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社団法人と組合はどう違う?

どのような事業を行うにしてもその内容と組織の形態(種類)がマッチすることは重要です。しかし、収益事業や社会貢献性の高い事業などを問わずその事業を行うための組織の形態は様々なものが存在し、事業を開始する際にその選択に悩む方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、組織の形態の候補となる社団法人や組合を取り上げ、両者の違いを含む特徴に着目し、その選択に役立つ情報を紹介します。事業等を行う組織の主な種類、社団法人と組合の特徴及び相違点、などを把握したい方は参考にしてみてください。

1 組織(形態)の種類と主な特徴

組織(形態)の種類と主な特徴

最初に事業等を行う組織の種類や主な特徴について見ていきましょう。

1-1 組織としての企業、会社と法人

組織としては、「企業」、「会社」や「法人」などが一般的に認識されていますが、まず、その三者の概要を確認していきます。

1)企業、会社と法人とは

●会社

「会社」とは「会社法に基づいて設立された法人のこと」です。具体的には①株式会社(有限会社を含む)、②合同会社、③合資会社、④合名会社の4つが会社として定義されています。

●企業

「企業」は上記の会社を含む事業組織の呼称の一つです。具体的には上記の4つの会社を含むほか、「営利を目的に計画を立てて経済活動を行う経済の団体や組織」として企業は認識されています。

●法人

法人とは、法律により自然人と同じ権利義務を認められた組織(「法律行為の主体」としての権利義務をもつ「人格」のある組織)のことです。法人には様々な法律により、株式会社や合名会社、社団法人、などが存在します。

法人は、大きくは株式会社などの会社形態である法人(「私法人」)と「公法人」に分かれ、公法人の代表格は地方公共団体や社会福祉法人、一般社団法人などです。

2)企業、会社と法人の主な違い

三者の違いを簡単に説明しましょう。

●企業と会社の主な違い

企業は「営利を目的に計画を立てて経済活動を行う経済の団体・組織」であり、会社は「会社法に基づいて設立された法人」になります。従って、営利を目的として事業活動を行う法人である会社は「企業」に該当するわけです。

●会社と法人の主な違い

法人は法律上の存在であり、会社は法人の一種になります。法人は私法人と公法人に分けられ、私法人は営利法人と非営利法人に分けられるのが一般的です。

1-2 企業の形態の分類

企業には様々な分類がありますが、ここではその一部を紹介しましょう。

1)企業の分類

企業の分類として、「民間企業」と「公的企業」による分け方があります。民間企業は、個人企業と集団企業に分類されることが多いです。個人企業は、1人による出資と経営という企業形態で、集団企業は複数の出資者による共同経営的な運営がよく見られます。

2)法人を中心とした分類

企業を法人と、個人企業を含むその他企業に分け、法人を「私法人」(行政の権力を必要としない民間法人)と「公法人」(国家の目的を遂行するために設立された法人で、公社、公団、公庫、金庫、公共組合、公共企業体等が含まれる)として分類するケースも多いです。

私法人は「営利法人」と「非営利法人」に分けられ、営利法人には株式会社等の会社が含まれます。非営利法人は、NPO法人、学校法人、医療法人、宗教法人、などです。従って、法人のみでの分類は、公法人、営利法人、非営利法人の3つになります。

営利法人は、物質的利益を法人の構成員に分配することが許容されている法人で、株式会社等の会社です。非営利法人は、公権力を保有せず、主に経済的利益を得ることを目的としていない法人で、NPO法人、一般社団法人、一般財団法人などが含まれます。

つまり、社団法人も企業及び法人の1つに分類されているのです。

3)「公企業」と「私企業」という分類

企業の形態を「公企業」と「私企業」に分けるケースも多いです。私企業については、さらに個人企業と共同企業に分けられます。共同企業には、法人格を有する「法人企業」と法人格を持たない匿名組合、民法上の組合、などの「非法人企業」が存在します。

法人企業には、営利法人としての会社があり、公益法人としての社団法人、財団法人、特定非営利活動法人(NPO法人)、そして、営利法人と公益法人の中間に位置づけられる中間法人としての協同組合等(営利法人と非営利法人の両方あり)があります。

なお、多くの組合は法人格を持たない企業として認識されるケースが多いのです。

2 社団法人とは

社団法人とは

ここからは社団法人と組合の特徴やその違いを確認していきましょう。まず、社団法人について説明します。

2-1 社団法人の主な内容

社団法人の主な特徴とその種類は以下の通りです。

1)社団法人とは

会社と社団法人の特徴を見比べると、「営利目的」か「非営利目的」の違いがあり、株式会社などの企業は営利目的の組織、社団法人やNPO法人は非営利目的の組織に分類されます。

