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スモールビジネスから初めて会社を設立する方法

スモールビジネスは、副業を考えている人や個人事業主、そして起業家から注目を集めているビジネス形態です。この記事ではスモールビジネスとは概要から、スモールビジネスの代表例、そして実際にスモールビジネスを始める手順や会社設立時に利用できる助成金、補助金制度をご紹介していきます。スモールビジネスに興味を持っている方、スモールビジネスから会社を設立しようと検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

スモールビジネスとは

スモールビジネスとは「小規模な事業形態」を意味します、少人数あるいは個人事業主や副業といった個人で取り組むビジネス形態であり、小回りが効き、自由であり、アイデアを思いついたときに即実行に移せるというスピード感があります。さらに大企業が持つ人材や資金を相手に、アイデアやインターネットという時間や場所を選ばないという利点によって乗り越える可能性もあります。

スモールビジネスの代表例

スモールビジネスの一例としては、次のような事業形態があります。

  1. ①クラウドファンディングによる新商品の開発
  2. ②ネットショップの運営
  3. ③ネットショップのデータ収集、商品登録
  4. ④総務・人事・会計部門の代行
  5. ⑤ブログ運営(アフィリエイト)
  6. ⑥オンライン講師、オンライン家庭教師
  7. ⑦アプリの開発

「クラウドファンディング」

「クラウドファンディング」とは、新商品を具現化(実際に商品化)するための資金をインターネット上で調達するための仕組みです。目標額に達成することで晴れて商品化され、その商品を支援した人には商品そのものが送られる等の特典を与えられます。

「ネットショップの運営」

世界に広がり世界中から閲覧できるインターネット上には自分専用の場所(ホームページ)を持つことができます。しかし、自分で用意したお店が持つ集客力には限りがあるため、集客力を高めるための方法として、アマゾンやヤフーのように、現実の世界で言うところのショッピングモールのような場所を設けているサイト上に自分のお店を出店する、というケースも浸透しています。後の章でこのネットショップを例にしたスモールビジネスの始め方を解説しますが、ネットショップを軌道に乗せることができた場合、今度はそのノウハウを基にしてネットショップの運営・発展方法をコンサルタントするというスモールビジネスもあります。

「ネットショップのデータ収集、商品登録」

ネットショップを運営していると、自分の販売している商品と同種類のものをリサーチしたり、商品を登録したりします。時間が掛かり定型的な事務作業を代行するという観点から生まれたのがこのスモールビジネスです。

「総務・人事・会計部門の代行」

主に個人事業主や小規模の会社の総務・人事・会計部門を代行するスモールビジネスです。小規模の会社は事務作業を行う人がいなかったり、または一人で複数の役割を掛け持ったりしていますので、その事務作業を代行するというものです。こうした事務代行作業も前述の「クラウドワークス(CrowdWorks)」や「ランサーズ(Lancers)」にて仲介を行っています。こうした仲介サイトでは、自分の得意分野・専門分野を詳しくアピールすることでスカウトが来ることもあります。

「ブログ運営(アフィリエイト)」

情報を発信する記事(ブログ)に広告を載せることによって広告料を得ます。発信する情報がより多くの人の興味を引いて有益な場合には、ブログの閲覧数も増え、広告料も増えるという仕組みとなっています。

「オンライン講師、オンライン家庭教師」

自身のパソコンの(あるいは専用の)カメラとマイクを使って、インターネット配信機能によりリアルタイムに講座を行います。生徒側からも同様にカメラとマイク機能で質問を受け付けることができます。お互いの場所を選ばずに、また特定の講座室を用意せずに行うことができるスモールビジネスです。

「アプリの開発」

主にスマートフォンのアプリの開発になります。アプリのアイデアがあり、プログラミングを得意とする人、あるいはプログラミングに興味がある人向けのスモールビジネスとなります。

このほかネットには「仕事を外部にお願いしたい人」と「仕事を引き受けたい人」の間を取り持つサービスもあり、代表的なものとして「CrowdWorks(クラウドワークス)」「Lancers(ランサーズ)」などがあります。これらの仲介サイトでは代行契約の整備や、未払い等のトラブル防止策にも取り組んでいます。原則として基本登録料は無料で、報酬発生時に報酬の内から仲介サイトに手数料を支払う形となっていますので、代行業務を考えている人はこれらのサービスを考えると良いでしょう。ここに挙げたものはスモールビジネスのほんの一例ですが、実際のスモールビジネスの世界は上記例を細分化・専門化して多岐に渡っています。

スモールビジネスの特徴

スモールビジネスの最大の特徴かつメリットは、敷居の低さ、取り組みやすさです。副業を考えている場合、または起業をするという程ではない個人事業主にとっても、先行者のスモールビジネスを参考に直ぐに始めることができます。

 

スモールビジネスのメリット

例えば起業をする場合、法人登記のための手数料や印紙代、そして諸々の準備費用による初期費用で数十万円の費用が発生します。しかし、スモールビジネスは法人化を前提としていませんので、手軽に始めることができます。貯金を取り崩したり、借金をする必要はありません。スモールビジネスの多くはインターネットを介して行うビジネスですので、インターネットとパソコンがあれば始めることができます。

