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法人設立後、初めての決算で注意するべきポイントとは

法人設立後、第一期が終了する時期に「決算」という区切りの作業を行う必要があります。
決算について、税務署への提出期限など締め切りは第一期終了後2ヶ月以内ですが、準備に関しては第一期が終了する2~3ヶ月前に準備を始めておく必要があります。また決算で直前に大変な目に遭わないためにも、普段から様々な準備・用意・税理士とのコミュニケーションを心がけておく必要があります。

今回の記事では、会社設立後初めて決算を迎える経営者のために、初めての決算で注意すべきポイントをご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

1 そもそも決算とは?決算を行う意義は?

そもそも決算とは?決算を行う意義は?

決算というのは、会社の一定期間の事業活動における「成績表」と言えます。いくらお金が入ったか、いくらお金が出ていったか、つまり、収入・支出を示してくれ、その結果手元に資産(負債)がどれくらいあるかも示してくれます。

決算書の各書類には、大きく3種類の書面・役割があります。

3種類の書面・役割

決算書類の種類 ポイント
損益計算書(P/L) 売上高から当期純利益を出し、「いくら利益を出したのか」を示す書類です。フロー(流れ)を示す書類と言えます
貸借対照表(B/S) 資産・負債・純資産の内訳を示すことで、純粋な手元のお金がどれくらいあるのか、負債はどれくらいかなど、ストック(決算時点の財産状況)を明確に示してくれます。
キャッシュフロー計算書(C/F) 営業キャッシュフロー(ビジネスでいくら稼いだか)投資キャッシュフロー(貸しビル・株式など投資でいくら稼いだか)財務キャッシュフロー(借入・補助金・助成金等で、どれくらい資金を調達したか)という3つの観点から、業務外での資金調達状況を示してくれる書類です。

では、決算の必要性と、決算書が会社経営のために大切な理由に関して、より深く把握していきましょう。

1-1 決算がなぜ必要、そして会社経営のためにも大切なのか

決算・決算書の大切さについて、基礎部分を押さえていきましょう。

①決算書は、利害関係者・第三者に経営状況を伝えるツール

決算は、自分の会社のため、税務申告のためにつくるイメージが大きいですが、他にも様々な人に必要とされます。

対象者 なぜ必要か
経営者・取締役・執行役員 まず、経営者や役員が現状をありのままに把握し、経営方針を、「このままでいいのか」「変える必要があるのか」を決定する意味で、決算書は大切な存在になります。
出資者・投資家・VC(ベンチャーキャピタル) お金を投資した側が、投資先の経営状況を理解するためには、決算書は不可欠です。また、会社を作ってすぐの場合は、一般の投資家が関わることはレアと思われますが、投資家の場合は、四季報その他で投資先を探す際に、決算の情報を大きな判断材料とします。また、出資者・VCについては、利益が出ているかという側面もですが、赤字になっている場合でも、将来の種まきをした結果の赤字であれば、納得を得られる余地があります。ただ、いずれにしても、黒字・健全な経営状況であることがより望ましいかと思われます。ベンチャーキャピタルに対しては、法人からお金を投資してもらう以上、結果に対する強い説明責任があります。
従業員 この従業員は、自社だけでなく、他社の従業員も含みます。まず、自社の従業員に関しては、「現在の自社はこういう状況である」と把握できることで、自社に対する信頼が高まります。ただし、内容によっては不安感をもたれることもあります。「前向きな投資の結果」や「やむを得ない外部要因」で一時的に赤字になったなど、特殊事情がありマイナスの数値になった場合は、決算書に加え理由付けが必要と言えます。
転職者 転職を検討する人にとっても、転職先の決算内容は非常に気になる情報です。会社の経営そのものに加え、役員報酬・労働分配率なども気になるところでしょう。
調査会社 企業の調査会社にとっても、決算書の存在は重要です。調査会社は、会社について評点(点数)をつけるわけですが、経営者の人となり・評判は当然として、決算書の数値が重要なデータとなります。また、調査会社の評点は金融機関もチェックしており、一定以上の点数になると金融機関の営業が来るという話も聞きます。
銀行等金融機関・債権者 データを開示する上で、特に丁寧な説明・フォローを要すると言えます。金融機関であれば融資してよいか、他債権者であれば、債権の保全は大丈夫かなどのデータとして、決算書は重い意味を持ちます。なお、金融機関から借入をしている場合、以前は「金融検査マニュアル(令和元年12月18日廃止)」に基づき、自己査定という形で、「正常先」「要管理先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」と債務者を区分し、債務者の区分により、貸付先が破綻しても問題がないよう、種別に応じた引当金を確保する必要がありました。金融検査マニュアル廃止後は運用方針に変化が出ている可能性はありますが、いずれにしても決算書の内容で企業の評点を出すシステムが金融機関にはありますので、できるだけ黒字の決算書が望まれます。

