会社設立時に税理士は必要?税理士の役割や探し方も解説
会社設立を実施するためには、事業内容の決定や定款の作成・認証、設立登記の手続きなどが必要です。どれも法律面の知識が必要となるため、はじめて会社設立する方にとっては決して簡単な手続きではありません。少しでも手続きをスムーズに済ませるために、専門家からのサポートを得たいと考える起業家は少なくありません。
個人事業主や中小企業の経営者にとって、最も身近な専門家といえば税理士です。節税対策や経営面でのサポートなどで頼りとなる税理士ですが、果たして会社設立時にも必要な存在なのでしょうか?
今回の記事では、会社設立前後における税理士の役割(税理士に依頼するメリット)や税理士の探し方、税理士探しで失敗しないためのポイントなどをわかりやすく解説します。合わせて、法人化する適切なタイミングについても解説するので、法人化を検討している方はご参考ください。
目次
1 税理士とは
そもそも、税理士とは一体どのような職業なのでしょうか?この章では、税理士の意味や仕事内容などについて簡単におさらいします。税理士についてよく知らないという方はぜひ参考にしてください。
1-1 税理士の意味
税理士法第一条によると税理士とは、税務に関する専門家として、独立した公正な立場によって、申告納税制度の理念に沿って、納税義務者の信頼に応え、租税に関連する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする者を意味します。つまり税理士は、経営者や個人事業主などの納税者のサポートを行う税務の専門家です。
税理士は弁護士や司法書士などの資格と同様に、国家資格となっています。公認会計士と並び最難関と称される「税理士試験」に合格しなければ、基本的に税理士を名乗ることはできません。なお税理士試験に合格するだけでは税理士になることはできず、実務経験を2年以上積む必要があります。
日本税理士連合会によると、税理士として登録している人数は合計で78,550人、税理士法人の数は合計で6,232(2019年11月末日時点)とのことです。税理士の大半は東京や近畿地方に集中しており、沖縄などは税理士や税理士法人の数は少ないのが現状です。
また税理士は、中小企業の経営者にとって特に馴染みのある士業としても知られています。中小企業庁が公表しているデータによると、中小企業経営者の相談相手のうち、約7割弱が顧問税理士・会計士とのことです。以上のデータより、中小企業経営者にとって税理士は、頼りになる相談相手と言えます。
1-2 公認会計士との違い
税理士としばしば混同されがちな士業に「公認会計士」と呼ばれるものがあります。一見すると業務内容が似ていますが、税理士と公認会計士にはいくつか違いがあります。
まず公認会計士の正式な定義について、公認会計士法の第一条で確認してみましょう。公認会計士法によると公認会計士とは、監査及び会計の専門家として、独立した立場として、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することで、会社等の公正な事業活動や、投資者や債権者の保護を図り、国民経済の健全な発展に寄与する者を意味します。つまり公認会計士は、会社が公表している財務情報が正しい者であることを証明する専門家です。
以上の定義より、公認会計士と税理士には大きく二つの違いがあると言えます。税理士と公認会計士における一つ目の違いは仕事内容です。税理士は税務の専門家ですので、税務に関する書類作成や税務相談を主たる仕事としています。一方で公認会計士は会計と監査の専門家であるため、財務諸表の監査を主な仕事としています。財務諸表の監査は先ほど述べた通り、貸借対照表や損益計算書といった財務諸表について、会計のプロとしてその正確性を証明する仕事です。
二つ目のちがいは、クライアント(顧客)の違いです。前述した通り税理士は、個人事業主や中小企業の経営者が主な顧客となります。一方で公認会計士の行う財務諸表の監査は、個人事業主や大半の中小企業には行う義務が課されておらず、一部の大会社や上場企業にのみ義務が課されています。よって公認会計士の主なクライアントは、事業規模の大きい上場企業や大会社です。
会社設立したばかりの時点では、公認会計士よりも税理士の方が相談相手として適していると言えるでしょう。
1-3 税理士の独占業務
医者だけが手術を行えるのと同様に、税理士にも税理士にしか行うことが許されていない業務があります。このような業務は「独占業務」と呼ばれます。税理士の独占業務は、「税務代理」、「税務相談」、「税務書類の作成」の3つです。
税務代理とは、納税者の代わりに税務署に対して青色申告の承認申請や確定申告などの手続きを行う業務です。経営者側から見ると、確定申告や青色申告の申請といった面倒な手続きを、その道のプロである税理士に代わりにやってもらえるのです。
税務相談とは、税金の納税や計算などについて納税者が疑問に思った点について、相談に乗って適切なアドバイスを行う業務です。経営者や個人事業主にとって重要な節税対策のアドバイスを受けるのも、税務相談に含まれます。
三つ目の独占業務である税務書類の作成とは、税金面の手続きで必要となる提出書類を、納税者の代わりに作成する業務です。確定申告書や青色申告の承認申請書といった会社経営で必要となるものはもちろん、相続税の申告書などの普段の生活で必要となる書類も、税理士に作成してもらえます。
1-4 独占業務以外の仕事
税理士にのみ許されている業務は上記3つですが、独占業務以外の仕事を行う税理士も少なくありません。税理士が行う独占業務以外の仕事には、「コンサルティング」や「会計」、「M&Aのアドバイザリー」などがあります。