また、インターネットに限らずとも、まだ世に広まっていないアイデアを率先して取り組むこともスモールビジネスの特徴です。その場合、自分が先駆者や発震地となれる可能性もあります。ノルマもなく、自分のペースで取り組むことができます。もし軌道に乗せることができれば、スモールビジネスを本流として独立して生きていく道も開けます。

 

スモールビジネスのデメリット

スモールビジネスの最大の特徴は「自由」ですが、副業としてスモールビジネスをしている場合は、本業が疎かになる場合もあります。また、ネットショップを運営する場合にはやはり元手(仕入)が必要になり、軌道に乗らなければ資金も減り、間ばかり掛かって本業にも悪影響を及ぼすでしょう。

また、インターネットを介するスモールビジネスは、その手軽さから契約や責任の所在もあいまいになります。相手の顔や素性を見ずに取引をすることも多いため、支払いの延期や未払いというトラブルに巻き込まれないよう、自分の身は自分で守るという意識も重要となります。

スモールビジネスの始め方

それではスモールビジネスの始め方を、ネットショップの運営を例に見ていきましょう。ネットショップ運営にあたり初めに必要になるものはパソコンと、インターネットに繋がる環境です。

独立開業に比べると初期投資を少なく済ませられるのがスモールビジネスの特徴ですが、ネットショップ運営の場合はパソコン周りの環境がマイナスに働かないように、それなりのパソコンとインターネット環境を用意しましょう。

例えばインターネットには、安定したインターネット環境を実現するために、パケット制限なしの固定回線を使用したものを用意すると良いでしょう。

次に用意するのは「ネットショップ」です。もちろん、実際に現実の世界に物理的な店舗を構える訳ではなく、インターネット上に架空のお店を用意する、ということになります。

お店を用意するためには「サーバー」という、インターネット上に自分のお店の場所を設けることができるための設備を用意します。自分でサーバーを用意することもできるのですが、費用や設定、メンテナンス等の手間を考えると「レンタルサーバー」のサービスを使用すると良いでしょう。

レンタルサーバーは自分専用の「専用サーバー」と他者と共用する「共用サーバー」があります。専用サーバーは自分だけのサーバーですので、自由に使う(設定する)ことができます。但し、自由度が高いため、逆に何をしてよいか分からない人には不向きです。

そのため、専用サーバーは既にノウハウがあり、更に規模を広げたい人向けと言えるでしょう。バージョンアップやメンテナンス時期・頻度も自分で決めることができますが、それ故にサーバーに関する知識も必要となり、費用も嵩むことになります。

共用サーバーは複数の他者と共用するサーバーですが、あらかじめ様々なツールが用意されているため、それらを組み合わせることで気軽に自分好みのショップを用意することができます。

メンテナンスもレンタル元が行い、費用も専用サーバーに比べると低価格で済みますが、メンテナンス時期を選ぶことはできません。また、他者のサイトにアクセスが殺到している場合(または悪質な攻撃対象となっている場合)等には、自分のサイトも繋がりにくくなる、というデメリットがあります。

ネットショップの用意が整ったら、次はネットショップのデザインです。自分の思い描くデザインにこだわるのも良いですが、好調なネットショップにはデザインにもノウハウや理由がありますので、お気に入りのネットショップを参考にすることも良いでしょう。

また、どのようなデザインとすれば良いかわからない、と思われるかもしれません。そういうときにはデザインを外注するという手段があります。

外注する場合には相手との相性も重要ですが、より重要なことは、自分のイメージをしっかり相手に伝えることです。漠然としたお願いでは、完成後に「思ったものと違う」「何でも良いと言いましたよね」ということになりかねません。

具体的なイメージが思い浮かばない場合には、自分のお気に入りのサイトを見せましょう。そして、取り扱う商品や、ネットショップを始めることにした目的を伝えるようにします。そうすることで、完成時により満足度の高いデザインとすることができます。

ネットショップ全体のイメージやデザインが決まったら、次は会計回りの準備に取り掛かります。「商品を選ぶ」「カートに入れる」「支払手続きを実行する」というものです。

会計回りについては専用システムがありますので、そちらを導入すると良いでしょう。そして実際の商品を発送する手段の準備に取り掛かります。ここまで終えると「ネットショップの開設となります。

軌道に乗れば会社設立! 利用できる補助金・助成金

スモールビジネスが軌道に乗り始め、売上の規模から会社設立が必要なったとき、または新たな事業の展開や人を雇用するなどの新しい行動を起こす場合は、資金不足などの問題が発生します。その際に活用できるのが補助金や助成金という制度です。

補助金や助成金は原則返還が不要な資金なので、事業を推進していく上で有効な資金調達の手段として活用することができます。今回は、補助金や助成金について概要を確認し、利用できる制度の一覧やその内容、申請のポイントなど、会社設立後に利用できる補助金・助成金について詳しく見ていきます。

補助金・助成金とは?

補助金とは、国や地方公共団体が特定の政策目標を達成するために第三者へ支給する金銭です。国の補助金は「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」という法律に基づいて支出され、国の行政機関である各省庁がそれぞれ申請を受けて特定事業などを補助するために補助金の支給を決定します。同様に、都道府県や市区町村などの地方自治体においては、地方自治法という法律に基づいて第三者から申請を受けた補助金について地方自治体が支給を行うものです。

 

補助金と助成金の違いは?

