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一般社団法人は剰余金を社員に分配できない?仕組みを解説

一般社団法人は、同じ目的を持って集まった任意団体である社団が、法律に基づき法人格を取得した組織で、業界団体や同窓会、自治会など、産業界や地域社会において様々な事業活動を行っています。

このように、私たちの身近で活動している一般社団法人ですが、非営利法人として剰余金を社員に分配できない決まりがあるのをご存知でしょうか。

本記事では、剰余金を社員に分配できない仕組みについて解説しています。一般社団法人を設立して事業を始めようと考えている方や、すでに一般社団法人の業務に携わっている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1 非営利法人に分類される一般社団法人

非営利法人に分類される一般社団法人

一般社団法人とは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づき設立された法人のことです。「社団」は同一の目的を持って集まった任意の団体ですが、この社団が、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」により法人格を持つと「一般社団法人」になります。

一般社団法人の例としては、学術団体・業界団体・職能団体・同窓会・自治会・町会などがあります。つまり、法律により法人格を持った学術団体や業界団体が、一般社団法人の学術団体や業界団体として活動しています。

1-1 法人とは

そもそも法人は、以下の種類に分けることができます。

  1. ①株式会社
  2. ②持分会社
     合名会社、合資会社、合同会社などが属します。
  3. ③その他の会社
     特例有限会社、外国会社などが属します。
  4. ④一般法人
     一般社団法人、一般財団法人などが属します。
  5. ⑤その他の法人
     学校法人、医療法人、社会福祉法人、NPO法人、事業協同組合、農業協同組合、農事組合法人、管理組合法人、有限責任事業組合、投資事業有限責任組合などが属します。

上記の種類の中で、一般社団法人は「一般法人」に属しています。一般法人とは、公益法人と対比した場合の区分です。公益法人は、公益を目的とする事業を行う法人をいいます。この場合の公益とは、社会全般や不特定多数の人の利益を目的に行う活動をいいます。公益法人になるには、公益事業を目的とし、公益認定等委員会による認定判断を受けなければいけません。

そのため、事業に公益性がなくても法人格を持てるように制度化されたのが一般法人です。

なお、一般社団法人で公益性があると判定されれば、公益社団法人になることができます。

1-2 一般社団法人と一般財団法人の違い

株式会社や合同会社は、営利を目的とする法人ということから「営利法人」とされますが、一般社団法人や一般財団法人は、営利を目的としない法人で「非営利法人」と呼ばれます。

一般社団法人と一般財団法人は同じ非営利法人ですが、一般社団法人は「人の集まり」が法人となったのに対し、一般財団法人は「財産の集まり」に法人格が与えられたものです。つまり、一般社団法人は、一定の目的の下に集まった人によって活動する法人であり、一般財団法人は、一定の目的で集められた財産を管理・運営する法人であるとの違いがあります。

このことから、設立の際、一般社団法人では出資義務がありませんが、一般財団法人はそこで管理・運営するための財産が必要となります。具体的には、一般財団法人の設立には、300万円以上の財産を拠出しなければならないことになっています。

一般財団法人の例としては、資料館や美術館をあげることができます。歴史上功績があった故人の所有物や美術品、手紙などの資料を集めて保管・展示する資料館を運営するために、一般財団法人が作られる場合があります。

1-3 非営利法人は剰余金を社員に分配できない

一般社団法人は、営利を目的としない法人として「非営利法人」に分類されています。ただし、営利を目的としない法人に分類されていても、法人の事業で利益を上げることは禁じられているわけではありません。世間でもよく、「一般社団法人は非営利法人なので、利益を上げることは認められないのではないか」と思われていますが、この解釈は誤りです。

一般社団法人は、営利を目的としない非営利法人であっても、法人の事業で利益を上げることは認められています。法人は、利益を生み出していかなければ、法人の事業を続けることが難しくなってしまいます。利益は、法人が活動を続けるために必要不可欠なものです。

それでは、一般社団法人が営利を目的としない非営利法人とされている意味は、いったいどういうことなのでしょうか。

一般社団法人が非営利法人とされているのは、事業で利益を上げることは認められているものの、その利益を法人の構成員である社員に分配してはいけないことを意味しています。

