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一般社団法人への就職するのは、どんな人が向いている?メリットとデメリットを解説!

就職先を決める時に気になることの一つが『法人の種類』です。法人の種類で、一般的なのは株式会社です。また、最近は合同会社(LLC)も知名度が上がっています。就職したいと思う企業が“株式会社”であれば、気になりません。しかし、就職したいと思う企業が一般社団法人であったらどうでしょうか。

一般社団法人の知名度は、株式会社などと比べるとかなり低いのが実態です。しかし、マイナビ転職の調査によれば、転職した人のアンケートで、『なってよかった』と思う人の割合が85%と満足度の高い法人が一般社団法人です。

今回の記事では、一般社団法人に就職することを検討している方に向けて、一般社団法人の基本的な知識および仕事内容、メリットとデメリット、一般社団法人への就職が向いている人のタイプなどを解説します。

社団法人への就職を考えている方や、一般企業の就職を考えている方も参考にしてみてください。

1 一般社団法人

一般社団法人

就職先がどのような会社なのかは、実際に働いてみないと見えないことが多くあります。一方で、会社の種類は就職する前に分かります。まずは会社や組織の形態について事前に理解しておきましょう。

会社は、大きく『営利団体』と『非営利団体』があります。

会社は、大きく『営利団体』と『非営利団体』

営利団体 株式会社、合同会社、合資会社、合名会社、有限会社*
非営利団体 一般社団法人、公益社団法人、一般財団法人、公益財団法人、宗教法人など

*現在、有限会社の新たな設立はできません。

●各団体の目的
一般社団法人は、非営利団体に含まれます。非営利団体は営利を目的としていません。その代わり、公益や共益を目的とする団体です。一方で、株式会社など営利団体はすべて営利を目的としています。法人の目的は大きく以下の3つがあります。

営利 利益を得ることが目的になる活動を言います。金銭授受が伴わない講演なども含む場合があります。
公益 不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することが目的になる活動を言います。
共益 特定の人や集団の利益を目的とする活動を言います。

営利団体の目的は、営利活動になります。そのため、株式会社や合同会社は営利目的で活動を行います。一方で、非営利団体の目的は公益目的と共益目的など各組織によって分かれます。公益社団法人や公益財団法人やNPO法人などは、その目的が公益であることが必要になります。一般社団法人や一般財団法人は、公益と共益の目的の両方が混在しています。また、一般社団法人は公益や共益を目的としなければいけないということはなく、営利を目的としている団体も存在します。

●社団法人と財団法人の数
社団法人と財団法人の数は、平成22年(2012年)では合計615社(うち社団法人は143社)でした。ここから大幅に社団法人ならびに財団法人が増加して、平成27年(2018年)には9,397社(うち社団法人は4,126社)となりました。つまり、5年で15.3倍という急激なスピードで増加しています。*

一方で、株式会社を代表とする会社等は日本に267万社**あります。社団法人や公益法人が急増しているとはいえ、まだまだ株式会社など営利団体の数が圧倒的な数になっています。

*参考|『社団・財団別の公益法人数とその割合
**参考|国税局ホームページ『法人数等の状況

1-1 一般社団法人とは

一般社団法人の社員 一般社団法人の構成員(株式会社でいう株主)を意味します。
株式会社の社員 一般的な業務を実施する従業員やスタッフを一般的には意味します。

上記のように、一般社団法人の社員は株式会社の株主に似た役割を担います。そのため、一般社団法人の意思決定機関(株式会社でいう株主総会)は、社員総会になります。その社員総会における議決権を一般社団法人の社員は持っています。つまり、一般社団法人の社員はその法人の経営や運営に大きく関与する影響力を行使できます。

●一般社団法人の定款
一般社団法人も株式会社と同様に定款が必要です。そして、定款には必ず記載しなければならない事項である、『絶対的記載事項』があります。また、定款に記載すると法的効力を持つ『相対的記載事項』と定めることで効力が認められる『任意的記載事項』があります。一般社団法人の絶対的記載事項は以下の7つの事項になります。