補助金は、公募の期間が1か月ほどと期限を定められているものが多く、採択件数や交付金額があらかじめ予算などで決められているため「申請しても必ずしも受給できるとは限らないもの」であることが大きな特徴になります。

一方で、助成金は厚生労働省などの国の行政機関や地方自治体、民間団体が特定の政策目的などを達成するために申請を受けた第三者に金銭で助成を行うものです。この助成金は、支給要件を満たしているものが所定の様式等で申請を行うと「必ず受給できるもの」と言われてきました。ただし、このように両者が明確に区別されていたのはひと昔前の話です。

現在では、補助金や助成金は同じ性格のものとしてまとめて捉えられるようになっています。その理由は、一部の助成金などでその名称とは異なる補助金の特徴を持ったものがあるため、その名称によって内容を誤らないようにするために明確な区別を避けるためです。例えば、経済産業省などが所管している助成金には補助金のような特徴を持ったものも存在していますが、助成金という言葉を以前の通りに解釈するとその内容について誤解を招くこともあります。

そのため、補助金や助成金はそれぞれの名称で内容を判断するのではなく、その制度の内容で正確に把握することが重要です。現在はこの両者が明確に区別されていないということを考慮して、本稿では補助金と助成金の全般を指す言葉を「補助金・助成金」と表記します。

 

補助金・助成金の特徴

補助金・助成金は国や地方公共団体が政策目的などを達成するために支給するものですが、一部の財団法人など民間団体が実施しているものもあります。この補助金・助成金には下記のような特徴があります。

・原則返済不要の資金

補助金・助成金は原則返済が不要な資金です。支給された資金はそれぞれの補助金・助成金で定めた用途のみで使用することができます。この資金も使用できる期間が設けられているので、期限内に必要な支出を行えるように補助金・助成金事業を進めることが必要です。また、一部の補助金・助成金には返還が必要なものもあるので、それぞれの制度の内容を詳しく確認してから申請しなければなりません。

例えば、新規事業や技術開発などに関する補助金・助成金では「事業終了後の一定期間に限り、その事業によって得られた利益が特定の限度額を超えた場合は、その利益の一部を返納しなければならない。」という規定が設けられているものもあります。このような規定がある場合は、補助金・助成金の支給を受けて行う事業から一定以上の利益が生まれることによって補助金・助成金の返還が必要になります。

・申請に基づく審査や資格要件が必要

補助金・助成金は誰でも無条件で受給できるものではなく、以下の2条件を満たすものに対して支給されます。第一の条件は、国や地方自治体の実行したい政策事業などに適合した事業に対してのみ支給されることです。例えば、厚生労働省の実施している雇用関係助成金では新たに従業員を雇用することや、長時間労働の是正などを行うことにより支給を受けることができます。

このように、募集されている補助金・助成金の事業目的に合致した行動を起こすことが補助金・助成金を受給できる条件です。第二の条件は、応募要領に沿った申請書の提出および審査に合格したものでなければ支給を受けることができないことです。まずは、募集されている補助金・助成金の応募要領に沿った申請書や決算書などの必要書類を提出して申請します。その後、資格審査や書類審査に合格することで、はじめて補助金・助成金の支給が決定されるのです。補助金・助成金によっては書類審査後に面接による審査が行われる場合もあります。

・原則として後払いでの支給

初めて申請する方は驚かれますが、補助金・助成金は後払いでの支給が原則となります。そのため、補助金・助成金の審査に合格しても先に使用する経費などを立て替える資金は必要です。例えば、補助金上限が500万円で補助率2分の1の補助金事業では総額1千万円の事業経費に対して500万円の補助金が支給されます。ただし、補助金は原則後払いとなるため、事業経費に使用する1千万円は事業を開始する前に準備をしておくことが必要です。その後、使用した事業などの実施報告を行い、500万円の補助金が支給されることで実質負担は500万円となります。

この際、補助金事業の終了後に提出する実施報告の書類などに不備がある場合は補助金が支給されないこともあるため、事業終了後の報告等まで不備なく手続きすることが必要です。なお、一部の財団法人等の民間が行っている補助金・助成金は先払いされるものもありますが、公的な補助金・助成金は基本的に後払いが原則となっています。

・補助金・助成金には応募期間が設けられている

補助金・助成金の多くは基本的に応募期間が設けられています。特に、国や地方公共団体の実施している補助金という名称がつくものは公募期間が1か月程度と短いものが多いため、申請する際には申請書類の提出期限などに注意が必要です。また、公募期間が短いため、日常からこまめに補助金・助成金の情報を調べておかなければ応募したい補助金・助成金の情報を見逃すことになるので注意しなければなりません。

・不正発覚時には厳しい処分がある

補助金・助成金を不正に受給すると厳しい処分が下されます。不正に受給した補助金・助成金を返還することは当然ですが、その返還する金額に一定の加算金を加えて返還しなければならない可能性まであるのです。

また、不正を行った企業等は省庁などのホームページで社名を公表され、不正の内容によっては詐欺罪等で告訴される可能性もあります。補助金の不正受給を行うことは自社の信用を貶め、会社の存続を危うくするだけでなく、不正受給が続くことにより補助金・助成金の制度自体が縮小される可能性もあるため、他の事業者にも影響を及ぼす可能性がある行為です。故意で不正を行うことは言語道断ですが、過失でも不正受給とならないように、補助金・助成金の制度については事前に入念な下調べをしてから申請しなければなりません。

 

補助金・助成金はどうすればもらえる?

