全国対応電話相談受付中!0120-698-250メール相談はコチラから
社団法人設立が全国一律27,800円!KiND行政書士事務所:東京

社団法人の職員でも副業は可能?!副業するなら必見の基本情報を解説!

ニューノーマルといわれる時代の中で、今後の経済動向は見通すことが難しくなっています。そして、景気が悪くなり、本業の年収が下がっている人も増えています。年末の賞与が減額や支給されない企業のニュースも話題です。

そこで新しい収入源として注目されているのが副業です。もともと、副業を禁止する企業も多くありました。しかし、副業元年といわれる2018年を境に副業許可の流れが加速しています。副業を解禁しているのは、株式会社などの営利法人だけではなく、社団法人などの非営利法人や公務員などにも広がりを見せつつあります。

その結果、多くの人が副業を検討もしくは実際に副業を実施しています。また、将来の起業のために副業として事業を開始する方も増えています。

今回は、広がりをみせる副業について解説します。また、公務員や社団法人などの非営利法人に勤める団体職員の副業事情、副業からの起業における流れなどを確認していきましょう。

1 副業とは

副業とは

収入を増やしたい、と会社勤めの方が希望する場合に検討する機会が増えているのが“副業”です。副業とは、本業とは別の収入を得るために実施する仕事です。2018年に厚生労働省が『副業・兼業の促進に関するガイドライン』を発表し、日本政府として副業や兼業を促進しました。また、厚生労働省は同年にモデル就業規則についても副業における箇所を以下のように変更しました。
変更前の規定:許可なく他の会社等の業務に従事しないこと(2018年の改定時に削除)
変更後の規定:労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる

これらの流れを受けて社員の副業を許可する企業が、2018年時点ではまだ30%を切る企業*しか副業を認めていない状況から、少しずつ副業を許可する企業が増えてきています。そのため、副業への考え方が変わった2018年は『副業元年』と呼ばれています。
*参考|リクルートキャリア『兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)

副業や兼業を政府が促進した背景には、人生100年時代を迎えて自らの希望する働き方を選べる環境を作ることの重要性があります。雇用契約を結ぶ一つの企業での働き方や仕事に限ることなく、自身の興味のある分野の仕事で知識・スキル・人脈などをつくることを望む労働者にその環境を提供することが副業や兼業の促進の狙いとされています。
参考|厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドライン

2017年時点で、269万人の副業を実施している人と、422万人の副業を希望する人がいます。これは働いている人全体の10.4%に該当し、働く人の10人に1人が副業を『やっている』または『やりたい』人がいます。
*参考|総務省『就業構造基本調査』より

●副業を禁止していた企業の背景と、推進の背景
従業員としては副業をやってみたいが、起業は自社の従業員に副業をやってほしくない=禁止状況が長く続いていました。

企業から副業を考えた場合、規律の乱れや情報漏洩のリスクなどがあり、自社の業務にマイナスの影響が発生する点に焦点があてられることが長く続いていました。また、副業を許可することでの過重労働になり、業務質の低下や従業員の健康管理への懸念や転職されてせっかく育成した社員を失うリスクなども懸念されていました。

しかし、2017年から日本政府が推進した『働き方改革』の実現の一つの手法として副業や兼業の推進がなされました。少子高齢化が進む中で労働人口の減少に対応するためには、労働生産性と労働参加率の向上が必要であり、副業や兼業などの働き方を増やすことでもともとある能力の活用局面を増やすことや新たな能力の育成・向上することで一億総活躍社会を実現することを目指すこととなりました。

政府の動きを受けて、企業側も副業や兼業のメリットについても企業が着目する流れができました。企業が成長を継続させるためには企業の中で変化が必要になります。企業が変化を起こすためには、従業員のスキルアップや新たな知識の習得が必要になります。同じ環境で同じ業務を繰り返していく中では、スキルアップや知識の習得を得ることが難しくなります。これらの従業員の中で変化を起こすために、副業や兼業を活用しようとする企業が増えていきました。

副業や兼業などを活用することは、以下の2つの側面があります。

  1. ①自社の社員が他社の事業や業務を行うこと
  2. ②他社の社員が自社の事業や業務を行うこと

自社の社員が他社の事業や業務を行うことは、自社の社員が他の環境や業務で、自社の事業や業務に対する気づきを得る機会になります。また、得意分野のスキルを活用する場ができることはそのスキル向上に繋がります。