≪絶対的記載事項≫

目的 一般社団法人が実施する事業を記載します。法律や公序良俗に反しない限り、事業における制限はありません。公益的事業や共益的事業や営利を目的とする事業を行うことが可能です。
名称 一般社団法人の名称には、一般社団法人という文字を使用することが義務になります。なお、既に登記済みの一般社団法人と同一で、主たる事務所の所在住所も同一の場合には利用することができません。
主たる事務所の所在住所 主たる事務所の所在住所を、最小行政区画まで記載します。最小行政区画とは、行政機関の権限が及ぶ範囲として最小の地域を言います。東京都であれば“区”が、その他の道府県では“市町村”が該当します。地番まで特定することも可能ですが、地番までを指定した場合には、仮に同一市内の移転でも定款の変更が必要になります。
設立時社員の氏名または名称および住所 定款に一般社団法人の設立時の社員の氏名(法人の場合には名称)と住所を記載します。
社員資格の得喪に関する規定 社員が入社や退社や除名になる場合の規定を記載します。社員の資格に制限はありません。一方で、定款に記載することで資格に制限を設けることができます。〇〇士の資格を有することや〇〇学校の卒業をしていることなど自由かつその法人の目的に応じた設定を行います。
公告方法 以下の4つの方法の中から公告方法を記載しなければなりません。
・官報に記載
・日刊新聞紙に記載
・電子公告に記載
・主たる事務所の公衆が見やすい場所で掲示
株式会社などの法人では、『主たる事務所の公衆が見やすい場所で掲示』は認められていません。しかし、この方法を活用することはコストがかからないことや手間が少ないなどのメリットがあります。
事業年度 法人の財産および損益を計算する期間を事業年度と言います。株式会社等とは異なり、事業年度を定めることが必須です。

ちなみに、株式会社の定款には、『設立に際して出資される財産の価額またはその最低額』があります。しかし、一般社団法人においては出資がありません。そのため、一般社団法人の定款の絶対的記載事項には含まれていません。一方で、『社員資格の得喪に関する規定』や『公告方法』や『事業年度』は株式会社の絶対的記載事項には含まれていません

その他、相対的記載事項については『理事会、監事または会計監査人の設置』や『責任限定契約』などの事項があります。

『責任限定契約』とは、一定の要件を充たす役員に対して損害賠償責任の範囲を限定する内容の契約を法人と締結することができることを認めることを定款に記載することです。この責任限定契約を認める旨の記載が一般社団法人の定款に記載がない場合には、責任限定契約を締結できません。責任限定契約は、代表理事と業務執行理事と使用人兼務理事以外の人を言います。具体的には、業務執行を行わない理事や監事や会計監査人が責任限定契約の締結を行えます。

●一般社団法人の理事会
一般社団法人は、理事会の設置をすることができます。一般社団法人の理事会は、全理事によって構成されています。理事会は、株式会社でいうところの取締役会に該当します。

理事会の職務は以下の3つになります。

  • ・理事会設置型一般社団法人における業務執行の決定*
  • ・理事職務の執行を監督
  • ・代表理事選定とその解職(代表理事は、理事の中から選任)

*理事会が理事に委任できない事項は以下になります。(一般社団法人法第90条第4項)

  1. ①重要な財産の処分ならびに譲り受けについて
  2. ②多額の借財について
  3. ③重要な使用人についての選任ならびに解任
  4. ④従たる事務所その他の重要な組織の運営
  5. ⑤理事の職務執行が法令および定款に適合することを確保するための体制ならびに、その他一般社団法人の業務適正を確保する為に必要な体制整備(法務省令で定める)
  6. ⑥役員等についての損害賠償責任の免除

理事会の招集は、各理事が行います。また、定款や理事会で収集権者を別途定めることも可能です。収集権者は、各理事へ収集の通知を理事会の日から1週間前までに発することが必要です。なお、各理事と監事の全員が同意する時には、招集手続きを省略することができます。

理事会の決議は、議決に加わることが可能な理事の過半数の出席をしたうえで、その過半数が承認することで可決となります。なお、理事会の決議事項について特別利害関係に該当する理事はその議決に加わることができません。また、その決議事項は、法律に定められている事項と定款に定める決議事項に定められた事項になります。