一般社団法人は、その社員に対して剰余金や残余財産の分配を行うことが、法律上認められていません。仮に、法人の定款で社員に法人の剰余金や残余財産の分配を行う旨を定めたとしても、その定めは無効となってしまいます。

〇一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第11条第2項

社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは、その効力を有しない。

それでは、この条文にある法人の剰余金や残余財産とは、どのようなものでしょうか。

簡単な方から、説明していきましょう。

残余財産とは、法人が解散する際に残った資産のことと考えていただければよいでしょう。上のルールは、一般社団法人が解散するときに、法人が残した資産は、社員に分配することができないということです。

1-4 法人の剰余金の種類

剰余金とは余ったお金のことです。法人の剰余金には、①資本剰余金、②利益剰余金の2種類があります。

  1. ①資本剰余金
    株主の出資など法人の資本取引から生じた剰余金です。つまり、株主が出資した金銭のうち、資本金に組み込まれずに余った部分をいいます。
  2. ②利益剰余金
    法人の事業から生じた利益を積み立てたものです。しばしば企業利益の内部留保などの言葉を聞きますが、利益剰余金は、この内部留保と同じものと考えていただいて結構です。

資本剰余金は、法人の元手である資本の余り、利益剰余金は、その元手を使って得た利益の余りと考えれば、わかりやすいでしょう。

株式会社などの営利法人では、これら資本剰余金や利益剰余金について、無制限に行うわけにはいきませんが、株主総会の議決により、一定の範囲内で株主に分配することができます。しかし、非営利法人である一般社団法人では、この剰余金の分配が認められていないのです。

ただし、剰余金の分配に該当しないような額の給与や役員報酬を支給することは可能です。

それでは、事業で生み出された利益は何に使うのかというと、その利益を社員に分配するのではなく、法人の事業に再投資して使うことになるのです。

1-5 非営利法人には普通型と非営利型がある

一般社団法人は、非営利性を重視しない一般社団法人と非営利性を重視する一般社団法人の2種類に分類することができます。

非営利性を重視しない一般社団法人を「普通型一般社団法人」非営利性を重視する一般社団法人を「非営利型一般社団法人」と呼びます。

すなわち、非営利法人である一般社団法人には、普通型と非営利型があるということなのです。

この普通型と非営利型はどこが違うのかというと、法人税法の取扱いの違いが異なっています。普通型の一般社団法人は、普通に収益事業を行うことから、税制上株式会社と同じように、収益事業を含めたすべての事業所得が課税対象となります。

この普通型一般社団法人になるための要件は特になく、一般社団法人の中で非営利型に該当しないものが普通型一般社団法人と認識されます。一般社団法人を設立するためには、満たさなければならない要件が定められていますが、その一般社団法人の設立要件を満たすだけで、普通型一般社団法人になることができるのです。

一方で、非営利型一般社団法人に該当するための要件は、別途規定されています。非営利型は収益事業のみに課税され、それ以外の会費や寄附金などの所得には課税されないメリットがあります。

そのため、非営利型一般社団法人になるには、一般社団法人の設立要件を満たすだけでなく、非営利型一般社団法人に該当するための要件を満たすことも求められるのです。非営利型一般社団法人は、税制上の優遇措置があることから、その要件は厳しく定められています。

普通型一般社団法人と非営利型一般社団法人の違いは、主に以下の点となります。

非営利型では、

  1. ①剰余金を分配しない
  2. ②解散時に、残余財産を特定の個人または団体に帰属させない
  3. ③特定の個人または団体に特別の利益を与えない

などが必要とされます。

しかし、一方の普通型では、剰余金を社員に分配しないという非営利法人の共通原則はありますが、その他は特段の制限がありません。

また、組織上の要件では、普通型では、一般社団法人の基本的な要件である「理事が1名以上必要であること」だけですが、非営利型では、この組織上の要件が厳しくなっています。

非営利型では、「理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること」が求められます。理事本人とその親族である理事の合計数が、理事総数の3分の1を超えてはいけないという意味です。このことから、理事の総数は、最低でも3名は必要となります。