税理士がコンサルティングを行う場合、主に経営や資金繰りに関する分野が大半です。税理士の中には自分自身で事務所を開業していたり、自身のビジネスを別に持っている方も少なくありません。そうした方は経営のノウハウや知識が豊富なので、会社設立の前後でコンサルティングを受けるととても役に立ちます。
税務と密接に関係している会計の分野でも、税理士は大いに活躍しています。具体的な仕事内容としては、帳簿の記帳代行や貸借対照表や損益計算書の作成などがメインです。忙しい経営者にとって、日々の記帳や決算書類の作成はとても面倒で手が回りにくい部分です。そうした経営者にとって、会計の業務を担う税理士は重宝されています。
近年増加しているM&Aのアドバイザリー業務も、税理士が活躍している分野です。M&Aとは事業の売買や合併などを意味しており、近年は事業承継を迎えている中小企業の増加に伴い活発化しています。M&Aにおいて税理士は、事業や会社の売買によって発生する所得税や法人税などの計算や、税務デューデリジェンスの業務で活躍します。
2 会社設立時の税理士の役割
税理士というと、実際に事業を行っている最中に、税金面でのアドバイスを受ける時に頼りになる存在というイメージが強いです。しかし税理士は、会社設立のタイミングでも、とても頼りになる存在となります。
この章では、会社設立時に税理士が担う役割を4つご紹介します。これから会社設立したい方は、ここでお伝えする内容を基に、税理士に依頼するか検討してください。
2-1 会社設立手続のサポート
会社設立では、事業計画の策定や資本金の振込、定款の作成・認証、設立登記など、行わなくてはいけない手続きが多々あります。こうした手続きは経営者自身で行うことも可能ですが、ある程度専門的な知識が必要となるため、調べながら時間と労力をかけて行うことになります。
ただでさえ忙しい会社設立前後の時期に、面倒で複雑な手続きを行うのは起業家の方にとってとても大きな負担となるでしょう。そんな会社設立の手続きですが、税理士の力を得ることで負担を大幅に軽減できます。
税理士事務所の中には、起業家の会社設立を専門的に行うところも少なくありません。そのような税理士事務所に依頼すれば、会社設立の手続きを安心して任せることができるでしょう。
なお会社設立の手続きを税理士に依頼する場合、5万円前後の手数料が必要となります。決して安くない値段ですが、定款を紙ではなく電子定款にすることで、収入印紙代の4万円が不要となります。電子定款にして浮いたお金で税理士に依頼すれば、ほとんど費用と手間をかけずに会社設立が可能となります。
2-2 資金調達のサポート
会社設立に際しては、事業運営に必要な資金を調達する必要が出てきます。小さい規模で事業を行う場合には自己資金でまかなうことができますが、ある程度大きなスケールで事業を行うためには、融資を受ける必要があります。
会社設立時期は実績がないため、銀行ではなく日本政策金融公庫が行なっている創業融資を利用するケースが大半です。創業融資は主に会社設立したばかり(もしくはこれから設立する)経営者を対象にしているため、実績がなくても融資を受けることができます。
そんな創業融資ですが、誰でも簡単に資金を調達できるわけではありません。提出する事業計画や資金繰りの計画に説得力がないと、創業融資の審査に通らない可能性があります。
税理士は、そんな創業融資の審査に通る可能性を高める役割を担っています。税理士は会計や税務のプロであるため、説得力のある資金繰りや収益計画を立てることができます。また、数多くの企業を見ている税理士であれば、実現性の高い経営計画を立てることが可能です。
税理士に創業融資のサポートをしてもらえば、専門知識をベースに質の高い計画を立てることができるため、より融資を受けられる可能性が高まります。確実に創業融資を受けたい経営者の方は、税理士に相談してみてはいかがでしょうか?
2-3 経営や会計・ファイナンス面でのアドバイス
会社経営を成功させるには、緻密な経営・マーケティング戦略や資金繰りが必要となります。しかしはじめて会社設立を行う経営者は、こうした経営や会計・ファイナンス面でのノウハウを十分に持ち合わせていないケースが多いです。
そんな時に頼りになるのが税理士です。税理士にコンサルティングを依頼すれば、会計や税務の専門知識から、客観的で理論的なアドバイスを得られます。また自身で独立開業している税理士は、起業家にとっては先輩経営者でもあります。そのため、会計やファイナンス面に加えて、経営戦略やマーケティングの面からも役に立つアドバイスを得られます。
会社設立時点の経営者にとって、論理的で専門的なアドバイスをくれる税理士は貴重な存在となるでしょう。
2-4 司法書士や行政書士との連携
税理士は経営者にとって最も頼りになる相談相手ではありますが、会社設立の手続きの内容次第では、税理士の力だけでは解決できないこともあります。
たとえば事業を行う上で許認可が必要な場合には、許認可の手続きは行政書士の不独占業務となります。また会社設立で必須となる設立登記は、司法書士の独占業務となります。
これらの業務に関しては、税理士が本格的に関与することは法律上できません。そのため、設立登記や許認可の申請が会社設立時に必要な場合には、司法書士や行政書士といった専門家の協力が必要となります。
士業である税理士の強みは、こうした他の士業とのネットワークを持っている点です。会社設立する経営者の要望に応じて、適切な士業と連携を図るのも税理士の重要な役割となるのです。
会社設立の手続きを税理士に依頼する際には、司法書士や行政書士とのネットワークが豊富かどうかも重視すると、後々の手続きがスムーズに進むでしょう。
3 会社設立後の税理士の役割
税理士は、会社設立後も企業にとってさまざまな恩恵をもたらしてくれます。この章では、会社設立後に税理士が担う役割を4点ご説明します。今現在会社を経営している方はもちろん、今後会社設立する可能性のある方もぜひ参考にしてみてください。
3-1 税務相談