現在、改正民法に伴って実施された社団法人制度改革により、「社団法人」自体の名称で法人を設立することはできないですが、改正後は「一般社団法人」「一般財団法人」「公益社団法人」「公益財団法人」で設立されるようになりました。

なお、一般社団・財団法人(一般法人)の団体が、民間有識者で構成される第三者委員会によって行われる公益性審査(公益目的事業等に関する審査)に合格し、内閣府又は都道府県から公益認定を受ければ、公益法人(公益の増進を行うことを目的として活動する民間の法人)として認定されます。

法律によりこうした分類・団体が存在するものの、世間ではこれらの4法人を、法律とは関係なく「社団法人」として扱うケースが多いです。

2-2 4つの社団法人の概要

4つの社団法人について簡単に説明しましょう。

1)一般社団法人

一般社団法人は、法律に定められた要件を満足できれば主務官庁の許可がなくても登記により設立が可能な一般法人です。旧社団法人の時代では公益性や主務官庁の許可が必要でしたが、一般社団法人の場合は公益性の有無に関係なく要件を満たせば法務局での登記により設立できます。

一般社団法人の主要な特徴は、「剰余金の分配を目的としない非営利法人」という点です。なお、この「非営利」は「一般社団法人が収益を目的とした事業を行う法人ではない」ことを意味するのではありません(一般社団法人が収益事業を行うことは可能)。

また、「剰余金の分配を目的としない」というのは、同法人が得た利益を「社員」(株式会社の株主のような出資者等のことであり、「従業員」ではない)に分配しないことを指します。

たとえば、株式会社なら獲得した利益(剰余金)を株主に配当金として分配しますが、一般社団法人はそのような剰余金の分配は行いません。なお、一般社団法人も一般企業と同じように、その役員や従業員には報酬や給与を支払います。

また、一般社団法人の目的や事業の種類については、法律上の制限はなく、法律や公序良俗に反しない内容であれば、どのような事業を行っても問題ありません。

一般社団法人の中には、公益を目的とする事業やボランティア活動的な事業に取り組む法人も多いですが、それら以外の収益事業を行っている法人も多いです。

なお、一般社団法人は目的を持った人の集合体として認識され、地域振興、医療福祉、学術研究、業界団体の業務・福利厚生・資格認定等、同窓会や自治会の運営、などに従事する法人が多く存在します。

2)一般財団法人

一般財団法人も非営利法人ですが、一定の財産(寄付も含む)に対して法人格が与えられる団体です(公益目的が前提)。つまり、一般財団法人は、お金や土地などの「財産」を主に管理・運営することを目的として設立される法人になります。

一般財団法人の設立要件は、設立人が300万円以上の財産を拠出すること、その財産を事業の目的のために運用すること、とされており、主に財産面に着目した法人と言えるでしょう。

なお、事業内容については、公益性を前提としますが、一般財団法人も法律や公序良俗に反しない限り事業内容を自由に決められます。

3)公益社団法人と公益社団法人の主な内容

公益法人は、「人の集合体」としての「公益社団法人」と、「財産の集合体」としての「公益財団法人」の二つです。

一般法人が公益法人になるには、法律に基づく審査に合格して、行政庁の認定を得ることが必要ですが、具体的には「公益性」の認定を受けられるか否かで公益法人になれるかどうかが決まります。

その公益性の認定基準は、公益に役立つ活動をしているかという「公益性」と、公益目的事業を行う能力・体制があるかという「ガバナンス」の2つです。

公益目的事業は「学術、技芸、慈善その他の公益に関する事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの」とされており、23の事業が定められています。従って、公益法人は一般法人に比べて事業内容が公益性の観点から厳格に規定される自由度の低い社団法人と言えるでしょう。

なお、公益法人は、事業のうち公益目的事業比率が50%以上であること(公益法人の活動全体における公益目的事業活動の割合がその費用額において50%以上であること)が求められます。その上で公序良俗等に反しない限り、公益目的事業以外の事業を行うことは可能です。

2-3 一般社団法人の特徴

最も選択の候補となりやすい一般社団法人の特徴を説明しましょう。

1)一般社団法人の仕事

一般社団法人の仕事は、株式会社などと同じように様々で、業種及び職種も多様です。大まかに見ると、製造業や流通業などの事業を直接的に行うのではなく、事業者や消費等の個人に対するサービスを提供するケースが多く見られます。