なお、一般社団法人などの社団法人には『代表理事』『理事』『監事』などの肩書の人がいます。

代表理事 理事会から選出されて、法人を代表して業務執行を行います。また、法人業務の裁判上または裁判外の行為ができます。社団法人と財団法人における必須の機関になります。株式会社で言うところのCEOに該当します。
理事 業務執行上の決定をおこない、業務や事業運営を行う者を言います。株式会社における取締役に該当します。
監事 一般社団法人において、理事の職務執行が適切に行われているかを監査する権限をもつ者を言います。
使用人 会社の指示・命令に従って業務に従事する人を言います。一般的な”社員“が使用人に該当します。

1-2 一般社団法人と他の法人との違い

一般社団法人と他の法人との違い

就職をしようとする人の中には、新卒や第二新卒など会社についてあまり詳しくない方も多くいます。そこで、ここでは一般社団法人と株式会社と一般企業や公益社団法人などとの違いをできるだけ具体的に説明していきます。

なお、法人登記上の法人形態は以下の5つに区分されています。

株式会社 株式会社
持分会社 合名会社/合資会社/合同会社
その他の会社 特例有限会社/外国会社
一般法人 一般社団法人/一般社団法人
その他の法人 NPO法人/学校法人/社会福祉法人/医療法人/事業協同組合など

●株式会社との違い

株式会社との違い

まず、一般社団法人と株式会社との違いはその事業内容の自由度にあります。多くの方が株式会社の自由度が高いと勘違いされるかもしれません。しかし、法人の設立の目的である事業内容の自由度で言うと一般社団法人の自由度が高くなっています。

株式会社の目的は、原則営利を目的としなければなりません。一方で、一般社団法人にはその縛りがありません。公益目的や共益目的はもちろん、特定の個人や団体の利益を追求する私益目的などどんな目的を設定することも可能です。そのため、同窓会のために集まるために組織を作りたいというような場合でも一般社団法人として設立が可能です。

一般社団法人が行う事業で利益が出た場合に、その利益の使い方が株式会社と異なります。この点については、一般社団法人には制限があります。一般社団法人は期末に残った利益=剰余金を次の事業に再投資すること求められます。株式会社のように、剰余金の分配はできません。なお、従業員への給与や理事への役員報酬を支払いすることは、一般社団法人でも全く問題ありません。

また、株式会社と大きく異なるのが資金における概念です。まず、最も大きく異なるが、般社団法人には資本金という概念がなく、資金がなくても設立が可能です。また、『基金』という形で資金調達が可能です。この基金での資金調達は、一般社団法人のみに認められた資金調達方法です。基金とは、以下の2つに該当する金銭や財産を言います。

  • ・一般社団法人へ拠出された金銭若しくは財産
  • ・一般社団法人に返済義務がある金銭もしくは財産(拠出者との間の合意がある)

株式会社の代表的な資金調達の方法の一つである出資においては、原則返済義務がありません。その代わりに株式を発行しています。

株式会社の規模は、資本金や利益の金額でその大きさが分かります。また、株式会社においては事業内容も目的も明確なため、将来性を予想することも比較的容易であると言えます。一方で、一般社団法人は資本金がなく営利目的ではない場合にはその規模が分かりにくいという点があります。また、目的や事業から一般社団法人に就職しようとする場合には、その事業の将来性を予想することが株式会社より難しい場合があります。この点は一般社団法人に就職を検討する時に留意する必要がある点と言えます。

●一般財団法人との違い

一般財団法人との違い

一般社団法人と、その名称が似ている法人に『一般財団法人』があります。一般財団法人は、一定の財産があれば設立できます。具体的には、300万円以上の財産拠出を行い、その財産の運用を行います。そして、財産運用による利益が活動利益になり、事業を継続していきます。そのため、2年連続で純資産が300万円を切ると、その一般財団法人は解散しなければならないという厳しい制限があります。