会社設立後に税理士が担う最も大きな役割といったら、やはり何と言っても税務相談でしょう。会社設立を果たし事業が本格的に軌道に乗ると、多額の利益を得られます。多額の利益を得た場合、個人事業主として少ない利益を得ていた時よりも多額の税金を支払わなくてはいけません。
せっかく会社設立後に事業がうまくいっても、その分だけ多額の税金を取られてしまっては旨味がありません。そこで多くの経営者は、節税対策を図ります。節税対策は経営者個人でも行うことができるものの、間違った節税対策を行ってしまうと、後から追加で税金を課されたり最悪の場合脱税だと判定されてしまうこともあります。そのようなリスクをなくした上で節税を図るためには、税務のプロである税理士に相談するのが一番というわけです。
税理士は税金について知り尽くしているため、経営者が考えるよりも安全かつ効果の高い節税対策を施すことができます。また税理士は経費とそうでないものを見分けてアドバイスを行ってくれるため、無駄のない決算を実現できます。
どれほどインターネットで節税対策を調べても、やはり素人だと完璧な節税対策を実現するのは難しいです。無理に節税の効果ばかり追求すると、法律的に問題となるリスクが高くなります。少しでも安全かつ効果的な節税を行いたい場合は、税理士に協力を仰ぐのがベストでしょう。
3-2 税務代理
会社設立後において、税理士が担う重大な役割には税務相談ともう一つ、「税務代理」があります。先ほどお伝えした通り税務代理とは、確定申告などの手続きを経営者に変わって行うことです。
個人事業主の場合、そこまで手続きが複雑でないため、会計ソフトなどを駆使すれば確定申告を済ませることは難しくありません。そもそも副業などであれば、そこまで忙しくないことも多く、手続きに煩わされることもないでしょう。
一方で株式会社などの法人の場合、個人事業主と比べると確定申告で提出する書類が複雑で作成が難しいです。一応法人が対象の会計ソフトもあるものの、操作自体が複雑なので、使いこなすのは簡単ではありません。専門的な知識も必要となるため、経営者個人が確定申告を済ませるのは難しいのが現実です。そもそも会社設立からまもない間は、事業が忙しく、ただでさえ面倒な確定申告に時間を割けないことも多いです。
そんな経営者にとって厄介な税務申告を助けるのが税理士です。ある程度手数料こそ発生するものの、税理士に依頼すれば面倒な税務処理を代わりに行ってもらえます。プロが直接税務申告を担うため、経営者個人が行なった場合に生じるようなミスも発生しません。税理士に面倒な税務申告を任せることで、経営者側は本業に集中できる点は強力なメリットです。
なお税務代理には、税務調査の立ち会いも含まれます。万が一税務面の申告で税務調査が入った場合でも、税理士がいれば安心して対応できるでしょう。
3-3 経営相談
会社設立後に税理士が担う主な役割は、「税務相談」と「税務代理(書類作成含む)」の二つです。しかし税理士の中には、経営戦略や事業計画など、経営面の相談に応える人も少なからず存在します。
本来経営戦略や事業計画は、会社を経営する経営者自身が考え、実践するものです。しかしどれほど優秀な経営者であっても、必ずしも100%正しい戦略や計画を策定できるとは限りません。初めて会社設立する人であれば尚更です。また、会社設立からしばらくは経営戦略や計画がうまく回っても、時代の変化などにより、ある時期から突然上手くいかなくなるケースは多々あります。
会社設立からしばらくして、事業が思うようにいかなくなったら、経営面にも強い税理士に相談すると良いかもしれません。第三者の目から問題点などを指摘してもらうことで、自身では分からない気づきを得られることもあります。
特に税理士は、会計や税務などの面から定量的なアドバイスを行う点に秀でており、この点も経営戦略や事業計画の策定において重要な役割を担います。どうしても会社経営者は、熱意やアイデアの革新性にばかり目が行きがちで、具体的な達成目標を数字面で検討することをおろそかにしがちです。そこで税理士に定量的な観点から経営戦略や事業計画を練ってもらうことで、より優れた戦略や計画に仕上げることが可能です。
会社設立前後の時期に税理士を選ぶ際には、税務面のみならず経営面にも強い税理士と顧問契約するのがオススメです。そのような税理士は、自身の強力な右腕となってくれることでしょう。
3-4 資金調達や資金繰りのサポート
会社設立時と同様に、会社設立後の資金調達や資金繰りのサポートも税理士が担う重要な役割です。
会社設立後、急な不景気などで資金繰りが悪化したり、事業拡大を目的とした資金調達が必要となることがあります。資金繰りの悪化を放置すれば会社は倒産のリスクが高くなりますし、資金調達を行わないと、一向に事業規模が拡大せず、得られる利益は増えません。しかしよほどファイナンスや会計に詳しい方でなければ、資金繰りや資金調達を成功させるのは困難です。
そのような時に頼りとなるのが、数字に強い税理士です。税理士に相談すれば、持ち前の会計やファイナンスに関する専門知識を駆使して、会社にとって最適な資金繰りや資金調達のアドバイスを行ってくれます。中には、銀行や公庫との交渉を代行してくれる税理士も存在します。このような税理士に代行してもらえれば、資金調達が成功する可能性をグッと高めることができるでしょう。
会社設立後に税理士が担う役割は、以上の4つとなります。会社設立前はもちろん、税理士は会社設立を経ても頼りとなる存在です。会社設立する際には、設立後のことも踏まえて税理士を探すのがオススメです。また、税務面のみならず経営や会計・ファイナンス面の相談もできる税理士だとなお良いでしょう。
4 税理士の探し方
会社設立の前後で頼りになる税理士ですが、一体どうやって探せば良いのでしょうか?今回は、税理士の探し方を3つご紹介します。実際にどの探し方が最適かはケースバイケースなので、ご自身に適した探し方を各自探しましょう。
