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一般社団法人は給料を出してもいい? 社団法人の仕組みや設立手順もまとめて解説

法人は、大きく『営利法人』と『非営利法人』に区別できます。非営利法人の中でも知名度の高い社団法人については、利益を出すことが目的ではないため、「社員になっても報酬や給与がもらえないので奉仕をしている」と誤解されることもあります。しかし、社団法人の「社員」と株式会社の「社員」とでは意味が大きく異なるため、その違いをしっかりと確認する必要があります。

そこで今回は、社団法人の報酬や特徴・設立する流れについて詳しく解説するので、ぜひご参考ください。

1 社団法人とは

社団法人とは

非営利とは、余剰金の配当を行わないことをいいます。つまり、社員や役員に金銭的な利益を提供することは目的としていないということになります。非営利は、その法人の社会的使命を達成させることを第一の目的として、利益も社会的使命の達成に活用することが求められます。

営利法人と非営利法人は以下のような法人形態があります。

営利法人と非営利法人

営利法人 株式会社 代表的な法人形態となります。株式を発行することで広く株主を集めることや資金調達ができる点が特徴になります。
合同会社 アップルジャパンやアマゾンジャパンなど市場からの資金調達を必要としない企業が選択する、設立費用と運用が株式会社より低コストかつ簡易な法人形態です。
合名会社 法人へ出資する出資者が法人の債務に対して連帯して責任を負う無限責任社員のみで構成される法人形態になります。
合資会社 無限責任社員と出資した金額のみが出資者の責任になる有限責任社員の両方で構成される法人形態になります。
非営利法人 NPO法人 社会福祉以外の事業を行うことができる非営利団体です。また、設立基準と条件に合致した書類を提出すれば設立が認められるいわゆる認証制の法人です。
社会福祉法人 社会福祉事業の身を行う非営利団体です。NPO法人と異なり、設立基準や条件に合致していることと行政担当者による許可をもって設立できる許可制の法人です。
社団法人 人が集まることで設立される法人です。設立には、2名以上の社員が集まることが求められます。事業内容は福祉などの公益にかなう必要はなく自由に設定できます。
財団法人 一定基準(300万円)の財産があることで設立ができる法人です。また、設立後に300万円を2期連続で下回った場合には解散を強いられます。

1-1 社団法人の制度改革

社団法人の制度改革

平成20年12月に110年ぶりの公益法人制度改革に伴う法改正*によって、公益法人制度が変わりました。公益法人とは、志ある人の集まり(社団)あるいは財産の集まり(財団)として、民間の公益活動を担っています*。

社会の変化に対応するため、主務官庁制で法人の新規設立が難しく、その設立の許可が得られるための公益性の判断基準が不明確で、実際には公益とは言い難い法人などが混在していました。これらの問題に対応するため、法改正によって法人の設立と公益性の判断を分離することとなりました。具体的には、社団法人は一般社団法人と公益社団法人の二つに区別することになり、一般社団法人は準則主義で登記のみで設立できるようになりました。

上記法改正までは、社団法人は公益要件に適合することが求められて、設立には所管官庁の許可が必要でした。しかし、公益法人制度改革によって、一般社団法人は法人登記によって設立できることになり、希望する一般社団法人でかつ公益認定を受けた法人が公益社団法人に移行することができる仕組みに変わりました。

(内閣府『公益法人制度改革の進捗と成果について』)

●公益性

公益性とは、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することです。要するに、社会一般的に有益性や価値を増やすことと言えます。公益性の有無は、以下の項目によって判断されます。

  1. 公益社団法人及び公益材残法人の認定等に関する法律*第5条に記載された公益認定の基準に適合することが認められた場合
  2. ②受益機会が一般公開されている
  3. ③特定の者に利益供与になっていない
  4. ④公正な運営がなされている
  5. ⑤社会的存在として広く認識される事業規模である

1-2 一般社団法人とは

一般社団法人は前述のとおり、非営利法人であるため、社員や理事に利益を分配することができません。そのため、一般的には以下の業界や団体が一般社団法人となっています。

  • ・介護や障害の福祉事業
  • ・各業界や職能の団体
  • ・資格認定団体
  • ・スポーツ振興
  • ・医療や学術や研究団体

知名度の高い団体の一例として、各自動車メーカーが会員となっている『一般社団法人日本自動車工業会』や、全国の金融機関が会員となっている『一般社団法人全国銀行協会』などがあります。