一般財団法人の事業の中心は財産・純資産になっています。そのため、法人の目的のポイントが異なってきます。

一般社団法人 社員の活動に重点がおかれる
一般財団法人 拠出された財産の利用に重点がおかれる

一方で、一般財団法人も公益性の有無が設立要件として求められることがなく、法律や公序良俗に反しない範囲で自由に設定することができます。なお、一般財団法人はその機関構成が異なるため、設立時の最低人数も異なります。

機関構成 2名:理事と理事会/評議員と評議員会/監事(または会計監査人)
設立時最低人数 7名:理事3名と評議員3名と監事1名

一般財団法人における評議員は、一般社団法人における社員です。一般社団法人には一般社団法人でいう社員や社員総会は存在せず、評議員による評議会が最高意思決定機関になります。また、一般社団法人では理事会の設置は任意ですが、一般財団法人では必須になります。

一般社団法人は2名で会社が設立できる点や、機関構成上社員総会のみが設置が必須である点などから一般社団法人の設立が一般社団法人より簡単になっています。なお、一般社団法人の規模が大きくなると、その機関構成も社員総会と理事と理事会と監事と会計監査などと意思決定や監視のプロセスが増えていきます。

●公益社団法人との違い

一般財団法人との違い

一般社団法人と公益社団法人は、両方ともに社団という単語が含まれています。社団とは、ある目的のもとに集まった集合体=団体を言います。そのため、社団法人というのは団体が法人格を与えられたことを意味します。

社団法人が法人格の名称につくのは、『社団法人』と『一般社団法人』と『公益社団法人』の3つがあります。2008年の公益法人制度改革のための法改正により、『社団法人』は新たな設立ができなくなりました。その代わり、『一般社団法人』と『公益社団法人』の2つが設立できるようになりました。前述のとおり、一般社団法人は自由度が高く設立が比較的簡単です。一方で、公益社団法人の設立は厳格化されています。

公益社団法人になるためには、以下の2つの要件を充たす必要があります。

  1. ①一般社団法人のうちで「公益事業を主な目的とする法人」であること
  2. ②公益認定等委員会の公益認定を受けること

これらのことから、公益社団法人になるのは簡単ではありません。また、監督官庁の監督を受けることからより厳密な事業や法人の運営が求められます。一方で、公益社団法人になると税法上の観点から寄付金が集まりやすくなることや、信用度が増すことや税制優遇などメリットが多くあります。

一般社団法人と公益社団法人との違いは、その活動の目的が主に公益事業を行っているかという点と公益認定を受けているかどうかの違いではありますが、それ以上に許認可を受けていることによる信頼度の高さにも違いがあります。

1-3 知名度の高い一般社団法人

一般社団法人の制度を活用して設立するものは、業界団体や職能団体や資格認定事業などが有名です。また、介護福祉や医療学会や学術団体などがあります。また、営利と大きく離れた同窓会や自治会なども一般社団法人として設立されるケースがあります。

比較的規模が大きいものは、業界団体が有名です。自動車メーカーが会員となっている『一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)』や日本中の金融機関が加盟する『一般社団法人全国銀行協会(全銀協)』などです。また、各都道府県で設立している安全協会も一般社団法人を活用しています。

その他、公益財団法人公益法人協会が提供する『一般法人・公益法人等情報公開共同サイト』では社団法人ならびに財団法人の一覧が確認できます。

2 一般社団法人の仕事

一般社団法人の仕事

法人の仕事は、その種類より実施している事業によって異なります。しかし、社団法人の仕事は概ね製造業など何かを作る仕事というより、事務職や事務総合職などが中心になります。また、プロジェクトや事業の推進やマネジメントなどが仕事になります。

具体的には、事業のコーディネーターがあります。一般社団法人は、様々な事業を手掛けますが、その事業に必要なスキルや技術を内包することは多くありません。そのため、事業に必要なスキルや技術は外部から調達する必要があります。これらの調達先を決定することは、必要なスキルや技術の見極めとそれに対して十分に対応が可能であることに加えて適切な費用の範囲で業者を選ぶコーディネートセンスは必要とされる場面が多くあります。