職務ではスタッフ職や事務職などが多く、職種では経営企画・人事・総務・経理などが多いです。学術研究、医療や介護など専門知識やスキル等が要求される分野も多く、一定の資格や経験・スキルなどが必要となる職種も少なくありません。

また、一般社団法人の中には、その業界の企業を会員としてサポートする会員サービスを主な事業とするケースも多いです。具体的には、会員管理、福利厚生サービスの提供、イベント開催等のサポート、などを事業とする法人が多く存在しています。

2)一般社団法人に多い業種と仕事

(1)資格認定及び資格者養成のサービス

一般社団法人の事業として、各業界内で必要とされる特定の技能等について、技能検定や資格認定を実施たり、その専門家や資格者を養成したりするケースも多いです。

公益法人の公益目的事業の一つとして「資格付与」がありますが、一般社団法人でもそれに類似した事業が行われているのです。具体的には「申請者の技能・技術等について、一定の水準に達しているかの試験を行い、達していれば申請者に対して資格を付与する事業」などになります。

たとえば、業界の事業者を会員とする法人では、その業界の資格認定を行う、国家資格などの取得を支援する、などのサービスも多いです。また、ビジネスに関連した各種の免許や資格等の取得を支援する法人なども多く見られます。

(2)スポーツや芸術等の振興

特定分野のスポーツの普及、社会的地位の向上や愛好者の親睦等などを事業目的とする法人も多いです。たとえば、テニス分野では、愛好者の開拓、会員・愛好者への指導、指導者の養成、会員同士の親睦会の開催等を運営する法人が多く存在しています。

また、音楽や絵画などの芸術、芸能や文化などを振興する法人も少なくないです。

(3)医療関係

医療・福祉・介護の分野に携わる病院や介護施設等が一般社団法人として、運営されるケースが多く見られます。福祉・介護分野においては、障がい者の自立支援、介護サービスの提供、高齢者の健康維持や生きがい作りの支援、などで活躍する法人も多いです。

(4)学会関係

国内には様々な学会がありますが、その中には一般社団法人として活動する団体も少なくありません。医療学会、科学技術関連の学会、産業界の学術団体、文学界の研究団体などが一般社団法人になっています。

仕事の主な内容は、各学会の研究開発等の支援、情報提供、会員サービスの提供などです。

(5)観光や地域の振興

観光業の振興、地域産業の振興・活性化、街づくり支援、地域への移住・流入人口の増加促進、など地域の発展に役立つ事業に取り組む一般社団法人もよく見られます。

(6)教育

一般社団法人の中には、小中高の私立学校や大学などの教育機関を運営したり、学習支援に取り組んだりする法人も多いです。学習支援事業では、学校の授業に追いつけない生徒、経済事情等の家庭に問題のある生徒、様々な悩みのある生徒、などへの支援を目的とする法人も少なくありません。

また、高齢者を含む社会人を対象とした生涯学習の支援を行う法人もいます。

(7)技術開発や研究開発

各産業界の事業者が協力して一般社団法人を設立し、その業界に関係する科学技術等の研究・開発に取り組む法人も多いです。

(8)業界団体としての活動

各業界の発展や振興を目的とする一般社団法人もよく見られます。具体的には、自動車産業の「一般社団法人 日本自動車工業会」、金融機関の「一般社団法人全国銀行協会」などです。

その業界に関する市場、技術、生産や輸出などの調査や研究のほか、会員への資金調達の支援などが実施されています。

3 組合とは

組合とは

「組合」と呼ばれる組織は様々ですが、ここでは「複数人が特定目的のために活動する団体」として扱います。

その組合は、法人格を持たないケースが多いですが、「○○組合」という名称でも一般社団法人等になって法人格を有するケースも少なくありません。たとえば、名前が「〇〇組合」であっても一般法人化して「一般社団法人○○組合」となることもあるわけです。

なお、組合と社団法人との違いを説明する際には「組合=社団法人」でないケースを前提として説明するため注意してください。

3-1 組合の種類

「組合」と呼ばれる団体は数多存在しますが、法律を根拠として設立され、かつ「複数人が特定目的のために活動する団体」としては以下のような組合が挙げられます。

1)民法上の組合(民法667条)

民法667条の組合は、事業の共同実施、物品の共有、借財の共同債務など、幅広い目的をもって設立することが可能な組合です。同組合では、個人や法人を問わず、誰でも組合員となることができます。