会社経営者の一番の関心ごとは、どうすれば補助金・助成金を受けることができるかにあります。当たり前のことではありますが、補助金・助成金を受給できる最も重要な要件はそれぞれの制度で定められた募集目的に応じた活動を行うことです。例えば、国や地方自治体が公募する補助金・助成金は予算を立てて特定の目的に沿って支給されます。

そのため、国や地方自治体が予算を割いてでも行う政策や事業に合致した活動が必要です。具体的には、国が省エネに取り組む場合、工場などにエネルギー効率の良い機械を導入する行為に対して補助金・助成金が支給されることなどがあります。また、民間では大企業が財団等を設立して慈善事業や社会貢献のために活動を行っている一般財団法人等もあります。この場合は、目的として掲げる慈善事業や社会貢献の目的に則した活動に対して補助金・助成金が支給されるものです。

このように、補助金・助成金は政策目的や活動目的を達成する手段として第三者に金銭を交付するものなので、募集目的に沿った活動を行うことで補助金・助成金を受給することができます。

補助金・助成金を知ろう!

ここまでは補助金・助成金の特徴など基本事項の確認を行いました。ここからは、補助金・助成金のメリットやデメリット、利用上の注意点など、少し踏み込んだ内容について確認してみましょう。

 

補助金・助成金のメリット

会社を運営していく上で補助金・助成金の活用には以下のようなメリットがあります。

・原則返済不要の資金が手に入る

補助金・助成金を利用する一番のメリットは原則返済不要の資金が手に入ることです。もちろん、補助金・助成金の目的に合った事業でなければなりませんが、自己資金のみで行う事業よりも規模の大きな事業が可能となります。特に、創業時や会社設立後の間もない時期などは資金の工面が大変です。日本政策金融公庫の新創業融資制度(※1)などと併せて補助金・助成金を活用することでスタートアップの事業に必要な資金も調達することが可能となります。

(※1)新たに事業を始める方や事業を開始して間もない方が無担保・無保証人で利用できる融資制度。

・審査に合格すると信用が高まる

補助金・助成金の審査に合格すると、その事業や会社に対して国や地方自治体などがお墨付きを与えたこととなるので対外的な信用が高まります。特に、取引面においては補助金・助成金の認可事業であることは大きなメリットとなり、会社規模が小さくても取引先に安心感を持って取引してもらうことが可能です。また、事業計画等もしっかりと整備されたものでなければ補助金・助成金の受給はできないため、事業そのものの価値が高まると言っても過言ではありません。

・社内の体制が整備できる

補助金・助成金の申請書類等を作成する際は不備なく整えなければならないため、その際に社内の体制が整備できるというメリットもあります。例えば、厚生労働省所管の雇用関連の助成金等は労働保険に加入していることや法定帳簿(※2)などを備えていることが申請時に求められる条件です。もちろん、従業員を一人でも雇ったら労働保険に加入するのは当然のことですが、起業して間もない頃などは必要な帳簿書類などが揃っていないこともあります。申請手続きを行うためには必要な処理を行わなければならず、これによって必然的に社内の処理体制等を整備する機会が生まれるのです。

(※2)労働者を雇用すると労働者名簿、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)等の帳簿保管が労働基準法により義務付けられます。これらの帳簿を法定帳簿(法定三帳簿)といいます。

 

補助金・助成金のデメリット

補助金・助成金を利用する際にはメリットだけでなくデメリットもあります。以下のデメリットも考慮したうえで補助金・助成金の利用を決定しなければなりません。

・申請等の手続きが煩雑

補助金・助成金の一番のデメリットは申請手続きが煩雑なことです。申請するためには多くの書類を作成する必要があり、決算書や法人の登記簿謄本、納税証明書などの添付書類が必要になることもあります。また、必要な書類を揃えても申請が完了するわけではなく、必要に応じて行われる面接なども含めると何度も申請窓口に足を運ぶ必要もあるのです。特に、会社設立後の間もない時期では人手や手間をかけられないことも多く、場合によっては途中で申請を諦めてしまうケースもあります。

このような状況の中、中小規模の事業者負担を軽減するために補助金・助成金の実施機関では申請書類の簡素化などに取り組んでいます。また、電子申請が利用できる制度も増えてきているため、徐々に中小規模の事業者にも申請しやすい環境になりつつあるのが現状です。必要な補助金・助成金については諦めずに最後まで申請手続きをやり遂げる努力が必要になります。また、補助金・助成金は申請期限が設けられているものがあります。期限が定められている補助金・助成金については、上記の煩雑な申請処理を期限内に終えることも必要です。

・申請しても必ずもらえるものではない

補助金・助成金は申請しても必ずもらえるものではありません。特に、事業者のメリットが大きい補助金・助成金は採択件数や予算が限られていることも多く、競争倍率が高くなる傾向にあるため申請しても審査に合格できないこともあります。また、補助金や助成金は限度額が定められていますが、限度額で申請しても審査や実施報告により満額受給できないこともある点には注意が必要です。最近は、手続きを簡素化する動きがある半面、不正受給を防止するために支給要件が厳しくなっている補助金・助成金もあります。このような補助金・助成金では手続きが複雑になるだけでなく、受給までに時間を要するものがあることも同様に注意が必要です。