また、業界団体などの一般社団法人は、会費を収入源としている一般社団法人もあります。これらは多くの会員が集うことで活動が成立しています。また、各会員はそれらの業界の大手などが集う場合も多く、これらの企業を束ねるスキルも必要とする場合もあります。また、会員の管理や定例行事に向けた調整事項や案内なども業務に含まれます。

また、一般社団法人にも一般企業同様に管理業務があります。経営企画や人事や総務や経理などです。しかし、規模の小さい一般社団法人はこれらの業務を1名で兼務することも珍しくありません。

●一般社団法人の雇用形態
一般社団法人が従業員を採用する時には、株式会社同様に雇用形態があります。雇用形態は、一般的な企業と同じく、『正職員』や『契約職員』や『パートアルバイト』や『派遣職員』などがあります。職員とされている部分を社員に変更すると、一般的な企業とほぼ同じになります。

正職員は、一般社団法人において業務実施の中核を継続的に担う人材になります。特に、雇用している人数の少ない一般社団法人においては正職員に求められる役割は多くなり、役割の兼務などを求められることもあります。いわゆる専門職も総合職も、その法人の状況次第で求められる役割は異なってきます。

契約職員やパートアルバイトや派遣職員については、一般的な契約社員やパートアルバイトや派遣社員同様になります。

●一般社団法人の給与や賞与
就職しようとする際に、気になることは給与や賞与などの収入面です。やはり、収入は同じ仕事をするなら多いほうがよく、同年代の人より収入が少ない場合にはどうしても気にしてしまうものです。一般社団法人の収入という一括りで考えるのは安直です。

なぜなら、その一般社団法人の規模や業務内容や役職などによってその収入は大きく異なってくるからです。しかし、一方で平均金額を比較することでおおむね給与や賞与が多いのか少ないのかの目安を確認することができます。

団体職員の年収は、公務員同様に一般企業と同程度ないしは少し少ない程度になります。団体職員の年収を全世代平均391万円としているサイト*もあります。この年収を比較するのであれば、一般的な株式会社より少しだけ少ないということになります。一方で、前述の一般社団法人日本自動車連盟(JAF)の平均年収は700万円と高額になっています。一般企業と同じく、法人の規模や資金力などによって年収はばらつきがあることも抑えておく必要があります。

また、非営利団体の職員には賞与が出ないのかという不安に思う方もいますが、実際には賞与が出ます。賞与の規定も各法人次第ではありますので、賞与支給実績や賞与支給条件などは就職する前に遠慮なく確認することが必要です。

*参考|転職会議『団体職員の年収まとめ

2-1 一般社団法人で働くメリット

一般社団法人で働くメリットは、以下のようになります。もちろん、これらのメリットは一般社団法人全てに当てはまるというわけではありません。しかし、概ね該当するものであると言えます。

一般社団法人で働くメリット

  1. ①処遇の基準が高く、安定している
  2. ②経営が安定している
  3. ③意義のある事業で活躍できる

①処遇の基準が高く、安定している

社団法人や財産法人の多くは、省庁や地方自治体や各業界を代表する法人などがその成り立ちや運営ないしは会員などに関わっています。

具体例でいえば、一般社団法人地方公務員共済組合協議会であれば、以下の組合などが正会員となっています。*

  • ・地方公務員共済組合連合会
  • ・地方職員共済組合(地方職員共済組合団体共済部)
  • ・公立学校共済組合
  • ・警察共済組合
  • ・東京都職員共済組合
  • ・全国市町村職員共済組合連合会

一般社団法人日本自動車工業会であれば、トヨタ自動車や本田技研工業や日産自動車など自動車メーカー14社が会員になっています**。

そのため、給与や賞与の基準が高く、変更等があっても安定していることが多くあります。具体的には、公務員や大企業と同程度の処遇基準になっている一般社団法人が少なくありません。また、給与や賞与のみではなく、退職金やその他の福利厚生も充実している法人が多くあります。

また、一般社団法人は、法令遵守の考えが浸透している企業が多くあります。公益や共益など社会的な価値に重きをおく傾向が強いため、長い期間働く職員も多く、子育てや介護など私生活における変化に対応しやすい職場も多くあります。また、過剰な利益主義や誤ったコスト意識から残業代の未払いなどの問題も発生しにくい環境です。