2)中小企業組合(中小企業等協同組合法)

中小企業等協同組合法の組合は、主に中小企業者が相互扶助の精神に基づき、事業の改善、発展、経営の合理化、生活の向上を図ることを目的として設立されるものです。同法に規定される組合は事業協同組合など複数あります。

3)匿名組合(商法535条)

匿名組合とは、営業者と匿名組合員がその二者間で出資や利益分配に関する契約を締結することで成立する組合のことです。匿名組合員ができる出資は、金銭その他の財産に限定されており、労務や信用による出資はできません。

近年ではソーシャルレンディングやクラウドファンディングなどの投資の際に利用されるケースが増えてきました。

4)有限責任事業組合(LLP)(有限責任事業組合契約法)

LLPは、有限責任事業組合契約法によって認められる民法上の組合です。LLPは、出資者の有限責任、柔軟な組織設計、貢献度に応じた利益配分などの特徴を持っており、幅広い業種や事業で活用されています。

具体的な業種等は、コンサルティング、法律・税務・会計、不動産、医療・介護、IT・Web関係、製造業、サービス業などです。

5)投資事業有限責任組合(LPS)(投資事業有限責任組合契約法)

LPSは、事業者の多様な資金調達方法の確保や信用創造機能を強化するために創設する法人格のない組織形態です。

特徴としては、業務を執行する無限責任組合員(GP)と投資家の有限責任組合員(LP)によって構成され、構成員課税(組合等の事業で発生した利益に対し、その組合等には課税されず、その利益の配分を受けた出資者、構成員等に課税される制度)が適用される、などが挙げられます。

この組合は、名前の通り投資の事業に関連して結成される組織形態で、その目的は投資ファンドの組成を活発化させることです。

6)マンション管理組合(区分所有法)

マンション管理組合とは、マンションを維持・管理することを目的とする組織形態です。区分所有法は管理組合について「区分所有者全員で構成されること」と明記しており、分譲マンションを購入して区分所有者になれば管理組合に加入することが義務付けられます。

管理組合の仕事は、共有部分の廊下やエレベーターで不具合が発生した場合の修理や、ゴミ出しのマナー違反などへの対応です。なお、賃貸契約の賃借人や区分所有者の家族・同居人は管理組合に加入できません。

7)労働組合(労働組合法)

労働組合は「労働者が主体となり、自らが労働条件の維持・改善や経済的地位の向上を目的として組織する団体」とされています。つまり、労働者が団結して、賃金や労働時間などの労働条件の改善を図るために組織される団体です。従って、直接的に事業にかかわる活動は対象になりません。

労働組合は、労働者が二人以上集まれば自由に結成することが可能で、行政機関の認可や届出なども必要ないです。ただし、労働組合を法人として登記する場合などは労働委員会の審査を受けなくてはなりません。

8)労働者協同組合(労働者協同組合法)

労働者協同組合とは、労働者協同組合法(令和2年法律第78号)に基づいて設立される法人です。労働者がその組合員として出資し、各々の意見を反映して組合の事業を行い、組合員自らが事業に従事することを基本原理としています。労働者協同組合法は、一部を除き令和4年10月1日に施行されました。

労働者協同組合は、上記の基本原理に従い、持続可能で活力ある地域社会に資する事業を行うことを目的とし、その内容は組合によって定められます。

以上のように「組合」と名の付く団体は様々に存在しており、理念、目的や参加する者の状況、などによって対象・選択する組合は異なってくるわけです。そのため「社団法人と組合の違い」が何であるかを端的に説明するのは困難であると言わざるを得ません。

そこで社団法人と多少なりとも比較しやすいように、いくつかの組合を取り上げ、もう少し説明を加えましょう。

3-2 「民法上の組合」「中小企業組合」と「労働協同組合」の概要

上記の組合に該当する各々の組合の内容を簡単に紹介します。

1)「民法上の組合」

民法上の組合に該当する組織は広範囲に及びますが、その主な特徴は次の通りです。

(1)該当する代表的な組合

たとえば、以下のような組合が挙げられます。

  • ・共同で土地の開発や建築を行うための組合
    例:マンションの分譲を行うための組合
  • ・共同で農業や漁業を行うための組合
    例:農作物の生産や販売を行うための農業協同組合
  • ・共同で商品の製造や販売を行うための組合
    例:食品の製造や販売を行うための食品製造業組合
  • ・共同でスポーツや文化活動を行うための組合
    例:○○選手の技量の向上や育成を目指す○○スポーツクラブ
  • ・共同でボランティア活動を行うための組合
    例:各種のボランティア団体