以上のように、決算書は様々な人の役に立ち、かつ厳しいチェックの対象となる、重要な書類と言えます。

②会社の状況を明確にしてくれる

自分の会社が儲かっているのか、どういうところにお金を使っているのか、どのような資産があるのかなど、様々な点を決算書は明らかにしてくれます

決算書を見て、本業である事業収益、その他の収益どちらが利益に貢献しているか、手元現金や借入はいくらかなど、会社の現状がわかりますので、決算書は会社の年間を通した通信簿と言えます。

また、月次会計は会社のダッシュボード、四半期決算は学期末の通信簿に近いと言えます。

③決算書の基本的なポイント

それでは、決算書の基本的なポイントを表でまとめてみましょう。

決算書の作成は個人法人問わず、義務である 決算書は、会社法435条等で法的に作成が義務づけられています。また、正しい納税を行うためにも、正確な決算書は重要となります。
決算書は最低1年に1回作る 決算書は、最低でも1年に1回は作成することが法律で義務づけられています。1年に複数回作ることは問題ありませんが、2年に一度というのは当然ながら認められていません。なお、大企業・上場企業などでは半期の中間決算、3ヶ月ごとの四半期決算が行われるケースも多いです。
決算書を作成するタイミングはいつか 決算期の時期は会社設立時に決められますが、仮に7月1日~翌年6月末日を決算期とします。この場合、7月1日~6月末までの取引は全て決算書に盛り込む必要があり、かつ税務上は、原則決算終了後2ヶ月以内に決算書を税務署に提出する義務があります。準備期間も含めると、決算終了後2~3ヶ月前に用意し、決算終了後1~2ヶ月以内に提出するのが理想」となります。
決算書は誰が作るのか 一般的には、会社の経理担当と税理士が作成するケースが多いと言えます。税理士が決算書作成全般を行うケースもありますが、組織が大きくなると、経理部門を強化し、「記帳は経理部門」「チェック・決算・申告は税理士」というケース(自計化)が多くなると言えます。
決算書には会計ルールがある 決算書は、一律の定めのもとに作成される必要があります。そうしないと、各社で決算書の内容に関する基準が異なると、決算を閲覧する人が、フラットな条件で決算を分析できないためです。
決算書の虚偽・粉飾決算は犯罪 決算書は自社で作成するケースが多いですが、場合によっては赤字でも黒字に見せるように作ることもできてしまいます。(ただし、税理士はまず断り、ハンコは押しません。粉飾決算に加担、見逃しとなると、自身の信用・職業生命に関わるからです)ドラマやビジネス小説などでも粉飾決算のエピソードはよくあり、典型的なパターンとして、自社用・外部(銀行・税務署・官報)公表用等と分けるケースがあります。なぜこのようなことをするかというと、決算書が赤字であったりすると、

  • ・銀行からお金がかりられない
  • ・銀行から金利引き上げ、担保、保証人を要求される
  • ・信用調査会社の評点が下がり、外部からの信頼度も下がる

などのマイナスがあるからです。しかし、粉飾決算を繰り返すと、どこかで帳尻が合わなくなります。それが明るみに出ると、特別背任罪・詐欺罪などの刑事罰、金融機関等からの民事責任を追及されるおそれもあります。60億の負債を抱え倒産したある会社では、35年にわたり粉飾決算に手を染めていたことが問題となっています。このケースでも、自社用の決算書と金融機関向けの決算書の内容を分ける粉飾決算をしており、関係者の民事・刑事責任の追及も想定されます。