4-1 インターネット上で探す
一つ目にご紹介する探し方は、インターネットを利用する方法です。具体的には、インターネット上で「〇〇市 税理士」と地名で探したり、「会社設立 税理士」と分野で探すことで、土地や得意分野別に税理士を探すことができます。
一昔前までは、税理士業界の規制により事務所の情報をインターネット上で公開することに制限がありました。そのため、インターネット上でホームページや広告、ブログなどから税理士を探すのは難しかったです。しかし近年は、規制緩和によりホームページや広告などで集客する税理士が増加しているため、以前よりも手軽に税理士を探せるようになっています。
インターネット上で税理士を探す最大のメリットは、無料で気軽に税理士を探せる点です。スマホで好きな時に探せる上に、手軽に問い合わせフォームなどで質問できる点は、忙しい会社設立後の経営者にとっては大きなメリットでしょう。
また、各税理士事務所の得意分野や手数料などについて比較検討できる点もメリットの一つです。同じ税理士を探す目的であっても、費用の安さを重視する方もいれば、専門性の高さを重視する方もいるでしょう。インターネット上であれば、複数の税理士事務所の中から、自身の希望する条件に最もマッチするところを選ぶことができるのです。
一方で、インターネット上でしか判断できない点はデメリットとなります。書いてある情報が真実であるか判断できない上に、実際に会ってみたらご自身と相性が良くなかったというケースも少なくありません。
4-2 知り合いの経営者や個人事業主に紹介してもらう
二つ目にご紹介する税理士の探し方は、知り合いの経営者や個人事業主に紹介してもらう点です。経営者や個人事業主の多くは、節税対策や税務代理などを目的に、普段から税理士にお世話になっています。そのため、知り合いや家族に経営者や個人事業主がいるのであれば、税理士を紹介してもらうのも一つの手です。
知り合いの経営者や個人事業主に相談してもらうメリットは、よく分かっている相手から税理士を紹介してもらうので、ある程度専門家としての質が担保されている点です。そもそも自身に紹介してくれるということは、その税理士に業務を依頼して満足しているからに他なりません。紹介してもらう際にその税理士の人間性や得意分野などを、インターネットに書かれている内容よりも詳しく聞くことができるのも安心です。
また、税理士探しに時間や労力をかけずに済む点も、知人から紹介してもらうメリットです。会社設立前後で忙しい経営者は、知り合いから紹介してもらえば、ご自身は本業に集中できるのでオススメです。
一方で、必ずしも自身が希望する相談内容を得意分野としている税理士とは限らない点は注意すべきでしょう。紹介してくれる知人にとっては満足できる税理士であっても、自身の希望には適していないこともあります。
また、厄介なことに知人から紹介された以上、他の税理士に乗り換えにくい点も大きなデメリットです。費用面や分野、相性などから途中で税理士を変えたくなっても、せっかく知人から紹介してもらった都合上、簡単に切り捨てられなくなるので注意が必要です。
4-3 税理士紹介サービスを利用する
ここまではご自身で税理士を探す方法ばかり紹介してきましたが、初めて会社設立する方は税理士選びに不安を抱えるかもしれません。そんな方にオススメなのは、税理士紹介のサービスを利用する方法です。
税理士紹介サービスでは、自身の希望を伝えることでその希望に合致した税理士を紹介してもらえるサービスです。たとえば「日本税理士紹介センター」などのサービスが該当します。
こうした税理士紹介サービスを利用する最大のメリットは、プロの観点から自身の希望に合致した税理士をピックアップしてもらえる点です。税理士や経営者のニーズを知り尽くしているプロが判断してくれるので、会社設立が初めての方でも安心して利用できます。また、基本的には無料で利用できるため、探すさいの負担がかるく済む点も会社設立時期の経営者にとっては魅力的です。
加えて、止むを得ず依頼を断る際や料金交渉など、あまり直接は伝えにくいことについてサービス側が対応してくれる点も利点の一つです。会社設立時期は本業に集中すべきであり、余計なことで神経を煩わせてはいけません。そう考えると、至れり尽くせりのこの方法は最適であると言えます。
メリットの多い紹介サービスですが、二つほど注意点があります。まず一つ目は、そもそも税理士紹介サービス自体複数あり、どのサービスが優れているかは判断しにくい点です。どのサービスを選ぶべきか不安な場合には、実績が豊富であったり好ましい評判を得ているサービスを選びましょう。
二つ目の注意点は、必ずしも紹介してもらった税理士が自社に適しているとは断言できない点です。確かにプロが紹介してくれるので、ご自身で選ぶよりは確実性は高いと言えます。しかし実際に仕事をしてもらわないと分からない部分もあるため、この類のサービスを過信しすぎないのも大切です。
5 税理士探しで失敗しないためのポイント
難関資格である税理士ですが、誰に頼んでも問題ないというわけではありません。業種や相談内容によって相性は変わりますし、経験などによっても実力はピンキリです。
会社設立の手続きや設立後の事業を成功させるには、税理士探しで失敗しないことが非常に重要となります。この章では、税理士探しで失敗しないためのポイントを厳選して5つご説明します。
5-1 自社の事業や相談内容を得意とする税理士に依頼する
先ほども少し触れましたが、税理士によって得意とする分野は異なります。確定申告を得意とする税理士もいれば、相続を得意とする税理士もいます。中には、M&Aや事業承継などの分野を得意としている税理士もいます。
また、同じ相談内容であっても、得意とする業種も税理士によって異なります。たとえば製造業や小売業が得意な税理士もいれば、ITや金融分野に精通している税理士もいます。