なお、民法上の組合は法人格を保有できません。そのため、組合名義で契約を締結したり、財産を所有したりすることはできないです。組合が第三者と契約を締結する場合は、組合員の連名で行う必要があります。また、組合の財産は、各組合員の合有(共有状態の一種)です。

(2)組合設立の目的と組合員の資格

民法667条の組合は、事業の共同実施、物品の共有、借財の共同債務など、広範囲の目的で設立される組合ですが、端的に示すと目的は共同事業を営むことです。なお、営む事業の具体的内容は、組合員の意思で自由に決められます。組合員は個人や法人に関係なく、誰でも組合員となることが可能です。

(3)設立手続と規約

民法667条の組合は、登記が必要なく成立できます。また、規約を作成する必要もありません。

(4)監督官庁

民法667条の組合に監督機関はないです。

(5)主な特徴

  • ・幅広い目的:
    同法の組合は、事業の共同実施など幅広い目的をもって設立することが可能であり、特定目的の実現に向けて設立された組合や、一般的な目的で設立される組合など、様々な種類の組合が含まれます。
  • ・規約の自由度:
    同法の組合は、規約を自由に定めることができるため、組合の目的や運営方法等については、組合員の合意で決めることが可能です。

監督官庁:
同法の組合には監督機関がないため、組合の運営は、組合員の自主性に委ねられます。

2)「中小企業組合」

中小企業等協同組合法に基づく組合の主な種類と特徴は以下の通りです。

(1)代表的な組合

以下のような組合が挙げられます。

・事業協同組合

事業協同組合は、協同組合の中で代表的かつ最も一般的な組合で、協同組合原則に従って運営される組織形態です。その組合員である中小企業者は、その経営の合理化と取引条件の改善を図るために、以下のような事業に取り組みます。

  • 共同生産・共同加工・共同購入・共同販売・共同運送・共同保管・共同受注・共同研究等の共同事業
  • 福利厚生に関する事業
  • 事業資金の貸付
  • 債務保証
  • 新分野進出の円滑化を図るための事業
  • 経済的地位の改善のために必要な団体協約の締結等の共同事業
  • 保険会社等の業務の代理又は事務の代行等の事業

・事業協同小組合

主として事業者自身の労働によって事業を遂行しているような小規模事業者向けの組織です。事業内容としては、事業協同組合とほとんど同じ事業になります。

・信用協同組合

同組合の位置づけは組合組織による中小企業専門金融機関です。同組合は中小企業者、勤労者等の相互扶助を目的として、組合員に対する預金の受入及び資金の貸付等のほか、為替取引、有価証券の売買・貸付、有価証券・貴金属その他の物品の保護預り等の金融事業を行います。

なお、信用協同組合には、一定区域内の住民を構成員とする「地域組合」特定の業種(青果卸業や建設業、医者等)に勤務する人(関係者等も)が対象となる「職域組合」及び特定の業種(警察や消防署、新聞社等)に所属する同業者が対象となる「業種組合」の3種類が存在します。

・協同組合連合会

協同組合連合会は、協同組合(企業組合を除く)の連合体です。同連合会は協同組合が単独で行うよりも、大きな効果が期待できるような共同事業(共同宣伝・共同広告等)を行い、その会員の協同組合及び組合員の経済的地位の向上を図ることを目的とします。

・企業組合

企業組合は、その組合員が自己の資本と労働力とのすべてを組合に投入し、企業組合自体が1個の企業体として事業を行う独特の協同組合の形態です。従って組合員は、組合の経営に参画しつつ、原則として組合の事業に従事して報酬を受ける勤労者的な存在になります。

つまり、この組合は外面的には会社組織に類似した活動をしているように見えますが、内面的には協同組合の原則によって運営されるわけです。この企業組合は、小規模事業者が企業合同により、その経営単位を拡大して、経済的地位を向上するための組織として利用されるほか、創業や新事業挑戦のための多様なパートナーシップ組織としてもよく使用されています。

その企業組合が実施する事業は、商業、工業、鉱業、運送業、サービス業、その他組合の定款で定めることになっています。

(2)組合設立の目的と組合員の資格

中小企業等協同組合法の組合は、主に中小企業者が相互扶助の精神に従い、事業の改善、発展、経営の合理化、生活の向上を図ることを目的としています。同組合の組合員は、原則として中小企業者です。