また、他社の社員が自社の事業や業務を行うことは、自社では持っていない成長や改善に必要なスキルや知識を効率的に活用することができることになります。1名を採用する必要まではないが、自社の社員で行うのには必要なスキルが不足している状況で活用できます。

2つの側面に共通していることは、副業を活用することで今までの環境に変化を与えることです。他社や外部のスキルを効果的に活用することで社内のリソースの成長を促進させることができる点に企業が副業を推進している大きな要因になっています。

1-1 副業と兼業の違い

副業は、本業の他に実施する仕事になるのでアルバイトや内職などの事業者と契約して収入を得るものもあります。また、自身のスキルや資産を利用する起業や不動産などの投資も副業に含まれます。そして、副業はダブルワークやサイドワーク等とも呼ばれます。

一方で、同じような言葉として兼業もあります。サラリーマンと農家を兼業する『兼業農家』などが代表的です。法律上では、副業と兼業に明確な定義はありません。そのため、一般的な使われ方の違いがあるのみになります。

副業は、主たる仕事とは別の仕事を持つことを言います。主たる仕事の方が、一般的には副業と比較すると収入や労働時間や労力が大きくなります。

一方で、兼業は現在の職務以外に別の職務や業務に従事することを言います。『兼ねる』が意味するのは、副業などと異なり収入や労働時間や労力にどちらかが大きいかがありません。むしろ、二つの比較することが困難な職務を兼務する際に用いられるのが兼業になります。

副業は土日などの本業の稼働がないタイミングの休日などに副業を行うのに対して、兼業は各業務・職務を平行して進行させることが多いことなどが違いになります。

一方で、副業と兼業の共通点は、二つ以上の仕事によって収入を得ている点にあります。

1-2 副業が向く人/向かない人

副業が向く人/向かない人

副業が向いている人とあまり向いていない人がいます。向いている人は比較的簡単に始めることも継続することもできます。一方で、向いていない人は始めるのも苦労しますし、継続するのも苦労します。副業が向いている人とそうではない人は個人的な問題より環境に依存する部分が多くなります。そのため、自分が置かれている状況の現在と将来を考慮して副業を開始することやそのやり方を決めることがポイントになります。

●副業が向く人

副業が向いている人は大きく以下の3つの要件に合致する人になります。

副業が向く人

  1. ①仕事を行う時間とスキルがある人
  2. ②仕事を獲得することができる人
  3. ③仕事を完遂することができる人

①仕事を行う時間とスキルがある人

副業も立派な仕事です。仕事を引き受けたからには最後までやり切らなければなりません。仕事を行う上で必要なのは、時間とスキルです。

時間は説明の必要はないほど当たり前のことです。仕事をするためには時間の確保が必須です。ただし、副業で必要な時間を確保することはやる前に想像するより簡単ではありません。なぜならば、副業を行うのは本業以外の時間になるため、早朝や夜間や休日など今までは私用の時間を利用するのが一般的です。

私用の時間帯は、家族の時間や友人や同僚などの会社との付き合いなどに使われることも多くあります。また、本業の仕事において緊急的に発生するトラブル対応などに時間を費やすことや家族を持つ場合には家族の体調不良への対応など様々な事情により時間をとられていきます。その結果、思うように時間を確保できない、ことから副業から手を引く方もいます。

副業を始めようとする時には、邪魔される可能性が極めて低く自分で活用できる時間が1週間の単位でどれだけあるのかを正確に理解することが必要です。

また、時間と合わせて重要になるのがスキルです。仕事の質を向上させるのはスキルです。スキルがなければ、仕事を継続的に得ることができなくなります。このスキルについても、自分が今どのくらいの価値があるのかを把握することが必要です。スキルが低いのであれば、そのスキルでできる仕事を探しながらスキルを向上させていくことが最も効率的な方法です。一方、高いスキルがすでにある場合には高品質を求められる代わりに好条件の仕事を探すことに注力することが必要になります。

