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財団法人の理事と理事会

理事の選任は、一般社団法人では社員総会が行います。一方、一般財団法人では評議員会の決議により選出されます。財団法人における理事は3人以上必要で、職務の性格上、評議員・監事を兼ねることができません。また、財団法人との関係では委任関係にあるので、民法上の善管注意義務(644条)を負うほか、法令・決議を忠実に守り実行する忠実義務も負っています。今回の記事では一般財団法人の理事と理事会の役割について詳しく解説します。


理事の権限と義務

一般社団法人同様、財団法人の理事は業務執行機関として重要な役割を担っています。法人の運営方針を決定し、理事から選出される代表理事は法人を代表することが可能です。

一般財団法人において、理事・理事会の設置は必須事項です(170条)。理事は最低3人以上必要であり、その理事の選任は評議員会で行われます。任期は2年となります。法人設立時における設立時理事は定款で定めることができます。定款で定めなかった場合は、財産の拠出後、遅滞なく選任しなければなりません(159条)。

一般社団法人では社員は理事と兼任することができました。しかし、一般財団法人での理事は評議員、監事ともに兼任することができません。監事と評議員同士の兼任も禁止されています。理事の報酬は通常、定款で定めますが定めがない場合は評議員会で決めることになります。

理事になれない者とは

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律では、理事になることができない者(=欠格要件)を定めています。たとえば「法人」「会社法違反を犯してから定められた期間が経過していない者」などが該当します。また、成年被後見人や被保佐人など法的な権利能力に制限のある者も対象です。この点は一般社団法人と同様です。

評議員の欠格事由(65条、177条)
1. 法人
2. 成年被後見人、被保佐人、外国の法律でこれらと同様に扱われる者
3. 法律に違反して刑に処せられ、執行を終えてから2年を経過していない者
4. その他法律に違反し、禁錮以上の刑を受け、その執行を終えるか、執行を受けることがなくなるまでの者(執行猶予中の者を除く)

理事に課せられる義務

財団法人の理事は財団法人と委任関係にあるので、民法644条が規定する「善管注意義務」を負います。このほか、監事への報告義務、第三者に対する損害賠償責任義務、評議員会での説明義務を負います。その多くは一般社団法人と同様の義務ですが、基本財産維持義務(172条)と評議員会での説明義務(190条)は財団理事特有の義務です。

財団法人における理事の義務一覧
善管注意義務 民法644条 受任者は、委任の内容に従い、善良な管理者の注意をもって、委任業務を遂行する義務を負う
競業及び利益相反取引の制限 一般法84条 (以下同) 理事は、一般財団法人と理事との利益が相反する取引をしようとするとき、理事会でその取引について重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない
監事への報告義務 85条 理事は、一般財団法人に著しい損害を与える可能性があると判断した場合は、その事実を監事に報告しなければならない
損害賠償責任義務 111条 理事(監事、会計監査人なども役員含む)は、任務を怠ったときは、一般財団法人に対し、生じた損害賠償責任を負う
117条 理事(監事、会計監査人なども役員含む)が職務執行について悪意または重大な過失があったときは、その役員などは、第三者に生じた損害を賠償する責任を負う
基本財産維持義務 172条 理事は一般財団法人の目的である事業を行うために不可欠であると定款で定めた基本財産がある場合、これを維持しなければならない。また、基本財産について一般財団法人の目的である事業を行うことを妨げることを目的とする処分は禁止とする
評議員会での説明義務 190条 理事と監事は、評議員会で評議員から特定事項について説明を求められたさい、必要な説明をしなければならない

理事会の役割

理事会は業務執行機関として、財団法人の意思決定を担います。理事会の設置は一般財団法人、公益財団法人ともに義務となります。全ての理事が理事会の構成員として議決を行使することができます。

理事会の決議事項と委任禁止事項

財団法人における理事会の決議事項は、一般社団法人と同じです。すなわち、「法人の業務の執行の決定」「理事の職務執行の監督」「代表理事の選定と解職」(90条)となります。

理事会の決議事項
90条 財団法人の業務執行の決定
理事の職務の執行の監督
代表理事の選定と解任
181条 評議員の召集の決定
84条、92条 競業、利益相反取引の承認
124条 計算書類、事業報告の承認

理事から選出される代表理事や業務執行理事は、次のような権限と義務を有します。代表理事以外の理事には法人を代表する権限はありません。

77条、91条 代表権
業務執行権
91条 3ヶ月に1回以上(または事業年度ごとに4ヶ月間隔で2回以上)、職務の執行状況を理事会に報告

一方、理事会は以下のような重要事項について、理事に委任することが禁止されています。

委任禁止事項
90条4項 重要財産の処分とその譲り受け
多額の借金
重要な使用人の選任と解任
主たる事務所以外の事務所やその他組織の設置、変更、廃止
法務省令で定める体制の整備
役員の責任の一部免除

利害関係者の決議参加禁止

理事会の決議は議決に加わることができる理事の過半数が出席し、その過半数によって決まります(95条)。
決議に関して利害関係がある理事は、議決に参加することができません

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