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一般社団法人・一般財団法人の会計監査人

株式会社の会計監査人は計算書類を監査する第三者機関です。企業が提出する決算書類をチェックし、会計監査報告書を作成します。会計監査人が監査した企業の決算書は信頼性が高く、投資家たちからの資金調達をスムーズに進めることができます

会社法では、大会社以外でも会計監査人を任意に設置できると定めています。上場を目指すベンチャー企業などは早期から会計監査人を設置することで、株式公開に備えることができる制度となっているのです。

一般社団法人・一般財団法人における会計監査人でも設置理由は同じです。ただ、大規模法人の場合その設置が義務だったり、監事の設置も義務だったりと機関設計だけでも多様なケースが存在します。

今回の記事では社団法人と財団法人の会計監査人の役割、設置のルール、権限と責任などを詳しく解説します。


一般社団法人の会計監査人

一般社団法人の会計監査人は、社団法人が作成する計算書類(貸借対照表・損益計算書など)と附属明細書を監査する外部機関です(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第107条 以下、一般法と略す)。

会計監査人の設置は任意ですが、資産200億円以上の大規模一般社団法人の場合は必須の機関です(同62条)。また、会計監査人を設置する場合、監事も設置しなければなりません(同61条)。なお、任期は1年となります(同69条)。

社員総会、理事、監事との関係

会計監査人は社団法人と委任の関係にあります。理事に対しては監査する権限を持っており、監事に対して報告義務を負います。社員総会に対しては、監事の意見が異なる場合に意見の陳述を行うことができます。

社員総会は会計監査人の選任・解任を行うことができます。監事は解任や報酬の決定に同意する権限を持ちます。

3つの権限

会計監査人が持つ権限は主に3つです。

1つ目は、計算書類とその附属明細書の監査です。附属明細書とは貸借対照表や損益計算書の内容を補足する重要事項を記載した書類です。たとえば、固定資産(有形・無形含む)の明細や、引当金の明細などがこれに該当します。この場合、会計監査人は会計監査報告書を作成する必要があります(同107条)。

2つ目は、会計帳簿などの閲覧と謄写(とうしゃ)です。また、理事と使用人に対して会計に関する報告をするよう要求することができます(同107条2項)。また、職務の必要に応じて子法人に対して法人の業務と財産の状況を調査することができます(同107条3項)。なお、子法人は正当な理由があるときに限り会計監査人の報告要求を断ることができます(同107条4項)。

3つ目は、社員総会に出席して意見を述べることです。計算書類が法律や定款の内容と照らし合わせて正しいかどうかについて、会計監査人と監事の意見が異なる場合、会計監査人は定時社員総会に出席してその見解を陳述することができます(同109条)。

  • 会計監査人の権限

計算書類等の監査

107条

一般社団法人の計算書類(貸借対照表・損益計算書)および附属明細書を監査する。この場合、会計監査人は、会計監査報告を作成しなければならない

会計帳簿の閲覧・謄写、会計に関する報告要求

107条

いつでも、閲覧及び謄写をしまたは理事及び使用人に対して会計に関する報告を求めることができる

社員総会での意見陳述

109条

計算書類が法令または定款に適合するかどうかについて会計監査人が監事と意見が異なる場合、会計監査人は、社員総会に出席して意見陳述を行うことができる

3つの義務

一方、社団法人の会計監査人が持つ義務は次の3つです。

1つ目は、民法644条の善管注意義務です。会計監査人と一般社団法人は委任関係にあるため、会計監査人は善良な管理者の注意を払って委任業務を遂行する義務を負います。

2つ目は、監事への報告義務です。理事の職務執行に関して不正行為や定款に反する行いを発見したときは、会計監査人はただちに監事に報告しなければなりません(同108条)。なお、監事は、必要があるときは会計監査人に対して監査結果に関する報告を求めることができます。

3つ目は、社員総会での意見陳述義務です。会計監査人の権限として、監事と意見が異なる場合、定時社員総会に出席してその見解を陳述することができるのは前述のとおりです。一方、社員総会で会計監査人の出席を求める決議がなされた場合、会計監査人は、出席して意見を述べなければなりません(同109条2項)。

このほか会計監査人が負う責任として、任務を怠ったとき、一般社団法人に対して発生した損害を賠償する責任があります(111条)。悪意・重過失があった場合は、第三者に生じた損害賠償責任を負います(117条)。