時間にせよ、スキルにせよ、増やすことができます。無理をせずできる範囲で副業を開始するために、現状で副業に利用できる時間やスキルを正確に抑えることが最も必要です。

②仕事を獲得することができる人

副業はクラウドソーシングのような、自ら受注した仕事を完遂させて、また新しい仕事を受注する、サイクルで仕事をしていく場合も多くあります。このような時に必要になるのは、仕事を獲得する能力=営業能力が必要になります。

仕事自体に対する成果はもちろんですが、新しい仕事を獲得するために必要となる営業力は、新規のクライアントに対するアピール力になります。仕事を任せたら、求める成果を返すことができる、そうクライアントに思わせるための営業力があれば、クライアントの幅を広げることができます。

特に、現在のように不景気になろうとする時期にはクライアントが少ないと、不況の影響をダイレクトに受ける可能性が高まります。複数のクライアントを持つことや営業力を身に着けておくことで新規の依頼を絶やすことなく受けることができます。

③仕事を完遂することができる人

副業の仕事の多くに締め切りがあります。この締め切りに間に合わせるために、睡眠時間や娯楽時間などを削って副業の仕事を完成させることも必要になります。しかし、そのようなことを繰り返していくと、健康を阻害することや私生活のバランスを崩して本業のパフォーマンスに影響が出る事態にもなります。

私生活にも本業にもマイナスの影響をだすことなく、副業の期限内に仕事を完遂させるために必要になるのが『計画性』と『セルフマネジメント能力』です。計画性は、仕事を完了させるまでに必要なタスクとそれにかかる時間を正確に導き出すことです。セルフマネジメント能力はその計画を自身に実践させる能力です。

これらの仕事を完遂させる能力を副業に臨みながら、あまりに身体的につらい時期などの際には副業の仕事量を調整することも重要なセルフマネジメント能力になります。

●副業が向かない人

副業が向かない人は大きく以下の3つの要件に合致する人になります。

副業が向かない人

  1. ①自制心がない
  2. ②目的や目標がない
  3. ③自分で情報収集・精査ができない

①自制心がない

副業の難しさは、本業や私生活とのバランスを取ることです。副業はあくまで副業であり、本業や私生活に支障が出るのであれば副業を行うことは推奨できません。本業や私生活に支障を出さないために重要になるのが、無理をしないための自制心です。

がむしゃらに仕事をする時期は長い人生の中で何度かあります。しかし、副業においてがむしゃらにやるのは推奨できません。がむしゃらにやるのは影響が大きい本業であるべきです。兼業ではないため、もともと力の入れ方は、本業より副業を優先させると本末転倒になりかねません。

副業におけるリスクとして大きいのが、本業の業務に関わる情報の漏洩や本業で得た情報や関係を利用しての賄賂などです。危ない話にお金に釣られないとためにも、自制心が必要です。会社組織においては、やってはいけないことを規則で示します。一方で、副業では個人の判断によるところが多くなります。そのため、常に正しい行動をとるための自制心が必要になります。

②目的や目標がない

副業は、自分で仕事を獲得する能力やセルフマネジメント能力など様々な能力を必要とします。そのため、会社では得られない成長の機会や達成感を得ることできます。逆を言えば、副業を始めた当初には自分の力不足を痛感する場面や思っていた成果が得られないことも多々あります。

そんな時に、目的や目標を持たずに“なんとなく”副業を開始していると投げ出すことになりかねません。副業で成果を上げる課題を見つけたら、その度に克服方法を考えることを続けるための原動力になるのが目的や目標になります。

③自分で情報収集・精査ができない

副業も自ら仕事を獲得していく場合などは個人事業主です。自身で様々なことを判断し、その結果も自身に戻ってきます。一例として、ビジネスに利用するために購入したものはクーリングオフの適用が受けられません。

売上を上げるためや利益を増やすため、様々なツールや設備などが世の中には溢れています。これらの中で本当に良いものもありますが、期待した効果が出ないものもあります。また、副業は時間も限定されているため、何をするか、どうするか取捨選択することが必須になります。

これらの副業を成功させるための判断をするために欠かすことができないのは、自ら情報収集してその情報を精査することです。少ない情報やあいまいな情報をもとに判断をすれば正解率は減少します。そのため、情報を収集することを面倒に思う人や整理して結論を出すことを避ける人は副業に向きません。

