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一般社団法人の基金制度ってなに?~返還義務のある財産とは~

社団法人が定款に定めた目的の事業を行う基礎的な資金である基金。基金制度は余剰金の分配をしない一般社団法人の性格を維持しつつ、安定した活動を行うために必要なものとなります。また、基金の使途について法律上制限はないため、自由に使うことができます。

本コラムでは基金制度の概要とその募集方法、返還方法について分かりやすく説明していきます。


基金制度を簡単解説

基金とは、「一般社団法人に拠出された金銭その他の財産」(一般法※131条)と定義されています。約6000ある国内の一般社団法人は、それぞれ定款で定めた事業活動をするため、その原資となる資金を調達する必要があります。基金は、その活動を安定的に行うための財産的基礎となっているのです。

基金制度の採用は義務ではない

活動資金の元となる基金制度は法律上義務付けられている訳ではなく、採用するかしないかは各社団で自由に判断できます。
また、基金の使い道についても法律上制限がなく、自由に活用することが認められています。

返還義務がある

一般社団法人は基金の拠出者に対して、当事者間の合意に基づいた返還義務を負います。基金は貸借対照表上、負債ではなく純資産に計上されます。

第131条 一般社団法人が拠出者に対してこの法律及び当該一般社団法人と当該拠出者との間の合意の定めるところに従い返還義務を負う(金銭以外の財産については、拠出時の当該財産の価額に相当する金銭)

また、拠出者の条件では、特に制限がないため、社団の社員でなくても拠出することができます。もちろん社員も拠出者となることができます。

一方、公益社団法人では基金として集めた財産は、公益目的事業財産※には該当せず、拠出者に対して返還義務を負うことになっています。公益認定法(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律)の18条では、公益事業目的財産として8項目が定められています。

  • 一般法とは、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の略称。
  • 公益目的事業財産とは公益目的のために消費される財産であり、公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産があるときは、その管理方法について定款で定める必要がある。

基金を募集するには

次に、基金の募集手続きについて見ていきます。
募集するにはまず、総額いくら募集するのかなど「募集事項の決定」をします。続いて、拠出をしようとする者に対して、払込み方法などに関する必要事項の通知を行います(=「基金の申し込み」)。

次いで、申込者の中から「基金の割り当て」をし、具体的な拠出手続き「金銭以外の財産の拠出手続き」に入ります。

最後に定められた期間内に「基金の払込み」をすれば完了です。

1. 募集事項の決定
2. 基金の申し込み
3. 基金の割り当て
4. 金銭以外の財産の拠出手続き
5. 基金の払込み

募集事項の決定

基金への拠出を募集するさい、基金の総額と現物給付ならその内容・価額、払込みの期日などについて決定しなければなりません。

定められている募集事項
第132条

1. 募集に対する基金の総額
2. 金銭以外の財産を拠出の目的とする場合は、その旨と財産の内容及びその価額
3. 「基金の拠出に係る金銭の払込み」の期日、または期間。もしくは、「財産の給付」の期日、またはその期間

基金の申し込み

基金へ拠出の意思がある者に対して、一般社団法人は必要事項を通知し、申込者は「申込みをする者の氏名又は名称及び住所」「引き受ける基金の額」を記入して社団に提出する必要があります。

必要事項
第133条

1. 一般社団法人の名称
2. 募集事項
3. 金銭の払込みをする場合は、払込みを取り扱う場所
4. 1〜3のほか、法務省令で定められた事項

基金の割り当て

申込者からの提出を受けた社団は、その中から基金の割り当てを受ける者を選定し、割り当てる金額を決めます。なお、「割り当てる金額」は、申込者が希望した金額を下回る額を指定することも可能です。また、社団は払込期日までに、その旨を申込者に通知しなければなりません。

金銭以外の財産の拠出手続き

申込者が金銭以外の拠出をする場合、社団はその財産(=現物拠出財産)
の価額を調査する必要があります。具体的には裁判所に対して、検査役専任の申し立てを行います。

ただし、次の条件に当てはまっている場合を除きます。

第132条

1. 現物拠出財産の総額が500万円を超えない場合
2. 現物拠出財産のうち、市場価格のある有価証券について定められた価額が、有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合
3. 現物拠出財産について定められた価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人の証明を受けた場合(現物拠出財産が不動産の場合、証明および不動産鑑定士の鑑定評価)
4. 現物拠出財産が一般社団法人に対する金銭債権であり、金銭債権について定められた価額が金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えない場合

基金の払込み

金銭の基金の割り当ての通知を受けた者(=引受人)は、定められた期日までに指定の金融機関(銀行、信託会社など)に全額払い込みます。

現物拠出財産の場合は、定められた期間内に、それぞれの基金の払込金額に相当する現物拠出財産を給付します


基金の返還方法

基金は社団の財産的基礎となる一方、外部負債としての性質があるため、解散前には拠出者に対して返還する必要があります。

基金の返還は、定時社員総会の決議によって行われます。ただし、貸借対照表上の純資産額が基金の総額を超える場合に限り、超過額を限度に基金の返還をすることができます。

現物拠出財産の場合、拠出時の財産の価額に相当する金銭を返還します。

違法な返還は社団が責任を負う

拠出者に対する基金の返還が限度額を超えたりした場合には、返還を受けた者と当該返還に関する職務を行った業務執行者※は、当該一般社団法人に対し、連帯して、違法に返還された額を弁済する責任を負います。

ただし、超過額を限度として総社員の同意がある場合は、業務執行者の責任を免除することができます。

代替基金の計上

また基金を返還するさいは、返還をする基金に相当する金額を「代替基金」として計上する必要があります。そのため、基金の返還をしても、一般社団法人の基金総額は減少しません。

  • 業務執行者とは、業務執行理事その他当該業務執行理事の行う業務の執行に職務上関与した者のこと。