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【社団ブーム?】昨年の一般社団法人数が過去最多に

欧米と比べて企業の創業率が低いと言われる日本。しかし、営利を目的としない方の法人の新設数は8年連続で増加しています。

東京商工リサーチによると、昨年新設された法人のうち、「一般社団法人」数は5996社で過去最高となったことが明らかとなりました。

背景には2008年末に施行された公益法人制度改革3法によって、社団法人は定められた書類を提出するだけで設立できるようになり、社団法人増加につながったと見られています。

本記事では一般社団法人増加の推移と業種別の社団数を詳細に見ていきます。


新設社団数、8年連続で増加

公益法人制度が抜本的に見直されて以降、一般社団法人の新設数は8年連続で過去最高を更新しました。
社団の新設法人年間推移では、2012年:3698社、2013年:4274社、2014年5000社、2015年5552社、2016年:5996社と、毎年500社前後増加。2017年は6000社を超えるとの見方が強まっています。

新設「一般社団法人」の推移
2012年 3698社
2013年 4274社
2014年 5000社
2015年 5552社
2016年 5996社

(参照:東京商工リサーチ)

全法人に占める割合5%で、増加傾向

法人の構成比別では株式会社が71.1%と大半を占めるものの、一般社団法人は前年より0.3ポイント増えて4.7%となりました。このほか合同会社は18.5%でした。

株式会社の構成比は以前は8割近くありましたが、年々減少しており、7割を切る可能性も出てきました。一方、一般社団法人の構成比は伸び続け、近いうちに5%を上回るのではないかと予測されています。

法人別の構成比推移

 

一般社団法人 株式会社 合同会社
2012年 3.5% 78.0% 10.3%
2013年 3.9% 75.4% 13.1%
2014年 4.2% 72.9% 16.5%
2015年 4.4% 71.8% 17.6%
2016年 4.7% 71.1% 18.5%

(参照:東京商工リサーチ)

設立しやすくなったのが要因?

公益法人制度改革以前は、一般社団法人の設立に「公益性※」が必要とされており、その対象は主務官庁の設立許可を得た法人のみとなっていました。

・旧民法34条
「学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団・財団であって、営利を目的としないものは、主務官庁の許可を得て、法人とすることができる」

2008年12月の公益法人制度改革関連3法の施行後は、一定の手続きや登記を済ませるだけで設立できるようになりました(準則主義)。

・一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
「一般社団法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する」

なお、一般社団法人や財団法人が公益法人になるには、別途、公益認定を受ける必要があります。

  • 公益性では、「公益に資する活動をしているかどうか」が問われ、具体的には「学術、技芸、慈善その他の公益に関する事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの」と定義されます。

産業別では8産業で増加

一般社団法人数を産業別で見ると、10業種中8業種で前年より増加しました。最も多かったのが「農・林・漁・鉱業」で86.4%でした。次いで、「小売業」33.3%、「製造業」27.3%、「建設業」20.0%、「情報通信業」13.8%、「サービス業他」%、「卸売業」4.5%、「不動産業」3.6%となり、平均で8.0%でした。

産業別の新設一般社団法人数

産業

2016年

2015年

前年増加比

農・林・漁・鉱業 41社 22社 86.4%
建設業 24社 20社 20.0%
製造業 56社 44社 27.3%
卸売業 23社 22社 4.5%
小売業 68社 51社 33.3%
金融・保険業 359社 371社 ▲3.2%
不動産業 256社 247社 3.6%
運輸 31社 35社 ▲11.4%
情報通信業 455社 400社 13.8%
サービス業 4683社 4340社 7.9%

(参照:東京商工リサーチ)


業種別では「他サービス業」が最多

業種別にみると、「他サービス業(社会貢献、業界団体など含む)」が2186社で全体の36.4%を占めて最も多くなりました。次いで、「学術研究、専門・技術サービス業」で1364社(構成比22.7)と続きました。3位には前年比増加率トップの「医療・福祉事業」が入りました。

総務省統計局によれば2017年9月時点での全国の65歳以上の高齢者の数は3514万人、総人口比は27.7%となります。進行する超高齢化社会を背景に、医療・福祉需要は今後さらに拡大するだろうとの見方です。


増加率、宮崎県が100%増で全国最多

次に都道府県別に新設法人数を見ると、東京が前年比1.9%増となる2189社で、全体の36.5%を占めて最も多くなりました。次いで、大阪、神奈川と続きました。

社団数が多い全国トップ3
都道府県名 構成比 増加率
東京都 36.5% 1.9%
大阪府 8.8% 6.9%
神奈川県 4.9% 5.3%

(参照:東京商工リサーチ)

高齢化が進む地域で需要高

一方、増加率では宮崎県が前年比100.0%増で最も多くなります。次いで、佐賀(68.2%)、福井(63.2%)、鳥取(60.6%)、徳島(56.5%)、愛媛(50.0%)、と続きます。

宮崎県は今年9月時点での人口が108万8044人となり、2030年には100万人を切ると予測されています。
また高齢化率は全国平均よりも高い29.5%となります。そのため、高齢者用福祉施設や、高齢者向けのサービスの需要が高まっています。

増加率トップ5
都道府県名 増加率
宮崎県 100.0%
佐賀県 68.2%
福井県 63.2%
鳥取県 60.6%
徳島県 56.5%

減少率は高知県がトップ

減少率では、高知県が前年比40.0%で最も多くなりました。次いで青森(33.3%)、岩手(28.6%)、島根(21.1%)、和歌山(20.6%)となりました。

減少率トップ5
都道府県名 増加率
高知県 40.0%
青森県 33.3%
岩手県 28.6%
島根県 21.1%
和歌山県 20.6%

高知県は高齢化率32.8%で全国2位ですが、一般社団法人数の伸びは不調です。また若い世代の数は大幅に減少しており、若年無業者(ニート)出現率は1.88%で全国2位、生活保護率は23.5%で全国3位などの問題を抱えます。
人口は71万3465人(平成29年10月時点)で、近い将来70万人を切ることも予想されています。

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