2 法人種類別の副業

法人種類別の副業

副業を行う上で重要になるのは、本業を行う法人などが副業を行うことを許可しているかです。法人などには、営利法人と非営利法人の2つの種類の法人が含まれます。また、法人以外に国や地方公共団体などに勤める公務員がいます。

前述のとおり、株式会社や合資会社などが含まれる営利法人においては副業が許可される流れができています。一方で、各政府機関や公立学校や警察・消防などを担う公務員やNPO法人や一般社団法人などが含まれる非営利法人の副業について解説します。

2-1 公務員の副業

公務員の副業は、永い間禁止されていました。その背景にあるのは、公務員の活動は国民生活や社会一般の利益のために活動することが公務員の目的があります。公益活動を目的とする公務員が、営利を目的とする活動をする企業などで働くことに矛盾が発生するとされていました。

公務員は、その公益活動を行う上で国民の信用を得ることが必要になります。もともと、国や地方自治体は国民の収める税金によって運営されています。そのため、国民の信用を獲得・維持することが必須となり、副業を行うことで以下の事項が懸念されていたため、法律上で副業や兼業を禁止していました。

≪公務員による副業の懸念事項≫

公務員による副業の懸念事項

信用失墜 公益活動を行う人が、営利企業で働くことや営利目的の活動をすること自体に矛盾が発生します。個人の利益や会社の利益のために、公益活動が歪められてしまうことが懸念されていました。
守秘義務 国や地方自治体で働くことは、多くの機密情報に触れることになります。副業や兼業をすることでこれらの情報を利用すること、漏洩してしまうリスクが懸念されていました。
職務専念義務 消防官や警察官や自衛隊員など、防災や防犯や災害時など国民生活にとって危機的な状況はいつ発生するか分かりません。公務員も休日はありますが、時と場合によって緊急的な出勤が必要となる場合が発生してきます。

●過去から許可されていた副業
基本的に公務員の副業は禁止されてきましたが、以下のような副業や兼業に含まれてくる一部の活動は認められてきました。

  • ・資産運用…株式投資やFXなどが該当します。
  • ・小規模農業…田畑を相続するケースなどの家族で行う規模の農業については許可されています。
  • ・不動産賃貸経営…小規模農業と同様に、相続するケースを想定して許可されています。

●新しい公務員の副業への動き
過去、公務員は労働力の対価を受け取ること自体を禁じられていました。しかし、2018年に閣議決定されている『未来投資戦略2018』では、公務員への副業への新しい姿勢が見えています。

新しい動きで公務員の副業や兼業において、公益性の高い活動においては認めることが明記されています。これは、働き方改革の一環で民間企業の中の特に大手を中心に副業を認める動きが広がる中で、政府としてその動きを後押しし、多様で柔軟な働き方をできるような環境を広げるための動きになります。また、公務員のもつ知見の活用範囲を広げることによる社会の活性化に貢献することや、副業や兼業を通じて得られる経験が新しい視野や知見を得る機会となることも期待されています。

具体的には、『公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑な制度運用を図るための環境整備を進める』と記されています。そのため、公務員の副業がNPO法人(特定非営利活動法人)や公益社団法人の公益性の高い活動の中で認められることになります。一方で、引き続き民間企業や営利団体での副業は認められません。また、利害関係のある団体での活動に関わることも認められていません。

また、公益性の高い活動であるうえで、以下の事項も併せて義務付けられています。

  • ・本人による副業を行う旨の届出と、その副業によって発生する収入申告を義務化
  • ・従事する期間は公務が休みの日を想定し、長時間労働にならないための措置の義務化

これらの副業を行う上での義務もありますが、もともとの副業を推進する要因となっている少子高齢化による労働人口の減少が顕著なのが地方です。地方の公務員が地域社会の公益活動に参加することは労働力不足の解消の一つの施策になることが期待されています。そのため、各地方経済の活性化のためにも、地方ではより積極的な公務員の副業が望まれています。

●公益性の高い活動
公務員の副業や兼業が許可される公益性の高い活動は、公益活動を指します。公益活動とは、広く社会一般の利益になる活動を意味します。そのため、限定された一部の利益にしかかなわない活動は公益活動とは言うことができません。
公益活動は、以下の3つの主体が行います。