また、理事本人のほかに親族理事が1名いる場合は、本人と親族理事の合計が2名となるため、その数を理事の総数の3分の1以下に抑えるためには、理事の総数が6名必要となります。

このように、非営利型ではない普通型の一般社団法人では、理事が1名いれば法人の設立要件を満たしますが、非営利型ではより厳しい基準が適用されています。自分だけで、または家族・親族だけで事業を始めようとする場合に、非営利型として法人を設立しようとすると、この組織上の要件を満たすことが課題となります。

この場合、非営利型として組織要件を満たすには、親族以外の理事を一定数集めることが必要です。具体的には、自分を含めた親族理事合計数の2倍の親族以外の理事を集める必要があります。

なお、非営利型一般社団法人は、さらに次の2つのタイプに分かれます。

  1. ①非営利徹底型一般社団法人
  2. ②共益目的型一般社団法人

非営利型一般社団法人には、非営利徹底型一般社団法人と共益目的型一般社団法人との2つの種類があり、それぞれの要件が定められています。

①非営利徹底型一般社団法人の要件

  • ㋐剰余金の分配を行わない旨を定款で定めていること
  • ㋑解散時に残余財産を国や地方公共団体、公益的な団体等に贈与する旨を定款で定めていること
  • ㋒上記の定めに違反する行為(特定の個人や団体に特別の利益を与えることを含む)を行うことを決定し、または行ったことがないこと
  • ㋓理事とその理事の親族等にあたる理事の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること

非営利徹底型一般社団法人は非営利を徹底させた法人で、事業により利益を得ることや事業で得た利益を構成員に分配することを目的としない組織です。非営利徹底型一般社団法人は、剰余金が生じても社員に分配しないこと、法人を解散する際には残余財産を国、地方公共団体などの公益的な団体に寄付・贈与する旨を定款に定めておく必要があります。

また、理事の親族が経営を独占することがないよう、理事とその親族である理事の人数を理事総数の3分の1以下に抑えることも要件となっています。

②共益目的型一般社団法人の要件

  • ㋐会員に共通する利益を図る活動を行う旨を目的としていること
  • ㋑に会費について定款等に定めていること
  • ㋒主たる事業として収益事業を行っていないこと
  • ㋓特定の個人や団体に剰余金の分配を行う旨を定款に定めていないこと
  • ㋔定款に、解散時に残余財産を特定の個人または団体(国・地方公共団体・公益的団体等を除く)に帰属させる旨を定款に定めていないこと
  • ㋕特定の個人や団体に特別の利益を与えることを決定し、または与えたことがないこと
  • ㋖理事とその理事の親族等にあたる理事の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること

共益目的型一般社団法人は、会員からの会費収入によって共益的な活動を目的とする一般社団法人で、会員相互の支援・交流など会員共通の利益を図るために活動する組織です。一部の人たちだけの利益を目的とすることはできず、会員に共通する利益を得る目的がなければなりません。

特定の個人や団体に剰余金の分配を行うこと、解散する際には、公益的団体への贈与を除き、残余財産を特定の個人や団体に帰属させることを定款に定めていないことが求められます。

また、非営利徹底型一般社団法人の場合と同じく、理事とその親族である理事の人数を理事総数の3分の1以下に抑えることが必要です。

以上のように、「非営利型一般社団法人、または共益目的型一般社団法人」=「非営利型一般社団法人」として認められるためには、非営利型の要件を満たした上で、その内容を定款に記載しておく必要があります。

1-6 非営利徹底型と共益目的型の違い

非営利徹底型一般社団法人と共益目的型一般社団法人の違いを整理すると、次のようになります。

  非営利徹底型 共益目的型
目的・事業 ・事業により利益を得ることを目的としない
・事業で得た利益を構成員に分配することを目的としない
・会員共通の利益を図る活動を目的とする
・主たる事業として収益事業を行わない
会費の定め 会費の定めは任意 会費の定めがある
剰余金・利益 ・剰余金の分配は行わない
・特定の個人・団体に特別の利益を与えない
・特定の個人・団体に剰余金の分配は行わない
・特定の個人・団体に特別の利益を与えない
解散時の残余財産 残余財産を国・地方公共団体・公益法人等に贈与する 残余財産を特定の個人・団体に帰属させない
理事 理事とその親族等である理事の合計数は、理事総数の3分の1以下とする 理事とその親族等である理事の合計数は、理事総数の3分の1以下とする