決算書は誰でも入手できるケースが多い 決算書は、EDINETという「金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム」で、だれでも閲覧できます。また、一定規模の企業の場合は、ホームページ上に「IR情報」という項目を設けており、ここからも確認できます。非上場企業の場合は、費用がかかりますが、企業調査会社に依頼したり、企業名鑑で確認することができるケースが多いです。

以上、これから初めての決算期を迎える会社向けの情報を中心にまとめました。

1-2 決算期到来で慌てないために、普段から行っておくべきポイント

まず極力、毎日(もしくは毎週)、収支に関する書類を集め、帳簿をつけておくことが大切です。

とはいえ、1人会社や少人数のベンチャーでは、毎日は大変かと思います。週か最低でも1ヶ月ごとに、請求書・領収書・納品書・仕事のために購入したもののレシートなど、各種支出にかかる証憑書類をまとめておき、週1~月1のペースで記帳することが大切です。

1人会社で物販などではなく、各種書類が少ないケースの場合、月ごとに請求書・領収書・レシートなどをまとめ、税理士・記帳代行事業者に一任するという方法もあります。ただ、会社の経営状況をできるだけ早くチェックするという観点から考えると、月1での記帳をおすすめします。

1-3 決算の準備は、いつ頃始めた方がいい?

前の表で、決算自体は第一期が終わってから、第一期全体が対象になると書きました。しかし、最初の決算を2ヶ月だけで終わらせるのは非常に負担が大きいため、実質は決算終了の2,3ヶ月前頃から、決算に向けた準備をしていくことをおすすめします。

そうすると、余裕を持って決算準備ができ、節税や各種対策がとりやすくなる可能性が高くなるからです。

1-4 決算は、税理士とのコミュニケーション・早期の書類提出が大切

決算は、税理士とのコミュニケーション・早期の書類提出が大切

決算を行う上で、会社設立当初は専門のスタッフを置くことが厳しいかもしれません。
そのため、経営者やスタッフが記帳をするか、税理士に一任する必要性が生じます。

社長・役員・社員とも、経理専門で担当していない場合は、他の仕事に追われ、経理が後回しになるおそれがあります。

そうならないためにも、早いうちから税理士や税理士と連携する記帳代行業者へ記帳を一任したり、税理士やスタッフから、「会計ソフト・クラウドサービスへの入力のレクチャー・決算書の読み方を指導してもらう」など、教われる部分は教わっておいた方が良いかと思います。

1-5 税制などでメリットが得られる場合は、早めに専門家・関係機関に相談を

予想外に世間の人は誤解しがちなのですが、節税と脱税は全くの別物です。

節税は、「税務の法律に従った、ルール上行為」→合法
脱税は、「売上隠し・粉飾など、違法行為」→違法

ということで性質が異なります。

税制の仕組みを用いた節税は、もちろん正しいことですので、積極的に行う必要があります(ただ、節税ばかりに目が行き、手元の現金を減らしても望ましくないので、適切な利益計上・納税は大切です)。

節税ができるケースというのは、会計を見ている税理士などの専門家でないと、アドバイスしにくい側面があります。

ですので、記帳を早めに行うことと同時に、税制メリットなど「お得になる情報」も積極的に探していく必要があると言えます。

2 具体的な決算作業で留意すべきポイント

具体的な決算作業で留意すべきポイント

決算実務を行う上では、事前に日々の記帳がされているか否かで、負担が大きく異なります。前にも述べたように、日次・月次の記帳をできるだけ行うのが望ましいと共に、決算準備も早めに着手した方がよいでしょう。

なお、会社設立にかかった諸費用も、経費として計上できますので、ぜひ計上漏れのないよう注意するとよいでしょう。また、税理士など専門家報酬も経費として計上できます。

ぜひ経費にできる部分は経費として計上することも忘れないようにご注意ください。

2-1 各書類の集約し、何に使ったかを明確に説明できるようにしておく

こちらは日々の記帳で行っておくべきことですが、直前で改めて書類に遺漏のないようチェックする必要があります。

また、領収書のない書類は日次伝票を切り、何に使ったかを明記しておく必要があります。使途がわからないレシートについては、「○○者の○○さんらと業務Aに関する会食のため」など記載しておき、いざ税務調査があった際に、「この領収書はこのために使いました」と明記しておく必要があります。