●社員総会

一般社団法人には、株式会社における株主総会に代わって、最高意思決定機関として社員総会があります。この社員総会で議決権を行使できる人や法人を一般社団法人では“社員”と言います。株式会社でいうところの株主に相当する役割になります。一般社団法人において社員は最低2名が必ず必要になります。設立時点はもちろんですが、設立後も2名必要であり、社員が0名の状態では一般社団法人を解散しなければならなくなります。

社員総会では、以下のような一般社団法人の事業や運営の重要事項に関わる決定を行います。

  • ・理事や監事の選任
  • ・決算の承認
  • ・定款変更の承認

なお、一般社団法人の社員には欠格要件はありません。法人も社員になることが可能です。定款で社員になる諸条件の規定を定めていることがあります。

●理事会

一般社団法人には理事会が設置されている会社も多数あります。理事は法人の事業ならびに組織運営を執行する立場の人間で、業務執行権限と代表権を持っています。理事は、株式会社でいうところの代表取締役などの取締役に相当する役割を担います。また、理事会を設置する場合には、監事1名を選任することが必要です。理事会の職務の代表例は以下になります。

  • ・一般社団法人の業務執行の決定
  • ・理事の職務執行に対する監督
  • ・代表理事の選定と解職

理事会の収集は、招集する権利を持つ招集権者が実施します。招集権者は、定款で予め定めておくことや理事会で決定することができます。また、招集者権者の決定がなされていない状況下においては各理事が実施することができます。

招集権者が決定されている場合で招集権者ではない理事であっても、その開催の目的を明示したうえで理事会の収集を請求することができます。この場合には、請求した日から5日以内に理事会招集の通知(通知される理事会の開催は請求した日から2週間以内)が発送されない場合には、請求を行った理事は自ら理事会を収集できます。

理事会の議題は、『決議事項』と『報告事項』の2つになります。報告事項について代表理事と業務執行理事には定款に定めがない場合には、3ヶ月に1回以上の頻度で自己の職務執行状況を理事会に報告することが義務となっています。定款で定めることで、事業年度毎に4ヶ月以上の間隔で2回以上の報告を行うようにすることができます。また、テレビ会議などの場合であっても、理事会決議内容の議事録は必要です。一方で、代理人や書面やメールなどを利用しての議決権の行使はできません。

理事会の決議事項は、大きく『法律に定められた事項』『定款に定められた事項』の2つに分けることができます。

≪法律に定められた事項≫

  • ・法人業務に対する執行の決定
  • ・理事の職務執行に対する監督
  • ・代表理事と業務執行理事、ならびに重要な使用人に対する選定と解任
  • ・重要な財産に対する処分および譲受けと高額となる借財
  • ・事務所やその他重要な組織の設置と変更および廃止
  • ・社員総会に対する開催日時や場所と議題と議案の決定
  • ・理事による競業や利益相反取引を行うことに対する承認
  • ・事業計画書や収支予算書、事業報告や計算書類等の承認

理事会での決議は、理事の過半数以上の出席を前提として、その出席者の過半数の同意で決議できます。なお、新型コロナウィルス感染予防対策によって、テレビ会議などによって理事会自体を行うことも『相互に十分な意見交換ができる』ことを前提に実施することができます。

≪定款に定められた事項≫

  • ・役員が負う損害賠償責任に対する免除
  • ・会長や副会長や専務等の法人内部の役職決定
  • ・各種の規定に対する制定と改廃
  • ・会員の入会審査と承認
  • ・基本財産の維持と管理及び処分の決定

招集は、開催しようとする理事会の1週間前*迄に、各理事へ通知を発送する必要があります。ただし、理事と監事の全ての者が同意する場合には収集の手続きを省略することが可能です。

*通知の期間は、定款で定めることで期間を個別で決定することが可能です。

理事は最低1名必要ですが、複数人選任することができます。理事が3人以上いる場合に理事会の設置が可能です。理事会を設置している一般社団法人においては、代表理事が代表権と業務執行権を有します。代表理事以外の理事は理事会への参加と意思決定を行うことになります。理事の選任は、前述の社員総会の決議事項になり、社員総会決議以外で選任できません。