非営利徹底型および共益目的型ともに、事業により利益を得ることを主たる目的としないことが必要です。非営利徹底型は、事業で利益を得ることは禁止されていませんが、そのことを目的としないことが求められます。一方の共益目的型は、会員共通の利益を図る活動を目的とすることは認められますが、主たる事業として収益事業を行わないこととされています。

また、非営利徹底型は会費についての制限が特にありませんが、会員からの会費収入により活動を行う共益目的型は、定款等に会費について定めておくことが必要です。

解散する際の残余財産の処分では、非営利徹底型は、定款で残余財産を国、地方公共団体、公益法人等に贈与しなければならないと定めなければいけません。一方の共益目的型は、解散時に残余財産を特定の個人または団体に帰属させることを定款で定めてはならないことが要件になっています。

ここで注意すべきは、非営利徹底型は、残余財産を国、地方公共団体、公益法人等など特定の贈与先に贈与しなければならないとされているのに対し、共益目的型は、残余財産を特定の個人・団体に帰属させさえしなければ、国や地方公共団体、公益法人等など特定の贈与先に贈与しなくてもよいとされていることです。このことから、共益目的型は、解散時に社員総会の決議によって、残余財産を分配することも可能であるとされています。

このように、解散時における残余財産の処分については、非営利徹底型一般社団法人の要件は、共益目的型に比較してより厳しく定められています。

非営利徹底型一般社団法人と共益目的型一般社団法人は、ともに非営利型一般社団法人として税制上の優遇措置があり、営利型一般社団法人と異なる取り扱いを受けることができます。

1-7 普通型が非営利型になるには

普通型の一般社団法人が非営利型の一般社団法人になるには、非営利型の、つまり非営利徹底型または共益目的型の要件を満たすことが必要です。非営利徹底型一般社団法人、または共益目的型一般社団法人の要件を満たした時点で、行政庁に届け出ることにより、それぞれの法人として認められます。

普通型の一般社団法人が非営利型の一般社団法人になるには、具体的に次の手順を踏むことになります。

①非営利型一般社団法人として活動していく方針を定める

すでにみてきたように、非営利徹底型一般社団法人、または共益目的型一般社団法人にはそれぞれの要件が定められています。要件は、法人の目的や事業の内容、剰余金や利益の取扱いなど、法人の事業活動の根幹に大きな影響を及ぼすものが含まれています。

このことから、法人の意思として、非営利型一般社団法人として活動していく旨を正式に決定する必要があります。

②組織の見直しを行う

非営利徹底型一般社団法人、共益目的型一般社団法人ともに、「理事とその親族等である理事の合計数は、理事総数の3分の1以下とする」との要件があります。非営利型になるには、この要件を満たす必要があるため、法人組織の見直しを行います。

例えば、現在の理事総数が1名の場合は、親族以外の2名を新しく理事に追加し、理事総数を3名以上としなければなりません。また、現在の理事総数が2名で親族同士の場合は、親族以外の4名を新しく理事に追加し、理事総数を6名以上とする必要があります。

③定款を変更する

非営利徹底型一般社団法人、共益目的型一般社団法人ともに、その要件内容はあらかじめ定款で定めておくことになっています。そのため、定款を変えて非営利型の要件に適合するよう整備を図る必要があります。

④行政庁に届ける

普通型から非営利型への変更に関する届出先は、

  • ㋐国税が「税務署」
  • ㋑地方税が「都道府県税事務所」

となります。

普通型から非営利型への変更は、税制上の区分が変わることから、税を取り扱っている行政庁に異動届を提出することになります。なお、理事の数を変更した場合は、登記内容が変わってくるため、法務局への登記が必要になります。

