国内の法人数、前年より2万5000社増えて264万社に〜黒字企業の増加と赤字企業の減少〜
国税庁は3月、国内の法人企業数などの実態に関する「会社標本調査」の調査結果を公表しました。これによると全体の法人数は前年度比2万5000社増となる264万社になったことが明らかとなりました。
このほか、利益計上法人(黒字企業)数は前年比6万社増となる93万社で5年連続の増加となりました。一方、欠損法人(赤字企業)数は前年度比3万社減となる169万社で、6年連続の減少です。全法人に占める欠損法人の割合も前年比2.1ポイント減となる64.3%で、6年連続で減少しています。
全体の法人数と黒字企業は増えて、赤字企業は減ったことが明らかとなった調査。本記事では国税庁がとりまとめて今年3月に公表した「会社標本調査」をもとに日本の法人企業の実態を詳細に見ていきます。
目次
法人数は過去10年間で最多
今回で66回目となる会社標本調査は、2015年4月初めから2016年3月末までに終了した各会社の事業年度を対象としました。国税庁は、本調査の目的を「資本金階級別や業種別にその実態を明らかにし、併せて租税収入の見積り、税制改正及び税務行政の運営等の基礎資料とする」としています。
264万1848社で3年連続増加
国内における法人数(連結子会社含める)は264万1848社で、前年度比1.0ポイント増加(2万5363社増加)となりました。過去10年間では最多となりました。
・ 過去10年間の法人数の推移
法人数 | 伸び率 | |
---|---|---|
2006年 | 2,591,914 | 0.3% |
2007年 | 2,594,214 | 0.1% |
2008年 | 2,603,365 | 0.4% |
2009年 | 2,617,064 | 0.5% |
2010年 | 2,586,882 | −1.2% |
2011年 | 2,578,593 | −0.3% |
2012年 | 2,535,272 | −1.7% |
2013年 | 2,595,903 | 2.4% |
2014年 | 2,616,485 | 0.8% |
2015年 | 2,641,848 | 1.0% |
(国税庁「会社標本調査」より作成)
資本金1000万円以下の企業が8割超え
資本金階級別にみると、「1000万円以下」の企業は226万2380社で3年連続の増加となりました。「1000万円超~1億円以下」は35万6019社で2年連続の減少、「1億円超~10億円以下」は1万7233社で5年連続減少、「10億円超の」の企業は6216社で前年から増加しています。
階級別の構成比を見ると、「資本金1,000万円以下」の企業が全体の85.6%を占めました。「資本金1,000万円超~1億円以下」の企業(13.5%)と合わせると全体の99.1%を占めることになります。また、組織別の構成比では、株式会社が全体の94.3%を占めています。
・ 資本金階級別の法人数の推移
1000万円以下 | 1000万円超~1億円以下 | 1億円超~10億円以下 | 10億円超 | |
---|---|---|---|---|
2006年 | 1,450,005 | 1,101,999 | 32,655 | 7,255 |
2007年 | 1,453,189 | 1,101,107 | 32,519 | 7,399 |
2008年 | 1,500,226 | 1,072,658 | 23,069 | 7,412 |
2009年 | 1,569,056 | 1,009,756 | 31,247 | 7,005 |
2010年 | 1,477,618 | 1,070,760 | 31,632 | 6,872 |
2011年 | 2,182,799 | 370,158 | 19,244 | 6,392 |
2012年 | 2,167,543 | 343,120 | 18,336 | 6,273 |
2013年 | 2,213,762 | 357,797 | 18,224 | 6,120 |
2014年 | 2,235,844 | 356,743 | 17,815 | 6,083 |
2015年 | 2,262,380 | 356,019 | 17,233 | 6,216 |
(国税庁「会社標本調査」より作成)
株式会社が9割以上を占める
会社を組織形態別にみると、株式会社が213万3099社と最も多く、全体の94.3%を占めます。次いで、合同会社4万9334社(1.9%)、合資会社1万7728社(0.7%)、合名会社(0.1%)と続きます。
・ 組織別別の法人数比較
1000万円以下 | 1000万円超~1億円以下 | 1億円超~10億円以下 | 10億円超 | 合計 | |
株式会社 | 2,133,099 | 335,551 | 16,135 | 5,694 | 2,490,479 |
合名会社 | 3,690 | 181 | 5 | – | 3,876 |
合資会社 | 17,728 | 619 | – | 2 | 18,349 |
合同会社 | 49,334 | 390 | 69 | 14 | 49,807 |
その他 | 58,529 | 19,278 | 1,024 | 506 | 79,337 |
合計 | 2,262,380 | 356,019 | 17,233 | 6,216 | 2,641,848 |
(国税庁「会社標本調査」より作成)
赤字会社の方が圧倒的に多い?