理事会が開催された場合には、会議議事録お作成が必要です。議事録は、以下の内容が記載されていることが求められます。

  • ・理事会の開催日時と場所
  • ・議事における経過要領とその結果など

そして、出席理事および監査が議事録に対して署名もしくは記名押印を行い、理事会を実施した日から10年間主たる事務所で保管することが必要です。

一般社団法人の理事には欠格要件があり、法人などが理事になることはできません。代表的な欠格要因は以下になります。

  • ・法人
  • ・成年被後見人や被補佐人
  • ・一般法人法等に違反したために刑の執行が終了してから2年が経過していない者
  • ・法令に違反して禁固以上の刑で執行等を受けることがなくなるまでの者

●一般社団法人の非営利性

一般社団法人は、非営利性において以下の2つに分けることができます。
①非営利性が徹底された法人
②共益的活動を目的とする法人
一般社団法人は税制上において優遇措置を受けることができますが、上記①非営利性が徹底された法人であることが認められる場合のみになります。非営利型が認められない場合には、株式会社と同じ扱いの課税がされます。

①『非営利性が徹底された法人』となるための要件

以下の4つの要件を満たすことが求められます。

法人の定款において、剰余金分配は行わない規定が定められている
法人の定款において、解散する場合の残余財産が以下のいずれかに帰属する規定が定められている
✓国もしくは地方公共団体
✓公益社団法人もしくは公益財産法人
✓公益法人認定法第5条第17号のイ~トに掲げられた法人
本要件全てに該当していた期間において、上記定款事項に反する行為を行うことを決定した、あるいは行ったことがないこと(剰余金や残余財産の分配など以外の方法で特定の個人や団体に特別な利益を与えることも含む。)
各理事において、その理事と一定の特殊関係*にある理事の数が理事全体の3分の1以下であること。

②『共益的活動を目的とする法人』になるための要件

以下の7つの要件を満たすことが求められます。

会員の相互支援や交流や連絡など、その会員に共通利益を図る活動実施が主たる目的と定められている
定款に、会員による会費として負担する金額が定められている、もしくは社員総会もしくは評議議員会の決議によってその金額を決定する規定が定められている
主たる事業で収益事業を実施していない
定款に特定の個人や団体などへ剰余金分配を受ける権利を与える規定が定められていない
5 定款に解散する場合の残余財産が特定の個人や団体に帰属する規定が定められていないただし、上記団体において以下の団体は対象から除外されるため、規定が定められていても要件を満たすことになります。
✓公益社団法人もしくは公益財産法人
✓公益法人認定法第5条第17号のイ~トに掲げられた法人
✓上記2つの法人の目的に類似した目的で設立された一般社団法人や一般財産法人
6 本要件全てに該当していた期間において、特定の個人または団体に特別の利益を与えることを決定した、あるいは与えたことがないこと
各理事において、その理事と一定の特殊関係*にある理事の数が理事全体の3分の1以下であること。

*理事と一定の特殊関係とは以下のことを言います。

  • ✓理事の配偶者
  • ✓理事の3親等以内の親族
  • ✓理事と事実上の婚姻関係と同様の事情にある者
  • ✓理事の使用人
  • ✓上記以外で、その理事から受け取る金銭や資産で生計を維持している者
  • ✓上記配偶者以外の者と生計を一つにするこれらの者の配偶者または3親等以内の親族

●一般社団法人の社員

一般社団法人は、『一般社団法人及び一般財団法人に関する法律』に規定されています。前述のとおり、一般社団法人は、2名以上の社員がいることで設立することができる法人になります。(株式会社などの営利法人において、2名以上の社員が必要とする規定はありません。)

なお、この場合の社員とは職員などの従業員を指すわけではありません。一般社団法人の社員とは、一般社団法人における重要事項決議を行う社員総会(最高意思決定機関)に出席して議決権を行使できる人や法人を言います。

一般社団法人の設立を行おうとする場合、許認可は不要です。該当する要件に合致していることで法人格を得ることができる準則主義に則って、公証役場での定款認証と法務局での登記を行うことで設立ができます。