このように、非営利徹底型、共益目的型ともに、それぞれの要件を満たした時点で届け出れば、非営利型の法人として認められますが、逆に、それぞれの要件を満たさなくなった段階で、普通型一般社団法人となります。非営利型から普通型になったときにも、異動届を税務署と都道府県税事務所に提出することになります。

なお、法人が非営利型の要件を適切に満たしているかについては、税務署が適時判断するとされています。

2 一般社団法人を設立するメリット

一般社団法人を設立するメリット

次に、剰余金を社員に分配できない一般社団法人を設立するメリットを見ていきましょう。

2-1 事業内容に制約がかからない

一般社団法人は、事業内容が制約されないメリットがあります。一般社団法人は、収益事業や収益外事業、また公益事業や公益外事業など、ジャンルに関係なくいろいろな事業を広く行うことが認められています。

また、その事業活動については、行政庁への報告義務がありません。例えば、普通型一般社団法人として、法人の事業目的を収益事業一本とすることも可能です。その点に着目すると、収益事業を目的に事業を展開・拡大する株式会社と同じような法人であるともいえます。

ただし、一般社団法人は、その事業で利益を上げることはできますが、その利益を法人の構成員である社員に分配することはできません。法人に蓄積された余剰利益は、すべて事業に再投資して使うこととされています。

2-2 社会的な信用度が上がる

団体が一般社団法人になると、社会的な信用度が上がります。組織というものは、法人格を持たない任意団体のままでは、社会的な事業活動を行う上で信用度が薄弱です。その理由は、任意団体では、その代表者に病気や事故が生じると、事業の継続が難しくなり、円滑な取引ができなくなる虞があるからです。

しかし、団体を一般社団法人として法人にしておけば、その代表者に事業を継続できない事情が起きても、法人自身が事業や取引に責任を持って続けることができます。

このように、社会や取引相手からみると、個人事業主と法人では、取引の安全性や信頼度が大きく異なってくるのです。

2-3 設立の手続きが複雑でない

一般社団法人は、以下の通り、設立の手続きが比較的簡単なのも特徴です。

①資本金を集めなくてよい

一般社団法人を設立する際には、株式会社のように株主から出資金を集めなくてよく、また、一般社団法人の社員など設立にかかわった人が資金を出す義務もないことから、出資金ゼロで法人を設立することができます。

②必要人数が少なくてよい

一般社団法人の設立には、社員2名と理事1名がいれば人数の要件を満たすことができます。この場合、同一人が社員と理事を兼ねることが認められているため、社員1名と社員兼理事1名の2名がいれば大丈夫です。

③認証が必要ない

一般社団法人を設立するのに、行政庁の認可を受ける必要はありません。このため、公証人役場で定款認証手数料を、法務局で登記する際の登録免許税を払えば、一般社団法人を設立することが可能です。

④設立費用が安い

一般社団法人の設立にあたり、資本金や拠出金は必要ありません。また、設立のための必要経費も、定款認証手数料、登録免許税、その他雑費など合わせて20万円弱に収まり、高くありません。

このように、一般社団法人の設立手続きは複雑ではなく、法律的な要件を満たしさえすれば比較的簡単に設立することができます。

2-4 出資しなくてよい

一般社団法人の設立時は、株式会社のように金銭を出資する必要がありません。ただし、一般社団法人の設立時に資金の拠出がなく、設立後にも事業収入がないとしたら、事業活動に使う経費は社員が負担しなければならなくなります。

したがって、一般社団法人を設立する際は、事業活動で使う資金をどのようにして集めるか入念な検討が必要です。

事業活動のための資金集めの例としては、

  1. ①会費を徴収する
  2. ②寄附金を募集する
  3. ③補助金の交付を受ける
  4. ④基金制度を活用する

などの方法があります。

①会費を徴収する

法人の会員から会費を徴収する方法です。

会員同士の支援・交流など会員全体の利益を得るために活動する一般社団法人では、会費収入を活動の資金としています。

②寄附金を募集する

一般社団法人の活動を支援してあげようと思っている人から寄付金を募集する方法です。法人の事業目的や活動内容が公益や福祉など社会的に貢献度がある場合は、賛同者が増えて寄附金が集まりやすくなります。