実際に、年休日120日以上の団体は78%になっており、原則定時に退社の団体も33%になっています***。ライフワークバランスを重視して仕事をしたいと思う人には大きなメリットになります。

*参照|一般社団法人地方公務員共済組合協議会ホームページ
**参照|一般社団法人日本自動車工業会ホームページ
***参照|マイナビ転職 職種別仕事プロファイル 団体職員

②経営が安定している

スキルや経験を得るなどの明確な目的があり転職ありきで企業に就職する人もいますが、多くの人は長く働くことを前提に企業で働きます。そのため、企業に就職する上で大事になるものが企業の継続性です。
企業の継続性とは、まずは潰れにくいということです。さらに、事業活動が大きく変化しない、ということです。

そもそも一般社団法人の事業は、そのニーズが変化しにくく、かつ競合他社が現れにくいと言えます。

株式会社では、良い事業や良いビジネスには新たに参入してくる競合が現れます。例えば、あるエリアで1軒しか商店がなければ、その商店にお客様が集まります。しかし、その商店が儲かっていることが分かれば、同じエリアに同じような商店が出店してきます。また、コンビニエンスストアのように、より多くのものをより長い時間販売する新業態の店舗も出店してきます。

このよう株式会社などの営利団体では利益を獲得し続けようとすると、常に競争相手に対応していくことが必要になります。

一方で、非営利団体の設立には株式会社などの営利団体と国や地方自治体のサービスだけでは手が届きにくいが必要性があるサービスを事業化するという面が多くあります。つまり、あまり儲からないけれども必要性がある事業を行っている社団法人が多くいます。このような団体には、あまり儲からないゆえに競争相手が現れにくいと言えます。

競争が起こりにくく、必要性が継続する限り安定的に法人が継続していくことができます。

また、利益を上げることを中心に考える営利団体と異なり、一般社団法人では公益や共益についても価値を置く企業が一般的です。そのため、営業成績をなんとしてもあげるといった営業会社のようなノルマや雰囲気の会社はあまりありません。落ち着いてやるべき仕事を粛々と実施すると言うのが一般的です。

また、経営が安定していることは不景気でも影響が少ないという利点があります。新型コロナウィルス感染予防の観点から旅行などの経済活動は非常に限定されています。その中でも、旅行会社や飲食店などの経営は苦しい企業も多くなっています。また、今後本格的な不景気になる予想をする専門家も多くいます。

そんな不景気にも強いという安定経営は、永く安心して仕事をしたいという人にとっては非常に良い環境と言えます。民間企業と連携・連帯を行いながら事業を進める社団法人もあり、不景気の影響を全く受けないということはありません。しかし、不景気の影響ですぐに債務超過や破産になるようなことは非常にまれと言えます。

③意義のある事業で活躍できる

人や社会のために貢献する仕事は、働く満足度が高まります。公益や共益を中心に据えた事業を行う社団法人の仕事は満足度が高い仕事と言えます。

もちろん、株式会社の事業もお客様に満足を提供することが必要です。利益を得ることを追求する株式会社などは、お客様の満足と利益のバランスを考えながら事業活動を行います。お客様が満足するサービスでなければ利益は得られません。一方で、薄利では事業規模の拡大ができず、利益を残すことができません。また、利益が残らないと株主へ還元ができないことや環境の変化や競合他社の参入に対抗する力が培えません。そのため、株式会社では原則利益を残すことが重視されます。

一方で、一般社団法人などの公益や共益を追求する場合には、サービスの対価として収入を得ていく以外に会員費などの安定した収益基盤を持っている場合が多くあります。そのため、薄利であったとしても、サービス質を高く維持して継続することが可能です。そうなった際には、サービスを受けるお客様の満足はより高まっていきます。