2-2 経理は「発生主義」であることに注意する

経理において、「発生主義」という言葉があります。発生主義は、「ある取引が発生した時点で、現金等の動きがなくても、売上が立ったとみなす」など、実際のお金の動きとは時間的な差が出てきます

「発生主義」とよく並んで語られる言葉である「現金主義」は、現金の動きを起点とする一方、あくまで「発生主義」は取引発生時が基準となります。

発生主義と現金主義

例えば「黒字倒産」という言葉を聞くことがあるかと思います。これは、「帳簿上は黒字なのだけど、実際に現金が入ってくるサイクルは、翌月から数ヶ月先なので、手元の現預金が尽きて、支払いができなくなってしまう」ということを指します。

つまり、帳簿上発生した現金と同額の現金がぽんと入ってくるわけではなく、翌月~数ヶ月、時には半年先と、お金が入ってくるタイミングが異なるのです。

このタイムラグで支払いができないと、「資金ショート」となります。手形の場合は2回目の不渡りを起こすと取引停止で実質倒産に追い込まれるなど、お金をもらう権利が入ってくるタイミングと、受け取るタイミングは違うことに注意する必要があります。

そして、一度売上として計上しても、取引先の破綻・不払い・仕事の手戻しや業務破棄などがあると、入ってくるはずのお金が一気に入ってこないことになります。

しかし、利益として計上している以上は、消費税や税金は払う必要があります。(相手方の経営破綻などがあれば損金処理できます)

そのため、「納品し、代金を回収し領収書を発行するまでが一連の取引である」ことに留意する必要があると言えます。

また、「期ズレ」にも注意する必要があります。代金計上と現金回収が決算日をまたいでしまうと、最初の期では「利益の増加」、次の期で「現金の増加」と、時期のズレが生じ、いわゆる「期ズレ」となり、ここで記載ミスがあると税務調査で指摘を受ける可能性があることを留意した方がよいでしょう。

2-3 通常の経費と固定資産をしっかり分けて考える

通常の経費と固定資産をしっかり分けて考える

経営・経理に普段縁のない人にとっては、「どんなものでも買ったら一括で経費にできるのでしょう?」という誤解があります。

しかし、全てのものを一括で経費にできるわけではありません。大きなものは、「固定資産」として扱われるのです。固定資産とは、「会社で一定の期間、長期で使う目的で購入した、ある程度高価なもの」を指します。

前提として、

  • ・転売ではなく、自社利用を目的として購入
  • ・1年を超えて使う
  • ・1年を超えて現金化される

という条件があります。

固定資産は3種類あります。

有形固定資産 形があり、長期間使用する物。車両運搬具・建物・機械・備品・土地・リース契約物
無形固定資産 知的所有権(特許・商標など)、各種ソフトウェア、のれん代(他社を買収した際に出てくる),電話加入権
投資その他の資産 他社に対する投資のための床証券(株式・社債)、子会社、関連会社株式

また、固定資産の減価償却には様々なルールがあり、全てを記載すると複雑になります。減価償却については、ぜひ税理士・会社設立の専門家に相談することをおすすめします。

今はざっくりと、「大きな額で長く使うものは、複数回に分けて経費としていくことになる可能性があるよ」と押さえておいておけば十分でしょう。

2-4 第3期以降の消費税の課税方法を決める

第1期も終わっていないのに、第3期の以降の話というのも、一見話が早すぎるように感じるかもしれません。

ただ、消費税はその年を基準に課税業者か不課税業者か決まります。翌々年に売上に応じた消費税を納税する必要が出てきます。

そのため、2年先のことをもう第一期の決算の時点で決めないといけないわけです。

最初、開業時に、課税事業者であることを届け出る「消費税課税事業者選択届出書」を提出しいるかと思います。多くの事業者は、簡易課税のための、「消費税簡易課税制度選択届」を提出しているケースが多いと想定します。