(3)設立手続と規約

同組合の設立では登記が必要であり、定款も作成しなければなりません。

(4)監督官庁

同組合は、都道府県知事の監督を受けます。

(5)主な特徴

組合の種類により多少異なりますが、概ね以下のような特徴が見られます。

  • ・中小企業者の経済活動の支援:
    中小企業等協同組合法は、中小企業者による協同組合の設立と運営を支援することを目的として制定されているため、同法に該当する組合は、中小企業者による事業の改善、発展、経営の合理化、生活の向上を図ることが目的です。
  • ・組合員の平等:
    同法の組合では、組合員の平等が原則とされます。そのため、組合員の資格や権利は、組合員の資産額などの違いによって異なる扱いを受けることはありません。
  • ・民主的な運営:
    同法の組合は、民主的な運営が原則とされ、組合の運営は組合員の意思決定に基づき行われます。

3)労働者協同組合(労働者協同組合法)

「組合」と社団法人との違いを見る上で、労働者協同組合の特徴を認識しておくことも有効です。

労働者協同組合は、労働者が組合員として出資し、彼らの意見を反映して、自ら従事することを基本原理とする組織形態で、「地域のみんなで意見を出し合って、助け合いながら、地域社会の課題を解決していこう」ということを目的する比較的新しい組合の形態と言えます。

そうした理念や特徴は、社会貢献性の高い事業に取り組む社団法人に類似する点も多いですが、以下のような労働者協同組合法が成立した背景や労働者協同組合に求められる役割を把握しておくと、同組合の特徴が理解しやすいでしょう。

  • ・国内では、少子高齢化が進み、人口が減少する地域では、介護、障害福祉、子育て支援、地域活性化、などの幅広い分野で、多様なニーズが生じており、その担い手が必要とされている
  • ・これらの多様なニーズに対応し、担い手となろうとする者は、各々の様々な生活スタイルや多様な働き方ができるように、NPOや企業組合といった法人格を利用し、あるいは任意団体として法人格を持たずに活動しているケースも多い
  • ・しかし、これら既存の組織形態では、出資ができない、営利法人である、財産が個人名義である、などの理由で従事しにくいことも多いため、多様な働き方を実現しながら地域の課題に取り組むための新たな組織形態が必要となっている

以上の理由・背景から労働者協同組合が誕生し、以下のような特徴を持っています。

(1)労働者協同組の事業

同組合では以下のような事業が行われています。

キャンプ場の経営、葬祭業、成年後見支援、一般貨物自動車運送、家事代行、地元産鮮魚販売、給食のお弁当づくり、高齢者介護、生活困窮者支援、子育て支援、障害福祉、清掃、建物管理、メディア制作

具体的には以下のような組合が設立されてきました。

  • ・「放置された荒廃山林を整備し、キャンプ場を経営」する「CampingSpecialist労働者協同組合」
  • ・「自治会を母体にした労働者協同組合」としての「労働者協同組合かりまた共働組合」
  • ・「生活困窮者支援を通じた地域づくり」を目指す「労働者協同組合ワーカーズコープちば」

(2)労働者協同組合の主な特徴

概ね以下のような特徴が見られます。

  • ・地域の多様な需要に対応した事業
    許認可等が必要な事業についてはその規制を受けますが、労働者派遣事業を除くあらゆる事業が可能です。たとえば、介護・福祉関連(訪問介護等)、子育て関連(学童保育等)、農産物加工品販売所等の拠点整備などの地域づくり関連事業、などの事業が見られます。
  • ・組合員の議決権や選挙権は平等
    株式会社と違い、出資額に関係なく組合員は平等に1人1個の議決権と選挙権を持ちます。
  • ・簡便に法人格を取得でき、契約などが可能
    労働者協同組合は、NPO法人(認証主義)や企業組合(認可主義)と違って、行政庁による許認可等を要しません。また、法律の要件を満たし、登記すれば法人格が付与され(準則主義)、3人以上の発起人が揃えば設立が可能であることから、上記の法人よりも設立のハードルが低いです。

なお、都道府県庁の指導監督を受けることになり、都道府県知事に決算関係書類などを提出することになります。

  • ・組合員の意見反映
    事業の実施に際して、組合員の間で、平等の立場で話し合い、合意形成をはかることが重視されています。法人の定款に、どのように意見反映を行うかを明記し、意見反映の状況とその結果を総会で報告しなければなりません。
  • ・組合員との労働契約の締結
    同組合は組合員との間で労働契約を締結します。この締結により、組合員は労働基準法、最低賃金法、労働組合法などの法令による労働者保護が適用されるのです。
  • ・出資配当は不可
    配当を行うことは可能ですが、その場合は出資額に応じてではなく、組合の事業に従事した分量に応じて行わねばなりません(従事分量配当)。つまり、株式会社のように単に出資額の多さ(保有株式数の多さ)に応じた配当にはならないということです。