お客様の満足が高まることは仕事の満足度を上げていきます。意義のある仕事や満足度の高い仕事をすることができることは一般社団法人で働く大きなメリットです。

メリットをまとめると、一般社団法人で働くということは好待遇で安定的な経営の元、社会貢献度の高い満足度の高い働きができるというのが一般社団法人で働くメリットになります。もちろん、全ての一般社団法人で、このように好待遇×安定経営×満足度の高い仕事ができるわけではありません。また、満足度は人によって異なります。

しかし、概ね好待遇と安定経営は一般社団法人に就職するさいにその条件で事前に確認することが可能です。また、どんな事業を行い、その事業が社会にどのような貢献をしているか説明を求めることができます。

2-2 一般社団法人で働くデメリット

一般社団法人で働くデメリットはあるのでしょうか。人によっては長所が短所になることもあります。以下のような一般社団法人で働くデメリットと言えます。

一般社団法人で働くデメリット

  1. ①頑張りが分かりにくい場合がある
  2. ②変化に乏しい

①頑張りが分かりにくい場合がある

株式会社などの利益を追求していく働き方は、成果が収益や利益などでデジタルにわかりやすいという点があります。頑張ったら頑張っただけ成果になるのは、株式会社などの営利団体の良いところです。

成果報酬などを導入している営利団体は、頑張りが収入という形でリターンがあります。頑張りを続けることでリターンがあると、その頑張りを苦労と感じないことも多々あります。仕事による喜びや目的は人それぞれです。仕事に頑張りや成果やリターンを求める人にとっては、一般社団法人で働くことはデメリットに感じることがあるのかもしれません。

②変化に乏しい

安定して、同じことを繰り返し行うということは、別の言い方をすれば変化に乏しいということです。変化があるということは、人によっては刺激的で楽しみの要因になります。特に、刺激的な職場の方が魅力的に見える人には変化が乏しいことはネガティブに感じるかもしれません。長い年月同じ職場で、同じ仕事を繰り返すことは簡単ではありません

一般社団法人は安定した事業を継続して実施していくことが多くあります。そのため、その法人で働く職員も同じ仕事を継続的かつ長期的に繰り返すことを求められます。安定的な環境下で、同じ仕事を繰り返すことは人によっては変化に乏しいと感じる人もいます。

3 一般社団法人への就職

一般社団法人への就職

一般社団法人への就職は、簡単ではありません。前述のとおり、株式会社と比較するとその法人数が少ないことがあり応募人数自体が少ないです。さらに、応募要件に専門的な資格を求めている場合も多くあります。これらに加え、一般社団法人への就職希望者が非常に多くいるため、応募に対する競争率が高くなります

3-1 一般社団法人への就職方法

一般社団法人の職員になるためには採用されることが必要です。採用のプロセスは営利法人と変わりはありません。求人の募集がされているかを確認し、求人の募集要項に応じて就職・転職活動を行います。

前述のとおり、一般社団法人の求人募集自体が多くありません。そのため、一般社団法人への就職を目指すならば効率的に求人情報を見つけることが必要です。一般社団法人の求人情報は概ね以下の3つで見つけることができます。

  • ・就職や転職サイト
  • ・ハローワーク
  • ・一般社団法人のホームページ

就職や転職サイトを活用して、採用活動を行っている団体は多くいます。また、採用活動において公共性が担保されるように公平な活動になるよう、ハローワークを通じて採用活動を行う傾向があります。

また、自社のホームページに求人情報を継続的に掲載している場合もあります。一般的には、ホームページに求人情報を掲載している企業は求人を行う頻度が高い傾向があります。応募が多ければ、就職できる確率が上がります。そのため、ホームページに求人がある気になる社団法人を見つけたら、その時には求人を実施していなかったとしても定期的にチェックすることをおススメします。

3-2 一般社団法人で働くのが向いている人のポイント

一般社団法人で働くのが向いている人のポイント

一般社団法人は、営利団体とは多くが異なるため、向き不向きがあります。一般社団法人で働くことが向いている人のタイプは大きく以下のような方になります。

  1. ①地域や団体や社会などに対して貢献することにやりがいを感じる
  2. ②人とのコミュニケーションをとることが好きなど、求められるスキルが高い

①地域や団体や社会などに対して貢献することにやりがいを感じる

一般社団法人は、公益や共益の事業活動をその法人の中心に据えている団体です。そのため、事業活動を通じて様々な貢献を行っていきます。営利団体であれば、それがサービスの対価として売上や利益などの数値になるため、実感をすることが比較的簡単です。