行政 公的な機関が実施する国民全般の生活を支える公的活動を言います。具体的には、財政的支援や情報提供や施設提供などの支援の形態をとり、公益活動団体の自主性や主体性を損なうことが内容に実施されることが一般的です。
民間企業(営利法人) 商品やサービスの提供など営利目的の事業活動が、広く国民全般の福利増進につながる活動となる場合を指します。
第3セクター(非営利法人含む) 行政と民間企業ではない組織の活動を通じて公益につながる社会活動を行う団体を言います。チャリティやボランティアなどを含む活動が行われる為、一般的な“公益活動”と言う時にはこの第3セクターの活動を言うことが多くあります。

公務員の副業は、民間企業での活動は認められていないため、この第3セクターでの活動において実施することが認められています。

●地方都市での公務員労働力の活用事例(兵庫県神戸市/奈良県生駒市)
前述の地方での公務員の労働力を第3セクターで活用する先駆けが、神戸市になります。兵庫県神戸市では、『地域貢献応援制度』を設立して神戸市役職員が勤務時間外の公益活動に副業として参加することを市が許可するものです。

市役所職員は市役所の職務でも、副業とされる地域活動においても地域に結び付いた活動を行い、様々なチャレンジを行うことで職員として有益な知識や経験を得ていくことを期待した制度になります。この地域貢献応援制度においては、報酬等を受け取って行うことも許容されています。
参考|神戸市『地域貢献応援制度』について

より詳細な基準を設けているのが奈良県生駒市になります。井熊氏では職員が職務外地域活動で報酬を得て従事することについての基準を平成29年8月よりスタートしています。

対象となる活動は、公益性が高く継続的に行う地域貢献活動であることと市内外の地域発展・活性化に寄与する活動を対象としています。その上で、一般職の職員で在籍1年以上を活動開始予定日時点で経過している人事考課の評価が要件を満たしている職員を対象としています。その上で、許可申請を行います。

申請に対して、職務の遂行に支障をきたす恐れがないなどの定められた審査基準をクリアした申請に対して許可が下りるようになっています。
参考|生駒市『地域貢献活動を行う職員の営利企業等の従事制限の運用について

●今後の公務員の副業
公務員の仕事自体は安定した仕事である認識があります。しかし、少子高齢化によって税収の先細りや人口の減少による地方自治体自体の必要性の減少などが今後起こってきます。

その中で、地域や地方自治体の合併は今後も継続的に進んでいくものと考えられます。そのため、公務員の仕事も将来にわたって安定かは疑問があります。一方で、公務員の仕事は民間企業の業務とは異なる特殊性があります。その特殊性になれた30代以降は民間企業への転職は簡単ではありません。

このような将来的な変化を予想すると、公務員の副業は現時点では非営利団体の公益活動に限られていますが、副業や兼業を通じて民間企業の仕事に触れることで公務員の多様性を高めることは必要な要件になっていきます。そのため、公務員の副業や兼業は今後において変化・拡大する要素も多く含まれていると言えます。

2-2 団体職員の副業

団体職員の副業

団体職員とは、非営利組織に勤める職員を言います。非営利組織とは、営利を最優先として追及しない法人や組織を言います。営利法人は株式会社がその代表です。営利法人は利益を上げて、その利益を株主などの法人を所有する出資者などに分配します。

しかし、非営利組織はこの利益を分配することをしてはいけない“非分配”の組織になります。非営利組織は利益を分配しない代わりに、非営利組織の事業に再投資を行います。この利益の分配方法が出資者に向かうのか、事業に利用するのかが営利と非営利の違いになります。非営利組織は、社会的利益を追求することが事業の目的になります。

●みなし公務員
非営利組織も国や地方公共団体とは異なります。しかし、どちらかと言うとその事業の目的は株式会社などよりも国や地方公共団体に近いとも言えます。加えて、団体職員はその給与や待遇などが公務員に近い条件でありながら民間企業に所属しているため『みなし公務員』と呼ばれることもあります。

みなし公務員とは、以下の項目に該当することで実際は公務員ではないが公務員として法的に取り扱われる人を言います。

  • ・業務における公益性や公共性がある場合
  • ・公務員が実施する職務の代行を行う場合

団体職員は、その非営利組織の実施する業務によってではありますが、みなし公務員として扱われることが多くあります。公務員として取り扱われることは、民間企業と比較すると充実している公務員の福利厚生についても公務員と同程度の待遇となっています。