1-3 公益社団法人とは

公益社団法人とは、公益目的事業を実施する民間の法人になります。個人の価値観が多様化する社会において、そのニーズも多岐にわたります。そのため、行政や株式会社などの民間の営利会社だけでは忘れられてしまう社会ニーズに対応していく民間非営利団体の役割が重要とされています。公益法人は、平成30年12月時点で社団法人と財団法人を合わせて9,493社あります。

●公益目的事業

公益目的事業とは、以下の2つに該当する事業を言います。

  1. ①学術や技芸や慈善その他の公益に関する事業*に掲げる種類の事業
  2. ②不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの

*公益目的事業は公益法人informationの『公益目的事業のチェックポイント』で確認できます。

●認定基準

公益法人は、不特定多数の人々の利益増進に資するように、認定法第5条による厳格な基準があります。厳格な基準は大きくは以下の2つに分けることができます。これらの基準を満たさなければ公益法人として認定を受けることができません。

  1. ①公益性
  2. ②ガバナンス

①公益性

公益性では公益に資する活動を行っているかが求められます。そのため、公益性の構築や維持に必要な以下のことが求められます。

・公益目的事業の実施
公益目的事業を実施することを主とした活動をしているかどうかになります。具体的には公益目的事業の比率が50%以上であることが必要です。逆に言うと公益目的事業以外の事業を行うことができますが、その場合でも主として実施する公益目的事業に支障がでるもしくはそのおそれがないようにしなければなりません。

・特定の者に『特別な利益』を与えない
特別な利益とは、法人の事業や事情を鑑みて、社会通念上で合理性を欠く利益や優遇を言います。

・収支相償が見込める
公益法人は、公益目的事業に係る収入の合計が、同様にその事業を実施するために発生する費用を償う額を超えてはいけません。

・遊休財産規制が適用される
遊休財産とは、法人の純資産*の中で具体的な利用用途が決まっていない資産の事です。この遊休財産の額が、1年間の公益目的事業費分(見込み)を超えてはいけません。

・その他
理事等への不当に高額な報酬を支払うことを行わないように支給基準を定めることが求められます。また、他の団体を通じて営利活動を実施・関与することがないように他の団体の意思決定に関与することができる株式等の財産を保有できません。

②ガバナンス

公益法人には、公益目的事業を実施する能力と体力があることが求められます。そのため、以下の4つのことが求められます。

・経理的基礎や技術的能力が必要
安定的かつ継続的な公益目的事業の実施のため、公益法人は必要とする経理的基礎や技術的能力が求められます。事業を自ら実施する基礎や能力がない場合には、業務をアウトソースしなければならず、公益法人の在り方に反してしまいます。

・相互に密接な関係にある理事・監事が3分の1を超えてはならない
特定の利益を共通にする理事や監事が多数を占めると、公益の増進に寄与する根本の目的に反した業務運営が実施される危険が生じます。そのため、理事や監事については相互に密接な関係にある者の合計数は全体の3分の1以下でなければなりません。

・公益目的事業財産の管理について定款に定める
公益目的事業財産とは、公益法人の財産の中の公益目的のために利用されるべき財産を言います。公益目的事業の実施や継続に必須となる公益目的事業財産については、その管理における必須事項を定款に規定することが必要です。具体的には、公益認定の取り消しを受けた場合の公益目的事業財産の残額と解散した場合の残余財産については公益目的団体等に贈与することを定款に定めます。

・その他
会計監査人の設置や社員資格の得喪に関する条件等が必要になります。

●公益法人と税制優遇

公益法人の活動を経済的に支えていくために、以下のように税制上の優遇があります。

・個人や法人が公益法人へ寄附を行った場合
個人が公益法人へ寄附をすると、寄附額*から2,000円を差し引いた金額の所得控除が受けられます。また、一部の税額控除対象*の公益法人に寄附をすると、寄付額*から2,000円を差し引いた金額に40%を乗じた金額を税額控除できます。また、個人住民税も、都道府県や市区町村の条例により指定がある場合には、以下のように個人住民税が税額控除されます。

都道府県が条例指定 (寄付金額**-2,000円)×4%
市区町村が条例指定 (寄付金額**-2,000円)×6%
重複しての条例指定 (寄付金額**-2,000円)×10%