以上のように、相談する税理士によって得意とする分野や業種は千差万別です。当然ながら、自社の業種や相談したい内容を得意としている税理士に相談する方が、より有意義なアドバイスを得られたり、問題を的確に解決してもらえます。
税理士を探す際には、まずご自身の業種や相談内容に適した税理士であるかどうかを重視しましょう。なお自社の事業内容や相談内容に適しているかを確認する際には、税理士事務所のホームページを確認するとベストです。たいていの場合ホームページに得意分野を掲載しているので、その内容を基に判断しましょう。
知人や税理士紹介センターに紹介してもらう際には、しっかりと「どのような税理士が良いかを、業種や相談内容を基準に伝えること」が必要となってきます。
5-2 コミュニケーションをスムーズに取れる税理士を選ぶ
会社設立の前後は、事業の拡大などで経営者はとても忙しいです。そのため、極力税理士とのコミュニケーションには時間をかけたくないものです。そのため、極力スムーズにコミュニケーションを取れる税理士を選ぶのも大事です。
自身の相談内容をスムーズに理解し、的確なアドバイスを与えてくれる税理士を選ぶのが大事です。また、自身の意見ばかり言ってくるのではなく、こちら側の意見もしっかりと聞いてくれるかどうかも重視しましょう。また、メールの返信スピードが早いかどうかも、税理士を選ぶ際には重要なポイントになります。
他の士業と同様に、サービス業と比べると税理士はどうしてもコミュニケーションの面を軽視しがちな部分もあります。そのため、基本的なコミュニケーションすら取れない税理士も中にはいます。最低限のコミュニケーションを取れる税理士でないと、こちら側の希望に沿った仕事をしてもらえない可能性もあります。
基本的な部分ですが、税理士を探す際には専門性に加えてコミュニケーション力も重視しましょう。
5-3 「この人を信用できるか?」という視点も忘れずに
いくら仕事上の付き合いとはいえ、人と人とのかかわり合いである以上、やはり相性の面もとても大事になります。たとえ仕事ができる優秀な税理士であっても、コミュニケーションを楽しく行えなかったり、気が合わなかったり、なんとなく話しにくいと、長く関係性を構築するのは難しいでしょう。
専門性や基本的なコミュニケーション力もさることながら、相性も重視した上で税理士を選ぶのが重要となります。ではどうやって相性を確認すべきか?というと、「この人を信用できるか?」という視点で判断するのがオススメです。
最初の面談やメールでのやり取りを経て、「この人は信用できる」、「この人とは楽しく取引ができる」と思えたら本格的に仕事を任せると良いでしょう。とくに税理士との取引では、会社の財務状況をはじめとして、機密情報を共有する必要があります。どれほど優秀でも信用できない相手に、会社の重要な情報を知らせるのはリスクがありますし、経営者としても避けたいことでしょう。
したがって、専門性やコミュニケーション力に加えて、人柄や話し方、雰囲気といった面も考慮した上で税理士を選択するのがベストです。
相性を判断するためにも、いきなりインターネット上で見つけた税理士に仕事を依頼するのではなく、まずは一度直接合って話し合ってから判断しましょう。
5-4 値段が高いから良い税理士というわけではない
これは税理士に限った話ではないですが、「値段が高い=サービスや商品が優れている」とは必ずしも言い切れません。たしかに傾向として値段が高いほど優れたサービスや商品であるとは言えるものの、中には値段が高いのにサービスの内容が微妙だったり、逆に値段が安いのに優れたサービスや商品であるケースもあります。
税理士でも同様で、高い値段だから優秀な税理士だろうと思って依頼するのは危険です。多額の手数料を支払ったにもかかわらず、満足できるほどのサービスを受けることができないケースもあります。そうなると、せっかく支払ったお金がすべて無駄となってしまいます。逆に資金力がなくて止むを得ず安い税理士に依頼した結果、思いの外優秀な税理士で、期待以上のサービスを得られることもあります。
ではどうすれば良いかというと、値段のみでは判断せずに、前述したように得意分野やコミュニケーション力、人柄といった面を直接会って確認した上で、その人に依頼するかどうか決定するのがベストです。
会社設立前後において、お金は事業運営の成功を左右する重要な資産です。貴重な資産を無駄にしないためにも、値段設定のみで税理士の良し悪しを判断しないようにしましょう。
5-5 評判や口コミも確認する
ここまで、人柄やコミュニケーション力、得意分野などを基準に税理士を選ぶ重要性をお伝えしてきました。しかし中には、ご自身ではそうした要素を判断できないという経営者の方もいると思います。はじめて会社設立する経営者であれば、なおさら判断するのは簡単ではありません。
ご自身では判断しきれない場合には、実際にその税理士に依頼した人の評判や口コミを確認するのがオススメです。ホームページなどはどうしても自身をよく見せるために、良い面ばかり書かれています。一方で評判や口コミは他人が実際に利用して思ったことであるため、良い面も悪い面も確認することができます。そのため、依頼したいと考えている税理士の実力や人柄などを判断する材料として非常に役立ちます。
ただし評判や口コミも、100%鵜呑みにするのは良くありません。というのも、評判や口コミはあくまで個人的な主観であるからです。専門性や人柄、コミュニケーションというのは、人によって感じ方は異なります。ある人はコミュニケーションを取りやすいと思っても、他の経営者はコミュニケーションを取りにくいと判断する可能性は十分あります。
口コミや評判の数が多ければある程度参考にはなるものの、100%それが正しいというわけではないので注意しましょう。やはり最終的には、ご自身が実際に会って判断するのが重要となってきます。