みなし課税制度の簡易課税の場合、複雑な計算が不要で「これくらいあなたは消費税を払っているでしょうね」という、おおまかな計算ができるため負担が減ります

みなし課税の場合、事業に応じ、仕入れが必要な事業ほど、みなし仕入率を高く見てもらえ、消費税負担が軽くなります。

改めて、区分を確認してみましょう。

事業区分 主な業種 みなし仕入率
第一種事業 卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業) 90%
第二種事業 小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第一種事業以外のもの) 80%
第三種事業 農業(※)、林業(※)、漁業(※)、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業、(第一種事業、第二種事業に該当するもの及び加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除く)※令和元年10月1日を含む課税期間(同日前の取引は除く。)からは、農業、林業、漁業のうち、消費税の軽減税率が適用される飲食料品の譲渡に係る事業区分が第三種事業から第二種事業へ変更 70%
第四種事業 第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業及び第六種事業に当てはまらない事業(飲食店業など)第三種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第四種事業となる。 60%
第五種事業 運輸通信業、金融・保険業 、サービス業(飲食店業に該当する事業を除く)をいい、第一種事業から第三種事業までの事業に該当する事業を除くもの。 50%
第六種事業 不動産業 40%

ただ、海外への輸出入ビジネスの場合や、事業内容、取引の傾向によっては消費税還付などが受けられるケースもあります。

特に、途中で輸出入を主体とする事業に転換した場合や転換を検討している場合は、税理士など専門家と話し合った上で、メリットがある場合は課税制度に関する届出を提出することをおすすめします。

2-5 経営者自身の確定申告も忘れない

経営者自身の確定申告も不可欠です。これは基本的すぎるがゆえに見落とされがちですが、経営者自身の個人としての確定申告も必要になってきます。

会社の決算と個人の確定申告が重なると大変です。個人の確定申告に関しても、準備しておいた方が良い書類やポイントなどがあるので、表にまとめてみましょう。

必要書類や諸条件等 備考
複数の会社から給与を受け取っている 脱サラして独立起業した場合、年末調整で送られてくるのは前職分のもののみで、脱サラ以後の役員報酬は別途確定申告で申告する必要があります。また、複数の会社、従業員、役員などとして関与している場合も、それぞれ税務署に相談し必要資料を用意しましょう。
住宅ローンで家を買ったとき 住宅ローン減税の措置を受けられるケースがありますので、必要資料を用意し申告しましょう。
1年の医療費の合計が10万円か総所得の5%を超えた場合 医療費に関する領収書や、各機関より送られてくる書類を計算材料にしましょう。(なので、3ヶ月に1回など送られる医療費のお知らせはぜひ手元に保管を!)
寄付・ふるさと納税をした場合 ふるさと納税をした場合、「寄付した自治体が5ヵ所以内」など一定の条件に当てはまれば、「ワンストップ納税」という制度が利用できるケースもありますが、「ふるさと納税以外に確定申告で申告すべきことがない」という条件がありますので、当てはまらない方も多くいると思います。そのため、寄付金控除の対象となる団体へ寄付やふるさと納税をし、証明書を発行してもらった場合は、かならず保管しておきまくことをおすすめします。
課税対象の保険金を受領した場合 所得税がかからない保険金(所得保障・入院給付・手術給付など)に関しては、確定申告は不要です。しかし、保険金の解約、満期到来、死亡保険金受領、相続等の場合申告が必要なケースが大半ですので、こちらも税理士への相談が重要です。
盗難・災害などにあった場合 盗難・災害などで被害を受けた場合、税制上の特別措置が受けられる可能性があります。
株・FX・暗号資産(ビットコイン・イーサリアムなど)の取引での損益 こちらも当然申告の必要があります。注意すべきは、暗号資産の売却益の場合雑所得のため、損失の繰り越しができません。(他の取引は可能)株・FXは税率が一定ですが、暗号資産(いわゆる仮想通貨)の場合税率も株・FXと異なり所得全体に影響しますので、暗号資産取引に強い税理士の助力が必要となるでしょう。

ここに挙げたのは、個人が確定申告を行う上で特に記述忘れに気をつけたい部分ですが、独立すると法人の申告に加え、個人の申告も行うことになるケースが大半かと推定します。