その他、個人が相続財産を寄附すると、相続税が非課税になります。また、個人が財産を寄附すると、譲渡所得税等に係る所得税が非課税になります。これらの措置の詳細は、公益法人information『公益法人税制(寄附税制・法人課税』からで確認できます。

*総所得金額等に対する40%相当額が限度となります。
**総所得金額等に対する30%相当額が限度となります。

✓法人が公益法人へ寄附を行った場合
一般寄付金の損金算入できる限度額とは別枠の損金算入限度額が設定されています。
公益法人への寄付金:(所得金額×6.25%+資本金×0.375%)×50%

・公益法人が行う事業等への税制優遇
公益法人の法人税は、税法上の収益事業課税になります。ただし、認定法上の公益目的事業の場合には非課税です。その他、法人税について公益目的事業への支出である「みなし寄附」は一定額まで損金算入ができます。さらに、利子や配当等に係る源泉所得税が非課税となるなどがあります。

2 社団法人の設立

社団法人の設立

社団法人である一般社団法人と公益社団法人を設立するのには、それぞれ手順が必要です。順番として、一般社団法人を設立し、その後公益社団法人になるかどうかを選択できます。そのため、公益社団法人を設立しようとする場合には、必ず一般社団法人の設立が必要になります。

2-1 一般社団法人の設立手順

一般社団法人の設立手順は以下の通りになります。

一般社団法人の設立手順

  1. ①一般社団法人の設立発起
  2. ②2名以上の設立時社員による共同での定款作成
  3. ③公証役場での定款認証
  4. ④設立登記申請
  5. ⑤口座開設や税金や社会保険などの届出やその他各種手続き

それぞれの手順について詳細を以下に解説していきます。

①一般社団法人の設立発起

一般社団法人の設立については、前述のとおり2名以上の社員が集まることが求められます。なお、2名について個人はもちろん法人でも問題ありません。また、最低2名となっていますが、2名以上の規定はなく複数人集まれば何人集まっても問題ありません。

設立時社員は、設立に係る事務手続きを処理する人や法人を言います。そのうえで、設立時社員は、一般社団法人設立後にはその一般社団法人を構成して最高意思決定機関である社員総会での議決権をもつ運営を行う社員となります。(従業員やスタッフとは異なります。)

②2名以上の設立時社員による共同での定款作成

株式会社などの営利法人と同じように、非営利法人である一般社団法人もその設立においては定款を作成することが必要です。一般社団法人の根本規則となる定款は、その設立において作成が必須となります。

一般社団法人の定款も、定款に抜け漏れなく記載しなければいけない『絶対的記載事項』や定款に記載することで法的効力を発揮する『相対的記載事項』や記載してもしなくてもよい『任意的記載事項』があります。

≪絶対的記載事項≫

  • ・目的
  • ・商号
  • ・主たる所在地
  • ・設立時社員氏名(または名称)及び住所
  • ・社員資格の得喪についての規定**
  • ・公告方法***
  • ・事業年度

*一般社団法人の場合、その名称の前後に『一般社団法人』という文字を利用することが求められます。

**社員の入社や退社や除名などについて規定します。社員資格は、制限が設けられていないため、個人・法人(営利法人や社団など)も社員になることを規定できます。

***公告の方法は、以下の4つの方法から選択することができます。
✓官報への記載
✓日刊新聞紙(ただし時事に関する事項を掲載する)への掲載
✓電子公告
✓主たる事務所における公衆が見やすい場所での掲示

株式会社などの公告方法には、『主たる事務所における公衆が見やすい場所での掲示』が認められてはいません。主たる事務所における公衆が見やすい場所での掲示を選択すれば広告にかかる費用や手間を抑えることができます。

株式会社の定款の絶対的記載事項には、『設立に際して出資する財産の価額またはその最低額』や『発行可能株式総数』がありますが、一般社団法人にはありません。一方、公告方法は、株式会社の定款では相対的記載事項に該当しますが、一般社団法人の場合には絶対的記載事項として必要となります。