一方で、団体職員は公務員に適用される収賄罪*や公務執行妨害罪**なども適用されます。また、みなし公務員はその業務の国民生活への影響の大きさからストライキなどの影響が大きな行動は規制があります。

*収賄罪とは、公務員などがその職務に関連することで賄賂(わいろ)を得ることや要求・約束することに対する罪状です。
**公務執行妨害罪とは、職務を行う公務員などに対してその職務の執行を妨害する行為に対する罪状です。代表的なものは、警察官が実施しようとする職務に対して抵抗や妨害する行為などが該当します。

みなし公務員について具体的な職業は以下になります。かつて、国営で行っていた事業などを民営化した組織が大半を占めます。また、国民生活に密接に関わりながら、独立性を担保する必要がある組織(日本銀行など)も含まれます。

郵便局職員 郵政民営化に伴い、郵便局は民営化され日本郵政株式会社となりました。そのため、職員も公務員から民間企業の職員となりました。民間職員ではありますが、その待遇は引き継がれてみなし公務員となっています。
公共インフラの職員 TEPCO(東京電力ホールディングス株式会社)関西電力株式会社などの電力会社や、東京水道株式会社などの水道会社や東京ガスなどのガス会社などのライフラインを担う企業の職員もみなし公務員となります。
国立大学職員 平成16年に国立大学は民営化・法人化しています。そのため、郵便局同様にみなし公務員となっています。
日本銀行の役職員* 日本銀行も日本銀行法に基づく法人であるため、日本銀行で働く役職員は公務員ではありません。しかし、日本銀行の業務の公共性は非常に高いため、日本銀行法第30条によってみなし公務員に定められています。

*役職員とは、役員と職員や社員を含める従業員とほぼ同義の言葉になります。

上記の他に厚生年金基金や公立図書館などに勤める職員もみなし公務員となります。みなし公務員に認知度はないものの、公共性の高い法人が日常生活の中で身近に活躍している企業であることが分かります。

●団体職員の副業は可能
団体職員の副業は可能です。しかし、株式会社も同様ですが自身が属する法人が副業を許可しているかどうかによって決まります。株式会社と異なる点は、公共性の高い団体や組織の職員や従業員は前述のとおり公務員と同様の待遇のみなし公務員です。

みなし公務員の副業や兼業を禁止する法律はありません。しかし、副業を禁止されていることが多くあるのが現状です。しかし、副業や兼業が認められている方向にあるのは公務員同様です。実際に、関西電力や東京ガスは副業を解禁しています。公務員の副業と同様に手探りでそのやり方を検討している段階と言えます。

団体職員の副業において留意すべき点は、公共性が高い業務であるほど公務員と同様に信頼性が求められます。そのため、信頼を喪失するようなことはできないため、副業の範囲も限定されていきます。また、事前に申請を必要とすることが一般的になっています。また、守秘義務や贈収賄などに注意が必要な点も公務員と同様です。

3 副業で法人化

副業で法人化

副業が上手く軌道に乗り、利益がでてくると会社設立=法人化することを検討すべきタイミングがあります。これは起業する時と同じですが、小規模でスタートする場合には個人事業主として事業を開始して事業が安定的かつ一定規模の利益が出せるタイミングになって株式会社などを設立し法人化します。

一般的な起業と副業からの起業の異なる点は、本業の勤務先へ事前にしかるべき申請と許可を得る必要がある点です。この許可を得られない場合には、副業を行うことも副業で行う事業を法人化することも違反行為や違法行為となります。

一例ではありますが、2020年4月には日本郵政のみなし公務員2615名が事前の許可を得ずに兼業を行ったことにより処分を受けています。この処分を受けた職員が実施していた兼業は、消防団(1,633名)と農業(364名)と不動産(168名)となります。これらの兼業はもともと事前に総務大臣の許可を得ていれば兼業自体問題がなかったものになります。しかし、その必要な許可を得るプロセスを実施しなかったため、最も重い処分で戒告(287名)となり、ほとんどが口頭による注意(1,896名)を受けることになりました。
参考|総務省『郵便認証司の未承認兼業等に関する処分等