6 法人化する適切なタイミング
事業が軌道に乗ってきた個人事業主の方は、法人成りを検討するかと思います。ところで、法人化する適切なタイミングは一体いつなのでしょうか?この章では、節税面や事業運営面から考えた法人化の最適なタイミングを3つご紹介します。
こちらも最適なタイミングはケースバイケースなので、自社に合ったタイミングで法人化することが重要です。
6-1 消費税の課税売上高が1,000万円を超えたタイミング
まず最初にご紹介するのは、消費税の課税売上高が1,000万円を超えたタイミングです。売り上げが1,000万円を超えた事業主は、その翌々年度から消費税の課税事業者となり、消費税の納税を行う義務が課せられます。つまり原則2年前の売上高が1,000万円を超えているかどうかによって、消費税の課税義務が生じるかどうかが決まるのです。
そこでおすすめなのが、消費税の課税売上高が1,000万円を超えたタイミングで法人化する方法です。会社設立を行うと、個人事業主として稼いだ売上高は含まずに課税期間を計算します。つまり会社設立から最低でも2年間は、消費税の課税を行わずに済むのです。個人事業主を続ける場合には本来支払うべき消費税が、法人成りすることで支払わずに済むわけです。
2019年に消費税が10%に引き上げられたことで、事業者の負担はより一層重いものとなりました。消費税の納税があるかどうかで、手元に残る利益は大きく変わってきます。少しでも多くのキャッシュを手元に残すためにも、売り上げが1,000万円を超えたタイミングで、会社設立することを強くオススメします。
ただしこのタイミングで法人化する際には、2つ注意点があります。一つ目の注意点は、資本金1,000万円以上で会社設立すると、設立初年度から消費税の課税事業者となってしまう点です。よほど大きな事業を行うか目的があるケースを除いては、資本金を1,000万円未満にしましょう。
二つ目の注意点は、2年前の課税売上高が1,000万円以下だとしても、前年度の前半6ヶ月の売上高が1,000万円を超えてしまうと、消費税の納税義務が生じてしまう点です。会社設立後に事業が急激に成長した際には注意しましょう。
6-2 利益額が500万円を超えたタイミング
会社設立のタイミングを見極める際には、売上のみならず利益の額にも注意を払わなくてはいけません。利益の額に注意すべき理由は、個人事業主と法人では事業で得た利益に対する税金の計算方法や税率が異なるからです。
個人事業主の場合、事業で得られた利益は「事業所得」として所得税が課税されます。事業所得の税率は、所得の額に応じて以下のようになります。
- ・所得195万円以下→5%(控除額:0円)
- ・所得195万円超〜330万円以下→10%(控除額:97,500円)
- ・所得330万円超〜695万円以下→20%(控除額:427,500円)
- ・所得695万円超〜800万円以下→23%(控除額:636,000円)
- ・所得800万円超〜900万円以下→23%(控除額:636,000円)
- ・所得900万円超〜1,800万円以下→33%(控除額:1,536,000円)
- ・所得1,800万円超〜4,000万円以下→40%(控除額:2,796,000円)
- ・所得4,000万円超→45%(控除額:4,796000円)
なお上記とは別に、住民税(10%)や個人事業税(5%)が課税されます。
一方で法人の場合、利益に対して法人税が課税されます。一般的な規模の中小企業の場合、800万円までの利益には15%、800万円を超えた部分については23.2の税率となります。
見てもらうとわかる通り、一定以上の利益を得ると法人税率の方が所得税率よりも低くなります。実際には様々な要因が絡むためケースバイケースですが、「法人税率 > 所得税率」となる500万円くらいのタイミングで会社設立することで、個人事業主よりも税金の支出を抑えることができるわけです。
6-3 事業の拡大を本格的に行うタイミング
これまでは節税面でのタイミングをお伝えしましたが、事業を本格的に拡大したいタイミングで会社設立するのも一つの選択肢です。
個人事業主としても事業を続けることはできますが、事業規模を拡大するとなると色々な面で不利益を被る可能性があります。たとえば資金調達や取引の際には、個人という理由で信用されないことで不利となることがあります。また、株式発行による資金調達ができないため、資金調達の選択肢面で不利となります。
一方で会社設立すれば、株式の発行などにより資金調達しやすくなります。加えて対外的な信用力も上がるため、金融機関からの資金調達や取引先との商談などで有利となります。
事業を拡大する上で様々なメリットを得られるため、本格的にビジネスを行いたい方は会社設立すると良いでしょう。
7 経理代行のおすすめサービス
会社設立後の課題として、営業や販売、サービス提供など、攻めの側面がある一方、経理・総務・法務などの守りの側面というのは後回しにされがちです。ここでは「大切だけれど自分でやるより外部に任せるのが望ましい「経理代行のおすすめサービス・事業者」をご紹介します。
経理代行を行う事業者は、多種多様です。会社設立代行業者が経理代行サービスを行う事例や、税理士事務所・税理士法人が経理・記帳代行を行うケースなど様々です。
まず、経理代行に限らず、代行業者への依頼を考える上では、
- ・業務プロセス全体の洗い出し
- ・コア業務、ノンコア業務の仕分け
- ・外注化する必要性が高い業務の選別
- ・外部に行って欲しい業務を具体化して伝えること
などが必要となってきます。
つまり、なんでも丸投げではなく、「こことここをお願いしたい」というように、任せるべき部分を依頼する、という感覚で活用することが大切です。
7-1 経理代行を選ぶ上で重要なポイントと留意点とは?