できるだけ、個人の申告部分についても、税理士・会社設立専門事業者などの力を借りることで、スムースに確定申告をできるようにしていくことをおすすめします。

3 最初の決算がなぜ大切なのか

最初の決算がなぜ大切なのか

ここまで、法人第一期の決算に関して説明してきましたが、法人第一期の決算がいかに大切かということを説明します。

3-1 最初の決算でボタンを掛け違えると、後々まで響く

最近は、会計ソフトやクラウドサービスなどの存在で、会計書類を作成することは一見簡単になったように見えます。

しかし、税理士などプロフェッショナルの観点から見ると、きちんと入力されているケースもあれば、ぐちゃぐちゃになっているケースもあると、税理士から聞くこともあります。

顧問税理士など、専門家か関与していれば、自社で入力した物を専門家にチェックしてもらうことで、税理士から「これはこの仕訳ですよ」「これは固定資産として償却しますよ」と最初から間違いを正してもらえます。

しかし、最初から自己流でやってしまっていると、「入力だけはできてしまうが、専門家・税務署などの観点からみたら問題のある決算書」になってしまう可能性があります。

そのためにも、できるだけ最初から、専門家の力を借りる、委任するなどできちんとした決算書を作成することが重要と言えます。

3-2 決算書を外部はこう見ている

各種決算書の書籍や資料を見ると、「決算書における着目点」「プロは決算書をこう見る」「初心者でもわかりやすい決算書の見方」など、決算書の見方に関するレクチャー記事が多数あります。

決算書を見る人は、こういう点をチェックしているのだ、という観点でも、ぜひ書籍や詳しい人のレクチャーを通し、決算書を見る側の視点を押さえておくことをお勧めします。

注目ポイント
営業キャッシュフローがプラスか? 営業キャッシュフローがプラスか、というのは、「本業できちんと儲けているか」という観点です。
たまに営業外収益(不動産)などで収益を上げつつも、肝心な営業キャッシュフローはマイナスという会社も少なくありません。
もし、全体での収支が黒字でも、営業キャッシュフローが赤字続きであれば、その会社の事業自体が赤字を垂れ流しているということであります。
すると、早番事業の不採算部門・人員や事業そのものにメスが入る可能性もあります。
場合によっては、資金繰りが行き詰まり、倒産するという可能性も想定されます。
近年は、不動産担保ローンという形で、業況が思わしくなくても、土地という担保があればお金を貸してくる制度はあります。(金利は高いですが)
しかし、そのような形で延命はできても、抜本的な営業キャッシュフローの改善がないと、事業は早番行き詰まる可能性がありますので、「本業で儲けているのか?」という観点は大事です。
投資のキャッシュフローのマイナスについては、ネガティブに見る必要はない 先ほど、営業キャッシュフローのマイナスはまずいと書きましたが、一方で、「投資のキャッシュフロー」については、マイナスでもポジティブに見た方が良いでしょう。
「投資のキャッシュフロー」は、「将来の種まき」だからです。
例えば、IT事業者が、事業拠点を拡大・追加するために大型投資をしたとします。
この場合は、将来大きくなるための、意義のある出費と言えます。個人のお金の使い道は、「投資」「消費」「浪費」の3つに分類されます。投資のキャッシュフローはまさに個人の「投資」と一緒です。全体が赤字でも、その中で投資キャッシュフローが大きければ、比較的前向きな赤字と言えます。
財務のキャッシュフローは、お金の出所で判断 財務のキャッシュフローについては、「そのお金がどこから調達した物か?」で判断するとよいでしょう。
近年の資金調達方法は、多様化しています。
メジャーなものから説明していきましょう。

①金融機関からお金を借りるケース

まず、これはキャッシュフロー計算書からだけでは判断できない可能性が高いことを注記します。
金融機関と言っても、都市銀行から信用組合、JAバンク、日本政策金融公庫、商工中金など幅広い組織があります。
基本的には、通常の金融機関の借入は、金融機関が「大丈夫だろう」と判断したものなので、あまりマイナスの要素としては見なくて良いでしょう。

