合は、安定的に収益を獲得できるようになるまでの資金繰りが重要となります。

ビジネスモデルの性質上、十分な収益を得られない会社設立当初は、資金繰りに苦労するケースが多いです。オフィスの敷金礼金や広告宣伝費がかかる一方で十分な収益を見込めないので、赤字経営となる可能性が高いです。そのため、教育・スクール運営業で会社設立する際は、公的機関や金融機関の融資を受けるのがオススメです。

 

アフィリエイト業で会社設立するポイント

近年人気を集めているアフィリエイト業で会社設立する際は、大きな初期費用も資格や許可も不要であるため、比較的誰でも参入できます。

ただし費用があまりかからない一方で、収益を得るまでに時間がかかる傾向がある点には注意が必要です。会社設立当初から十分な利益を得られるケースは稀なので、最初は副業として行ったり、安定的に利益を得られるビジネスを並行して行うのがベストです。

またアフィリエイトビジネスを行う場合は、セミナーや書籍などに要した経費に関して、しっかりとレシートや領収書を保管しておくのも大事です。基本的にレシートや領収書がなければ、経費として認めてもらうことは難しいです。アフィリエイトでは経費として計上できるものが少ないので、なるべく経費にできるものは経費にするようにしましょう。

 

貿易業で会社設立するポイント

貿易業で会社設立する場合は、法律面に細心の注意を払うのがポイントとなります。まず輸入する商品の種類によって、輸入許可を取る必要があります。たとえば医薬品だと「薬事法による製造販売業許可」、酒類だと「酒類販売業許可」などが必要です。

また貿易業では海外諸国と取引を行うので、日本国内の法律のみならず、現地国の法律も遵守する必要があります。貿易業で海外法人と取引を行う際は、あらかじめ現地の法律に精通した法務の専門家に相談するのがオススメです。

 

せどり・転売業で会社設立するポイント

インターネットの普及に伴い、アフィリエイトと同様に人気となっているビジネスモデルに「せどり・転売業」があります。

アフィリエイトと同様に気軽に始めやすいビジネスであるものの、アフィリエイトとは違い低利益率である点には注意が必要です。自分自身の手元に残るのは「売上高」ではなく「利益」です。会社設立を行いせどりや転売を本格的に始めるタイミングは、十分な利益を獲得できてからの方が良いでしょう。

またせどりや転売は売上高が多額になりやすいビジネスモデルであるため、消費税の納税義務者になりやすい点にも注意が必要です。具体的には、原則1,000万円を超えると、2年後から消費税の支払い義務が発生します。

 

介護業で会社設立するポイント

介護業を始めるには、そもそも法人格の取得が必要です。つまり個人事業主としては行えないので、必ず会社設立の手続きを行う必要があります。

なお会社設立に際しては、先ほどお伝えした通り都道府県などからの「指定」を得るための手続きが必要です。従業員の人数や施設が満たすべき基準などが設定されているので、あらかじめ確認しておきましょう。初めて介護業で会社設立する方には難しい手続きもあるため、介護業の申請手続きを代行している会社に依頼するのも一つの手です。

 

ネイルサロン・美容室で会社設立するポイント

ネイルサロンや美容室の事業で会社設立する際には、店舗や備品などの設備への投資費用を確保するのが第一優先となります。十分な資金がないのであれば、他の業種と同様に、公的機関や銀行から融資を受けるのが良いでしょう。

またネイルサロンや美容室の事業においては、複数人で会社設立するケースも少なくありません。共同で会社設立を行う際には、後から揉めないためにも利益の配分や役割分担をあらかじめ明確にしておくのが大事です。

NPO法人とは、設立するメリット・デメリット

NPO法人は、正式な名称を特定非営利活動法人と言います。NPO(Non Profit Organization)は社会貢献活動を目的とし、営利を目的としない法人です。

NPO法人の具体的な話に入る前に、営利とは何かということについて確認しておきましょう。「営利」とは「お金儲け」のことであり、NPO法人関係の話で使われる営利という概念も、何らかの方法で利益を出すことというイメージに近くなります。

しかし「非営利目的」と表現された場合、一般には「すべて活動を無料でしなければならないということ」と勘違いされることがあります。実はNPO法人でも、収益を上げても問題ありません。そもそも収益を上げなければ、法人として存続していくことができず、NPO法人が雇用するスタッフにもきちんと給料を払う必要があり、活動を継続するにも資金が必要です。そのために収益を上げることには問題はありません。

営利企業は、収益を上げることが目的なので、収益が多く上がるかどうかを判断基準に事業を行います。一方、NPO法人の場合は、営利目的ではありませんので、収益が多く上がるかどうかよりも、その活動の社会的意義のほうを重視して事業を行います。活動を続けていけるだけの収益が上がればよいという考え方なので、営利企業のように、「収益がたくさん上がりそうなのでこの事業をしよう」という考え方はしません。