・後払いのため先行する事業資金の準備が必要

補助金・助成金は先述の通り原則後払いとなります。そのため、対象事業を実施する資金を事前に準備する必要があることはデメリットの一つです。ただし、補助金・助成金の対象となる事業に使用する経費であれば、金融機関などの信用評価も高く判断される傾向にあります。そのため、必要な資金は外部からの借入などにより調達することも選択肢の一つとなります。

・実施期間が定められている

補助金・助成金の申請が認められ、採択が決まった事業は実施期間が定められます。補助金・助成金の対象となる事業経費は原則その実施期間に支払い済みのものとなるため、定められた実施期間中に事業を行う必要があるのです。そのため、事業計画等の変更を容易に行うことができず、やむを得なく変更を迫られる局面では難しい舵取りが必要となることもあります。これは、補助金・助成金を活用する際のデメリットの一つです。

 

利用上の注意点

ここまで補助金・助成金のメリットとデメリットについて確認してきましたが、補助金・助成金を利用する上ではいくつかの注意点があります。その注意点は以下の通りです。

・募集期間が短いものもある

経済産業省などが実施している補助金などは公募期間が1か月程度と短いものが多数あります。そのため、補助金・助成金の活用を検討しているときは定期的に補助金・助成金の更新情報を確認しなければならない点には注意が必要です。また、募集期間の短い補助金等は募集要領が発表されてから申請締め切りまでの時間的な余裕がありません。常日頃から事業計画書等のブラッシュアップを行うなど、申請書類の準備や手続などを迅速に行える体制を整えることが肝心です。

・同じ名称の補助金・助成金でも年度が替わると内容が異なるものもある

補助金・助成金は年度ごとに制度内容が変更されることもあります。そのため、同じ名称の補助金・助成金でも前年度から大きく制度内容が異なる可能性がある点には注意が必要です。やはり、補助金・助成金の情報は定期的にチェックすることが重要で、その際は制度内容についても詳細まで確認する必要があります。

・税金や保険料等の未納

税金の滞納や各種保険料の未納があると、補助金・助成金を利用できなくなることもあります。国が実施している補助金・助成金は法人税や所得税などの納付された税金が財源となっているため、税金の滞納がある場合はこれらの行政サービスを受けられなくなるのは当然のことです。同様に、都道府県や市区町村の実施している補助金・助成金についても都道府県民税や市町村民税などの地方税の滞納がある場合は利用できません。また、雇用保険料などの労働保険について未納がある場合は、厚生労働省が所管している雇用関係の助成金を利用することが不可能です。
税金の滞納については、申請時に添付書類として提出する納税証明書などでその有無が確認されます。もし、補助金・助成金の申請前に税金の未納がある場合はなるべく早めに未納税額を納付し、未納税額が無い状態で納税証明書を発行してもらわなければなりません。

・募集目的と会社の目的が必ず合致していること

補助金・助成金の募集目的と会社の事業目的が必ず合致していることは一番重要な条件です。まず、補助金・助成金は特定の目的のために予算化されていることから、その目的に合致した申請でなければ審査に合格することができません。万が一、会社の目的が合致していない状況で補助金・助成金の採択が決まっても、実際に受給手続きを行う際に苦労することは火を見るよりも明らかです。そのため、補助金・助成金の制度内容は事前にしっかりと調査して、会社の目的と応募要領の目的が合致するものだけを利用しなければなりません。

利用できる制度一覧とその内容

ここまでは補助金・助成金の概要などを確認しました。一般的な補助金・助成金について大きく一括りにして解説していたためイメージしにくい点もあったのではないでしょうか。ここからは、会社設立後に利用できる補助金・助成金について具体例を挙げながらその詳細について確認してみましょう。下表はここで解説する会社設立後に利用できる補助金・助成金の制度一覧です。

ただし、先にも述べた通り、補助金・助成金は募集期間が定められているものもあるため、ここで挙げる具体例はお読みいただく時点で募集期間中となっていないものもあります。現在申請可能かどうかは各制度のホームページなどで確認するようにしてください。

創業補助金

創業補助金は新たに創業する者に対して最大200万円の補助が行われる制度です。新たな需要や雇用の創出等を促し、日本経済を活性化させることを目的として、創業等に要する経費の一部を助成してもらえます。平成29年に実施された創業補助金では、新たに操業する者の要件として補助事業期間完了日までに個人事業の開業または以下の中小企業に該当する会社の設立を行うことが必要でした。

(参照:創業・事業承継補助金ウェブサイト)

また、事業実施完了日までに計画した事業を遂行するために新たに従業員を1名以上雇い入れる必要があり、産業競争力強化法に基づく認定市区町村における創業であることも募集要件となっていました。そのため、申請する事業者はまず認定市区町村や認定連携創業支援事業者に創業の相談を行い、産業競争力強化法に基づく認定特定創業支援事業としての支援を取り付けてから申請を行うという手順を踏まなければなりません。詳細は以下の平成29年度創業補助金のウェブサイトで確認することが可能です。

創業当初に補助率2分の1で最大200万円の補助を受けられる本制度は大変魅力があります。既存技術の転用や新技術およびアイデアの活用によって新しい事業を展開したい方にはぜひ検討していただきたい補助金・助成金の一つです。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は常時使用する従業員数が20人以下(サービス業などは5人以下 下表参照)の小規模事業者を対象とした補助金です。