②ノンバンクからお金を借りるケース

日本銀行からの資金調達によらない資金によるノンバンクからの借入があるケースについては、注意した方がよいでしょう。金利が高いケースも多く、なぜノンバンクから借りるかといえば、「普通の金融機関が、ここに貸すのはちょっと危険だよな・・・」と渋っている、というケースが想定されるのです。

また、一部銀行やノンバンクは、不動産を担保に取るケースもあります。

気になる会社に本社・自社ビルや社長の自宅・土地があり、その情報を法務局で取得したところ、銀行・ノンバンクの抵当が入っていた・・・というケースは、非常に警戒して考えるのが望ましいでしょう。

③増資

増資とは「資本金を増やすこと」です。株主からの出資は、「株式の発行による収入」と見なされ、借入と違い返済義務はありませんが、利益がでれば株主に配当金を支払う必要が生じます。
増資はポジティブな要因としてみて良いでしょう。

④私募債

一般の株式のように不特定多数ではなく、少数に対して株式を売り出す募集です。
証券会社だけでなく、銀行等でも私募債の発行に関与するケースもあります。
こちらも、事業拡張のための前向きな投資と見て良いでしょう。

⑤クラウドファンディング

最近よく聞くクラウドファンディングとは、Webを通して、商品・サービスを提案し、資金を集めるという手法です。(一定額に達しない場合、クラウドファンディング自体が中止になるケースも)
個人・個人事業主・中小零細が新事業・やりたいことのために募集する場合もあれば、最近は、大企業が、「製品に本当にニーズがあるのか」を図るためにあえてクラウドファンディングを行い、条件を達成したら製品化するという、テストマーケティング的な活用を行うケースも増えています。

このように、財務キャッシュフローの増加は、「借金・私募債・資本の増加」というケースが多く、業況の拡大が見られます。逆に財務キャッシュフローが減少している場合は「借金が減少している」と見なせる場合もありますが、事業の足踏みも想定し得ます。
財務キャッシュフローに関しては、プラスもマイナスも、両方に良い側面、課題のある側面が想定できます。
財務キャッシュフローがマイナスで借金が減っているからよい、という単純な判断はしない方がよいでしょう。

⑥ベンチャーキャピタルからの出資

よくベンチャー界隈では、「VCから○億円出資を受けました!」ということが強くアピールされます。
これは、ベンチャーキャピタルという、投資家からお金を集めて運用する組織が、成長する見込みのある会社に対し出資をする方式です。
出資条件他様々な契約など気になるところではありますが、少なくとも投資を行う会社がこの会社は投資する意義があると認めたとして、ポジティブに見て良いかと思います。

⑦ファクタリング

ファクタリングとは、支払期限が数ヶ月先の請求書を、一部手数料を引くことで買い取ってくれるサービスです。
業態によっては、支払いサイクルや完成までの期間が長いため、ファクタリングを活用する余地はありますが、手数料を考えると、あまり望ましい調達方法とはいえないでしょう。

3-3 決算書でよく聞く、フリーキャッシュフローとは?

決算書の本などを見ていると、よく「フリーキャッシュフロー」という言葉を聞くことがあるかもしれません。フリーキャッシュフローは、一言で言うと、「自分の会社が自由に使えるお金」ということです。

裏返すと、お金が決算書上はあっても、全てが自由に使えるお金というわけではありません。同じ100万円でも、銀行から借りてきた100万円と、各種税金などを払って残った100万円では、後者が「フリーキャッシュフロー」にあたります。

そもそも、銀行は、お金を貸す際に、必ず「資金使途」というのを確認します(自由にしているケースもありますが)。

銀行員は、「借りたお金を資金使途通りに使っているか、資金使途以外の方法に流用していないか」を厳しくチェックしますので、銀行から借りたお金は、単体では「フリーキャッシュフロー」とはいえません。

キャッシュフロー計算書の最後にある「期末残高」には、借入現金は入っていませんし、事業の維持費・税金も引かれていません。

営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを足した結果、フリーキャッシュフローが潤沢に残っていれば、非常に優良な会社と言えます。