非営利目的のNPO法人と営利企業とでは、事業目的も考え方も違うということになります。

 

NPO法人の要件

NPO法人の要件は特定非営利活動促進法に規定されています。特定非営利活動法人法は、ボランティア活動などの社会貢献活動を念頭に置いて、特定非営利活動の健全な発展を促進させるための法律です。大前提として、社会貢献活動を促進させようという意図があります。

特定非営利活動とは「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与すること」(同法1条)であり、具体的な特定の誰かの利益ではなく、広く社会一般の多数の人のためになることをするという趣旨です。

さらに、特定非営利活動法人とは、「特定非営利活動を行うことを主たる目的とし、次の各号のいずれにも該当する団体であって、この法律の定めるところにより設立された法人」(同法2条2項前段)を言います。

特定非営利活動法人は、以下の条件に当てはまらなければなりません。

「一 次のいずれにも該当する団体であって、営利を目的としないものであること。
イ 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと。
ロ 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の三分の一以下であること。
二 その行う活動が次のいずれにも該当する団体であること。
イ 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと。
ロ 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと。
ハ 特定の公職(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第三条に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。以下同じ。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと。」(同法2条2項後段)

簡潔にまとめると、NPO法人とは、営利目的ではなく、宗教や政治目的でもない、メンバー(社員)になることや辞めることも適正なルールに基づいて運営されている団体となります。

 

NPO法人と20の業種

NPO法人は、自由に業種を選択できるというわけではなく、特定非営利活動促進法の定める別表にある20種類のうちから選ばなければなりません。ただし、20種類の業種のなかから一つ選ぶというわけではなく、複数選んでもかまいません。例えば、「観光の振興を図る活動」と「まちづくりの推進を図る活動」の両方を選んでも問題はありません。

営利企業と比較したメリット・デメリット

 

メリット①税制上の優遇を受けることができる

株式会社や合同会社などの営利企業は、営利を目的とした団体ですが、NPO法人は営利を目的としません。いずれの団体も収益を上げることはできますが、NPO法人の場合は税制上の優遇措置を受けることができます。特に、NPO法人は収益事業課税について優遇措置があります。また、地方税でも法人府民税などを免除している自治体があります(例:京都府など)。

このような自治体に本拠地を置いて活動すれば、営利企業として活動した場合よりもはるかに維持費を安くすることができるというわけです。

 

メリット②社会的信用がある

NPO法人は営利を目的としない団体なので、営利企業よりも公益目的で事業をしているというイメージを与えることが可能です。営利企業のイメージが悪いというわけでは決してないのですが、営利を前面に出さないほうが提携や交渉などがうまくいくこともあります。行政と連携したい場合にはNPO法人のほうが活動しやすいでしょう。

さらに、同じ活動をもし個人名義で行っている場合でも、NPO法人にしたほうが社会的な信用力はアップします。預金口座は法人格がないと作ることができないという銀行もあります。法人化せずに複数人で活動している場合、誰かの個人名義を使わないと活動資金が管理できないという問題も発生します。

NPO法人にすれば、活動費の管理もNPO法人の口座ですることができます。法人格を取得して社会的な信用力をえて、銀行口座も作って資金管理をし、きちんと活動したい時はNPO法人の設立が向いています。

 

メリット③設立費用が安い

NPO法人は設立費用の安さが魅力です。設立時の資本金は0円から可能で、登録免許税もかかりません。営利企業の場合は、株式会社であれば最低15万円程度の登録免許税がかかります。資本金も1円から設立できますが、企業の信用力という観点から考えれば数百万円の資本金を入れておいたほうがいいという場合もあります。

後述する通りNPO法人の設立には、所轄官庁の認証が必要です。認証を得るためには申請を行うのですが、申請手数料も無料です。もし、NPO法人を始めたいと思っていて、経済的な面のことが気になっているのであれば、設立時の費用の安さは大きなメリットになるでしょう。申請の手間はかかるものの、資本金0円、登録免許税0円、申請手数料0円で始めることができます。

 

デメリット①NPO法人は業種が限られる

NPO法人は、特定非営利活動促進法の別表に定められた20種類の業種しかできません。営利企業にはそのような制限がありません。もっとも、制限はないものの事業を始めるにあたって行政庁からの許認可が必要な業種はあります。もし、NPO法人として活動したくても20種類の業種になければ、他の団体として活動することを考えるべきでしょう。

 

