昨年度の消費者相談件数、9年連続で減少
経済産業省は8月、昨年度の同省に寄せられた消費者相談について内容を分析してまとめた概況を発表しました。経産省では、訪問販売や通信販売など消費者からの苦情・相談・問い合わせを受け付け、消費者トラブルを未然に防止しています。
昨年度の相談件数は約7500件で、9年連続の減少となりました。このうち、訪問汎愛や通信販売などの特定商取引法関係の相談が過半数を占め、特にインターネットを利用する通信販売に関する相談は2年連続で増加したことがわかりました。
このほか、エステなどの特定継続的役務提供に関する相談が前年度比で18.6%増加しました。また、株価好調を背景に先物取引に関する相談も前年度比で20.0%増え、個人情報に関する相談は微減しました。
本記事では経産省が公表している消費者相談に関する最新資料をもとに、昨年度の相談状況を詳しく見ていきます。
目次
時代の流れを反映する消費者相談
経済産業省では、消費者から受け付ける消費者トラブルについて、集計・分析を行い、その結果を毎年公表しています。
相談件数は9年連続で減少
公表資料によると、昨年度の消費者相談件数は前年度比5.5%減となる7509件で、9年連続の減少となり、過去10年間で半分以下となりました。
取引類型別に見ると、特定商取引法関連(訪問販売、通信販売など)が過半数を占め、次いで割賦関係(割賦販売など)、製品関係、契約その他、個人情報、先物取引が続きました。
・ 消費者相談件数の推移
相談件数 | |
---|---|
2007年度 | 1万6,788件 |
2008年度 | 1万4,562件 |
2009年度 | 1万4,072件 |
2010年度 | 1万1,989件 |
2011年度 | 9,880件 |
2012年度 | 8,470件 |
2013年度 | 8,049件 |
2014年度 | 8,003件 |
2015年度 | 7,944件 |
2016年度 | 7,509件 |
(経済産業省公表資料より作成)
通信販売に関する相談が最多
特定商取引法関連の相談は全体で4165件となり、前年度比で158件減少しました。このうち最も多かったのが通信販売の1277件となりました。次いで、訪問販売1146件、特定継続的役務提供675件、電話勧誘販売409件、連鎖販売取引344件、訪問購入158件、業務提供誘引販売取引156件と続きます。
・ 特定商取引法関連の相談件数の推移
相談件数 | |
---|---|
2007年度 | 8,436件 |
2008年度 | 6,981件 |
2009年度 | 6,958件 |
2010年度 | 5,948件 |
2011年度 | 4,734件 |
2012年度 | 4,285件 |
2013年度 | 4,356件 |
2014年度 | 4,274件 |
2015年度 | 4,323件 |
2016年度 | 4,165件 |
(経済産業省公表資料より作成)
通信販売の相談件数がこれまで最も多かった訪問販売を上回ったのは、スマートフォンの普及により、インターネットでの買い物をする機会が増加したためだと考えられています。通信販売の相談は2年連続で増加しており(2015年度63件増、2016年度108件増)、今後も増加傾向が続くことが予想されます。
・ 特定商取引法関連の相談
内容 | 相談件数 |
---|---|
訪問販売 | 1,146件 |
通信販売 | 1,277件 |
電話勧誘販売 | 409件 |
連鎖販売取引 | 344件 |
特定継続的役務提供 | 675件 |
業務提供誘引販売取引 | 156件 |
訪問購入 | 158件 |
(経済産業省公表資料より作成)
相談内容としては「解約関係」の相談が1218件で最も多く、全体の約3割を占めました。次いで「クーリング・オフ」の相談が960件と続きます。
割賦販売に関する相談は微減
昨年度の割賦販売に関する相談件数は、前年度比で78件減少して842件(クレジット契約に関する「割賦」572件、互助会等「前払割賦」270件)となりました。
2010年度以降は減少傾向
相談件数の過去10年間の動向を見ると、2010年に1360件となった以降は、2014年、2015年にわずかに増加に転じるも全体的に減少傾向にあります。
・ 割賦販売の相談件数の推移
相談件数 | |
---|---|
2007年度 | 988件 |
2008年度 | 999件 |
2009年度 | 1180件 |
2010年度 | 1360件 |
2011年度 | 1133件 |
2012年度 | 1016件 |
2013年度 | 875件 |
2014年度 | 912件 |
2015年度 | 920件 |
2016年度 | 842件 |
(経済産業省公表資料より作成)
商品別では乗用車の相談が最多
相談内容では「解約関係」が66件で、全体の11.5%を占めて最も多くなりました。次いで、「クレジット債務に係る手数料等」55件、「与信拒否や支払可能見込額調査関係」40件、「不正利用や身に覚えのない請求」38件、「販売店事由・支払い停止の抗弁」31件となりました。
相談内容を商品別に見ると、「乗用自動車」の49件が最多で、次いで旅行などの「運輸・通信サービス」36件と続きました。
公表資料では相談事例として、10万円を超えるエステサロンでの脱毛サービス契約を子どもが結んでしまい、その金利が高かったためクーリング・オフをしたいなどが紹介されました。
個人情報に関する相談は2年連続で減少
このほか、個人情報に関する相談件数は、前年度比で23件減少し、161件となりました。2年連続の減少となり、その相談内容は個人情報の管理に関するものがほとんどで、個人情報の漏洩や、個人情報の削除要請に関する相談が多く寄せられました。
個人情報に関する相談件数の推移
相談件数 | |
---|---|
2007年度 | 104件 |
2008年度 | 99件 |
2009年度 | 132件 |
2010年度 | 137件 |
2011年度 | 159件 |
2012年度 | 120件 |
2013年度 | 99件 |
2014年度 | 194件 |
2015年度 | 184件 |
2016年度 | 161件 |
(経済産業省公表資料より作成)
「契約その他」ではオンラインゲームなどの相談急増
「契約その他」の相談では、スマートフォン普及とともに、オンラインゲームに関する相談件数が急増しています。昨年度は、オンラインゲームを含めた「運輸・通信サービス」が35件と最も多くなりました。商品別ではこれに次いで、信用取引29件、乗用自動車27件、ガス24件、ゴルフ・シゾートクラブ会員権23件、電力21件と続きました。