(参照:独立行政法人 中小企業基盤整備機構ウェブサイト)

小規模事業者は資金や人材などの経営資源に大きな制約があることに加え、商圏や取り扱える商品およびサービスが限定されており、人口の減少による需要減少の影響を大きく受けることから補助の必要があると考えられています。そこで、経営計画の作成支援と一体となった販路開拓支援や生産性の向上を図ることにより、地域の原動力となる小規模事業者の活性化を図ることを目的として本補助金は実施されるものです。補助金額は原則50万円が上限で、3分の2の補助率で国から補助が行われます。

この制度は、開業したばかりの事業者が行う、集客や店舗認知度向上のためのオープンイベント等も対象事業となるため、開業後の広告宣伝を兼ねた事業開拓の方法として活用することが可能です。また、販路開拓の市場として海外市場も含めることができるので、早期に海外進出を図る中小事業者も利用できる補助金制度となっています。詳細は以下のウェブサイトで確認して下さい。

・中小企業基盤整備機構ウェブサイト

地域中小企業応援ファンド

地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ型)は独立行政法人中小企業基盤整備機構と各都道府県の地方公共団体や金融機関が共同出資する官民ファンドです。地域貢献性が高い新事業などに取り組む中小企業者等へ、ファンド運営会社である各都道府県の中小企業支援機関等が対象事業を採択し助成を行う仕組みです。

目的は各都道府県によって異なりますが、地域経済活性化や地域内での新規事業創出などを目的として各地の農林水産物や伝統技術などを活用する商品開発や販路開拓などを支援します。また、助成対象事業や助成期間は都道府県のファンドがそれぞれの政策目的などに合わせて決定しているため、都道府県によって助成内容が異なる点はこの助成金の大きな特徴です。この地域中小企業応援ファンドの補助率は2分の1から3分の2のものが多く、助成上限は50万円から500万円ほどと幅広くなっています。

これは、地域ごとのファンドや支援対象となる分野によって助成金の補助率や上限が異なることが理由です。なお、企業所在地の都道府県に該当するファンドがない場合は原則助成を受けることができないので注意しなければなりません。各都道府県のファンド概要は以下の中小企業基盤整備機構ウェブサイトの「地域中小企業応援ファンド一覧(電子ブック)」で確認することができます(独立行政法人 中小企業基盤整備機構ウェブサイト)。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は雇用の安定や非正規雇用労働者への待遇改善を目的とした助成金制度です。このキャリアアップ助成金は厚生労働省が所管しており、雇用保険の適用事業所でキャリアアップ管理者を設置し、キャリアアップ計画を作成して管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主が支給対象となります。

キャリアアップ助成金には雇用の安定や非正規雇用労働者への待遇改善について様々なコース分けが行われており、それぞれのコースに応じた取り組みを行うことで助成金を受給できる制度です。「正社員化コース」では、有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用したとき、中小企業の場合は1人当たり最大72万円の助成金を受給することができます。

また、「賃金規定等改定コース」では、全てまたは一部の有期契約労働者等の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定した場合、対象労働者の人数に応じて一事業所当たり最大36万円の助成金を受給することが可能です。その他にも、有期契約労働者等を対象に法定外健康診断制度(※3)を新たに規定して4人以上に実施すると受給できる「健康診断制度コース」や、有期契約労働者等と正社員との共通の賃金規定等を新たに規定し、適用した場合に受給できる「賃金規定等共通化コース」などがあります。

(※3)労働安全衛生法で定められた雇い入れ時と年1回の定期健康診断以外に行う、人間ドックやがん検診などの健康診断。厚生労働省ウェブサイト)

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、職業経験の不足などから安定的な就職が困難な求職者をハローワーク等の紹介によって一定期間試行雇用(トライアル雇用)した事業者を助成する制度です。職業経験の不足だけでなく、技能や知識等の不足により安定的な就職が困難な求職者について適性や業務遂行可能性を見極めて、求職者と求人者の相互理解を促進することによって早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。このトライアル雇用の制度では、原則3か月の試行雇用で労働者の適性を確認してから期限の定めのない常用雇用へ移行するかどうかの判断ができるため、雇用時のミスマッチを防ぐことが可能です。

また、職業経験などが不足していることから即戦力の人材を求めるのは難しいものですが、通常の採用試験や面接では確認できない職務適性などを人件費の補助を受けながら確認できる点は事業主にとって大きなメリットとなります。このトライアル雇用助成金も雇用保険の適用事業所であることが受給要件となっており、対象となる求職者を試行雇用すると対象者1人当たり月額最大4万円の助成金が支給されます(厚生労働省ウェブサイト)。

ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金

ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金は生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者等に対して補助金が支払われる制度です。

足腰の強い経済を構築するために、その屋台骨となる中小企業・小規模事業者が取り組む生産性向上に役立つ革新的なサービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善を支援することを目的としています。この補助金は認定支援機関の支援を受けることが募集要件となっており、その支援を受けた中小企業・小規模事業者等の主に設備投資に対して補助が行われる制度です。補助の限度額は小規模型で500万円(補助率2分の1から3分の2)となっており、一般型では1千万円(補助率2分の1から3分の2)が補助の限度となっています。

基本的には、機械装置等の設備投資について補助される制度となっていますが、設備投資等を行わない試作品開発等についても補助を受けることが可能です。詳細は以下の全国中小企業団体中央会ウェブサイトで確認してみてください。