デメリット②活動範囲を超えた収益を分配できない

NPO法人として活動をかなり頑張った結果、収益が予想以上に上がったとします。営利企業であれば、会社のオーナー(株主)に利益を分配することができます。ところが、NPO法人は収益を分配することができません。活動の原資にすることはできるのですが、オーナーに還元するという仕組みを取っていませんので、NPO法人の収益が上がったからと言ってオーナーの収益が上がるとは限りません。

 

デメリット③行政への活動報告が必要

NPO法人は、毎事業年度終了後3か月以内に、以下の書類を提出して行政庁に活動報告をしなければなりません。

  • 業報告書
  • 財産目録
  • 貸借対照表
  • 活動計算書
  • 役員名簿
  • 10人以上の社員の氏名・住所を記載した書面

これらの書類の準備の手間がかかることがデメリットの一つです。営利企業の場合は、毎事業年度終了後に何かしらの報告を行政庁にするというのは、許認可を受けた業種などが当てはまります(建設業など)。

 

デメリット④設立時に10人以上の社員が必要

株式会社は、一人でも設立することが可能ですが、NPO法人の場合は設立時に10人以上の社員が必要です。そもそもメンバーが多数いる活動であれば別ですが、1から活動に共感してくれ、協力してくれる人を10人集めるのは負担になる場合もあるでしょう。

 

デメリット⑤設立に時間がかかる

後ほど設立の手順のところでも解説しますが、NPO法人は所轄の官庁の認証が必要です。認証を受けるまでに数か月かかってしまうので、営利企業ほど短期間に設立するということができません。短時間に設立したい人にとってはデメリットでしょう。

設立する手順

 

必要書類を準備

まず、NPO法人設立に必要な書類を準備します。

  • 定款
  • 役員名簿
  • 役員の就任承諾書及び誓約書の謄本
  • 役員の住所又は居所を証する書面
  • 社員のうち 10 人以上の氏名及び住所又は居所を示した書面
  • 認証要件に適合することを確認したことを示す書面
  • 設立趣旨書
  • 設立についての意思の決定を証する議事録の謄本
  • 設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
  • 設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書

これらの書類を準備したら、所轄庁の認証を受けます。

 

所轄庁の認証を受ける

所轄庁は、都道府県や市町村などです。認証の申請を受けた所轄庁は、1か月間、申請年月日、NPO法人の名称、目的などを縦覧します。申請受付から3か月以内に審査が行われ、認証、もしくは不認証の結果が申請者に通知されます。認証の通知が来ただけでは設立は完了していません。登記をし、設立登記完了届出書を所轄庁に提出して、晴れて完了となります。所轄庁の認証の通知が来ただけでは設立されていないので注意しましょう。認証の通知が来ても6か月間登記をしないままにしていると、認証が取り消されることがあります。

 

法務局で登記

認証の通知があった日から2週間以内に法務局で設立の登記を行います。以下の書類を法務局に提出します。

  • 設立登記申請書
  • 登記すべき事項のCD-R
  • 添付書類(定款、認証書、資産の総額を証する書面、代表権を有する者の資格を証する書面など)

 

設立完了後の届け出

設立登記が完了したら、設立登記完了届出書とともに登記事項証明書、財産目録などを所轄庁に提出します。これで完了です。登記が終わっただけでは完了しないので注意しましょう。

設立費用

NPO法人の設立には、登録免許税がかかりません。資本金も必要ありませんが、以下の費用は見積もっておくことをおすすめします。

  • NPO法人の印鑑
  • 旅費交通費
  • 役員となる人の住民票を取り寄せる費用

費用が全く掛からないというわけではありませんが、株式会社などの営利企業設立に比較するとかなり少額です。

NPO法人は、社会貢献を目的とした法人であり、営利を目的としていません。社会貢献の形はNPO法人に限定されません。例えば、会社を作り地元で雇用を増やすことも社会貢献の一環であり、NPO法人を立ち上げて、町おこし事業をするのも良いでしょう。NPO法人と営利企業とでは、そもそもの設立趣旨が違うので、どちらの考え方に基づいた活動をしたいのかという点をよく考えて、設立形態を選択することをおすすめします。

まとめ

今回の記事では、業種別に事業目的の記載例や会社設立のポイント、NPO法人の設立方法をご紹介しました。会社設立を行う際、事業目的を必ず定款に記載する必要があります。基本的には事業の内容が明確にわかるように記載するのが無難です。ただし許認可が必要な事業では、法律に基づいた事業目的を記載する必要があるので注意が必要です。

そして会社設立の際にも同様、事業を行う際に許認可が必要かどうかをあらかじめ確認しておく必要があります。中には多額の資金や厳しい条件を満たす必要がある業種もあるので、早い段階から会社設立に向けて準備を進めるのが好ましいでしょう。

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