副業を開始するタイミングにおいて事前に必要な許可をとっておくことが最善ですが、会社設立することは概ね設立後はその法人の代表となります。そのため、会社設立をする前までには必ず本業の会社に副業の申請を行うようにします。

3-1 副業で会社設立をするタイミング

これから行う副業での会社設立については株式会社の設立を前提に説明を行います。副業として非営利事業や非営利法人の設立を行うことももちろんあります。しかし、副業を行う目的の最も大きなものは『収入を増やしたい』と言う理由です。その割合は約9割に上ります*。そのため、ここでは副業の会社設立については利益追求を目的とする株式会社を想定します。
*@Press『6000人が回答!「副業」実態調査―「エン転職」ユーザーアンケート―

副業で株式会社設立を検討するタイミングは大きく以下の3つになります。

副業で株式会社設立を検討するタイミング

  1. ①副業による利益が年間500万円以上
  2. ②副業による売上が年間1000万円以上
  3. ③事業としての信頼性獲得のため

①副業による利益が年間500万円以上

副業によって得られる利益が500万円以上になると、支払う税金が株式会社として支払う方が安くなります。副業による収入は、個人事業主が事業所得として納税することになります。個人事業主の事業所得は個人の所得税の納税と同じです。所得税の税率は、5%から計算され、所得額が高くなるにつれてその税率も上がります。以下が所得金額に応じた税率表になります。

≪所得税率表≫

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円から330万円以下 10% 97,500円
330万円から695万円以下 20% 427,500円
695万円から900万円以下 23% 636,000円
900万円から1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超 40% 2,796,000円

一方で、法人が事業で得た利益は法人税として納税します。この個人事業の事業所得が500万円以上になると、法人税で納税した方が納める金額が少なくなります。

具体的な計算の説明は控えますが、副業で年間500万円の利益が得られた場合には、所得税37万円と個人事業税11万円の合計で約48万円が納税額になります。一方で資本金1000万円の株式会社であれば、所得税約26万円と法人住民税7万円の合計で33万円の納税額となります。この場合には、約15万円の節税になります。ちなみに、年間利益が1,000万円の場合には約55万円の節税となり、利益が大きくなればなるほど節税額も大きくなっていきます。

15万円の節税と聞くとあまり大差はない印象になるかもしれません。しかし、年間500万円は月間の利益になおすと約42万円になります。月の利益の35.7%が変わってくるとなると、非常に大きな金額であるとご理解いただけるはずです。

②副業による売上が年間1000万円以上

年間の売上が1,000万円以上になると、個人事業主も消費税の納税義務が発生します。ただし、消費税の納税は2年後から発生する点に注意が必要です。具体的には、2020年度の売上で初めて年度売上が1,000万円以上になった場合、2022年度から課税事業者となります。参考|国税庁『売上高が1,000万円を超える場合(消費税について)

一方で、資本金が1,000万円未満の法人を設立すると、1期目の消費税の免除を受けることができます。また、以下の条件を満たす際には2期目の消費税も免除となります。

  1. ・1期目の課税売上高もしくは給与等支払額が1,000万円以下である場合
  2. ・設立1期目が7ヶ月以下の場合

つまり、売上と消費税の免除だけを考えるのであれば、個人事業主で年間の売上が1,000万円以上になった翌年の後半に法人化すると消費税の免除期間が最大化することになります。

③事業としての信頼性獲得のため

事業をより大きくしようとする局面で必要となるものの一つが信頼性です。副業を開始した時点で仕事は自分だけでできる範囲であることが一般的です。しかし、事業が上手く回りだすと事業拡大をお客様や周囲から求められることがあります。また、仕事への手ごたえを得て副業を本業としようと自身でも考えることもあります。

このタイミングで法人設立を検討するのが一般的です。会社を設立するのは、事業を継続的に実施することを示します。個人事業主は、事業を継続する責任があいまいにみられてしまいます。

そのため、個人事業主として事業を行う場合には事業に関わる人数は同じであっても、株式会社と個人事業主では取引先の信用が変わってきます。また、法人との取引の際には法人同士の取引しか認められていない企業もあります。