4 社団法人と組合との相違点

社団法人と組合との相違点

社団法人は4種類あり、各々の相違点も少なからずあります。また、組合も相当な種類の団体が存在し、社団法人以上に特徴の差異が多いです。そのため社団法人と組合とを単純に比較することはできません。

従って、どのような組織の形態を選択するかは、選ぶ者の事業等への考え・思い、立場・状況、志向する運営方法などのほか、その組織の形態が有する特徴を考慮して決定することが求められます。

そうした点を踏まえ、ここでは一般社団法人と比較的に対象となりやすい組合を取り上げ、その特徴を比べつつその違いを説明しましょう。

4-1 一般社団法人・一般財団法人と主な組合の特徴の比較

一般法人と、事業協同組合・企業組合・労働者協同組合の特徴を一覧表としてまとめてみました。

  一般社団法人 一般財団法人 事業協同組合 企業組合 労働者協同組合
目的・事業 目的や事業に制約なし(公益・共益・収益事業も可) 設立時に定款に定めた目的、定款に掲げる事業 組合員の経営近代化・合理化・経済活動の機会の確保 組合員の働く場の確保、経営の合理化 持続可能で活力ある地域社会の実現に資する事業
設立手続 準則主義 準則主義 認可主義 認可主義 準則主義
設立要件 人:
設立発起人が2人以上、
理事と社員総会の設置
 
人:理事3名、評議員3名、監事1名以上の設置(設立発起人は1人以上)
財産:300万円以上の財産拠出
設立発起人が4人以上、組合員4人以上、資本金1円以上、定款、創立総会の開催 等 設立発起人が4人以上、組合員4人以上、資本金1円以上、定款、創立総会の開催等 設立発起人が3人以上、組合員4人以上、資本金1円以上、定款・事業計画書等、創立総会の開催、等
構成員の資格 個人及び法人 個人及び法人 地区内の小規模事業者 個人及び法人 一口以上出資する労働者
組合員の比率 ない ない ない 全従業員の1/3以上が組合員 全従業員の3/4以上
従事比率 ない ない ない 全組合員の1/2以上 全組合員の4/5以上
責任 設立時社員、設立時理事又は設立時監事の負う責任は、総社員の同意がなければ免除されない 設立者、設立時理事又は設立時監事の負う責任は、総評議員の同意がなければ免除されない 有限責任 有限責任 有限責任(組合員の責任は、その出資額の範囲)
議決権 平等(1人1票)(社員) 平等(1人1票)(理事) 平等(1人1票) 平等(1人1票) 平等(1人1票)
配当 ない ない 利用分量配当及び1割までの出資配当 従事分量配当及び2割までの出資配当 従事分量配当
主な資金調達方法 会費、寄付、助成金、融資、その他(商品・サービスの販売等) 寄付、助成金、融資 出資、寄付、助成金、融資、商品・サービスの販売 組合員による出資、融資、助成金等、寄付、商品・サービスの販売 組合員による出資、融資、助成金等、寄付、商品・サービスの販売

4-2 一般社団法人と主な組合との違い

ここでは先の比較表の内容を踏まえ、両者の違いを簡単に説明しましょう。

1)設立面

●設立手続

設立手続において、一般社団法人と一般財団法人は、法律で定めた要件を満たせば登記することによって設立が認められる準則主義が採用されます。一方、「民法上の組合」は登記の必要がなく設立が可能です。

労働者協同組合は準則主義が適用されますが、事業協同組合と企業組合は行政機関の認可が必要な認可主義が適用されるため、社団法人を含め他の組織形態と比べ手間・コストが余計にかかります。

●設立要件

設立に際して必要なる人員については、一般社団法人は、2人以上の設立者が必要です(一般財団法人は7人以上必要)。一方、民法上の組合は2人以上、事業協同組合では4人以上(発起人と組合員ともに)、企業組合は4人以上、労働協同組合は3人以上となっています。

また、発起人の人数だけを見ると一般社団法人が2人、組合の方では3人や4人以上などとなっており、設立の際に要する人数面としては一般社団法人のほうが少なく済むわけです。