≪相対的記載事項≫

一般社団法人の相対的記載事項は、株式会社の相対的記載事項とは大幅に異なってきます。一般社団法人の相対的記載事項の代表例は以下になります。

  • ・設立時役員等の選任の場合における議決権の個数に関する別段の定め
  • ・社員の経費負担
  • ・任意退社や退社に対する定め
  • ・社員総会の招集通知期間や定足数や決議要件に関する定め
  • ・社員総会以外の機関の設置に関する定め
  • ・議決権数に関する定め
  • ・理事や監事の任期や理事の業務の執行に関する定め
  • ・代表理事の互選規定や、代表理事に対する職務執行状況の報告時期や回数に関する定め
  • ・理事会の収集手続きの期間短縮や、理事会議事録に署名または記名押印する者を理事会へ出席した代表理事にする定め
  • ・理事会や監事または会計監査人や清算人会などの設置の定め
  • ・理事会決議の省略
  • ・理事等による責任の免除に関する定め
  • ・外部役員などと責任限定契約締結ができる旨の定め
  • ・基金を引き受ける者の募集等の定め

・社員の経費負担
一般社団法人には、資本金がありません。そのため、一般社団法人が事業活動を行うことで発生する費用は、借入や寄付の他に、会費や入会金を含める事業を行うことで得られる売上から賄っていきます。社員による経費負担を行う場合には、定款にその旨の記載を行うことが必要になります。また、一般的には経費負担分は一般社団法人としては借入する形になります。

日本公証人連合会が、理事会の設置を行うもしくは行わないそれぞれの一般社団法人の定款記載例を作成しています。実際の定款作成の際には、こちらを参考にすることができます。
理事会の設置がない一般社団法人の定款記載例
理事会を設置する一般社団法人の定款記載例

③公証役場での定款認証

定款作成終了後には、株式会社同様に公証人の定款認証を得るために、主たる事務所を管轄する公証役場に行きます。なお、公証役場には原則として設立時社員全員で行くことが求められます。そのため、設立時社員のうちだれか一人で公証役場に行く場合には委任手続きが必要になります。同様に、専門家などの第三者に定款作成や定款認証の手続きを任せる場合にも同様に委任手続きが必要になります。

④設立登記申請

設立登記申請は、主たる事務所住所を管轄する法務局で行います。設立登記手続きは、設立しようとする一般社団法人の代表理事*が行います。また、定款認証同様に代理人への委任が可能です。

一般社団法人の設立登記申請に必要な書類は、以下の通りです。

定款 公証人から認証を得た定款を提出します。
設立時理事及び設立時監事専任決議書 理事や監事などの設立時役員を定款で定めていない場合、設立者による設立時役員の選任と、選任を実施した旨の記載がある議事録の提出が必要です。
主たる事務所所在場所を決定する決議書 主たる事務所所在地を最小行政区画までしか定款で定めていない場合、設立者によって地番までの決定とその決議を実施した議事録の提出が必要です。
設立時の代表理事の選任を証する書面 理事会が設置された一般社団法人は、定款に代表理事を選定していない場合には、代表理事を理事の中から選定し、その決議の議事録の提出が必要です。なお、代表理事が定款によって定めてある場合には必要ありません。
設立時役員就任承諾書 設立時役員に選任された人や法人は就任承諾書を作成することが必要です。ただし、代表理事の就任承諾書の提出を省略できる場合もあります。その場合とは、理事会設置を行う一般社団法人で、代表理事の選任を実施した議事録があり、その議事録に選任された者の就任承諾がなされた旨の記載があること、ならびにその者が該当の議事録に記名と実印による捺印を実施している場合を言います。
印鑑証明書 理事会を設置しない一般社団法人において、設立時理事全員の印鑑証明書が各1通ずつ必要です。ただし、理事会を設置している一般社団法人においては、設立時代表理事の印鑑証明書1通だけの提出が必要です。
印鑑届出書 法人の代表印の届出を行います。事前に法人の代表印を作成しておくのは株式会社と同様です。

●一般社団法人の設立日

一般社団法人は、法務局へ登記申請=書類提出日を実施した日に成立します。そのため、書類提出を行ってから登記が完了するまではおよそ1週間かかりますが、実質的には登記申請を行った日から一般社団法人の事業活動を実施することができます。

なお、設立完了後には銀行口座開設や各種届出に必要なため、『登記事項証明書』『印鑑証明書』を取得します。各届出で原本提出が求められるため、必要枚数を確認の上、それぞれ複数枚取得します。