また、資金調達において金融機関から融資を受ける場合においても、個人事業主より法人のほうが相対的に融資を受けられる確率も融資の金額自体も大きくなる傾向があります。

3-2 副業で法人化する流れ

副業を法人化するための流れは、個人事業を法人化することと同じ流れになります。しかし、本業と副業とを同時にこなしながら、法人設立をすることは大きな負担になります。設立前の準備期間を多くとりながら、期限のある法人設立後の諸手続きまでの内容とやり方まで準備期間を利用して理解しておくことを推奨します。法人化の流れは以下になります。

≪法人化の流れ≫

法人化の流れ

  1. ①会社設立前の諸手続き
  2. ②法人の登記申請
  3. ③法人設立後の諸手続き

①会社設立前の諸手続き

会社設立前に必要になる諸手続きは以下になります。

必要書類準備 必要書類の代表例は以下になります。
・登記申請書(法務局Webサイトでダウンロードが可能です)
・発起人決定書
・就任承諾書(代表取締役/取締役/監査役)
・取締役印鑑証明書
・登録免許税納付台紙(収入印紙が株式会社は15万円、合同会社は6万円になります)
定款作成と認証 定款は日本公証人連合会Webサイトにテンプレートと記入例があります。また、定款の認証費用4万円が不要になる電子定款については法務局Webサイトで確認できます。
定款の作成が完了したら、法人を設立しようとする住所がある地域を管轄する公証人役場で定款認証の手続きを行います。なお、公証人役場に行く前に、不明点の確認と訪問予約を取るようにします。
定款認証に必要なものは以下になります。
・定款(3部)
・発起人の実印とその印鑑証明書
・身分証明書
なお、認証を受けるのには5万円の公証人への手数料と収入印紙4万円(ただし電子定款では不要)と、定款の写し交付手数料(1ページ250円)が必要です。
印鑑作成 法人設立には『法人実印』が必要です。法人実印は、1㎝~3cm以内の正方形に収まるサイズである必要があります。銀行口座を開設するための『銀行印』と、業務効率向上のための『社印』や『ゴム印』の計4つの印鑑を作成するのが一般的です。
なお、登記申請時に実印の印鑑届出書が必要になります。
資本金払込 資本金は発起人の個人口座に振込を行います。振込を行った通帳のコピー(表紙/表紙の裏/振込が確認できるページ)を取り、払込証明書とで製本します。

②法人の登記申請

法人の登記には、事前準備で用意した書類をもって管轄する法務局の窓口に行きます。紙で申請を用意する際には順番にそってホチキスでとめます。なお、CD-Rなど電磁的記録媒体による提出も可能です。詳細は法務局Webサイトで確認ができます。より効率的に進める場合には電磁的記録媒体による提出がお勧めです。

登記申請には約20万円費用が掛かります。

③法人設立後の諸手続き

法人設立後の手続きで注意しなければいけないのは、その手続き実施場所と期限になります。

税務署 法人設立届出(会社設立から2ヶ月以内)
青色申告承認申請書(会社設立から3ヶ月以内)
給与支払事務所等の開設届出書(会社設立から1ヶ月以内)
源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書
都道府県事務所 法人設立届出書(会社設立から1ヶ月以内、ただし東京23区は15日以内)
各都道府県ホームページで書式確認ができます。
市町村役場 法人設立届出書(市町村によって異なります)
各自治体のホームページで期限と書式を確認できます。
年金事務所 健康保険・厚生年金保険新規適用届(会社設立から5日以内)
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届(被保険者資格取得後5日以内)
健康保険被扶養者(異動)届(被保険者を取得してから5日以内)

また、従業員を雇用した後には労働保険と雇用保険の加入手続きが必要です。労働保険は労働基準監督署で、雇用保険はハローワークで手続きが必要です。それぞれ詳細は厚生労働省のWebページで確認ができます。

4 まとめ

まとめ

社会と企業のニーズが大きくなるのにあわせて副業の仕事幅や量が増えていく可能性があります。副業は自分の仕事の幅や社会との関わり方を広げてくれる良い面と、本業や私生活とのバランスのとり方などの難しい面もあります。

しかし、本業がしっかりしているのであれば副業はトライ&エラーを繰り返すこと悪くありません。ぜひ、目標をもって副業を検討している人がいるならその第一歩をふみだしてみてください。

社団法人設立が全国一律27,800円!KiND行政書士事務所:東京