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今年はビッグデータ活用元年?総務省、最新の情報通信白書で明言

総務省は7月、情報通信分野における産業の現状などをまとめた平成29年版情報通信白書を公表し、「データ主導経済と社会変革」とのテーマを特集しました。

白書は、情報の自由な流通に向けた個人情報保護法改正などの法整備や国際議論が進むなど、2017年を「ビッグデータ利活用元年」と明記しました。
一方で、個人側ではデータの提供に関する不安感も非常に高く、企業との認識ギャップの解消の取り組みが必要であると述べました。

さらに、ビッグデータやスマートフォンの普及が膨大な「ヒト」データを生成し、第4次産業革命とも言える変革をもたらしているとし、人口減少や労働生産性の向上などの社会的課題解決につながりうると主張しました。

果たしてAI、クラウド、ビッグデータなどのICT産業が、日本の救世主となるのでしょうか。

本記事では、平成29年情報通信白書をもとにICT産業の普及状況と社会問題解決との関連性を詳細に見ていきます。

現代経済は「データの収集・分析・活用」が主流

白書によれば、多種多様で膨大な「データの生成・収集・分析・活用」があらゆる社会活動を再設計し、社会問題の解決を図るなど、現代社会はデータ主導経済であると定義しました。

たとえば、個人生活に密接したスマートフォンは、所有者の行動・趣味・嗜好など大量の「ヒト」データを生成しており、ビッグデータの一部として企業が利活用することで、新たなサービスや商品が誕生しています。この社会経済の変革は第4次産業革命と言われ、高齢化、人口減少などの社会的課題解決に役立つとされます。

スマートフォンの普及と各種サービスの活用状況

iPhoneが発売されてから今年で10年。世界のスマートフォン所有人口は発売後、わずか数年で爆発的に増え、今では国民1人に1台行き渡っている状況となりました。

白書の通信利用動向調査をもとに、個人のスマートフォンの保有率の推移をみると、2011年に14.6%であったものが、2016年には56.8%と5年間で4倍に上昇しています。20代や30代に限れば、保有率は9割を超えています。

・個人のスマートフォン保有率

2011年 14.6%
2012年 23.1%
2013年 39.1%
2014年 44.7%
2015年 53.1%
2016年 56.8%

・ 2016年の世代別スマートフォン保有率

10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代
94.2% 90.4% 81.4% 79.9% 66.0% 33.4% 13.1% 3.3%

(参照:平成29年情報通信白書より作成)

 

スマートフォンサービスは米英に比べて利用度が低い

スマートフォンの普及とともにネットサービスが多様化し、フィンテックやシェアリングサービスなども普及を見せはじめています。

しかし、白書によれば日本のネットショッピングにおけるスマホ・タブレットの活用度合いは、米英に比べて少なく(個人消費額に占めるネットショッピング額の割合では、日本28%に対して、アメリカ60%、イギリス51%となる)、また、フィンテックやシェアリング・エコノミーサービスの利用でも利用意向が低いと指摘されました。

・ 個人消費額に占めるネットショッピング額の割合

日本 アメリカ イギリス
28% 60% 51%

(参照:平成29年情報通信白書より作成)


※ フィンテック(finteck)とは、金融(finance)と情報技術(technology)を組み合わせた造語で、金融とテクノロジーの融合により展開される新たな金融サービス。スマートフォンとクレジットカードを組み合わせたモバイル決済サービスはフィンテックの代表例とも言える。アメリカで2008年頃に使われ始め、日本では2014年頃から頻繁に見かけるようになった。

※ シェアリング・エコノミーとは、典型的には個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービス。個人が所有する自動車の貸し借りや、家事代行などがそれに当たる。貸し借りが成立するためには信頼関係の担保が必要であるが、そのためにソーシャルメディアの特性である情報交換に基づく緩やかなコミュニティの機能を活用することができる。(参照:総務省)

2017年はビッグデータの利活用元年

近年、情報の理由な流通に向けた法整備が進んだことや、企業のビッグデータ利活用の意欲も高まっていることから、今後、一気にデータ利活用が進み、2017年がビッグデータ利活用元年になると白書に明記されました。

ビッグデータではデータ流通量の膨大な増加により、生産性の飛躍的な向上などが期待されています。

3種類に分けられるビッグデータ

ビッグデータ利活用に向けた法整備では、昨年末に官民データ活用推進基本法、今年5月に改正個人情報保護法が施行されました。

ビッグデータは主に、政府や地方公共団体などが保有する公共情報について、オープンに提供していくオープンデータと、個人の性別・年齢・職業などに関する情報、移動・行動・購買履歴、匿名加工された情報、商品情報などのパーソナルデータ、そしてビジネス活動によって得られる産業データに分けることができます。