一方で、一般社団法人は収益や利益を得ないわけではありませんが、貢献自体が目的になることが多くなります。事業活動を通じて、感謝やお礼の言葉などに接する機会が多い社団法人は、その働くこと自体に喜びになります。

一般社団法人の事業内容はそれぞれ異なるのと、就職してからの配置される部署や担当業務によって異なる部分はあります。直接的に、貢献を感じることができる部門の方もいますし、総務や経理やその他企画などの管理部門に配置される方もいます。しかし、貢献を軸とした事業活動を行っているということ自体にやりがいを感じる人は、職員としての仕事自体にやりがいを感じることができ、一般社団法人に就職することに向いています

②人とのコミュニケーションをとることが好きなど、求められるスキルが高い

団体と配置にもよりますが、コミュニケーション能力が求められるケースがあります。特に、官公庁や業界団体など規模の大きい組織との連絡や連携をとる機会が多い場合には、コミュニケーション能力が必要とされます。社外社内に関わらず、永く業務に関わっていく関係性が構築することが得意な人は向いています。

また、その団体毎に必要とするスキルは異なります。これは全ての会社で勤務することに当てはまる部分ではありますが、求められているスキルを持っているかいないかで勤務してからの出だしがうまく仕事ができるかに影響が出てきます。長年働くことで、スキルを身に着けることはもちろん可能です。しかし、求められるスキルに当てはまる人の方は苦労が少ないということからも向いています。

スキルは求められるものの、未経験ではできないのかというとそうでもありません。前述のマイナビ転職サイトによると団体職員は未経験でもできるという風にしている人が全体の64%を占めています。また、職種未経験を歓迎する求人も81%と、一般社団法人の経験がない異なる業種からの転職であったとしても問題ない求人も多くあります。

●穏やかな人柄
また、スキルとは異なりますが、穏やかな人柄の方が一般社団法人での勤務になじみやすいということができます。営利法人で営業会社や営業部門などは無理を承知で高い目標を掲げてそこに向けて頑張ったり知恵を出し合ったりすることを推奨する文化をもつ企業もあります。一般社団法人では、そのような高すぎる目標設定や無理を強いられる仕事のやり方を好まない方が多くいます。

これは上司なども同じです。職場内で穏やかな性格の方が比較的多くいます。社会的な意義のある仕事をしているプライドや自信を持ちながら、穏健な姿勢で粛々と仕事に臨む方が多いと言えます。これらのことは、落ち着いた職場の雰囲気を醸成し、より成果の大きい仕事に集中して取り組む環境は、一般社団法人などの社団法人で働く喜びを感じる要因になっています。

そのため前職で営業などを経験している人は、一般社団法人の雰囲気や環境の一般企業との違いに最初は戸惑うこともあるとおもいますが、穏やかさも一般社団法人の先輩や同僚と一緒に仕事を円滑に進めていくうえで重要なスキルです。

4 まとめ

まとめ

一般社団法人についてと、事業活動を通じて社会貢献を行うことが多い一般社団法人に就職することについてまとめました。社団法人で働くことは、公益や共益のために事業活動に携わる仕事をする機会が多くなります。そのため、仕事自体に非常にやりがいがあります。そのうえでさらに、経営が安定していて、勤務待遇も大手企業と同程度と非常に恵まれた環境の社団法人もあります。

一方で、非常に恵まれた環境であるがゆえに就職することの競争率が高く、社団法人の絶対数が少ないため社団法人の求人募集が少なくなっています。

就職は人と企業との出会いであり、それぞれの目的や相性によって左右される部分が多くあります。それでも、人や社会の役に立つ仕事をしたい、そんな仕事にやりがいを感じるという方はぜひ社団法人で働くことにチャレンジしてみることをおススメします。

社団法人設立が全国一律27,800円!KiND行政書士事務所:東京