⑤口座開設や税金や社会保険などの届出やその他各種手続き

会社設立した場合には、法人口座の開設を行います。法人口座の開設にあたっては、各金融機関によって口座開設の条件や必要書類が異なってきます。そのため、事前に電話等で問い合わせを行うことを推奨します。

また、主たる事務所を管轄する税務署ならびに都道府県事務所と市区町村役場等への会社設立の届出を行います。また、社会保険加入の手続きのために年金事務所と労働基準監督署で届出を行います。さらに、従業員を雇用する場合も同様になります。

2-2 公益社団法人の設立手順

公益社団法人の設立手順

公益社団法人の設立の概ねの流れは、まず一般社団法人を設立します。その後、公益認定申請を行い、管轄する都道府県または内閣府による公益認定を受けます。その後に、公益社団法人に移行します。

●公益社団法人設立を目的として一般社団法人を設立する

公益社団法人になるための一般社団法人を設立する際には以下の点に注意します。

  • ・主に実施する事業が公益目的事業に該当させます。
  • ・理事会を設立し、3名以上の理事と1名以上の監事を任命します。
  • ・一般社団法人に入社や入会する社員や会員に対して条件を付けないようにします。もしくは、条件を付ける場合には客観的な合理性をもった理由がなければなりません。
  • ・社員や会員から会費などを受け取る場合には、その金額を社員総会によって決議します。
  • ・社員総会の議決権は平等にします。
  • ・理事や監事の選任については、前述の“一定の特殊関係者”などに制限を設けます。
  • ・監事については、税理士や公認会計士などの資格所有者や法人などで経営や経理などの有経験者をできるだけ選任するようにします。
  • ・余剰金の分配を禁止します。また、社員や理事などの基金を出した人や法人やその家族に利益につながる活動を禁止します。
  • ・事業年度開始の前に、作成した事業計画書と収支予算書を理事会の承認を得ます。
  • ・事業年度終了後に実施する事業報告と計算書類作成の監査や定時社員総会への提出などについてその時期と実施することを定款で定めておきます。
  • ・残余財産の帰属する先を公益法人などの法律で定められた者にしておきます。

公益法人になるメリットは、税制優遇を受けることができます。一方で、一般社団法人と比較して認定基準を維持することが必要であるため厳しい法人運営と監督官庁による監督を受けることになります。公益法人になるための定款については、公益法人informationの『公益認定のための定款について』を参考にすることができます。

また、公益法人になることができない欠格要件に該当しないよう注意が必要です。

  1. ①理事や監事など法人幹部が5年以内に公益社団法人に関する法律に対する違反や禁固刑や暴力団関係者である人がいる場合
  2. ②過去公益認定を受けて取消されてから5年が経過していない
  3. ③事業内容や定款に法律や法令に違反している
  4. ④事業に必要な許可を得ていない
  5. ⑤税金の滞納による処分執行が終了していない、もしくは終了してから3年が経過していない
  6. ⑥公益認定を受けることを希望する法人の事業活動が反社会的団体等に支配されている

●理事と役員への事前教育

公益社団法人になると、一般社団法人よりも社会的責任や監督が厳格になります。そのため、理事や役員に求められる責任も広くかつ重くなります。そのため、公益社団法人の事業や組織運営について改めて学びなおすことが必要です。

●公益認定書類の作成と申請と認定通知

公益認定の申請は、申請を行う法人の主たる事務所所在地を管轄する行政庁に申請を行います。また公益法人informationホームページで窓口相談予約も実施できます。移行認定申請は以下のように、申請書と別紙書類を作成・提出します。

移行認定申請書
別表1 法人汚基本情報及び組織について
別表2 法人の事業について
別表3 法人の財務に関する公益認定の基準に関わる書類について
別表4 その他添付書類について
以下に書類の詳細を説明します。

移行認定申請書
一般社団法人から公益社団法人になることを希望して、申請する旨が記載されています。記載する事項は、事務所の所在場所や公益目的事業を行う場所や種類や内容と、収益事業等の内容になります。また、認定を受けた後の法人の名称も記載しますので、申請時点で公益法人の名称を決めておくことが必要です。

別表1 法人の基本情報及び組織について
法人の名称や住所や代表者情報や事業概要などの“基本情報”と社員と評議員と理事や監事と職員などの常勤と非常勤のそれぞれの人数を記載する“組織”について記載します。