・ビッグデータの種類

オープンデータ 政府や地方公共団体などが保有する公共情報について、オープンに提供していくデータ。官民データ活用推進基本法でも積極的に推進していくこととされている
パーソナルデータ 生産現場のIoT機器データ、橋梁に設置されたIoT機器からのセンシングデータ(歪み、振動、通行車両の形式・重量)、農業やインフラ管理からビジネス等に至る産業や企業が持ちうるパーソナルデータ以外の暗黙知(ノウハウ)をデジタル化・構造化したデータなどが挙げられる。
産業データ 個人の属性情報、移動・行動・購買履歴、ウエアラブル機器からのデータなど個人情報を含むものや、匿名加工された人流情報、商品情報等が含まれる

(参照:平成29年情報通信白書より作成)

オープンデータに対する自治体の取り組み状況は、「既に実施している又は検討している」自治体が、2012年から約4倍に増加して41%となります。

また、パーソナルデータに対する企業の利活用意欲は78%と、産業データに対しては77%と、関心度の高さを伺えました。

個人と企業による認識ギャップの解消を

ビッグデータの利活用の普及が進む一方で、パーソナルデータを提供する一般利用者の8割超が情報提供に対して不安を感じていることが明らかとなりました。

パーソナルデータの提供について、一般利用者の84.2%が理解している(「大体理解」57.8%、「明確に理解」26.4%)ものの、提供に対して不安を感じる割合は、「やや不安を感じる」60.8%、「とても不安を感じる25.3%」で合計86.1%となります。

・パーソナルデータの提供状況

提供状況 普段から提供 20.4%
提供したことはある 62.3%
提供したことはない 17.4%
利用目的に対する理解度 明確に理解 26.4%
大体理解 57.8%
理解せず 15.8%
提供に対する不安感 とても不安を感じる 25.3%
やや不安を感じる 60.8%
不安を感じない 13.9%

(参照:平成29年情報通信白書より作成)

個人情報を提供する側にとって懸念されるのは情報の流出や不正使用であり、
企業には、悪用されるのではないかといった警戒感を拭う取り組みが求められます。

第4次産業革命がもたらすものとは

ビッグデータやAIの活用により、第4次産業革命とも言える社会経済の変革がもたらされようとしています。同時に少子化、人口減少、労働生産性向上といった社会的課題の解決にも期待がかけられています。

IoT→データ収集・解析→新サービス創出→課題解決

18世紀〜19世紀初頭にかけてイギリスで起こった第一次産業革命。その後、第2次産業革命(19世紀後半)、第3次産業革命(20世紀後半)と続き、第4次産業革命が起ころうとしています。

現在、あらゆるモノがインターネットにつながり、膨大なデータのやり取りを行うことで、それが自動運転、ヘルスケア、スマートファクトリーといったサービスに利活用され、現実世界の社会的課題にフィードバックされるというサイクルが成り立っています。

社会的課題の解決につながるか

スマートフォンと比べ、「モノ」がインターネットにつながるIoT※デバイス数が急増しています。白書によれば2020年時点でその数は約300億個に達すると見込まれています。

・ 世界のスマートフォン出荷台数とIoTデバイス数の比較

  スマートフォン IoTデバイス
2014年 12.8億個 133億個
2015年 13.8億個 154億個
2016年 14.4億個 173億個
2017年 15.1億個 198億個
2018年 15.8億個 225億個
2019年 16.2億個 260億個
2020年 16.7億個 300億個

政府試算によれば、IoT化と企業改革などとが進展した場合、IoT、AIは需要創出とあいまって2030年の実質GDPを132兆円押し上げ、725兆円にのぼると予測しました。

  ベースシナリオ IoT成長シナリオ
2016年 522兆円 522兆円
2020年 547兆円 567兆円
2025年 570兆円 635兆円
2030年 593兆円 725兆円

(参照:平成29年情報通信白書より作成)

日本は人口減少に伴う経済の縮小の課題に直面しており、IoT産業の成長が労働生産性を高め、これらの課題解決につながることが期待されています。

また7月に起こった九州豪雨や昨年6月の熊本地震などの際、被災地域における情報伝達・情報共有に際し、スマートフォンなどのICTが大いに活用されたこともわかりました。今後、SNS情報のビッグデータ解析やLアラート(災害情報共有システム)を通じた間接広報など、新たなICTツールの積極的な活用が期待されます。

※ Lアラートとは、災害情報を地域の住民に迅速に伝達する緊急警報システムのことで、地方自治体等が避難指示や避難勧告等の災害関連情報を放送局等の多様なメディアに対して迅速かつ効率的に伝達することを目的とした共通基盤。(参照:総務省)

※ IoTとは、「モノとインターネット」をあらわし、モノ同士が互いにインターネットを経由して情報のやり取りを行うことを意味する。インターネットが検索して調べるだけの「情報の保管庫」としてだけでなく、モノ同士が自発的に情報のやり取りを行うことで、モノが自動的に動くようになる。Internet of Thingsの略語。