経理代行を依頼する上で重要なポイントは、主に下記の3点があげられます。
①値段の安さだけにとらわれない
まず、経理代行を検討する上では、安さばかりを主張するサービスには注意した方がよいでしょう。
確かに利用者としては安い方が良いとはいえ、「安いこと」には理由はあります。「業務効率化の工夫の結果による安さ」なのか、「安くしないと仕事が取れないから安くしているのか、つまり安かろう・悪かろう」というパターンなのかを見分けることが必要です。
そのため、安価であれば安価である理由、またその理由が許容できるかは考えた方がよいでしょう。
②経理代行だけでなく、他の業務も代行(BPO・ビジネス・プロセス・アウトソーシング)できるサービスがあると望ましい
経理の他、人事労務・総務・法務などバックオフィス関連の業務は、負担が大きい分、利益を生むわけではありません。特に会社設立当初、バックオフィスの業務のために人員を置くことは、大きな負担になるでしょう。
あわせて、電話対応も見落としがち、かつスタッフの負担が大きい業務です。
電話代行については、当初は代行業者に依頼できると望ましいです。最近では、受電した電話をチャットツールやメールで知らせてくれるサービスも多いです。
また、業務時に電話がかかってくることは、作業の中断を引き起こしてしまいます。そこからまた集中状態に戻るには、人にもよりますが、15分~30分はかかるでしょう。
経理代行・電話代行だけでなく、他のバックオフィス業務も含め委託できることは、経営者・スタッフの負担を軽くする面で大きなメリットがあると言えましょう。
③IT及び自社の業務分野に精通した事業者を選ぶ
できるだけ、やりとりをWebで行えるサービスが望ましいです。依頼先が業界の慣習や傾向を理解していると、様々な面で話が通じやすいといえましょう。
一方、経理代行を選ぶ上で気を付けるべきポイントもあります。
①経理代行だけでなく、決算も含め、税理士がきちんと関与してくれるサービスが望ましい
決算の申告書には、担当税理士の記入欄があります。
これは、税理士が職業上の責任を持ってハンコを押しましたよ、ということですので、税務署サイドもある程度信頼してみてくれます。
しかし、税理士の関与がない場合、税務署側が申告内容を多少懐疑的に見るケースも想定されます。税務調査が発生した場合、税理士が関与している場合は立ち会い作業も行ってくれますが、税理士がついていない場合は、基本的には経営者・経理担当者が全面的に対応することとなり、大きな負担となります。
また、グレーゾーンの経費についても、税理士がついていれば説明がつくケースでも、税理士がついていなければ、税務署の判断の余地が大きくなる恐れがあります。
そのため、極力税務申告まで行ってくれ、税理士が確認、ハンコを押してくれるサービスが望ましいでしょう。(既に税理士と関わりがある場合は別です)
②将来的には自計化をめざす
会社設立当初はなかなか会計を自社で行うことは難しいですが、ある程度会社が成長すると、自計化といい、自社で記帳・会計を行い、税理士にデータを確認、申告してもらうのが理想的な形となります。
なぜなら、自計化ができるようになると、会計の数値がリアルタイムで出せるようになるため、外部に依頼するより早くデータを集めることができるからです。
③外注→内製化を図る
自計化だけでなく、総務・法務分野などバックオフィスの分野も、最初は専門事業者に任せつつ、次第に自社の事業伸長とあわせ内製化、つまり自社の社員で行える仕組みにして、自社でノウハウを蓄積できるようにしていくことが理想といえます。
特に、外注先に万一の事態があった場合、代わりの依頼先を探す、その他業務を円滑に行うなど対応を取る必要が出てくる可能性もあります。
自社の状況に応じ、内製化する部分と、外注化する部分を調整していきましょう。
7-2 経理代行のおすすめサービス・業者10選
それでは、上記も踏まえお勧めできる経理サービスを10社ピックアップします。
経理代行だけでなく、オンライン秘書・総務・人事労務(採用まで!)などを代行してくれるサービスです。特に会社設立時は、様々な雑務を省き、業務のコア部分にリソースを集約することが求められますので、バックオフィスの業務あれこれをお願いできるのは心強いです。
また、スタッフも厳しい基準で選ばれ、返金保証もあるなど、経理代行以外の部分も任せたい、ただ質が心配・・・という不安にもきちんと応えてくれます。
NTTグループのバックオフィス代行業者です。経理・人事・労務などに加え、ネットワーク・セキュリティ回りの整備や、内部統制コンサル・社宅管理・E-ラーニング・人材育成・Winactorを利用したRPA活用など、スタートアップというよりはある程度成長した企業向けの幅広いサービスを提供しています。
基本的には中堅規模に成長してからお世話になる部分が多いですが、RPA活用をはじめ、バックオフィス以外の分野でも取り扱える部分が広いため、いろいろなことが相談できるのは心強いといえましょう。
経理代行・販売管理・給与計算など、会計・人事回りのサービスが主体で、費用も月額29,800円からと、そこまで高い価格ではありません。また、毎月の損益の迅速な提供をアピールしており、経理の見える化のサイクルが早くなることも強みと言えましょう。
サービス全体がクラウド化されており、請求書・領収書をスキャンして送るだけなど、証憑書類(しょうひょうしょるい)の送付に関しても、簡略化されています。また、毎月の試算表を締日から5日以内に出してくれるため、経営状態がスムースには把握できます。