以上の点から、設立面においては、民法上の組合を除けば一般社団法人の方が負担は軽く設立しやすいと考えられます。

2)運営面

組織や事業の運営面の違いを確認しましょう。

●事業の選択

一般社団法人は公益法人と異なり、事業内容に制約がなく公益・共益・収益事業のいずれも可能で、法律や公序良俗に反しない限り業種の制限もありません。なお、一般社団法人の業種としては、芸術の振興・教育、地域の振興、障害者の支援・介護、高齢者の健康維持、などの公共性や社会貢献性の高い事業が多いです。

労働者協同組合は「持続可能な地域社会の実現に役立つ事業」を前提とするため、事業に関しては一般社団法人と近い傾向が見られます。他方、事業協同組合や企業組合は地域の社会・経済への発展に貢献する事業に取り組むケースが多いですが、公共性や社会貢献性の高い事業とのかかわりは強くありません。

事業協同組合や企業組合は組合員の相互扶助を目的として、一般の会社のように、製造業、卸売業、小売業、建設業、運輸業、サービス業、農業、林業、漁業、観光業、医療・福祉、教育、などに取り組んでいます。

●配当

「一般法人」においては、株式会社のように株主に利益を分配する「配当」ありません。一方、事業協同組合での配当は「利用分量配当及び1割までの出資配当」、企業組合では「従事分量配当及び2割までの出資配当」、労働協同組合では「従事分量配当」などとなっています。

組織おける配当制度の位置づけは様々ですが、組合においては、組合員の経済的地位の向上、組合の事業活動の活性化、組合の健全な運営、などの点において有益です。組織の理念、目的、事業内容、運営、などを踏まえて配当制度を評価した上で、組織の形態を選ぶことも必要でしょう。

●組合員の比率や従業比率

組合員の比率とはその組合における組合員の比率のことです。一般社団法人の場合、その構成員は「社員」と「役員」になりますが(「社員」と業務に従事する「従業員」とは異なる)、社員についての比率の規定はありません。

他方、企業組合では全従業員の1/3以上が組合員、労働協同組合では全従業員の3/4以上、といった縛りがあります。

また、組合の従事比率とは、組合員のうち、組合の事業に従事する者の割合のことです。一般社団法人の場合、特に制限はありませんが、企業組合では全組合員の1/2以上、労働協同組合では全組合員の4/5以上、といった縛りがあります。

●税制の優遇措置

一般社団法人、労働協同組合、事業協同組合や企業組合は、各々法人格を有する団体で、税制上の優遇措置を受けることが可能です。しかし、法人格の性質や目的に応じて、税制上の優遇措置の内容が異なります。

  • ・一般社団法人の税制上の優遇措置
    一般社団法人の場合、法人税法上の収益事業から生じた所得が課税対象ですが、法人税法上の公益法人に該当する場合、法人税や法人住民税の特別控除を受けることが可能です。
  • ・労働協同組合の税制上の優遇措置
    労働協同組合は、法人税法上普通法人として取り扱われるため、全事業が課税対象になります。
    しかし、特定労働者協同組合(より非営利を徹底した組合であると都道府県知事から認定された労働者協同組合)は、概ねNPO法人並み(法人税法上の公益法人等に該当)の税制優遇が受けられ、法人税法上の収益事業についてのみが課税対象です。
  • ・事業協同組合の税制上の優遇措置
    軽減税率(税率19%等)、事業分量配当(一部が損金算入可)、政策減税(中小法人向けの政策減税の対象 等)、など普通法人等とは異なる税制上の取扱いが受けられます。
  • ・企業組合の税制上の優遇措置
    株式会社と同様に普通法人として課税されますが、出資総額が1億円以下の場合、年間所得800万円以下の部分に対する法人税については中小法人と同じ、軽減税率が適用されます。

以上のように採用する組織の形態により、受けられる税制等の優遇措置が異なるため注意が必要です。

5 まとめ

社団法人と組合

社団法人の種類は4つ、組合は相当数の種類が存在し、特徴も大きく異なることも多いため、社団法人と組合を単純に比較することはできません。

そのため社団法人や組合を組織の形態として選択するといった場合には、創業者等が実現したい理念・事業への思い、事業内容、設立の手間やコスト、組織運営の容易さ、経営上のメリット、などを整理・評価の上選ぶことが重要です。

今回取り上げた社団法人と組合のタイプから気になる形態を候補として、その特徴をさらに調査・研究し、検討してみてください。

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