法人264万1848社のうち、黒字企業を意味する利益計上法人※は93万9577社で5年連続の増加となりました。
一方、赤字企業を意味する欠損法人※は169万859社で6年連続の減少となります。
・ 利益計上法人と欠損法人の推移
利益計上法人数 | 欠損法人数 | 合計 | |
---|---|---|---|
2006年 | 867,347 | 1,719,021 | 2,586,368 |
2007年 | 852,627 | 1,735,457 | 2,588,084 |
2008年 | 740,533 | 1,856,575 | 2,597,108 |
2009年 | 710,552 | 1,900,157 | 2,610,709 |
2010年 | 702,553 | 1,877,801 | 2,580,354 |
2011年 | 711,478 | 1,859,012 | 2,570,490 |
2012年 | 749,731 | 1,776,253 | 2,525,984 |
2013年 | 823,136 | 1,762,596 | 2,585,732 |
2014年 | 876,402 | 1,729,372 | 2,605,774 |
2015年 | 939,577 | 1,762,596 | 2,630,436 |
(国税庁「会社標本調査」より作成)
欠損法人が最も多いのは飲食業
次に、業種別に利益計上法人と欠損法人をみると、欠損法人の割合が最も多かったのは「料理飲食旅館業」で75.1%でした。次いで、「繊維工業」74.4%、「小売業」71.5%、「その他の製造業」69.7%、「農林水産業」64.8%、「化学工業」64.7%、「鉱業」64.4%、「サービス業」63.4%と続きました。
・ 欠損法人が多い業種ランキング
順位 | 業種別 | 利益計上法人数 | 欠損法人数 | 合計 | 欠損法人割合 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 料理飲食旅館業 | 30,759 | 92,989 | 123,748 | 75.1% |
2 | 繊維工業 | 2,802 | 8,122 | 10,924 | 74.4% |
3 | 小売業 | 94,205 | 236,260 | 330,465 | 71.5% |
4 | その他の製造業 | 26,090 | 60,116 | 86,206 | 69.7% |
5 | 農林水産業 | 10,131 | 18,678 | 28,809 | 64.8% |
6 | 化学工業 | 11,756 | 21,545 | 33,301 | 64.7% |
7 | 鉱業 | 1,252 | 2,267 | 3,519 | 64.4% |
8 | サービス業 | 262,118 | 454,434 | 716,552 | 63.4% |
(国税庁「会社標本調査」より作成)
欠損法人が最も少ないのは建設業
また、欠損法人の割合が最も少なかったのは「建設業」で58.6%となりました。次いで、「運輸通信公益事業」59.2%、「金融保険業」60.2%、「不動産業」61.0%、「機械工業」61.9%、「鉄鋼金属工業」62.2%、「卸売業」63.7%と続きました。
・ 欠損法人が少ない業種ランキング
順位 | 業種別 | 利益計上法人数 | 欠損法人数 | 合計 | 欠損法人割合 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 建設業 | 173,873 | 246,581 | 420,454 | 58.6 |
2 | 運輸通信公益事業 | 35,149 | 50,917 | 86,066 | 59.2 |
3 | 金融保険業 | 18,158 | 27,487 | 45,645 | 60.2 |
4 | 不動産業 | 116,209 | 182,051 | 298,260 | 61.0 |
5 | 機械工業 | 30,071 | 48,853 | 78,924 | 61.9 |
6 | 鉄鋼金属工業 | 19,124 | 31,405 | 50,529 | 62.2 |
7 | 卸売業 | 86,968 | 152,709 | 239,677 | 63.7 |
(国税庁「会社標本調査」より作成)
※ 利益計上法人とは所得金額が正(利益)である法人(年2回以上事業年度を持つ法人については、いずれかの事業年度の所得金額が正である法人)をいう。
※ 欠損法人とは所得金額が負(損失)又は0(繰越欠損金を控除した結果、所得金額が0となった場合を含む。)である法人(年2回以上事業年度を持つ法人については、全ての事業年度が欠損となった法人)をいう。(参照:国税庁)