・全国中小企業団体中央会ウェブサイト

研究開発助成金

研究開発助成金は公益財団法人三菱UFJ技術育成財団が実施している民間の助成金制度です。技術志向型の中小企業の育成を通じて国内産業の発展と中小企業の経営高度化に貢献することを目的としています。設立後もしくは新規事業進出後5年以内の比較的新しい中小企業や個人事業者を対象に、優れた新技術・新製品等を自ら開発・事業化しようとする具体的計画を持っている事業者を助成する制度です。

この制度では新規性・独創性に富むプロジェクトを募集しており、原則として2年以内に事業化の可能性がある事業計画が対象となります。この助成金制度の大きな特徴は、採択されると最大300万円(補助率2分の1)の助成金が交付決定と同じ時期に全額前払いされることです。また、他の助成金等とも併用できるため大変人気のある制度となっていて、応募総数に対する採択実績は毎年5%から10%と狭き門になっています。

会社設立後の資金調達などが難しい時期でも具体的なアイデアがあればこの助成金を申し込むことは可能です。狭き門とはなりますが、助成対象となる方は手間をかけてでも申請する価値のある助成金となっています(三菱UFJ技術育成財団ウェブサイト)。

新技術開発助成

新技術開発助成も市村清新技術財団が実施している民間の助成金制度です。もともと市村清新技術財団では、広く科学技術に関する独創的な研究や新技術を開発し、これを実用化することによって日本の産業・科学技術の新分野等を徐々に開拓し、国民生活の向上に寄与することを目的としています。

そのため、本制度でも「独創的な新技術の実用化」を目的に定めており、研究段階が終了した後の実用化を目指した開発試作等が助成の対象です。資本金3億円以下または従業員300名以下で、自ら技術開発する会社であることが応募できる企業の要件となり、医薬品やソフトウエア製品の実用化開発は助成対象外となっています。この制度の特徴は、2400万円と助成限度額が大きいことと補助率が5分の4と高いところで、助成開始時に助成金を受け取れることも大きな特徴の一つです。この助成金は毎年期間を定めて実施されているので、詳細は以下のウェブサイトで確認して下さい(市村清新技術財団ウェブサイト)。

軽減税率対策補助金

この軽減税率対策補助金はこれまで説明してきた補助金・助成金とは少し性質の異なる補助金です。この軽減税率とは消費税の軽減税率のことで、令和元年10月の消費税率10%への引き上げ時に酒類などを除いた飲食料品などが8%へ税率が軽減されることを指しています。

しかし、8%や10%などの複数の消費税率が混在すると、お店などで使用するレジや請求書の発行システムなどの改修が必要となるものです。そこで、そのような改修が必要となる中小企業・小規模事業者に対して費用の一部を補助することで導入等の準備を円滑に進めることを目的としてこの制度が設けられています。このように、政策などの外部環境の変化によって対応が必要となる行動についても補助金・助成金が支給されることがあります。詳細については、以下の軽減税率対策補助金のホームページで確認することができるので、対象となる中小企業・小規模事業主の方は参考にしてみてください(軽減税率対策補助金ウェブサイト)。

申請のポイント

ここからは、補助金・助成金を申請する際の流れやポイントについて確認してみましょう。

 

補助金・助成金の申請から受給までの流れ

補助金・助成金の申請から受給までの流れは大きく以下のようになります。

【ステップ1】補助金・助成金を探す

会社に合った補助金・助成金を探すことが最初のステップです。候補となる補助金・助成金が見つかったら実施機関などが開催する説明会になるべく参加します。その制度の目的から申請時の評価されるポイントまで説明会では説明してもらえるので、制度の内容等をしっかり理解することができます。

【ステップ2】申請書を作成し申請する

申請書を作成して申請手続きを行います。この申請書はそれぞれの制度で決められた様式や添付資料があるので、ホームページなどでその様式や添付資料などの確認を行うことが必要です。また、制度によっては認定支援機関の支援を受けることや経営革新計画等の承認を事前に受けておく必要もあるため、応募要領などをよく読んで必要な書類を漏れなく整えましょう。

【ステップ3】審査と採択・交付の決定

補助金・助成金の審査では、資格審査、書類審査、面接審査が行われるのが一般的です。まずは、資格審査で補助金・助成金の制度対象者となっているかがチェックされます。その後、書類審査で提出した申請書等のチェックが行われます。書類審査では審査委員がそれぞれの制度で定められた採点基準に基づいて採点し、審査に合格すると面接審査へと進むことが可能です。面接審査では、決められた時間内で審査員へアピールできるように面接の練習をしておくことも重要です。無事に全ての審査に通過すると採択・交付が決定し、その後の手続きなどの説明会が実施されることもあります。

【ステップ4】事業実施

上記審査に合格しても、その後の事務手続きなどを終えなければ事業を実施することはでききません。全ての事務手続きなどが完了するとようやく事業経費を使えるようになりますが、通常の経費とは分けて経理処理などを行わなければなりません。また、制度によって事業経費として認めてもらえる範囲は必ず決められているので、間違いが起こらないように丁寧に処理を行うことも必要です。