③補助金の交付を受ける

行政庁から補助金の交付を受ける方法です。

一般社団法人の設立理念や事業目的が、行政庁の補助金の支給目的や支給要件に合致する場合に、補助金の交付対象になる可能性があります。

④基金制度を活用する

基金は、一般社団法人に拠出される金銭その他の財産で、事業活動を行う原資とすることができる制度です。基金は、それを提供した人と一般社団法人の合意により、後日返還する義務があります。

基金制度を利用するかどうか、また、基金を何に使うかは法律の制限はなく、自由に決めることが可能です。また、基金の提供者にも制限がなく、広く拠出を募ることができます。

2-5 税制の優遇を受けることができる

一般社団法人の非営利型は、税制上の優遇措置を受けることができます。普通型一般社団法人、つまり法人税法において非営利型の要件を満たさない一般社団法人は、「普通法人」として取り扱われます。

普通法人では、収益事業であれ収益外事業であれすべての事業所得に課税されます。このため、会費や寄附金、補助金など収益事業に該当しない所得も課税対象になります。

一方、法人税法において非営利型の要件を満たす非営利型一般社団法人は、公益法人認定法に基づく公益認定は受けていなくても「公益法人等」として取り扱われます。公益法人等は、収益事業から生じた所得のみに課税され、収益外事業による所得には課税されません。このため、会費や寄附金、補助金など収益外事業所得は課税対象外となります。

3 一般社団法人が公益社団法人になるには

一般社団法人が公益社団法人になるには

次に、一般社団法人が公益法人になるにはどうすればよいかをみていきましょう。

3-1 公益社団法人とは

公益法人とは、学術・芸術・福祉事業など、不特定多数の人の利益の増進に寄与する公益目的事業を行う社団法人または財団法人をいいます。「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(公益法人認定法)」に基づき公益認定を受けると、公益社団法人または公益財団法人として取り扱われます。

公益認定を受けると、「公益社団法人」または「公益財団法人」という名称を使用することができます。また、税制上、公益目的事業から生じた所得には、法人税が課税されないメリットがあります。公益目的以外の事業では、法人税法における収益事業で生じた所得に対して法人税が課税されます。

さらに、公益社団法人に対して、個人または企業が寄附を行う場合、寄附者が所得控除や損金算入を認められるという優遇措置を受けることができます。このため、公益法人は、一般法人に比べ寄附金を集めやすくなるメリットがあります。

3-2 一般社団法人が公益社団法人になるには

公益社団法人はいきなり設立することはできず、一般社団法人で認定基準を満たしたものが公益認定を受け、公益社団法人になることができるシステムになっています。

すなわち、既存の一般社団法人が、民間有識者で構成される公益認定等委員会による公益性の審査を経て、国または都道府県から公益認定を受けることで公益社団法人になることができます。