別表2 法人の事業について
公益目的事業と収益事業のそれぞれの事業内容を記載します。また、個別の事業内容について事業概要や公益性がある旨の説明と事業を継続的に行う上で必要となる許認可を記載します。

別表3 法人の財務に関する公益認定の基準に関わる書類について
以下に関する書類が必要になります。

  • ・収支相償*の計算
  • ・公益目的事業比率の算定
  • ・有休財産額の保有制限の判定
  • ・他の団体の意思決定に関与することができる財産保有の有無
  • ・公益目的事業行うのに必要な経理的基礎
  • ・各事業に関連する費用額の配賦計算表
  • ・収支予算の事業別区分経理の内訳表

*収支相償とは、公益法人が実施する公益目的事業の収入がその費用を超えてはいけないという公益法人認定法の規定です。

別表4 その他添付書類について
以下に関する書類が必要になります。

  • ・定款と定款の変更の案
  • ・定款変更に関して必要な手続きを経ていることを証明する書類
  • ・登記事項証明書
  • ・役員等就任予定者名簿
  • ・理事、監事及び評議員に対する報酬等の支給基準を記載する書類
  • ・確認書
  • ・(実施している事業に許認可が必要な場合)許認可等を証明する書類
  • ・滞納処分に係る国税および地方税の納税証明書
  • ・全事業年度の事業報告及びその不随明細書
  • ・事業計画書
  • ・収支予算書
  • ・全事業年度末日の財産目録
  • ・全事業年度末日の貸借対照表およびその不随明細書
  • ・事業計画書及び収支予算書に記載の予算の基礎となる事実を明らかにする書類
  • ・事業と組織体制
  • ・その他該当する法人の未提出する書類

以上の申請様式と手引きも前述の公益法人informationの『申請様式・手引き』で確認することができます。

3 社団法人の報酬について

社団法人の報酬について

社団法人における「社員」は、簡単に言えば株式会社でいうところの「株主」に該当します。そのため、社員と聞くと会社に雇われて給与をもらうという一般的な社員と社団法人の社員は大きく異なります。なお、社団法人にも雇われて給与をもらって働くいわゆる従業員はいます。

社団法人の社員には給与を支給することができません。ただし、社団法人における役員にあたる理事に選任されている場合などは、報酬を受け取ることができます。

社団法人の理事の報酬は、自由に決めていいわけではありません。理事の報酬は『定款に定めておく』もしくは『社員総会決議』によって決定します。ただし、ここで決めるのは理事の報酬の金額詳細ではなく、その報酬の上限を定めることまでが求められています。つまり、理事が複数名いた場合でも、総額で〇〇万円までの報酬を理事に支払いを行うと決めておけば、その理事のそれぞれにいくら報酬を支払いするかは各社団法人で自由に設定ができるようになっています。配分については理事会の決議などで決定します。

なお、理事の報酬を定款で定めておく場合には、理事の人数が増えた場合など報酬の変更が発生するたびに定款の変更を求められることになります。そのため、社員総会決議で決定することが一般的となっています。

監事の報酬も、定款で定めておくか社員総会決議によって決定します。ただし、監事は理事からの独立性を保つことが求められています。そのため、理事が監事の報酬を決定することは独立性を保つ上で問題があります。そのため、監事の報酬の決定権は理事に与えられていないので、理事の報酬とは異なる決議を実施することが必要です。

同じ役員である立場の会計監査人の報酬は、定款にあらかじめ定めておく事や社員総会の決議によって決定することが求められていません。

株式会社などの法人において、報酬や給与の支給を実施する時には「賃金の支払5原則」を順守することが求められます。この5原則を守る事は、社団法人も同じになります。賃金支払いの5原則とは、給料は現金支払い(通貨支払)で、直接かつ全額かつ毎月支払いし、一定期日に支払いしなければいけません。

4 まとめ

まとめ

社団法人や公益目的事業というキーワードが持つイメージから、社団法人の報酬について誤解されるケースは少なくありません。しかし、公益のための事業を行う社団法人は、よりニーズが複雑になっていく日本社会にとって、ますます重要になっていくことが予想されています。社団法人の理解が進むことで、社団法人の設立を目指す方や、社団法人の支援をする人が増えることがより社会全体の利益につながるでしょう。

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