【ステップ5】実施報告と受給

事業が完了したら、実施した事業内容と使用した経費について実施報告を行います。その後、受給できる金額が決定して指定口座へ入金されます。

以上が一般的な補助金・助成金の申請から受給の流れです。

 

補助金・助成金の申請のポイント

補助金・助成金を受給するためには、以下の申請のポイントを抑えておかなければなりません。

・補助金や助成金の情報を定期的に調べる

補助金・助成金を利用する際、はじめに行う作業は補助金・助成金の情報を定期的に調べることです。特に、経済産業省所管の補助金関係は公募期間が短いものも多いため、定期的に調べていなければ補助金を活用できるチャンスを逃してしまいます。現在はインターネットで補助金・助成金に関する情報を調べることができ、各省庁や都道府県のホームページなどで詳細まで確認することができるので、こまめに必要な情報を収集することが重要です。また、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営するビジネス支援サイト「J-Net21」では、それぞれの地域や目的、制度に応じた補助金や助成金を検索することができるので、こちらも活用してみてください(ビジネス支援サイト「J-Net21」ウェブサイト)。

・募集要領でチェックすべきポイントを抑える

  1. ①事業内容と目的…どのような目的で何に対してどのような補助や助成が行われるか?
  2. ②支給対象者…誰が補助金・助成金を受給できるのか(資格要件)?自社は受給可能?
  3. ③補助(助成)期間…対象となる事業の期間が自社の事業を行う期間と重なるか?
  4. ④補助(助成)限度額…受給できる補助金や助成金の限度額はいくらか?
  5. ⑤補助率(助成率)…対象となる経費のうちどのような割合で補助(助成)されるか?
  6. ⑥補助(助成)対象経費…どのような経費が補助(助成)の対象となるか?
  7. ⑦申請方法と期限…郵送や持参などの申請方法と申請期限は必ずチェックが必要。

上記①から⑦のポイントをチェックした上で補助金・助成金が利用できるか、または申請可能かどうかを検討しなければなりません。募集要領には上記の他にも、計画の妥当性や事業計画の実現可能性などの審査のポイントとなる項目も複数存在しています。これらの項目も漏らさずにチェックすることが重要です。

 

申請書作成のポイント

補助金・助成金の申請をする際、必ず所定の様式で申請書を作成しなければなりません。また、添付資料などの申請書以外の申請書類についても抜けや漏れがないように整えることは必要最低限のことです。ここからは、審査に通るための申請書作成のポイントをそれぞれ確認してみましょう。

・補助(助成)目的に沿った申請書を作成する

募集要領を理解できるまで読み、申請書の作成見本からどのような申請書を提出すると審査に通過しやすくなるかを読み取ることが重要です。また、募集要領だけでは制度の目的などを理解できても審査のポイントまで理解するのは難しいことがあります。このような場合は、制度の実施機関が開催する説明会に参加してみましょう。説明会ではその制度の目的や評価のポイントを説明してくれるので、制度の内容を深く理解し、審査のポイントを理解する良い機会になります。

・誰が読んでも理解できる申請書を作成する

申請書は誰が読んでも理解できる内容で作成しなければなりません。事業計画書等で難しい専門用語を使用する場合は注釈をつけることや、数値が多くなる場合は表やグラフを使用するなど分かりやすい書類を作成する努力が必要です。また、公的に発表されている統計などを利用することで、申請内容をより説得力のあるものとすることもできます。特に、数値の計算については、計算ミスなどがあると全体的に一貫性のある内容とならないため、必ず検算などを行い転記する数値にも最大限の注意を払う必要があります。

申請書等の作成は基本的にパソコンを使用しますが、手書きで作成しなければならない場合は読みやすい字で丁寧に記載することも必要です。

・申請書の質問は簡潔に字数制限を守って回答

申請書には様々な質問が設けられています。それぞれの質問の趣旨に沿って字数制限を守った簡潔な内容で回答することが重要です。

・アピールポイントを明確に

申請書ではアピールポイントを明確にしなければなりません。特に、新規性や独自性、社会貢献性の内容については審査を受ける上で大きなポイントとなるため、審査員に理解してもらえるようにアピールすることが重要です。

この他に、事業計画書では無理のない計画を立てて、事業計画の実効性を担保することなども重要なポイントとなります。また、補助金・助成金の申請は専門的な知識がどうしても必要となるため、税理士や社会保険労務士、中小企業診断士などの専門家に相談して進めることも選択肢の一つです。既にご紹介したビジネス支援サイト「J-Net21」や中小企業をサポートしてくれる「ミラサポ」などを上手に活用することも補助金・助成金を受給できる近道となります(「ミラサポ」ホームページ)。

特に、雇用関係の助成金などは、支給要件に該当すると受給できる可能性が高くなります。書類の不備等による不支給などが起こらないように、提出する申請書は何度もチェックして、必要な補助金・助成金を受給できるように努めることが何よりも重要です。

まとめ

スモールビジネスの始め方と会社設立で利用できる補助金・助成金について見てきました。今回は補助金や助成金を一括りにして説明したため、実際の補助金や助成金とは申請方法や受給時期などが異なるものもあります。何度も言うようですが、補助金・助成金の活用を検討する場合は、その目的、申請方法、実施時期などを必ず個別に確認してください。そして、会社の事業目的と合致する補助金・助成金があるときには、中小企業の支援サイトや専門家などの外部の力も借りながら積極的に活用していくことをおすすめします。

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