公益社団法人になるには、以下の18ある認定基準をすべて満たす必要があります。

  1. ①公益目的事業を行うことを主たる目的とすること
  2. ②公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎および技術的能力を有すること
  3. ③社員、評議員、理事、監事、使用人など当該法人の関係者に対し、特別の利益を与えないこと
  4. ④営利事業を営む者や特定の個人・団体の利益を図る活動を行う者に対し、寄附その他特別の利益を与える行為を行わないこと
  5. ⑤公益法人の社会的信用維持にふさわしくないもの、または公の秩序・善良な風俗を害するおそれのある事業を行わないこと
  6. ⑥公益目的事業にかかる収入が、その実施に要する適正費用を超えない見込みであること
  7. ⑦公益目的事業以外の収益事業等を行う場合には、公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれがないこと
  8. ➇公益目的事業比率が、50 / 100以上の見込みがあること
  9. ⑨遊休財産が、法律の制限を超えない見込みがあること
  10. ⑩同一親族等が、理事または監事の1 / 3以下であること
  11. ⑪同一団体の関係者が、理事または監事の1 / 3以下であること
  12. ⑫会計監査人を置いていること
  13. ⑬理事、監事、評議員の報酬等が、民間事業者の状況や当該法人の経理の状況等を考慮して不当に高額でない支給基準を定めていること
  14. ⑭一般社団法人の場合は、次のいずれにも該当すること
    • ㋐社員の資格の得喪について、不当に差別的な取扱いや不当な条件を付していないこと
    • ㋑社員の議決権について定款に定めがある場合には、その定めが次のいずれかに該当すること
      ・社員の議決権について、不当に差別的な取扱いをしないこと
      ・社員の議決権について、社員が当該法人に対して提供した金銭などに応じて異なる取り扱いを行わないこと
    • ㋒理事会を置いていること
  15. ⑮他の団体の意思決定に関与することができる株式などの財産を保有していないこと
  16. ⑯公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産がある場合は、その旨、その維持、処分の制限について、必要な事項を定款で定めていること
  17. ⑰公益認定の取消処分を受けた場合、または合併により法人が消滅する場合に、公益目的取得財産残額があるときは、これに相当する財産を類似の事業を目的とする他の公益社団法人や次に掲げる法人、国・地方公共団体に贈与する旨を定款に定めていること
    • ・学校法人
    • ・社会福祉法人
    • ・更生保護法人
    • ・独立行政法人
    • ・国立大学法人又は大学共同利用機関法人
    • ・地方独立行政法人
    • ・その他これらに準ずるものとして政令で定める法人
  18. ⑱清算の場合、残余財産を類似の事業を目的とする他の公益法人や⑰に掲げる法人、国・地方公共団体に帰属させる旨を定款で定めていること
  19. また、暴力団員が支配している法人や滞納処分終了後3年を経過しない法人、認定取消し後5年を経過しない法人などは、欠格事由該当として公益法人の認定を受けることはできません。

公益社団法人になるための手順は、次のようになります。

  1. ①一般社団法人を設立する
  2. ②公益社団法人として活動していく方針を定める
  3. ③公益認定が受けられるよう定款や組織の見直しを行う
  4. ④行政庁に公益認定申請を行う
  5. ⑤公益認定等委員会の審査を受ける
  6. ⑥行政庁により公益認定を受ける

なお、所管行政庁は、以下の場合は内閣総理大臣、それ以外の場合は都道府県知事となります。

  1. ①事務所が複数の都道府県にある
  2. ②定款に、複数の都道府県で公益目的事業を行う旨を定めている
  3. ③国の事務・事業と密接な関連がある公益目的事業で、政令が定めるものを行っている

以上のように、公益法人認定基準を満たした上で、公益委員会等の審査を経て公益認定を受ければ、公益社団法人になることができます。

公益法人に認定されるための基準は、非常に厳格に決められています。これは、公益法人が、不特定多数の人の利益の増進に寄与する公益目的事業を行う法人であること、税制上の優遇措置を受けることができることなどから、その要件が厳しく規定されているからです。

4 まとめ

普通型一般社団法人と非営利型一般社団法人

一般社団法人は、営利を目的としない法人として「非営利法人」に分類されますが、非営利法人であっても、その事業で利益を上げることは禁止されていません。

しかし、一般社団法人は、事業で利益を上げることは認められているものの、その利益や剰余金を法人の構成員である社員に分配することが法律上認められていません。この法人の利益や剰余金を社員に分配することが認められていないことが、非営利法人に共通する制限となります。

一般社団法人を設立する際に、普通型と非営利型のどちらにするかについては、専ら法人の設立目的や活動内容、組織体制などにより決まってきます。株式会社のように普通に収益事業を行うことを目的とするのであれば普通型一般社団法人に、収益事業を目的としないのであれば非営利型一般社団法人として組織化することが視野に入ってきます。

さらに、非営利型の中で、非営利徹底型にするか、共益目的型にするかについても、法人の設立目的や活動内容により、道が分かれます。事業により利益を得ることを目的とせず、利益を構成員に分配しないなど非営利性を徹底するなら非営利徹底型会員共通の利益を図る活動を目的とするなら共益目的型として、法律上の要件全般を満たすことができるか調べる必要があります。

以上のことから、法人の設立趣旨や事業計画、組織のあり方について、十分に確認・検討を行うことが非常に重要となるでしょう。

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