費用は月15万からのスタンダードプラン、月30万~のエキスパートプランとなり、ある程度余裕が出てきた企業向けとなりますが、エキスパートプランでは、資金繰りや融資相談、資産管理などの相談にも乗ってくれます。
バーチャル経理アシスタントをうたっており、経費計算、帳票・仕訳入力、売掛金・買掛金管理、月次決算、請求書発行、業務コンサルなど、経理回りのサポートを一括して任せられるシステムです。
また、会計ソフトについてもメジャーな弥生会計・freee、マネーフォワード・TKCなど多くの会社のシステムに対応しており、他社からの移行も容易です。
経理代行・請求書はもちろんのこと、事務代行・各種秘書業務など、細々とした業務も含めて外部に依頼したい場合に心強いサービスです。
スタッフは有名企業を退職し、在宅で働く優秀な人が多いため、事務局の代行や事務手続までもサポートしてくれます。金額のレンジも月10時間・月額35,000円~月31時間84,000円と、人を雇用することを考えたら負担は軽いといえましょう。
ただ、できることの幅が広い反面、「何をお願いするか」をきちんと定義して依頼することで、よりサービスの活用ができるかと思います。
経理代行。記帳代行・決算申告など税務回りを依頼でき、サービス内容にもよりますが、月額980円(ただしこれは本当に最小限のケース)~で、必要なサービスを選んで使う形になるでしょう。
また、freeeなどのクラウド会計サービスにも対応、銀行交渉のサポートや経理改善のコンサルティングも行ってくれます。
サービスの特徴として、全国対応と、月額で個人事業主→8,500円、小規模法人12,000円の明朗会計が強みです。(別途決算申告料金30,000円~はかかります)基本的に、記帳作業だけを丸投げしたいときに適したサービスといえるでしょう。
IT系の企業に強く、各種専門の士業が在籍していますので、会社設立・記帳・人事労務・融資サポートなどワンストップで任せられるのがメリットです。また、税理士法人運営のため、税務調査への対応も確実に行うことができます。
クラウドサービスを徹底して活用することにより、法人の税務顧問を月額15,000円~依頼できます。クラウドを活用することにより、無駄なやりとりを省きコストを削減、記帳代行や決算など記帳・会計・税務に特化しているので、お金回りを依頼したい場合は一つの選択肢といえるでしょう。
このように様々な経理代行のサービスがありますが、「コスト面」と「お任せしたい部分の見極め」は大切になってくるでしょう。
起業当初に関して言えば、規模も小さいため専門業者に丸投げという形で問題ない場合でも、企業が成長すると、成長に合わせた体制作りや、必要な業務の選別・アウトソーシングが求められるようになってくる可能性があります。
その点を踏まえると、企業の成長に対し、経理代行サービスが他の付随サービスを通してサポートしてくれるか、あるいは必要なことに応じた専門家を紹介してくれるかも重要な視点でしょう。
また、組織が急拡大する場合は、代行よりも内製化・また組織自体のあり方のコンサルティングなど、第三者の視点を入れて、変えていくことも考える必要が出てくるケースも想定できます。代行業者を使う場合でも、なぜ使うのか、代行業者にどんな役割を果たして欲しいかを考えて、代行業者を検討することも大切です。
そして、特に初期の場合、会社業務のコア部分(特に売上にかかる部分)にいかに集中するか、無駄を省くかという観点を忘れてはいけません。
会計・記帳代行についても多くの事業者があり、どこにお願いすればいいのか迷ってしまう部分もあるでしょう。記帳・会計だけでいいのか、あるいは他の部分もお願いしたいのかも踏まえ、また、会社設立代行業者を利用した場合は、会社設立代行業者にお勧めの記帳代行業者を紹介してもらう(会社設立代行業者が記帳代行なども行うケースも多いです。特に税理士事務所)という形ですと、会社設立当初の事情からわかっていますので、様々な面でスムースに連携が取れると思われます。
企業のゴーイング・コンサーン(継続性)を保つためにも、売り上げを追う攻めの姿勢、経理などバックオフィスの部分の守りの姿勢、双方を持ち合わせるのが経営者として理想的と言えます。
8 まとめ
この記事では、「会社設立時に税理士は必要か?」という観点から、税理士が担う役割や税理士の探し方、税理士選びのポイント、おすすめの経理代行業者などを解説しました。最後にもう一度、今回ご紹介した内容をおさらいしましょう。
税理士とは、税務の専門家として税金の相談や書類作成などをサポートする資格です。税理士には「税務相談」や「税務代理」、「税務書類の作成」という独占業務があり、特に中小企業や個人事業主にとっては頼りとなる存在です。
税理士は、会社設立時の手続きサポートや経営戦略の策定はもちろん、設立後の節税の相談やファイナンス面でのコンサルティング、資金調達のサポートなど、実に多様な場面で重大な役割を担います。
会社設立や設立後の事業を成功させるには、経営者と相性がよく、相談したい内容を得意としている税理士を選ぶことが重要です。そのためには、インターネット上の口コミや評判、ホームページの内容を精査することはもちろん、実際に会って自身の目で判断することが重要です。
税理士には会社の財務情報などの機密事項を伝える必要があるため、「この人を信用できるか?」という視点で税理士選びをすると良いでしょう。