  • 会計監査人の義務

善管注意義務

民法644条

受任者は、委任の目的に従って善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う

監事への報告義務

108条

理事の職務の執行に関して不正行為または法令・定款に違反する重大事実を発見した場合、遅滞なく、監事に報告しなければならない

社員総会での意見陳述義務

109条

定時社員総会で会計監査人の出席を求める決議があった場合、会計監査人は、定時社員総会に出席して陳述しなければならない


一般財団法人の会計監査人

一般財団法人の会計監査人は、財団法人が作成する計算書類(貸借対照表・損益計算書)と附属明細書を監査する外部機関です(同107条)。

財団法人では役員(評議員、評議員会、理事、理事会、監事)の設置は必須ですが、会計監査人の設置は任意です。ただし、資産200億円以上の大規模一般財団法人は必置です(同171条)。会計監査人になれるのは、公認会計士もしくは監査法人のみです(同177条)。なお、任期は1年となります(同69条)。

評議員、理事、監事との関係

会計監査人は財団法人と委任の関係にあります。理事に対しては監査する権限を持っており、監事に対して報告義務があります。評議員会に対しては、監事の意見が異なったときに意見の陳述を行うことができます。

評議員会は会計監査人を選任することができます。監事は会計監査人が職務を怠った場合、解任することができます

3つの権限

一般財団法人の会計監査人が持つ権限は次の3つです。

1つ目は、社団法人同様、計算書類とその附属明細書(貸借対照表や損益計算書の内容を補足する重要事項を記載した書類)を監査することができます。たとえば、固定資産(有形・無形含む)の明細や、引当金の明細などがこれに該当します。この場合、会計監査人は会計監査報告書を作成する必要があります(同107、197条)。

2つ目は、会計帳簿などを閲覧・謄写(とうしゃ)することができます。また、理事と使用人に対して会計に関する報告をするよう要求することも可能です(同107条2項)。また、職務の必要に応じて子法人に対して法人の業務と財産の状況を調査することができます(同107条3項)。なお、子法人は正当な理由がある場合、会計監査人の報告を求めてきても、これを拒否することができます(同107条4項、197条)。

3つ目は、社員総会に出席して意見を述べることができます。計算書類の適法性に関して、会計監査人と監事の意見が異なる場合、会計監査人は定時社員総会に出席してその見解を陳述することができます(同109条、197条)。

  • 一般財団法人の会計監査人の権限

計算書類等の監査

107条
197条

一般財団法人の計算書類(貸借対照表・損益計算書)および附属明細書を監査する。このとき、会計監査人は、会計監査報告を作成しなければならない

会計帳簿の閲覧・謄写、会計に関する報告要求

107条
197条

いつでも閲覧・謄写が可能で、理事および使用人に対して会計に関する報告を要求することができる

評議員会での意見陳述

109条
197条

計算書類が法令または定款に適合しているかについて、会計監査人と監事の意見が異なる場合、会計監査人は、評議員会に出席して意見を述べることができる

3つの義務

次に、財団法人の会計監査人が負う義務は主に3つとなります。

1つ目は、民法644条の善管注意義務です。会計監査人と一般財団法人は委任関係のため、会計監査人は善良な管理者の注意を払って委任業務を遂行する義務を負います。

2つ目は、監事に対する報告義務です。理事の職務執行に関して不正行為や定款に反する行為があった場合、会計監査人は遅滞なく監事に報告する必要があります(同108、197条)。なお監事は、必要があるときは会計監査人の監査に関する報告を要求することができます。

3つ目は、評議員会における意見陳述義務です。会計監査人の権限として、監事と意見が異なった場合、評議員会に出席してその見解を述べることができるのは前述したとおりです。一方、定時評議員会で会計監査人の出席を求める決議がなされた場合、会計監査人は、出席して意見を述べなければなりません(同109条2項、197条)。

また、財団法人の会計監査人が負う責任として、任務を怠ったとき、一般財団法人に対して損害賠償責任を負います(111、198条)。悪意・重過失があった場合は、第三者に生じた損害賠償責任を負います(117、198条)。

  • 一般財団法人の会計監査人の義務

善管注意義務

民法644条

受任者は、委任の目的に従って善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う

監事への報告義務

108条
197条

理事の職務執行について不正行為または法令・定款に違反する重大事実が発覚した場合、会計監査人は遅滞なく、監事に報告しなければならない

評議員会での意見陳述義務

109条
197条

定時評議員会で会計監査人の出席を求める決議があった場合、会計監査人は、定時評議員会に出席して意見を述べなければならない

以上が会計監査人の権利と義務になります。同機関は法人のコーポレートガバナンスを高める機関です。会計監査人のチェックを受けた計算書類は信頼性がとても高く、今後もその重要性はさらに増していくでしょう。