そして、自由に使えるフリーキャッシュフローを、次はどう活用していくか、あるいは内部留保として確保するかも、経営者としての考えどころです。

フリーキャッシュフローの活用方法をリストにしてみましょう。

フリーキャッシュフロー(自由に使えるお金)をどう活用する?
お金を手元に残す 将来の為に積極的に使う
2020年2月現在問題となっている、新型肺炎のような不測の事態でも事業が継続できるように、内部留保を手厚くする 日本・海外の企業買収(M&A)を行う。大小問わず近年増えてきているが、総じて事業を0から開拓する必要なくショートカットできる
市場株価や不動産の下落に備え、手元にキャッシュを貯め、市場が悪化した際に、物件を割安で買う 借入返済や財務基盤の強化
今は魅力的な投資先・株がないので待つ 株主への特別配当や、株を代表者など中核人物に集約させるための自社株買取、社員への特別ボーナス

このように、自由に使えるお金でも攻めの使い方と守りの使い方があります。時期・時流を見て、攻め、守りとお金の使い方を考えていくことが重要です。

3-4 経費の見られ方に気をつけよう

経費の見られ方に気をつけよう

例えば自分が100%出資、100%株主の会社であっても、経費が不自然に多い状況にならないよう、気をつけた方が良いでしょう。

会社設立1年目は、会社設立費用、各種販促費、初期コストなど、様々な経費が出ていくのは仕方がありません。

しかし、会社設立後何年も経つのに、経費の部分で、販売費及び一般管理費が大きい状況は、「大丈夫?」と懸念されるケースがあります。特に、売上総利益(販売費及び一般管理費を引く前)よりも経費が多い状態では、「この会社、本当に持つのか?」という疑念を与えてしまいます

経費が大きくなる主な原因としては、「従業員が多い」「社員の給与水準が高い」「経費の無駄遣いが多い」などが挙げられます

この場合、会社にどれくらい現預金・換金可能な資産があるかを調べるのが望ましいと言えます。

3-5 適正な人件費に注意しよう

自分自身の人件費も含め、役員報酬・従業員給与などの人件費に関しては注意が必要です。理想的なのは、できるだけ人の要らない業種で会社設立をするということですが、一方で、会社運営のために優秀なブレーンが必要という気持ちもわかります。

また、社長であれば、社員に十分な給料を払ってあげたいという気持ちもわかります。ただ、売上総利益に占める人件費の割合は、5割程度に抑えることが大切です。初年度や2期目は、60~70%程度になっても仕方がありませんが、ある程度規模が大きくなれば、できるだけ5割に抑えられるよう、優秀な人材を残し、力を活かせていない人材には、他の道を用意するなどした方がよいかと思います。

なお、問題なのは「しがみつき人材」で、会社の利益に寄与していないのに会社にしがみつこうとする人材です。

このような人材に悩まないよう、「乗せてはいけない人間を船に乗せない(採用しない)努力」も必要と言えます。

また、当初は業務委託などで様子を見るのもありでしょう。優秀な人材を採用できても、要求する給料を支払えなかったり、売上総利益に占める事件費の割合である「労働分配率」が5割を超えたりすれば、経営にとっては負担になります。

4 まとめ

法人設立後に重要な点は多々ありますが、要点を3つに絞ると、以下の通りです。

  • ・まずは受託でも自社開発でもいいから自力で儲け、黒字か、成長の伸びしろが見られる赤字で着地させる
  • ・税理士等専門家と積極的に連携すると共に、各種請求書・領収書・レシート・その他関係書類は整理しておく
  • ・自分でも決算書を読めるように勉強する

まず、事業が続くには適切な売上、利益の確保が必要です。例えば、営業代行でも、Webメディア製作でも、受託開発でも、店舗業務でもまず売上が挙がってこないことには何も始まりません。

また、決算直前であわてないよう、余裕のあるうちから税理士の先生とは仲良くなって、いろいろ教えてもらったり、初心者向けの会計関係のお勧めの本を聞く、直接レクチャーを受けるなど、ともかく決算書が様々な意味で理解でき、「こういう状況だから次はこの打ち手が必要だ」とイメージできるくらいに、決算書を読み慣れておく必要があります。経営者にとって決算書は大切なものなので、しっかりと早い時期から作り込んでいくことが重要です。

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